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六十三回目
「最近冷たくないか?」
「そうかしら? もともとよ」
「そっか。俺達、もっと距離を近づけた方がいいと思うんだ」
「無理な願いね。私達の距離は変わらないわ」
「俺は、もっとお前の側にいたい」
「私は一人の時間が好きなのよ」
「死ぬまで一人でいるのか?」
「まさか。私だっていつか結婚したいわ」
「だったら俺ともっと距離を!」
「でも、これ以上は無理ね」
「でもな、もっとくっつかないと二人三脚で走れないだろ!」
「私は一人がいいの……」
「これは運動会の競技なんだ! 真面目にやってくれ!」
「しょうがないわね……。今回だけよ」





