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猫みたいな少女、名探偵の僕  作者: 冬野 氷空
探偵と幽霊少女と謎との邂逅
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エピローグ

 と、いうのが僕と猫屋敷の出会いだった。

 放課後の文芸部室で、僕は、僕と猫屋敷の始まりの事件を渡嘉敷さんに話していた。

 猫屋敷の幽霊が見えるということを説明するにあたって、前提条件というか、事の始まりくらいは話しておこうと思ったからだ。そこから先は呼び出した野々宮さんやクルミさんが到着してからで良いだろう。

 僕は渇いた喉を缶コーヒーで潤す。


「アヤちゃんとそんなことがあったんですか」

「そう。それが僕と彼女の出会いだった」


 今にしてみれば何もかも懐かしい。そう思うのと同時に僕や猫屋敷、あるいは野々宮さんは当時から何も変わってはいないのではないかという考えが浮かんでくる。変わったのはその関係性だけだろう。

 もっとも、そこから先の僕は猫屋敷の自殺を機に最悪の存在へと変わってしまうわけだけれど……。本当に、そんな状況から僕を救い出してくれた野々宮さんには頭が上がらない。


「いやー、お待たせお待たせ」


 ……なんて考えていたら、部室の扉が開かれた。見ると野々宮さんだった。


「もう昔話は始まっているかな?」

「ええ。丁度、最初の事件について話し終わったところです」

「なるほど。さしずめ第一幕完ってところかな」


 言いながら、彼女が渡嘉敷さんの隣に腰かける。


「野々宮さんと楠木さんは中学からの知り合いだったんですね」

「そうだね。それにしても」


 野々宮さんが、チラリとこちらに視線を向ける。


「まさか楠木君が過去のことを誰かに話す時が来るとはね」

「そんなに意外ですか?」

「まあ、そうだけど、予想通りでもあるかな」

「予想通り?」


 視線を、僕から渡嘉敷さんに移す。


「雅ちゃんならやってくれる気がしたからさ。楠木君の信頼を勝ち取ることができるのは彼女だけだって、会った瞬間にピンと来たんだよね!」


 もしかしたら、そう感じたから渡嘉敷さんをこの文芸部室に寄越したのかもしれない。なんて考えるのは、少し考えすぎだろうか。


「まあまあ、良いじゃない。それよりさ、楠木劇場の第二幕はどうするつもりなの?」

「楠木劇場って……取りあえず、クルミさんとの出会いを話そうかと思っていますけど」

「ああ、なるほどね。確かにクルミちゃんも重要人物だ」


 猫屋敷綾という一人の少女を巡る物語を語るにあたって、重要な登場人物は四人。それは猫屋敷綾、楠木真、野々宮美里、そして枢木胡桃だ。クルミさんを除く三人の出会いは、野々宮さんの言葉を借りるなら第一幕で語った。ならば、クルミさんとの出会いを語るのが第二幕に相応しいだろう。

 僕は残り少ない缶コーヒーを飲み干すと、昔話の続きを語り出すのであった。

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