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約束と契約  作者: オボロ
36/114

#36 B・Bの企み


「ドロシー、悪魔は、あなたの為には何もしないわ。」


マリアは、ドロシーに言った。

どんな取引をしたのかは分からないが、B・Bがドロシーの為に何かをするとは考えられなかった。


「悪魔はね、自分にとって有益な何かがなければ、何もしない。もしも、何かをしてくれると言ったのなら、それは、悪魔のとって有益な何かを得ることが出来るからよ。考えてみて。あなたの望みが叶ったなら、悪魔は何を得るのかを………」

「わたしの望みが叶ったら……?」


マリアの問い掛けに、ドロシーは考えを巡らせていた。

マリアはドロシーの巡る考えを追いかけるように、質問を重ねた。


「ドロシーの望みは何?」

「わたしは、ルイーザと一緒に居たい……。」

「今までも一緒に居たんでしょ?」

「ルイーザは、わたしのこと、知らない。わたしは、ルイーザと、お友達になりたいの……。一緒に遊んだり、おしゃべりして、楽しいねって言って、一緒に笑いたいの……」

「それって………」


マリアは気付いてしまった。

ドロシーは、ルイーザを、自分と同じ“幽霊”という存在にするつもりだ。

だが、それがどういうことなのか、ドロシーには分かっていないのだと、マリアは思った。

友達になりたいと思っているのに、死んで欲しいと、望むはずはない。

ジャックとの会話でも、ルイーザを死なせることに対して、ジャックを責めていた。

もしかしたら、自分は生き返ることが出来ると、そう思わされているのかもしれない。


「凪…、死んだ人を生き返らせることが、悪魔には出来たりするの?」


マリアは小さな声で、凪に聞いた。

凪も、小さな声で答えた。


「一度、死んだと判断されたモノが息を吹き返したという奇跡は、無いわけではないが…、肉体が無いモノに、生き返る奇跡など、起こるはずがない。もしも、生き返ることがあっても、それは、もう普通の生き物では無くなっている。妖や魔物の類だ。」


覚悟していた答えだったが、凪の答えを聞いた後、やっぱりそうか———と、思ったのと同時に、B・Bへの怒りが込み上げて来た。


「B・B‼出て来なさい!あなたは何がしたいの⁈こんなにもたくさんの人を巻き込んで!一体何が目的なの⁈」


マリアは叫んだ。


「マリア!せ!」


凪がめても黙らなかった。


「B・B!いい加減にして‼目的はわたしだったんじゃないの⁈出て来て‼出て来なさいよ‼」

「マリア‼お前がいい加減にしろ‼何を熱くなっている!落ち着け!」


凪は、落ち着けさせる為と、B・Bから守る為に、マリアをぎゅっと抱き締めた。

マリアは肩で息をしながらも、凪の腕の隙間から、周囲を覗き、B・Bの登場を待っていた

B・Bがもうすぐ現れることは、変化した空気の淀みで分かった。

心なしか、重く、息苦しい。

ドロシーも、ジャックも、突如として変わった空気に気付いて、怯えていた。

ドロシーは、きょろきょろと何度も周囲を見回しているし、ジャックは頭を抱え、小さくなって震えている。


やがて、どこからか、大量の濃い霧が流れて来て、霧の中から数人の人影が現れた。

B・Bと5人の少年、そして、ルイーザだ。

ルイーザの姿が現れると、ドロシーの姿はルイーザでは無く、知らない少女の姿に変わっていた。

6歳ぐらいの、やせ細った女の子だ。

マリアは、アルフと変わらない年頃の女の子を見て、それがドロシーの本当の姿だと分かり、驚いた。

そして、こんな幼い女の子を騙したB・Bと、その使い魔達が許せないと、心から思った。


「やっと姿を現したのね。」


凪が力を緩めないので、マリアは凪の腕の中から出ることは出来なかったが、凪の腕の中からB・Bを睨みながら言った。

凪もB・Bを睨んでいる。


「随分と吠えていたようだが、結局、何も出来ないから、わたしを呼んだのだろう?“神使”とやらは助けてくれないのかい?わたしに助けを求めるのなら、それ相応の代償が必要になることは、承知の上だろうね?」


B・Bは笑みを浮かべ、マリアに語る。

使い魔達も、薄く笑い、マリアを見ていた。

マリアは、B・Bを睨み続け、語気を強めて言った。


「助けは求めていない。助けを求めたって、悪魔は助けたりはしないわ。見返りを求めて苦しめるだけじゃない。わたしは怒っているのよ。こんな小さな子を騙して、焚きつけて……。」


「それで?」


「もうやめて。ノーラからも、ルイーザからも、ドロシーからも、手を引いて。開放してあげて。」


「無償で?何も差し出さずに、願いを叶えろと?」


「………何が望み?」


マリアの言葉に、B・Bは機をとらえたとばかりに目を輝かせた。

マリアは自分の命を差し出せと言われるのだと思った。

凪も、マリアを身代わりにするつもりなのだと思っていた。

勿論、マリアも凪も、おめおめと言いなりになるつもりは無かった。


「神に何が出来るのかを見せてもらおうか。悪魔は見返りを求めて苦しめるだけだが、神は見返りを求めずに助けてくれるのだろう?」


B・Bの望みは、マリアと凪が予想していたものとは違っていた。

神を嫌悪しているのが分かる。


「神ならば、どうやってこの状況から、ノーラを、ルイーザを、ジャックを、ドロシーを、救い出すことが出来るのか、見せてくれないか?その狐は“神使”なのだろう?“神使”が守っているのだから、マリア、君も『神』と関わりがあるのでは?『神』に関わる者が2人もいて、何も出来ないわけがない。見せてくれ。神に何が出来るのかを。」


B・Bは、マリアと凪を、試すことにしたらしい。



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