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かぜさき旅行記  作者: 斎藤 正
7/21

#2


そして、もう一つ気になるのが、カインの体に残っている無数の傷跡だ。

カインの体には、切り傷、やけど、打撲など相当な種類の傷跡が残っている。

そして、詳しく見たときに気づいたが、足や腕そしてあばら数本が、折れた後きちんと固定しなかったのか

少しゆがんだ状態で完治していた。

目を覆いたくなるような悲惨な跡だ。この跡をつけた相手はぶち殺すことを心に決めた。

それはさておき、しかし、


あくまで「跡」なのだ。


真新しいあとからかなり古いものまであるが、現在進行形で「治療中」の状態の傷は

全く存在していないのだ。

こんな重症な状態で今まで生きてこれたことが本当に奇跡だと思った。


そこで、ロズキはふと思ったのだ。

この奇跡こそ、カインが今まで生きていられた要因であり、彼の魔法なのではないだろうか。




「治癒魔法が使えるのでは?!」




その可能性が高いように思えた。それであればカインの体の状態に納得がいく。

跡しかないのは、通常の体の自然治癒、治療を受けたからでなく、

自己再生ともいえるような速度で自分の体を無意識のうちに治療していたからではないだろうか。




「そうと決まったら、さっそく実践!」




と、言いながら、足元にある少し鋭い部分のある石を拾い、指をちょっと切って治るか試そうとした。

思い立ったら即実践がモットーである。石が人差し指のはらに触れようとした瞬間、





バチン!





という一際大きな音が鳴り響き、手に持っていた石が何かに弾かれ、あらぬ方向に飛んで行った。




「おっととと。いかんいかん。契約内容違反だったね。」




ロズキはやっちまったという顔をして、石を持っていたほうの手をプラプラさせた。






ロズキが体を借りる際に提示した3つの内容。


1.体を借りている間、私から体を傷つける行動はしない。

2.体を借りている間、他人との恋愛、結婚はしない。

3.体を借りている間、相手の願いを1つかなえる。



この内容のことをロズキは「魂の契約」と呼んでいる。

体を借りる際にこの内容を相手に明確に提示し、それを相手が了承する。

この過程がないと、相手が体を貸すことを了承していたとしても、なぜか失敗してしまう。

そしてロズキは、体を借りているときに提示した3つの内容に該当する、つまり契約に違反する行動をとることができなくなるのだ。


世の理というものなのかなーとは思っているが、どういう原理なのか詳しいところはロズキも理解していない。


初めて体を借りようとした時、思いっきり失敗していた。


失敗したときの相手は、自分の不幸を呪い、世の中自分すべてに絶望してるといった人物で、ロズキが体を貸してほしいと話を持ち掛けた時、いの一番に了承し、むしろさっさと持っていてくれという勢いだった。

相手との間で話は爆速でついたのだが、なぜかロズキは見えない何かに弾かれ、うまくいかなかったのだ。

どうしたらうまくいくかを体の所持相手と精神世界で話し合い、考えあい、

結果として、この、3つの条件を提示し、相手が了承するという過程を行うことで、

体を借りることに成功したのだ。

そしてその際、提示内容に違反するような行動をロズキがとろうとすると、先ほどのように何かに弾かれたり、体が思うように動かなくなったりと、行動に規制がかかるようになったというわけだった。





「カインの体は傷つけない。契約違反はだめだね。反省です。カイン、すいませんでした。」



カインは今、眠っている状態なので、聞いてはいないことはわかっているが、

ロズキはそういって、頭を下げた。



「んじゃあ、「もしかしたら治癒的な魔法が使えるかもしれない」といういうことを頭の隅っこに置いておいて、次!

カインの体を傷つけずに検証できる可能性は何だろうなー。」




また、ロズキはぶつぶつつぶやきながら考えこみ始めた。




「気になるのは、長距離移動で疲れてないことだよな。普通の人でも1つの都市を横断するほどの距離歩いて息が上がらないなんてことはないし、そんな距離をこんなガリガリなカインの体で移動して疲れないなんて、絶対魔法がかかわってる。そうに違いない。ならば、疲れない魔法って何だろうか。」



そういいながら思いついたのが、正が教えてくれたMMORPGの会話に出てきた内容。

ロズキの魔法知識はすべて正が話してくれたMMORPGに起因している。

確か、正は攻撃型魔法使いで、支援型魔法使いのパーティ募集をしているといってたっけ。

バッファーとかっていう、毒耐性、麻痺体制、前衛への強化を担当する役割の人。。。。。




「そうか、身体強化!」




そういって、ロズキはパンと軽く両手を合わせて、右足を前に出した。




すると、








右足を出した地面が恐ろしく低い地響きとともに大きく放射状にひび割れた。


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