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かぜさき旅行記  作者: 斎藤 正
14/21

冒険者#1







そして、魔法を自在に使うという課題のほかにもう一つ重大な課題がある。




それはお金だ。




この国を出ていき、自由に楽しく暮らすためにもお金は必須だ。

どうやってこのくだらない国で底辺とさげすまれている自分がお金を稼げばいいだろうと考えた時、カインの記憶に答えがあった。


カインが学園に通い始める前、この国に両親とともにたどり着いて少し経った頃、

食べるものに困っていたカインは不用意に城壁の外に出て食べ物を探していた。

その時、カインは巨大なクマの型の魔獣に襲われた。

巨大なカギ爪に足を、腕を切り裂かれ、命を落とすことを覚悟したその時、

目の前の魔獣の体を横一線に銀の光が凪いだ。

そのまま気を失っていたカインが目覚めると目の前に鎧を着た一団がカインの顔を覗き込んでいた。

彼らは「妖精の狩人」という冒険者パーティだと名乗った。


冒険者とは、身分や階級など関係なくなることができ、実職次第で大金を得ることができるのだと、その時妖精の狩人の4人組から話を聞いていた。

その話を聞いてから、カインは大きくなったら冒険者になり、大金を稼いで、家族を守るんだと心に決めていたのだ。


ディクター・ケーニッヒがカインを見つけてしまったせいでその願いはかなわなかったが。



そんな記憶を確認したロズキは喚起していた。

正が話してくれたゲームに冒険者ギルドというものがあり、そこに所属してお金を稼いでという話をきいていた。

その冒険者ギルドがこの世界に存在し、障害などなく私も訪れることができると知って、いてもたってもいられなくなった。

読み書きができるようになってからすぐに、私は冒険者になるために冒険者ギルドに向かった。

中央城門を抜け、西エリアに下り、

そして、カインの記憶にある中央通りに面した周りの建物より一層大きく、しっかりした建物へ向かった。

冒険者ギルドに入ると一番最初に目に入ってきたのは正面にあるカウンターとその後ろに設置されている大きな掲示板である。

その掲示板には紙が何枚も張られていて、その紙には依頼内容が書かれているのだと今のロズキは読むことができた。

フロアには椅子と机が設置されていてそこには、武器を持った人や依頼に来たであろう一般人が座っている。



正に聞いてた通りの冒険者ギルドだ!と興奮しすぎてその場で飛び上がってしまったせいで、周りの人からの痛い視線が突き刺さった。

そんな視線を全く気にせずにロズキは目の前に広がるカウンターに突撃した。

カウンターにいる受付のお姉さんがロズキに話しかける前に




「冒険者になりたいです!」




と、叫んでいた。




そんなロズキをひきつった笑みを浮かべながら、「こちらへどうぞ~。」とカウンターのお姉さんが奥の扉へロズキを促した。




奥の扉へ向かうと、そこには一方の方向に向かって複数の椅子が並べてあり、

椅子の向いているほうは一段高くなっていて、先ほど見た掲示板を小さくして表面を黒く塗った板が壁にかかっていた。

現代で見た黒板と同じものだろうか。


私が、一番近くの椅子に腰かけていると扉から受付のお姉さんと同じ洋服を着た人が入ってきた。

その人の説明によると、どうやら今入ってきたのは教育係のギルド職員さんのようで、冒険者について説明してくれた。



まず、冒険者になるためには特にテストや資格は必要ない。ただ冒険者の資格を持ち続けるためには定期的に依頼を受ける必要があり、20日以上なんの依頼も受けなければ資格がはく奪される。

そして、冒険者にはランクが設定されていて、受けられる依頼のランクと自分の冒険者ランクが同じでなければ受けることができない。


冒険者ランクは一番下からE、D、C、B、A、Sと設定されていて、登録したての新人はEランクからのスタートとなる。

ランクが上がれば受けられる依頼の報酬も上がっていき、指名依頼なども受けることができるようになるようだ。

EからDへランクを上げるには、Eランクの依頼を10件以上受ける、またはDランクの依頼を1件受ける、というのが条件なのだそうだ。


そんな説明をざっと受けた後、Eランク冒険者資格を持っている証となる木の板を受け取り、そのまま受付に行って依頼を受けた。

Eランクの依頼で一番報酬の高そうな、傷薬の原材料となる「ヨモナ草の採集」と

「Eランク魔獣である角ウサギの討伐」を受けてスキップしながら冒険者ギルドを出て行った。







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