眠ってしまいたい話
そのまま、俺は家に帰った。
家に帰ると、大きくため息をつく。
宮野は……どうなったのか。あの金髪とどこかに行ったのか。
宮野は確実に俺に助けを求めていた。それは、眼鏡の彼でさえわかることだ。
無論、俺にだってわかっていた……だけど、俺は助けなかった。
助けなかったというか……助けたくなかったのだ。
俺は、どこまで言っても宮野のことを許せない……いい加減宮野にもそのことに気づいてもらいたかった。
「……だから、もう、俺に構うなよ……」
情けない独り言を言ってから、俺は自分の部屋に向かう。
制服のままで、ベッドに倒れ込む。
……どうして俺がこんな思いをしなくちゃいけないんだ。
俺は十分苦しんできた。そして、それはもう終わったはずなのだ。
それなのに、まだ俺に苦しめっていうのか? あんまりではないか。
俺は瞼をつぶる。このまま眠ってしまえば、何も考えずに済む。
もう考えたくなかった。宮野のことも、昔のことも、そして、俺自身のことも。
そして、瞼をつぶったままでしばらく時間が経った。
俺はガバッと起き上がる。
「……はぁ」
まるで感傷に浸っているようで、なんだか馬鹿らしかった。
そうだ。俺は宮野のことで悩む必要なんてないんだ。
俺は今一度そのことを思い出す。
そして、夜遅くまで帰ってこない両親に代わって、夕飯の支度をすることにした。
それにしても……やっぱり未だにわからない。
宮野は……一体何をしたいんだろうか。