表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/116

私がいる話

 その後我ながら……本当の意味で罪悪感を感じることになってしまった。


 別に瀬名は変な事は言っていない……それなのに、俺は怒ってしまった。


 実際瀬名には関係無いことだと思うが、だからといってあんな言い方をしなくても良かったと思う。


 放課後になって、俺は瀬名に謝ろうと思った。


 しかし、瀬名は……以前のように、チャラい感じのグループと話していた。


 俺は少し悲しい気持ちになった。いや、随分と勝手な話ではあるのだけれど。


 そういえば、別に瀬名は俺に話しかけてくる時以外は、前と同じようにチャラい感じのグループにも話していたよな……


 勝手に俺は瀬名が俺にだけ構ってくれる……そんな風に考えていたのかもしれない。


 なんとも自分勝手な話だ。自分勝手すぎて笑えてきてしまうくらいに。


 俺は早々に教室を出ることにした。瀬名が一瞬だけ俺の方を見たような気がしたが……たぶん気のせいだろう。


 そして、昇降口に出て、校門の方へ……そこには、俺が予想していたとおりの人物が待っていた。


 そいつは、俺の姿を認めると、嬉しそうに手を振る。


「よっ。何? 元気ないけど」


 佐田は元気そうだった。昼休みから今までどこで何をしていたのか知らないが……制服姿のままだった。


「……別に」


「へぇ。あれ? そういえば、今日は一人で学校出てきたね。いつものヤツは?」


 そう言われて俺は言葉に詰まる。佐田はその様子を見てすぐさま俺の状況を理解したようだった。


「へぇ……喧嘩しちゃったんだ?」


 なぜか嬉しそうにそう言う佐田。俺は無言で肯定する。


 それにしても、佐田はこの上なく嬉しそうに話を続ける。


「そっかぁ……まぁ、仕方ないよ。知り合ってからまだ数ヶ月でしょ? 喧嘩することもあるって」


「お前……なんだそりゃ」


 俺がそう言うと佐田は元気そうにポンポンと肩を叩く。


「大丈夫だって。アンタには私がいるじゃない。ね?」


「は? お前……それ、本気で言っているわけ?」


 信じられない気持ちでそう言うが……佐田は真面目な顔で俺のことを見ていた。


「うん。なんで? 言ったでしょ? アンタが困るようにずっと付きまとう、って」


「……お前とだって、喧嘩することはあるかもしれないじゃないか」


「う~ん……まぁ、そうかもしれないけど。私はアンタだけが困っているのを見たいだけだし…アンタと喧嘩しちゃったら私も嫌な気分になるから、アンタとは喧嘩したくないなかなぁ」


 滅茶苦茶な理論だったが……要は佐田は「自分はお前とは喧嘩しない」と言いたいらしい。


「……勝手に言ってろよ」


 俺がそう言っても佐田は怒る素振りも見せない。そして、俺が歩きだすと同時に佐田も有るき出したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ