気まずい話
結局、俺はその後、一人で家に帰ることにした。
……宮野は、一体何をしたのだろうか。
金髪の彼曰く、宮野は「性格悪い女」らしい。
……たしかに俺は宮野に裏切られた。その点で、俺は宮野に対し、好意的な感情は一切持ち合わせていない。
しかし……宮野は対外的にはかなり人当たりが良いヤツのはずだ。
それなのに性格が悪い……何か、金髪の彼にとんでもないことをしたのだろうか。
しかし、宮野が何かしでかすとは……俺には思えなかった。
もっとも、金髪の彼がなにがあったのか言わなかった以上、俺にはこれ以上考えてみても何もわからないのだが。
「おーい!」
……まただ。またあの声だ。
俺は信じられない思い……というよりも、信じたくない思いで後ろを振り返った。
「ああ! いたいた!」
そこにいたのは……眼鏡の彼だった。
またしても俺のことを追ってきたらしい。
俺は立ち止まって、彼がこちらに来るのを待った。
「はぁはぁ……追いついた……」
またしても彼は全速力で俺のことを追ってきたらしい。肩を上下させながらそう言った。
「……何か?」
「え? あ、ああ……いや、えっと……岸谷にさ、少し話したいことがあって」
話したいこと……名前さえ知らない彼が俺に話したいことって……なんだろうか。
「あー……その、昨日の彼女のことなんだけどね」
俺が思っていることを理解したようで、眼鏡の彼はそう言った。
昨日の彼女……つまり、宮野ことか。
「……アイツがどうかしたの?」
「え……やっぱり知り合いなの?」
俺がそう言うと、興味津々で眼鏡の彼はそう言った。少しムカついたが……スルーしておいた。
「……で、話は?」
「あ、ああ……いや、その……彼女、ちょっと不味いんじゃないかな、って思ってさ……」
気まずそうな顔で、眼鏡の彼はそう話し始めたのだった。