二日目
私は、ここ数年でおそらく初めてであろう、一人で移動していた。
普段なら、洋介が居る、のに。
今は居ない。
大事な何かを無くした様な感じがして、とても落ち着けない。
別に、死んでしまってもう会えないと言う訳でも無いのに。
「なんか、つまんない」
独り言が、口をついて出る。
いつもは、ただなんとなく、心が晴れないのだが。
今日は、とても落ち込んでいる。
はっきりと、心が晴れない。
こんなのは、今迄で初めてだ。
洋介の事、見かけたら取っ捕まえてうんざりする位色々と言ってやりたい。
でも、あいつは。
しばらく、一人にしてくれって言った。
しばらくってどれくらいよ。
あんまり勝手過ぎるんじゃないの?
……でも、今すぐに取っ捕まえる、と言う訳にも行かない。
洋介は、断られたと思って、気持ちの整理をつけようとしてるんだと、思う。
なら、私は?
私自身が、気持ちの自覚したりしてなきゃ、洋介に何も言えなくなるんじゃないの?
そう思うと、しなければならない事は、結構色々あった訳で。
いつもなんとなく晴れなかった心が、今完全な曇り空になったことを自覚し始めた。
私自身は、洋介の事、嫌いではないのだ。
かと言って、そう言う対象としてじっくり考えて見た事は今迄無かったのだ。
そう言う気持ちを、知らないだけなのかも知れないし、気づいていないだけで、もう持っているのかもしれないし。
……もう持ってるとしたら、それって洋介になる訳よね?
一緒に居て、楽しいのは楽しいのよね。
気は楽で居られるし。
その洋介に、好かれていると思ったら、少し嬉しくなってきた。
心の空にある雲が薄くなり始めている気がしだした。
はっきりと自分の気持ちを自覚しだす。
途端。
この状況が、とてもまずいんじゃないかと、頭が回り始める。