バレンタイン~男の子編~
「何で髪形キメッキメなのぉ?」
登校すると、僕の変化にいち早く気がついた彼女は、
不思議そうな表情をして聞いてきた。
「何を仰る、僕はいつもこんな髪形じゃないか」
変えた所に触れられて嬉しくなった僕は、ドヤ顔で仁王立ちした。
「えぇー、いつもならボサボサで寝癖ついてるじゃんぅ」
彼女はジト目で僕を見つめてきた。
「ははっ、バレていたか・・・」
流石に自分でも無理があると思った僕は、所在なさげに頭を掻いた。
「もうちょっと、身だしなみに気をつけた方がいいよぉ?」
相変わらずジト目の彼女は、
僕の肩をその白魚のように細い指先でツンツンと突つきながら、
柔く忠告してくれた。
「以後気をつけるよ・・・それで、今日の僕はどうかな?」
僕は両手を広げて、全身を見やすいようアピールする。
自分で言うのもなんだが、今日の僕はイケている。
「んぅー、『40点』」
指先を可憐な唇に当て、しばらく考える仕草をした彼女から、
予想だにしなかった厳しい採点が飛んできた。
「40点!?低すぎない?」
僕は目を向いて驚愕した。
「ワックスが前髪にしか付いてないし、
無駄に振りかけられた香水の匂いが不愉快ぃ」
「辛辣ぅっ!」
「あと制服の着崩しが全然様になってなくて、すごくダサいよぉ」
「よくそれで40点あったね・・・」
ズバズバと指摘されるダメポイントに、僕は力なく項垂れるしかなかった。
「まぁ、努力している気概とこれからに期待しての採点だからねぇ」
彼女はニマニマといやらしく笑いながら、
慰めるようにポンッと僕の肩に手を置いた。
慰めの言葉は、『本当ならもっと低かった』と暗に伝えてくるニュアンスだ。
「改良するなら?」
へこんでばかりいられない。
急にオシャレし出したのは、大いなる目標があるからだ。
「ワックスは上から後ろ、前髪には少しでいいの。
制服はちゃんと着る。
香水は半滴を手首につけるだけで大分変わると思うよぉ」
「ほぉー、少しでいいんだ・・・
いっぱい付ければ多く効果が見込めると思ったんだけどなぁ」
彼女は的確にアドバイスをくれた。
僕は仕切りに頷き、メモを取っておく。
「何事も適量が大事だよぉ」
メモを取る僕の姿を見ながら、彼女は腕を組みウンウンと頷いた。
「それもそうだね・・・
君の胸はずいぶんと『適量』から逸脱しているみたいだけど?」
彼女の爆乳が、腕に持ち上げられて溢れそうだ。
「大きな胸は、嫌いかなぁ?」
彼女はニマニマ笑いながら、前屈みになり上目づかいで挑発してきた。
腕を上下させ、豊かな乳房をたっぷんたっぷん揺らして僕の視線を釘付けにする。
「まさか、大好きさ!
・・・どれだけ大きくなっても、その時の大きさが僕にとっての『適量』さ」
もし彼女の爆乳が、より大きくなって〈奇乳〉と呼ばれるサイズ、
もしくは小さくなって〈無乳〉と呼ばれるサイズになったとしても、
僕は彼女の乳をガン見する自信がある。
「これ以上大きくなられても困るんだけどなぁ・・・
でもまたブラ買い直しだしぃ、どこまで大きくなるのかなぁ」
後半は声が小さくなって聞き取り辛かったが、彼女のお乳はまだ成長中らしい。
ぶっちゃけ、僕は『まだ大きくなるんだ・・・』と心の中で戦慄した。
「母乳が溜まってるんじゃない?搾ってあげようか?」
正直、彼女の爆乳は『母乳が出る』と言われても、
何らか不思議に思わないサイズだ。
「まだ出ないよぉっ!『出る』ようにしてくれるのかぁ!」
彼女は少し怒ったのか、ポコポコと僕を叩いてきた。
「ははっ、揉んだら余計に大きくなりそうだね」
「容易に想像できるオチだよぉ」
彼女はちょっとだけ嫌そうな顔をした。
--- 番外あるいは本編 ---
「それでぇ?何で今日は<ヒドイ>格好してるのぉ?」
「せめて『オシャレしようと努力している』と言って欲しいね」
「それでぇ?何で今日は<イケてない>格好してるのぉ?」
「はいはい、僕は〈ダサオ〉ですよ・・・
ほら、バレンタインが近いじゃない?
格好良かったら、貰える確率が上がると思って」
「ダサオ君は本当にバカだなぁ」
「ねぇ、やっぱり〈ダサオ〉呼びは止めにしない?普通に傷つくんですけどぉ」
「それでねダサオ君、
急にヘンテコなオシャレモドキをしても、女の子は誰も振り向かないよぉ?
普段から小まめに見た目を整えとかないとぉ」
「はいはい、僕は〈ダサオ〉ですよ・・・
ほら、ダサいヤツが急にオシャレになったら、
女の子はギャップで『キュンッ』ってなっちゃうんじゃないの?」
「少なくとも、私は『キュンッ』としなかったなぁ」
「マジかぁー、マジかマジかぁー・・・明日がんばろぉ」
「まだめげてなかったんだぁ」
「バレンタイン、チョコゲットするぞぉっ!」
「変な無理をせずに、私で満足しときなよぉ」




