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四十七回目
「一緒に帰ろうぜ!」
「無理」
「即答だな」
「なんで一緒に帰らないといけないのよ」
「好きな人とは、いつでも一緒にいたいもんだろ?」
「一人で帰ればばいいじゃない」
「つれないこと言うなよ。同じ方面だろ」
「三メーター以内に入らなければ一緒に帰ってもいいわよ」
「それって一緒に帰ってるって言うの!」
「いやならいいわよ」
「ご一緒します」
「今日はやけに混んでるわね」
「朝と比べたらまだ混んでいないだろ」
「ちょっと。電車が混んでいても、私にくっつかないでよ」
「しょうがないだろ、混んでいるんだ」
「それにしても、ずいぶん顔が赤いわね。具合でも悪いの?」
「これ以上お前をつぶさないように、ふんばってるんだよ!」
「しょうがなわね。ほら、力抜いてもいいわよ」
「もっとくっ付いちまうぞ?」
「す、少しならいいわよ。それより、そんな顔を私に見せないでくれるかしら? きもいわ」
「きもいって……。それってひどくね?」





