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カレーの日

「今日は学食で食べない?」




お昼休みに昼食を取るために空いている教室に移動する最中、


僕は彼女に提案した。




「別に構わないわよ」




「やったー、今日は〈カレーの日〉だから、


全国の小中学校の給食でカレーが出てくるらしいと聞いて、


僕も昼飯はカレーを食べたいなぁと思ってたんだ」




「それでいつもぶら下げてるコンビニ袋を持っていないのね」




「ちょうどコンビニに寄った時に他の人がそんな会話をしててね、


思いっきり影響されちゃった」




「他人に影響されやすい、実に貴方らしいわね」




「時流に敏感と言って欲しいね」




「はいはい・・・貴方が学食で食べるなら、私のお弁当は減らずに済むわね」




「え?もしかして僕がお昼買ってなかったから、


自分のお弁当を分けてくれようとしてたの?」




「選択肢の一つではあったわ」




「食べる食べる、頂くよ」




「カレー食べるんでしょ?食べれるの?」




「育ち盛りの男子高校生の胃袋を舐めてもらっちゃあ困るな」




「それに私の分が減るのだから、メリットが無いわ」




「僕のカレーを分けてあげるよ」




「んー・・・しょうがないわねぇ、それで手を打ってあげるわ」




「〈あーん〉してあげるね?」




「なら私も〈あーん〉してあげるわ」




「うっひょぉおっ!


学食で〈あーん〉なんてしてたら、何が起こるか分からないぜ!」




「貴方だけで対応してね?」




この後、僕と彼女は学食で滅茶苦茶〈あーん〉し合った。




周囲の男子たちから嫉妬に狂った視線を浴び続けながらの食事は、


中々にスリリングだった。




特に隣の席にいた男子生徒からは歯軋り音が聞こえてきて、


『こいつ、いつ襲い掛かって来てもおかしくないな』


と思える程の表情をしていた。




食べ終わり彼女と別れて学食を出た瞬間、


そいつらは嫉妬マスクを被って襲い掛かってきた。




そこから僕と嫉妬マスクを被った連中との、


残りの昼休みを全て使った鬼ごっこが始まった。




たぶん、先頭で追いかけて来ているのは、隣の席に座っていた男子生徒だろう。




何とか逃げきる事は出来たが、


昼に食べたカレーが〈コンニチワ〉しそうになったのは内緒だ。

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