#3
そう。自力でわからないならわかる人に聞けばいい!
カインの記憶では、魔法は貴族のものと思っていたので、そうでない人の中に魔法士はいないと決めつけていたが、もちろんそんなことはない。
別の国であれば貴族などの階級の仕組みも違うはずだし、魔法士の制度にも違いがある。
そして、この国は鎖国などしていないから外からの人が少なからず入ってくるはず。
であれば、国外の魔法士がいてもおかしくない。
そう思い立った瞬間フロアに、ホルダーに入った杖を見た瞬間そちらに走っていた。
「無理を承知でお願いします。どうか魔法を見せてください。行き詰ってしまってどうしようもないんです。お願いします!」
そういって私は机の上に出ていた相手の手を両手でつかみ、頭を勢い良く下げた。
すると、
「えーっと、あなたは誰?」
と、かなり戸惑った少し高めの女性の声が聞こえてきた。
・・・女性の声?!
驚いてがばっと顔を上げた。
そこには、ものすごく戸惑った顔をしている ショートヘアーの女性が私を見下ろしていた。
そして、彼女が座っている席を見ると、パーティメンバーであろう女性たちが私を驚きと不信感をたっぷり含んだ目で見ていた。
あ、やった。
これじゃただのナンパだ。
あわてて、私は相手の手を離し、また更に頭を下げた。
「すいません!私は新人冒険者のロズキと言います。自分も魔法士なのですが、ちょっと魔法がうまくいっていなくて、同じ魔法士の人に教えてもらえれば活路が見えるかもと先走ってしまいました。ほんと、いきなりすいません。」
私は即座に謝罪した。そして、解決策を見出したい私の思いは止められずそのまま話を続けてしまった。
思いっきり突っ込んでいった私だが、流石わかる。
女性のみのパーティに突然話しかけるのは、よろしくない。
「そう。いきなり手をつかまれたから驚いたけど、要は魔法を教えてほしくて話しかけたってことね。新人さん。」
どうやら、ナンパ目的ではないことは伝わったようだ。
「そうです。本当に突っ走ってしまって申し訳ない。」
「わかったわ。そういうことならいきなり手を掴んだことは不問にしてあげる。
あと、これはアドバイスだけど、このギルドでは新人教育の講座が開かれているからそっちで聞いたほうがいいんじゃない。」
自分に害がないことがわかり、更に新人であるということから私に興味がなくなったのか、
そういうと彼女は自身のパーティメンバーとの話に戻っていった。
だが、彼女がくれた情報は自分が求めていたものであった。
恐らく、普通に受付に聞くなり、貼られているであろうチラシなどを見ればすぐにわかることだろうが。
いつも、目的が達成できそうになると突っ走ってしまう私を止めてくれる存在はどういう人であれ、大切にするようにしている。
「ご親切にありがとうございます!ではギルドに聞いてみます!」
そう言って彼女にお礼をして、さっそく受付さんに講座について聞こうとしたその時、
「いてぇじゃねえか!てめえ!無視してんじゃねーぞ!!!」
振り返った私の目の前に筋肉の塊が立っていて、私に怒鳴っていた。
勿論こんな筋肉に見覚えはない。
「初めまして。どなたですか?」
なので、そのまま相手に尋ねた。
「どなたじゃねーよ!サラマンドラパーティに話しかけに行く途中で思いっきり俺の足を踏んでおいてどの口が言ってやがる!謝罪しやがれ謝罪!!!!!」
先ほど話しかけた彼女は、サラマンドラという名前のパーティメンバーらしい。
なるほど、名前の通っているパーティメンバーであるが故の不問対応だったのか。
そしてどうやら、突っ走った時にこの筋肉の足を踏んだらしい。
それは・・・・・・・・あり得る。
そういえば確かに、彼女に話しかける前にやわらかいものを踏んだ覚えが・・・ある。
「それはすいませんでした。」
踏んだことは恐らく確かなのでそのまま謝罪の言葉を述べた。
そしてそのまま横をすり抜けようとしたが、それをまた筋肉の壁で塞がれた。
「それにぃ、あんな勢いで踏まれて、足の骨が折れちまったなぁ。これは治療費、慰謝料諸々支払ってもらわないとなぁおい。」
そう、言葉が降ってきて初めて私は目の前の筋肉を視界に入れた。
私より頭一つ大きく、皮鎧を着ている。右手にはピカピカの斧が握られていて、言葉を発するたびに斧の先端部分を床に打ち付けている。因みにちょっと床にひびが入っている。
顔を上げてみると最初にスキンヘッドの頭が目に入り、次に真っ赤に染まった頬が目に入った。
かなり飲んでいるようで、筋肉が先ほどまで座っていた席には大量の酒の空き瓶と、からのジョッキが置いてある。
まあ、想定通りだが、あの席に座っていて私が足を踏むとなると、こちらに足を意図的に突き出していなければ踏むことはない。
どういう神経かは知らないが、そもそも私に絡むつもりだったらしい。
そして、どうやら素直に謝罪したことにより、カモ認定されてしまったらしい。
なるほど、謝ることが美徳とされる日本の教育が仇となった感じだ。
「新人風情がBランクのサラマンドラに話しかけるたぁ身の程知らずが。最近の新人ってやつらは生意気で身の程知らずだなぁ。そんなに魔法を教えてほしけりゃオレが直々に指導してやるよ。城壁外でくたばったあいつらと同じく実戦形式でなあぁ!!!!」
そう言ってその筋肉は右手に持っていた斧を私めがけて振り下ろした。
「身体強化」
私はノータイムでそう言うと、振り下ろされている斧を掴んだ。
勿論コントロール出来ないので、、、、、、、、
パリーーーーーーーン。
斧が木っ端みじんに、かけらも残さず砕け散った




