表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/116

気になる話

「……不味い?」


 俺はオウムのように聞き返す。彼はさらに気まずそうな顔で俺を見る。


「あー……いや、その……なんか悩みとか……そういうのがあるんじゃないかなぁ、って……」


「悩み? なんでそう思うの?」


 俺がそう言うと、すごく言いにくそう顔で彼は俺を見た後で、コホンと咳払いをする。


「その……あの後、憲一と俺と岸谷の知り合いでその……ファミレスにでも行こうって話になったんだけど……行ってみたはいいんだけどね」


 そして、少し間を置いてから、眼鏡の彼は先を続ける。


「……最初は憲一の話を聞いていたんだけど……段々彼女、何かこう……イライラした感じになってきちゃって……」


「……イライラした感じ?」


 俺が訊ね返すと、眼鏡の彼はコクリと頷いた。


「うん。それで……いきなりバァンと机を叩いたんだよ」


「え……机を……」


 俺が驚いていると、眼鏡の彼も頷く。


「最初は俺も憲一も驚いたよ……それで憲一がどうしたの? って聞いたら……『もう、限界』……って。それだけ言って立ち上がって、そのまま出て行っちゃったんだよ」


 その話を聞いて、俺は驚いていた。


 ……俺の知っている宮野はそんなことをするタイプではない。


 なんというか……良くも悪くも周囲に合わせるタイプだし……だからこそ、俺が辛い時に俺のことを裏切ったのだ。


 それなのに……宮野はなんでそんなことを……


「あー……まぁ、そんな感じ。俺と憲一は唖然としちゃってさぁ……彼女、可愛い顔しているのに……意外と怖いのかな?」


 曖昧に微笑みながらそういう眼鏡の彼。


 ……もし、彼の言うことが本当なら、宮野に確認をとる必要がある。


 なぜ、そんなことをしたのか、と。


 俺はチラリと眼鏡の彼を見る。


「えっと……今日、時間ある?」


 俺がそう言うと、眼鏡の彼は意外そうな顔で俺を見る。


「え……お、おお! 何? 岸谷の方から誘ってくれるなんて、嬉しいね」


 顔を輝かせてそう言う眼鏡の彼だが……別に誘っているわけではない。


 俺は確認する必要がある。


 宮野知弦という人物が、俺の知らない一面を持っているのかもしれないということを。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ