いたたまれない話
結局、俺は教室に残ったままで、ずっと窓の外の宮野を見ていた。
宮野は手持ち無沙汰な様子でずっと校門の前で立っている。
一体何をしたいのか……というか、なんで俺のことを待っているのか。
午後の授業中から待っていることを考えると、既に二時間程、宮野は校門の前で立ちっぱなしということになる。
そこまでして俺のことを待つ理由が……俺には理解できなかった。
一体なぜ俺のことを待つのだろうか。それは、やはり俺のことを裏切った罪悪感……そこからなのだろうか。
いやいや。それで何時間も校門の前で待っているって、意味がわからないだろう。
どうにも俺はやはり混乱してきてしまった……そもそも、こうしてここで待っていてもおそらく宮野は帰ることはないだろう。
延々と俺のことを待ち続ける……そう考えると、こうして俺が教室で待っている事自体、不毛なことに思えてきた。
「……帰るか」
俺は仕方ないので、窓の外にいる宮野を見たままで立ち上がった。
「……ん?」
と、ふいに俺は異変に気づく。
誰かが……宮野に話しかけているのだ。宮野は少し困ったようにその人物に対応している。
……まぁ、あんなふうに校門の前に、違う高校の制服の女の子が突っ立っていたら話しかけられてもおかしくない。
俺がそう思っていると、宮野はその人物と話しているというか……なんだか絡まれているようだった。
宮野は首を振っているが、話しかけている人物……どうやら男のようだ。
そちらの方はまるで宮野に話しかけるのをやめようとしない。
「……俺には関係ない」
そう思っていたのだが……どうにもその光景を見ていると、なんだか居たたまれなくなった。
居た堪れないというか……見ていて辛い気持ちになってきたのである。
そんな気持ちになった理由はわからないが……とにかく俺はそのまま足早に教室を出ていったのである。