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関わらない方が良い話

「で、僕に話したかったってわけ?」


 昼休み、あまり人の来ない校庭の隅で、俺は瀬名に今までの経緯を話した。


 宮野のこと、佐田のこと……瀬名は俺に対して文句一つ言わず、俺の話を聞いてくれた。


「……まぁ、そうなんだけど……その……すまん」


「え? なんで謝るのさ。別にいいって……前に言ったこと、気にしているわけ?」


 瀬名は不思議そうな顔で俺を見る。俺は小さく頷いた。すると、瀬名は嬉しそうに笑う。


「ハハッ……純粋だなぁ、岸谷は」


「はぁ? なんで?」


「だって……別にあんなもんだよ。あの時、岸谷は少しテンパってたし……気分悪い時に話しかければ、誰でもああいう態度はとるよ」


「……そんなものか」


 俺がそう言うと瀬名は小さく頷いた。なんだか……俺ばかり気にしていたわけで……少し損な気分になった。


「でも……宮野さん、ヤバイね」


 瀬名ははっきりとそういった。そして、端正な面持ちで眼鏡の奥の瞳を鋭く俺に向ける。


「……なぜ?」


「なぜ、って……いやさぁ……佐田さんは、なんというか……よくある面倒な女の子って感じだけど……宮野さんは、違う。マジで人間関係とか……そういうぶっ壊すのに喜びを見出すタイプ……だね」


 瀬名はまるで宮野に会ってきたかのようにそう言った。そして、続けて俺のことを見る。


「まぁ、老婆心から言うと……もう、宮野さんとは関わらないほうが良いよ。岸谷も、佐田さんもさ」


「え……関わらない、って……」


 瀬名は真面目な顔だった。宮野に関わるな……そうは言われても、俺も佐田も宮野にターゲットにされているというか……


 そんな折の出来事だった。俺の携帯の着信音が鳴る。俺は慌てて携帯を取る。


「……はい?」


「き、岸谷……? あ、あぁ……え、えっと……私! 佐田汐美!」


 電話の向こうは……佐田だった。しかし、酷く動揺しているようである。


「どうした? 何かあったのか?」


「え、えっと……今病院なんだけど……ど、どうしよう……」


「だから……どうしたんだよ? 何があった?」


 俺がそう言うと佐田は少し間を置いてから、今一度その先の言葉を俺に伝える。


「……知弦が……知弦がぁ……飛び降りちゃったの……!」

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