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ノープランな話

 とりあえず、俺と佐田は歩き出した。


 俺に分かっているのは、俺と佐田が歩いている方向が少なくとも学校の方向ではないということ……それだった。


「……で、どこに行くんだよ?」


 俺がそう訊ねると佐田はいたずらっぽい笑みを浮かべる。


「どこだっていいじゃん。別に予定もないんだし」


 コイツは何を言っているんだ……いや、実際その通りなのだけれど……


「っていうか、どこか行きたい所とか、ある?」


「え……いや、ないけど……」


 すると、佐田は少し眉間にシワを寄せてから俺の方を見る。


「……映画でも見る?」


「はぁ? お前……いきなりだな」


 意外過ぎる提案に俺は驚いてしまった。


「え……ダメ?」


「いや、ダメじゃないけど……お前って映画とか見るの?」


「んー、まぁ、それなりにね。アンタは?」


「え……俺もそれなりだけど……」


 俺がそう言うと佐田はなぜか小さく頷いて俺を見る。


「じゃあ、行こう」


「え……今の会話の流れでなぜそうなる」


「だって、それなりに見るんでしょ。だったら、行こうよ」


 意味がわからなかったが……まぁ、どうせ他に提案できることもないし……佐田の提案に乗ってやるのも一興かもしれない。


「……わかった。行くよ」


「よし! じゃあ、行こう!」


 そう言って俺と佐田は駅の方に向かった。


 一応、駅の方には映画館がある。そこでは一応、今公開中の映画がやっているはずだ。


 そして、程なくして俺と佐田は映画館についた。


「で、どれ見るの?」


 実際、それが問題だった。後悔中の映画を見ると……一通り、色々なものがある。


 恋愛映画とか、アクションとか……


「……どれでもいいんじゃない」


 俺がそう言うと佐田はムッとした顔をする。


「へぇ。じゃあ、私が選んだ映画、文句言わずに見なさいよ」


「え……まぁ、別にいいけど」


 正直、どれでも良かったので俺は佐田の言うことに従うことにした。


 しかし、問題は直後に起こった。


 佐田は……恋愛映画を選んだのだ。


「え」


 俺は思わず小さく声を漏らしてしまった。


 無論、チケットを購入してからだったので、時既に遅しである。


「何? どうかした?」


「え……いや、これなんだ、って……」


 俺がそう言うと佐田は嬉しそうな顔をする。


「アンタが私と見て、1番反応に困りそうな映画にしたから」


 得意げな顔でそう言う佐田。


 実際、どんな顔をして佐田と、恋愛映画を見ればいいのかわからなかったので……それは正しい選択肢であった。

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