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スーパームーン
「あぁ、月が綺麗だ」
校舎を出ると、煌々と夜空に輝く満月に目を奪われた。
今日は嫌なことがあった。
頭の中がその事で一杯だった。
しかし、そんな嫌な気持ちを忘れるくらい、大きなお月様の美しさに見惚れた。
フルムーン、あるいはスーパームーンと言ったところか。
暫しの間、立ち止まり顔を上げ、降り注ぐ月光を浴び続ける。
不思議と、何かパワーを感じた。
物語では狼男や吸血鬼は月から力を得ると言われているが、
確かに分かる気がした。
「だぁーれだぁっ!」
不意に後ろから誰かに抱きつかれ、目隠しされた。
柔らかな肉感と温かな体温、甘い香りが僕の五感をくすぐる。
「セーラームーンかな?」
「ぶぅー!違いますぅ!美少女だけど、戦士じゃありませぇーんっ!」
「自分で美少女って言う?」
「事実だもぉーんっ!君からしたら私、美少女じゃなぁい?」
「世界一の美少女さ」
彼女はじゃれつきながら、僕にしなだれかかった。
他愛もない会話をしながら、僕と彼女は歩き出す。
ふと気付くと、校舎を出た時に胸の内にあった嫌な気持ちは消えていた。
月のおかげか、彼女のおかげか。
あるいは両方か。
どちらでも構わない。
感謝している事に、変わりはないのだから。




