表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
約束と契約  作者: オボロ
17/114

#17 受け入れがたい光景


「………」


ルイーザが目を覚ました時、そこは病院の中だった。


頭が痛い。


そっと頭に触れてみると、頭には包帯が巻かれていた。


「ルイーザ、あなた、どうして道路に飛び出したりするの‼そんなことしたら危険だってわかるでしょ?小さい子供じゃないんだから、それぐらい自分で判断できるでしょ⁈」


突然、母親の金切り声が聞こえた。

ルイーザは、『道路に飛び出した』という言葉で、ハッとして飛び起きた。


「あの子は?あの男の子は無事?怪我はしなかった?———っ‼」


飛び起きた瞬間、頭が痛み、顔をゆがめた。

グリッティは呆れ顔で、ルイーザを、もう一度、横になるよう促した。


「急に動いたらダメよ。あなた、頭にケガをしたのよ?まだ横になっていなさい。あなたとぶつかったアニス女子学院のお嬢さんは、軽い捻挫と擦り傷で済んだらしいわ。良かったわね。あとで一緒にお詫びに行きましょう。」


グリッティがルイーザに優しい言葉を掛けるのは珍しいことだった。

しかし、知りたいこととは違う答えに、ルイーザはイライラしながら聞き続けた。


琥珀色こはくいろの髪の男の子が居たでしょ?サッカーボールを追いかけて道路に飛び出したの。その子は無事?怪我はした?」


必死な表情で尋ねるルイーザに、グリッティは首を傾げ、微笑んだ。


「琥珀色の髪の男の子?そんな子はいないわ。少し眠りなさい。お母さん、先生を呼んで来るから。ね?」


優しい手付きで横になるのを手伝い、横になったルイーザの頭を優しく撫でる。

何もかもがいつもと違う母親の態度に、ルイーザは不安でたまらなくなった。


何かを隠している?

何を隠しているの?


琥珀色の髪の少年のことが、気になって仕方なかった。


グリッティが部屋を出るのを待って、ベッドから起き上がり、点滴スタンドをともない、部屋を出る。

車が来ていたわけではないので、大きな事故にはなっていないだろう。

出会い頭に人とぶつかったのは自分だけで、琥珀色の髪の少年に被害はなかったはずだ。

ならば、入院したわけではないだろうと判断して、ルイーザは、まっすぐロビーに向かった。


ぶつかった相手が捻挫で済んだというのだから、琥珀色の髪の少年は、例え怪我をしていたとしてもかすり傷程度だろうか?

1人で来ていたけれど、家族に連絡をしてもらって、迎えに来てもらえただろうか?

怒られていたら可哀想だ。

かばってあげなければ!


ルイーザは、ロビーに入り、少年を探した。

広いロビーを見渡したが、あの少年の姿は見つからなかった。

代わりに、思いがけない人の姿を見つけることになる。

ジャックだ。

慌てた様子で、丁度、ロビーに入って来たところだった。

息を弾ませながら、ロビーの中を、きょろきょろと見回している。

ルイーザは、自分を探しているのだと思い、片手を上げた。

「ここよ」と、声にすれば、ジャックが駈け寄って来てくれると、信じて疑わなかった。

しかし、ルイーザが声を出すよりも先に、ジャックは「ノーラ‼」と叫び、駆け寄る場所も、ルイーザが居る場所とは違っていた。

ジャックが駆け寄った所にはソファーがあり、そのソファーには、栗色のふんわりとした髪の少女が座っていた。

少女の傍には、少年が既に1人居て、駆け寄るジャックに話しかけた。


「そんなに大声出すなよ、ジャック。恥かしいだろ?」

「うるさいぞ、ビル。それより、大丈夫なのかい?ノーラ。怪我したって聞いて、驚いたよ。捻挫だって?」

「うん。心配してくれてありがとう、ジャック。ごめんね、驚かせてしまって……。」

「いや…、それはいいんだけど……。」

「いやいや、お前ら、オレが居ること忘れるなよ?いちゃいちゃするのは病院を出てからにしてくれ。」


中途半端に片手を上げたまま、動けなくなってしまったルイーザは、視界に入ったジャックの、受け入れがたい光景から、目を離すことが出来なかった。

聞こえた会話も信じがたい。

少し照れたように笑うジャックは、ルイーザの知らない少女を見ていて……。

ルイーザの知らない少女は、恥ずかしそうにジャックを見ている。

この光景を、どう理解すればいいのか、分からなかった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ