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三十二回目
「なんでお前だけベッドに入ってるんだよ?」
「私の分は終わったわ」
「俺の方を手伝わないのか?」
「それはあなたのノルマよ」
「本気か?」
「本気よ。先に寝るわね」
「え? この状況で寝るのか?」
「私に余計な事をしない。いいわね」
「わかったよ。終わったら起こすぞ」
「いいわよ。じゃぁお休み」
「……三時間か。なかなか終わらないな」
「すぴー」
「まぁ、あいつの寝息を聞けるだけ、俺は幸せか」
「すやー」
「俺はお前の事を守れる男になりたいんだよね」
「っん……」
「まだ、俺はガキだけど、いつか大人になったら。本気でお前と家庭を持ちたいんだよ」
「恥ずかしくないの? そのセリフ」
「寝てないのかよ!」





