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再会の話

「で、宮野さん、だっけ? 彼女とは会ってんの?」


 瀬名はなぜか俺に付いてくる。


 そして、なぜか俺にそんなことを聞いてくる。


「……会うよ。いつも同じ場所にいるから」


「へぇ……で、彼女、なんで岸谷を待ってんの?」


 ……それが、わからない。


 なぜ宮野は俺を待っているのか。理解できないし、わかりたくもない。


 無論、瀬名にそう言っても仕方ないので、俺は無視した。


 瀬名も俺から回答が得られないことを理解すると、それ以上は聞いてこなかった。


 そして、いつも通りに俺は宮野がいるであろう、あの交差点に向かう。


 宮野は……たぶん、きっと、同じようにあそこにいる。


 違うのは俺の方だ。今日は瀬名がいる。


 ちらりと瀬名の方を見る。


「え? 何?」


 俺は何も言わなかった。しかし、瀬名はニヤリと笑みを浮かべる。


「あー……もしかして、彼女と会う時、俺がいると邪魔?」


 何も言っていないのに……瀬名はそんなことを言った。


 訂正するのも面倒なので、俺はそれ以上何も言わなかった。


 そして、いつも通り、交差点にたどり着く。


 その瞬間だった。


「知弦さぁ……それ、マジで言ってんの?」


 声が聞こえてきた。宮野ではない。


 だが、聞き覚えがある声だった。俺は前方を見る。


「あ」


 思わず声を漏らしてしまった。


 そこにいたのは、いつも通り宮野と……


「あ、キモ谷じゃん」


 耳にピアス、そして、薄い色で、肩までかかる長さの茶髪。


 整った顔立ちを悪魔が微笑むように歪める少女……宮野とは違い、「イマドキ」の女子高生がそこにいた。


「……サタン」


「へ?」


 俺が呟いた言葉に、瀬名も驚いたようだった。


 サタン……俺はかつて中学生の頃、彼女を俺の中ではそう呼んでいた。


 佐田汐美……俺に地獄を味わわせた奴らの中心的人物だった。

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