#12 部長の技
「………。」
「………。」
バトの行動の意味が分からないクロと、自分の行動の間抜けさを後悔するバト。
考えても分からないクロは、バトをじっと見つめ、バトからの返答を待っていて、クロには絶対に真相を知られたくないと思っているバトは、ずっとクロから顔を反らしたまま黙っていた。
様子を窺う周りの生徒達に、微妙な空気が漂った。
この二人は一体、先程から何をしているのだろうか?
「よかった、バト。ここにいたんだね。ぼく達、君のこと、探してたんだよ。」
突然、ヴィゼが嬉しそうにバトの元へ駆け寄り、広がる微妙な空気を一掃した。
頭の回転が速いバトは、ヴィゼの機転にすぐさま乗っかった。
「あの、すみません。友達が迎えに来たんで、俺、もう行きます。」
周りを囲んでいた生徒達に、頭を下げて立ち去ろうと考えた。
しかし、勧誘したい上級生は引き留めにかかった。
「え?友達と一緒だっていいんだよ?」
「そうだよ。みんな一緒にやろうよ。」
仕方なく、バトはクロを指差した。
「いえ、彼は頭使うの苦手ですから。」
「あれ?今、オレの悪口言った?」
「いいから。クロ、行くよ。」
イマイチ状況がわかっていないクロをヴィゼが促し、2人は部屋を横切り始めた。
バトはレゴクラブの生徒達に軽く頭を下げて、歩き出した。
「それじゃ、失礼します。」
「じゃあさ。学年と名前、教えてよ。」
諦めきれないクラブ長のアランが、バトの後ろ姿に声を掛けた。
バトは無視をした。
しかし、それまで蚊帳の外だったクロが、アランの言葉で何かを思い出したように「あ、そうだ」と言って、アランの所まで戻ってしまった。
気付いたバトは、舌打ちをして足を止めた。
「チッ…」
「おい、クロ!」
ヴィゼは慌てて声を掛けたが遅かった。
「あのさ、ゴシップクラブがどこにあるか知ってる?」
「ゴシップクラブ?ここよりそこに興味があるの?」
あどけなく聞くクロに、アランは皮肉っぽく言って肩をすくめた。
周りにいた生徒達も、ゴシップクラブに良い感情は持っていないようだった。
ゴシップクラブに興味があるなんてどうかしていると、言わんばかりの顔でクロを見ている。
ヴィゼは、なんで急にこんな雰囲気になってしまったのか分からなかった。
バトは、イチかバチかの賭けに出てみることにした。
「興味があるっていうか…、ルイーザって人のことが、ちょっと知りたくて…。」
「ルイーザ?ルイーザって、9年生のルイーザ・ベトソン?」
アランの反応はバトが期待していたものだった。
クロがゴシップクラブなんて言葉を知っていたのは、ルイーザが絡んでいるからに違いないと思ったからで、上手くいけば情報を引き出すことも出来ると思った。
「同じクラブの人に聞いた方が早いでしょ?」
「うー…ん。それはどうかなぁ…」
アランは少し考え、クロ、ヴィゼ、バトの1人1人を見ながら言った。
「君達、誰かに頼まれて来たの?君達の中の誰かのお兄さんかな?それとも、お姉さんかな?」
3人は顔を見合わせた。
まさかとは思うが、B・Bの存在に気付かれてしまったのだろうか?
いや、人間如きがB・Bの存在に気付くわけがない。
では、何を言っているんだ!この人間は‼
3人の無言のやり取りを、黙って見ていたアランだったが、あまりに必死な表情で見つめ合う3人を見ている内に、笑いが込み上げて来て、我慢出来ずに噴き出した。
「あははは!わかった、わかった。もういいよ。口止めされているんだね。」
お腹を抱えて笑い出したアランを見て、3人は再び顔を見合わす。
その様子に、また勘違いをしたアランは、目尻に溜まった涙を拭いながら、3人を称えた。
「君達は口が堅いね。偉いよ。本当にその人の為に何かがしたいと思っているんだね。わかった。協力しよう。何が知りたい?僕の知っていることだったら、君達に情報を提供しよう。」
思いも寄らなかったアランの申し出に、3人の表情は輝いた。
「「本当ですか?」」(バト・ヴィゼ)
「本当か?」(クロ)
「もちろんだよ!3人とも、ようこそレゴクラブへ‼」




