失せ物、見つかる
「聞いて!無くしたと思ってた物が見つかったんだ!」
僕は有ると思っていなかった物を見つけた事によってテンションが上がり、
誰かに聞いて欲しくて彼女に話しかけた。
「よかったわね、何が見つかったの?」
僕のテンションの高さに、彼女は若干面倒くさそうな顔をした。
「お年玉が入った財布!」
そんな彼女の反応を気にもせず、
僕は聞いてもらう事により余計にテンションアゲアゲになり、
満面の笑みでブイサインをする。
正月早々お年玉を入った財布を丸々無くした週はずっとヘコみまくりだったが、
落ちていた分、見つかった時のテンションの上がり様は半端無かった。
「それは見つかったら嬉しいわね・・・ちなみに何処にあったの?」
「それが押し入れにしまってあったタイツ鍋の中に入ってたんだよ」
「ん?いま頭の悪い単語が聞こえたわね?」
「いやー、昨日はお日柄も良くて今年最初のタイツ鍋、
〈タイツ鍋始め〉をしようと土鍋を出してきたんだけどね?
蓋を開けてビックリ!
空の鍋には財布と新品の高級タイツが入っていたのさ!
たぶん正月に〈タイツ鍋始め〉用に取っておいたんだと思うんだけど、
すっかり忘れちゃってて・・・でも過去の行いのお陰で、
軍資金もたっぷりに盛大な〈タイツ鍋始め〉を執り行えたよ」
「突っ込み所満載だけど、あえて聞かないでおくわ・・・
とりあえず、貴方の中で充実した休日を過ごせて良かったわね?」
「もう脳ミソがフットーしそうだったよ!・・・それで、はい、これ」
「明らかにタイツ鍋の残りであろう、新品の高級タイツを貰っても・・・」
「あ、タダでプレゼントする訳じゃないよ?
君の今穿いてるタイツと交換だよ?」
「その条件で私がそのタイツを受け取ると思うの?」
「もちろん!だってこのタイツは君が好きなシリーズだもん!」
「知ってた?
私が特別このシリーズが好きな訳では無くて、
貴方の好みに合わせている事実を」
「ガガーンッ!どうりで僕のハートにドンピシャで突き刺さるわけだ!」
「真冬にこんな薄いスケスケのタイツなんて、好んで穿くわけないでしょう?」
「それでも今、穿いてる理由は?」
「貴方の喜ぶ顔が見たいからよ、言わせないで恥ずかしい」
「つま先からしゃぶりつかせてくれたら、もっと喜ぶよ?」
「残念、好感度が足りないわ」
「マジかー、じゃあこのタイツを貢いで好感度を稼ごう」
「あら?私の今穿いてるタイツと交換ではなかったの?」
「好感度には変えられないさ」
「殊勝な事を言うのね、好感度が1ポイント上がったわよ?
・・・そうねぇ、足は舐めさせてあげないけど、
特別に貴方がくれたタイツを穿いてあげるわ」
「やったぁ!特殊イベント発生だ!」
「何でもゲームに例えないの」
「モチロン今すぐこのまま僕の目の前で、生着替えしてくれるんだよね?」
「どうしよっかなぁ」
「あ、良いこと思いついた!
タイツって穿き難いよね?僕が穿かせてあげるよ!」
「この場で着替えてあげるから、余計な事はしないで正座して座ってなさい?」
「はーい」
僕は言われた通り、彼女の目の前で正座した。
彼女はスカートの中にタイツの端を摘まむように手を入れる。
手を入れた事によりスカートが捲り上がり、
普段は隠れている外モモが露になる。
パンティが見えそうで見えないチラリズムに、
僕は目をカッと開いて、瞬きも我慢して起こるかもしれないパンチラに備えた。
タイツの位置を脱ぎやすいように身動ぎした彼女は、
ゆっくりとした動作でタイツを脱いでゆく。
彼女の手が降りるのに比例して、スカートも降りてゆく。
残念ながら、パンチラを拝む事が出来なかった。
黒タイツに覆われていた美白の素肌が徐々に露になってゆく。
膝くらいの高さで、彼女は一度脱ぐ動作を止めた。
彼女は意味ありげな上目づかいで、僕を挑発してくる。
シミひとつ無い瑞々しい珠肌は純白のシルクのようで、
途中まで脱いだ黒タイツとのコントラストに、芸術性の高いエロスを感じた。
しばらくの間、彼女は腰を振り、その大きな瞳を潤ませて僕を誘惑してくる。
その姿は、現代に生きるサキュバスのように思えた。
数分もしない内に一通り満足したのか、彼女は一気にタイツを脱いだ。
一瞬で剥かれた彼女の美脚は神々しいまでに光を放っており、
匂い立つ色気に吸い込ませそうになった。
呆然とした僕は無意識に甲を裏にして両手を差し出す。
<女神から賜り物>を乞う信者のように、恭しく頭も垂れた。
差し出した手の平に、ご神仏を賜る。
温かなぬくもりとナイロンの感触に、
いま僕の手の内にあるものは、見ずとも分かった。
歓喜の気持ちが、胸の中で爆発する。
今すぐ〈女神からの賜り物〉を全力でクンカクンカして、口の中で頬張りたい。
この悦びを全身全霊で表現したい欲求に駆られるが、
僕は敬虔な信者なので、女神の前で粗相をするような真似はしなかった。
『ビリビリ』っと梱包を剥がす音が聞こえる。
僕は面を上げた。
僕の手の平には予想通り、彼女の脱ぎたてホヤホヤの黒タイツが乗っていた。
タイツの性質上そうなるのは当たり前なのだが、
几帳面な彼女の脱いだ物が、クシャクシャ丸まっている事に、
僕は言葉で表せない卑猥さを感じ、頭に血が昇るのを自覚した。
興奮で鼻息を荒くしている僕を気にする事も無く、
彼女は新品の高級タイツを穿こうとする。
やはり高級タイツは普段目にしている普段のタイツとは違い、
圧倒的に上品なナイロンの輝きが素晴らしい。
彼女はスッと高級タイツに爪先を入れた。
綺麗に整えられ、
上品にマニキュアでコーティングされた足爪が高級タイツを纏ってゆく。
陶磁器を連想させる美白の肌が、
ゆっくりと黒タイツを纏ってゆく様は、
生き辛い現代社会に生きる僕には貴すぎる光景だった。
彼女は穿き慣れた様子で、スルスルと自身の美脚に黒タイツを纏ってゆく。
少しでも手間取ったのなら、直ぐさま黒タイツを穿く手伝いをするために、
腰を浮かして準備していたのだが、どうやら不用なようだ。
彼女はアッという間に黒タイツを腰まで引き上げた。
脱ぐ時はボーナスタイムがあったが、穿く時は無しのようだ。
僕は少しガッカリした表情をしていたに違いないだろう。
そんな僕を見た彼女はクスリと笑い、
タイツを穿ききる最後の瞬間、
スカートの中に入れた手を大袈裟に振り払った。
スカートの前面が、フワリとエレガントに舞い広がる。
上品な高級黒タイツに覆われた純白のパンティが、モロに見えた。
タイツを脱ぐ時にあれほど待ち焦がれたパンチラ、ならぬモロパンである。
パンティは意匠の凝らされた柄模様と青みを帯びた純白色から、
清楚な印象を得たが、上品な黒タイツを纏い合わさる事により、
清楚や上品さとは逆に、淫靡な印象を受けた。
『時が止まればいい』
そう思える甘美な時間は、
スカートの裾が重力に引かれ降りてきた事により終わりを告げた。
「どうかしら?似合う?」
僕の反応から答えなど分かりきっているであろう彼女は、
自信ありげに聞いてきた。
小首を傾げ、上目づかいで聞いてくる辺り、非常にあざといと思った。
彼女の脚線美を覆う高級黒タイツは神々しいまでに輝きを放っており、
僕は生唾を飲み込むばかりで、言葉を発する事が出来なかった。
ここまで読んで頂いた読者様、貴方なら何と答えるだろうか?




