気にかかる話
結局、その日以来、俺は宮野に付きまとわれることになってしまった。
付きまとわれるというよりも……宮野は俺を待ち構えているのである。
放課後、授業が終わって学校から出ると、宮野は校門で待ち構えている。
無論、俺は宮野に話しかけたりしない。宮野もまるでそれを承知しているようで、何も言わずに俺についてくる。
そして、俺の帰路の途中である交差点……そこまで来ると、宮野は足を止める。
そのまま俺は横断歩道を渡る。宮野は……その場で立ち止まる。
立ち止まったまま、横断歩道を渡りきった俺を見ているのである。何も言わず、ただ俺を見ている。
一体宮野は何をしたいのか……宮野が言ったとおり「ただ会いに来ている」のである。
俺は……意味がわからなかった。無論、宮野のことを許そうとも思っていないし、宮野が会いに来たからと言って心が動くこともない。
ただ……気にかかることはあった。
午後の授業中、一度だけ窓の外を見た時……宮野はなぜか既に校門の前に立っていた。
その日は平日……宮野にだって学校はあるはずである。
それなのに、宮野はなぜか校門の前で俺を待ち構えているのである。
その時思った。
宮野が俺に会いに来たのは……許しを求めにきただけではないのではないか。
もっと別の理由がある……俺はその時確信したのであった。
だからこそ、宮野にはそのことを確認したい……俺は明確にそう思ったのであった。