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約束と契約  作者: オボロ
46/114

#46 神が御座す場所


「ここが本殿………。」


本殿の中は、あまり広くなかった。

狭いと思うほど、小さなスペースではなかったが、外から見た建物の大きさに比べると、あまり広くないという印象だった。

奥の壁に、台のような棚のようなものがあり、その上に小さくて横に広いほこらによく似た日本の城のようなものが置いてある。

祠によく似た日本の城のようなものの扉は閉まっていた。

しかし、そこに『御弥之みやの様は居る』と、マリアは感じた。


「そちらは内陣ないじん御弥之みやの様が御座おわす場所だ。わたしと琴音ですら、年に二度しか触れることが許されていないし、御扉みとびらが開かれることは滅多にない。毎日の清掃は外陣げじんのみだ。こちらだけを清掃する。」


凪は、内陣と呼んだ祠によく似た日本の城のようなものと、マリアの間に立ち、それ以上のマリアの接近をはばんでいた。

阻まれなくても、マリアは、これ以上、近づくことは出来なかっただろうと、思った。


神聖なるものとは、神々こうごうしく、おごそかで、おそれ多いもの。

言葉だけで分かったような気がしていたが、本当に、神々しく、厳かで、畏れ多いとは、恐怖にも似た畏敬いけいの念に心が揺さぶられることなのだと、マリアは、この日、初めて知った。


触れてはいけない。

けがしてはいけない。


内陣そこは、神が御座おわす場所なのだと、マリアは、凪に言われるよりも前に、本能で察した。


膝を付き、腰を落とし、頭を下げる。

全てが無意識の行動だった。


「マリア・月城・グレースです。ここの清掃をさせていただきます。よろしくお願いします。」


誰に言われたわけでもなく、正座をして、挨拶をした。

そうしなければいけない気がした。

そうするべきだと思った。


強くなるために、力を貸して欲しい。

強くなるための導きが欲しい。

その為には、自分を知ってもらう必要があり、その為の奉仕が必要だ。

それが、ここの清掃なのだと、マリアはこの時、唐突に悟った。



『—————悪魔は見返りを求めて苦しめるだけだが、神は見返りを求めずに助けてくれるのだろう?』



これは悪魔、B・Bの言葉。

だが、違う。

そうではない。

神様は、強く願うモノに、救いの手を差し伸べてくれる。

そして、強く信じるモノだけに、救いの手を見つけることが出来るのだ。


マリアは、急に目の前が開けた気分だった。

今、するべきことは何なのか、分かったような気がした。


兎に角、本殿の清掃をしよう。

御弥之みやの様に願いが届くよう、毎日、心を込めて奉仕しよう。

願いは届くと信じていれば、御弥之様はきっと救いの手を差し伸べてくれる。

指し示してくれる道を、見つけることが出来るかもしれない。


何が出来るのか。

出来ることは何なのか。


ほんの少しだけでも見つけることが出来たなら、それを目印に進むことが出来るかもしれない。



「さぁ、始めましょう、凪。」


固く絞った白い布を握りしめ、マリアは希望の光を見つける為、凪の指示に従い、本殿の清掃を開始した。



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