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破綻する話

「じゃあ、そういうことだから」


 ファミレスを出た俺と佐田は……ファミレスから少し離れた所で話していた。


「……何がそういうことだから、だよ」


「え? 何、文句あるの? いいじゃん。小学生の時とか、中学生の時より全然キツくないでしょ?」


 佐田はニヤニヤしながらそう言う。俺の目下の心配は……宮野のことだった。宮野は俺が嘘をついた……いや、実際嘘はついてしまったのだが……間違いなく俺の事を恨んでいる。


 しかも、佐田はそれをわざとやっているのだ……俺が困るように。


「さてと……知弦に今日のことを報告しようかなぁ」


 そういって、携帯を取り出す佐田。俺は思わず佐田の携帯を見てしまう。


「お、お前……なんて言うつもりだよ……」


 俺がそう言うと佐田は嬉しそうに俺のことを見る。


「ん~? もちろん『岸谷と一緒にご飯を食べたよ~』ってメールするよ?」


 ……そんなことをすればまたしても宮野は俺に電話をかけてくるだろう。でも……俺は一つ気になることが合った。


「……なぁ。お前……お前も、宮野に恨まれるんじゃないか?」


「え? なんで?」


 意味がわからないという顔で俺を見る佐田。


「……もしかして、知弦がアンタの事を好きなのに、私がアンタと付き合っているみたいなことを言っているから?」


 佐田のその言葉に、俺は小さく頷く。すると佐田は小さく頷く。


「確かにね……でも、知弦は言ったの? アンタのこと、好きだって」


「え……そ、それは……」


 ……言ってない。宮野は一言も言ってない。


「私は言ったよね? アンタに」


 そうだ……佐田は俺にはっきりと言ってくれた。俺のことが、好きだと。


 佐田は段々と苛ついているような顔つきで俺を見ている。


「……それなのに、何? なんで知弦に遠慮しなきゃいけないの? それとも、アンタは私に知弦に遠慮しろって言っているわけ?」


「そ、そういうわけじゃ……で、でも、宮野は俺に……」


「だから! そんなことは知らないって! アンタが困ろうが私には関係ないの!」


 なんだか論理が破綻しているような気がするが……佐田には独自の理論があるらしい。俺はそれ以上反論するのをやめておいた。


「……それと、アンタ。携帯は?」


 と、佐田が面倒くさそうに俺に言ってきた。


「え……いや、持ってないけど……」


「はぁ? 信じられない……いい? 今週中に用意しておきなさいよ」


「え……なんで?」


「当たり前でしょ!? 携帯ないと、連絡取るのに、一々面倒じゃない。わかった?」


「あ……ああ……」


 俺が小さく頷いたのを確認してから、佐田は俺に背を向けて、そのまま行ってしまったのだった。

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