諦めの話
結局、その日も俺は嫌々学校に向かった。
またしても放課後になれば宮野が俺を待ち構えているに違いない……無論、昨日の事があった以上、もしかすると、宮野はもう俺のことを待たなくなるかもしれない。
そもそも、昨日、あの後、金髪と宮野はどうしたんだろうか。
眼鏡の彼はなんだか大事のように言っていたが、別に俺にとっては宮野がどうなろうと知ったことじゃない。
そう思いながら学校に着いた。教室に入るといつも通り自分の席に座る。
周りのクラスメイトも……特にいつもと変わりなかった。見ればチャラいグループに関しても、昨日と同じように駄弁っているし、その中には金髪の彼の姿もあった。
なんだ……結局、何もなかったのか。
無駄に心配をしてしまったようで、俺はなんだか自分で自分が嫌になってしまった。
そもそも、心配する必要さえなかったのだ。俺は今一度我に返る。
そうだ……俺は孤独な人間なのだ。いつも通り、孤独でいればいい。
そんなことを思いながら、俺はその日一日過ごした。そして、実際放課後になるまで、その通りに、俺は孤独だった。
ふと、窓の外を見る……と、宮野の姿はなかった。
どうやら、ようやく諦めてくれたらしい。俺は内心ホッとした。
そして、総ての授業が終わった。俺はすかさず立ち上がる。
「でさぁ、昨日マジ最悪だったんだよね……あの女」
ふと、耳に入ってくる話。俺は思わずチラリと目だけを動かす。
見ると、昨日宮野に絡んでいた金髪の彼が、チャラいグループに対してそんな話をしていたのだった。