理解できない話
結局、次の日の朝まで俺は大変不快な思いをしていた。
そもそも……宮野は一体どういうつもりで俺に謝ってきたのか。
なぜ謝る? 何を謝っているのか?
考えれば考えるほど俺はイライラしてきた。宮野は一体俺に何をしてほしかったのか。
まさかとは思うが……俺に「もう気にしていないよ」とでも言ってほしかったのか?
あり得ない。さすがに信じられない。
小学校四年から中学三年に至るまで、俺は既に取り返しのつかないほどに苦しい思いをした。
それを気にしていなかったという言葉で片付けられるほど、俺は聖人ではない。
宮野は……アイツはそれなのに、俺から許しの言葉を聞きたかったのか?
やはりどう考えても信じられなかったし……信じたくなかった。
そして、こんな状態だったので、俺は全く授業にも集中できなかった。気がつけば昼休み……嫌な気分のまま、俺は学食に向かった。
チラリと横目で見ると、またしてもチャラいグループの中に、例の眼鏡の彼が混じっていた。
どこか無理しているような笑い方で、周りのイケメンや可愛い女の子たちに合わせている。
ああいうのを見ると、大変だなぁといつもなら思うのだが……今日はやけに腹が立ってしまった。
……もしかすると、昨日の宮野の謝罪は、ああいったグループの中での「おふざけ」ではなかったのか。
宮野が通っている高校にも俺をいじめていた奴らは何人か通っている……俺の知らないところで俺と宮野のことを見ていた可能性だってある。
だとすると、あの謝罪は俺を馬鹿にするためのポーズ……その考えに至った時、俺の胸はスッとした。
そうだ……宮野は俺を裏切ったのだ。今更謝ってくるわけがない。
俺は今一度そのことを確認し、少し軽やかになった気持ちで学食に向かったのだった。