#14 独り勝ち
「まさに、蛇に睨まれた蛙でした。」
ここは魔界の城の中。
玉座に座るB・Bの前に跪いて、ルイーザの報告をしているのは、顔はニキビだらけで、背は低く、ぽっちゃりした体型の少年———カエルのドド。
クロ、バト、ノラ、ヴィゼの4人は、それぞれがいつもは寛いでいる場所で、肩を落とし、どんよりと落ち込んでいた。
ノラは、美術エリアの女子生徒達に囲まれ、情報収集は楽勝だと思っていたのに、自分が質問攻めにあっただけで、何の収穫も無かった。
クロ、バト、ヴィゼの3人に至っては、ルイーゼの情報を得る絶好のチャンスがあったにも関わらず、それを棒に振って逃げて来た。
ルイーゼの情報をくれる約束をしてくれた、レゴクラブのクラブ長・アランは、レゴクラブの入会を条件にした。
入会すること自体には問題はなく、3人はその条件を飲むつもりだった。
しかし、入会するには入会希望用紙に必要事項を記入しなくてはならず、それが3人には問題だった。
バトはヒトの文字を読むことも書くことも出来るが、ヴィゼは書くことが出来ない。
クロに至っては、読むことも書くことも出来なかった。
なので、入会希望用紙を目の前にした途端、チャンスはピンチに変化した。
ヒトでは無いことを悟られずに、この場から逃げなくてはならない。
ヴィゼはクロとバトの様子を窺い、どちらに合わせるかを考えた。
バトは逃げる方法を考えているようだったが、クロは硬直していて使い物にならないと判断した。
考えを巡らせている時間は無い。
ヴィゼはバトの適応能力に掛けて、突然、激しい腹痛を訴えた。
案の定、バトがその演技に便乗し、クロを引っ張り、逃走に成功。
唖然として見送るレゴクラブのクラブ員達を尻目に、逃げることが出来たことを嬉しく思うべきなのか、せっかくのチャンスを棒に振ってしまったことを悔しく思うべきなのか、3人はどう思えばいいのか分からなかった。
途中、女子生徒達の質問攻めから逃れて来たノラと合流し、城に戻った。
それぞれの様子から、全員が失敗したのだと思っていた。
なのに、一番鈍くて、一番頭の悪そうな、ドドだけが成功していた。
ドドは人の姿には成らず、カエルの姿で情報収集をしたらしい。
「ずるいよね。僕は猫の姿でも目立ってしまうから、結果は変わらない………」
「ぼく達は、多分、校舎内に入ることすら難しいよね…」
「箒持って追いかけ回されるのがオチだな。」
「くそっ…、カエルのくせに!」
情報収集に失敗した4人が、それぞれの思いで悔しがる姿を、しばらくは微笑ましく思いながら眺めていたB・Bだったが、いつまでもどんよりされていては空気が悪くなるので、この辺で切り上げようと思い、提案をした。
「みんな、そう落ち込まないで。まだ終わってはいないよ。ドドの情報では、ルイーザはマレットスクールの男子生徒を調べなきゃならない。今度は、その手伝いをしてきて欲しい。もちろん、正体は知られずに——ね。」
B・Bの思惑は分からないが、使い魔達は新たな使命にやる気を出した。




