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五十四回目
「なぁ、シャーペンの芯くれないか?」
「一本百円」
「ずいぶん高いな!」
「プレミア価格よ」
「そこをなんとか」
「そうね、一本だけなら恵んであげても良くてよ」
「その言葉使い変だぞ」
「気にしないで。一本だけよ」
「サンキュー」
「芯、切らしたの?」
「いいや、まだあるぜ」
「じゃぁ、なんで私から芯を貰うのよ」
「好きな奴からもらった芯で、ハートを塗りつぶすと願いが叶うんだって」
「そんな迷信、信じてるの?」
「それは個人の自由だろ?」
「まぁ、そうだけど。頑張って芯一本分ハートを塗りつぶしてね」
「どんだけでかいハートなんだ俺は!」





