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約束と契約  作者: オボロ
18/114

#18 疑惑


「ルイーザ?こんなところに居たの。ダメじゃない。勝手に出歩いたりしては。お相手のご両親がいらっしゃっているわ。ご挨拶に行くわよ。あなたもいらっしゃい。」


ルイーザが愕然として受け入れがたい光景を見ているところへ、グリッティが駆け寄って来た。

病室に居ないルイーザを探してロビーまで来たらしい。

放心状態のルイーザを連れて向かった先には、ノーラの両親が居た。

ノーラの怪我の状態の説明を受けていたらしいノーラの両親が、診察室から出て来たところを、グリッティが呼び止めた。


「オルコットさん、この度はうちの娘がノーラさんに怪我をさせてしまって、大変申し訳ありません。わたくし、ルイーザの母、グリッティ・ベトソンです。お嬢さんの怪我の様子はいかがですか?」


グリッティは、いつになく低姿勢で、ルイーザにも頭を下げろと促してくる。

ルイーザは、グリッティと一緒に頭を下げながら、自分を情けなく思っていた。


こんなにも母親を謝らせてしまった。

きっと、また母親に嫌われてしまった。

恥かしい娘だと思われてしまった。


もう、好かれることなどないだろうと、絶望した。


そのままグリッティは、ルイーザをノーラのところへ連れて行き、ジャックやビルが居る前で、頭を下げて謝った。

当然、ルイーザも、一緒に頭を下げて、お詫びをする。


「本当に申し訳ありませんでした。」

「申し訳ありませんでした…。」


ノーラは、グリッティとルイーザの謝罪を受け入れ、微笑んだ。


「大丈夫ですよ。幸い軽い捻挫と擦り傷なので……。学校も2~3日休むだけで済みそうです。確かに、道路に走って飛び出すのは、危険な行為だったと思います。ですが、彼女も充分、反省しているようですし、わたしの方も、ちょっと前方不注意だったかなと思い、反省しています。本当に、もう、お気になさらないでください。」


ノーラは、大人おとなしそうに見えて、しっかりとした受け答えの出来る女の子だった。

おっとりとした雰囲気があるのに、きちんとした対応が出来る優等生。

自分にも非はあったのだから、気にしないでいいと言う。

オルコット夫妻は、我が子を誇らしげに見守っていて、ジャックは、ノーラの優しさに感激しているようだった。

ビルが、嬉しそうにジャックを肘でついていた。

ルイーザは、というと、温かい家庭で大切に育てられ、愛されることが当たり前の、幸せな女の子の言葉だと、感じていた。


ノーラは、そのまま家に戻り、通院しながら自宅療養をすることになった。

ルイーザは、一応、頭部の検査が必要と言われ、入院。

検査の後、夕食を食べ、落ち着いた頃に警察が来て、事故の様子を質問された。


「どうして飛び出したのかな?道路に飛び出したら危ないってことは分かっている年齢だよね?理由があるなら教えてくれる?誰にも言わないで欲しいと言うなら、誰にも言わないわ。約束する。」


女性の警察官が、優しくルイーザに質問した。

ルイーザは、隠す必要がないので、正直に全てを話した。


琥珀色の髪の少年に道を聞かれ、図書館まで案内していたこと。

途中、サッカーボールを追いかける少年に会ったこと。

サッカーボールを追いかけて道路に飛び出した琥珀色の髪の少年を止めようと思い、道路に飛び出してしまったこと。


「—————そうしたら、女の子が角から出て来て…、気付いた時には間に合わなくて、ぶつかってしまいました。女の子とぶつかった後に、どこかに頭をぶつけたような気がします。その後のことは、よく覚えていません。誰かが走っていたような音と、救急車のサイレンは聞こえていました。」


女性の警察官は、ルイーザの話を最後まで黙って聞いていた。

話の内容をメモに取って、残しているようだった。

ルイーザの話が終わると、メモを見ながら確認する。

まるで、話した内容に食い違いがないかを、確かめているみたいだった。


「あなたに声を掛けた男の子って、何処に行きたいって言ってた?」

「パーカー図書館です。でも、そこへ行きたいって言ったんじゃなくて、パーカー図書館って、書いてあるメモを見せてくれたんです。」

「ああ、そうだったわね。誰に頼まれたって言ってた?」

「お兄さんにって……。」

「歳は聞いた?」

「いいえ。お兄さんは3つ上だって言っていました。」

「名前も聞かなかったの?」

「はい、初めて会った人に、いろいろ話すのは嫌だったみたいです。」

「そう……。何色の髪だったかしら?」

「琥珀色って、わたし、何度も言ってますよね?」


何かがおかしい———そう思っていたことに、大体の見当がついてしまって、ルイーザは怒った。


「わたし、嘘なんてついていません!何が変なんですか?教えてください!わたし、何処を嘘だと思われているのか、全然わからないんです!」


女性の警察官は溜息を吐いた。

がっかりした———そう言われたような気がした。

嘘などついていないのに、正直に言わないことを、責められている気分だっだ。


「わたし、嘘なんて言ってない‼」


ルイーザの叫びは、部屋の外まで聞こえていた。





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