表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SS集  作者: 鈴白静
1/2

手酷く振られる少年 一人称ver

 手紙の通りに、きちんと屋上にやってきてくれた女の子。

「君のことが好きです!」

 思い切り頭を下げて言う。

 言った。言ってやった!

 顔が熱く火照ってくる。きっと耳まで真っ赤だろうな。

 夕焼けで隠れるといいな、なんて思っても、ばれてると思う。だって湯気が出そうなぐらい、顔が熱いんだから。

 彼女はどんな表情をしているんだろう。

 驚いた顔かな? 嬉しそうな顔かな?

 答えてくれるまでのこの時間が待ち遠しい。

 数秒、数十秒と沈黙が続く。

 さすがにおかしい。どうしたんだろう?

 いなくなってないよね。

 チラっと視線を上げると、驚いた顔の彼女がいた。

 ふぅ~。驚きで固まってるだけか。

 安心したら思い切り息を吐き出してしまった。

 それで固まっていた彼女が動き出した。

 眉を顰めて、僕を見据える。

 な、なんでだ? どうしてそんな表情で見るんだ。

「無理。私あなたのこと欠片として好きじゃないわ。じゃあね」

 踵を返して屋上への入り口に歩き出す。

 そんな馬鹿な……。事前情報は完璧のはず。

 僕を好きだと想っていると、又聞きだけど聞いたのに。

 そんなとき風のいたずらか、彼女のつぶやきが聞こえてきた。

「まったく、なんでこっちなのよ。私が好きなのは兄の方だっての」

 呆然とする僕は、後姿を見送るしかなかった。

 扉が閉まり、姿が見えなくなったころ、ようやく動くことができた。

 またか、またお前か。いつもお前じゃないか。まったく。くそう。

 体が震える。

 そのまま衝動的に叫んだ。

「僕の恋心を返せー!! 馬鹿兄がーー!!」

 こうしてまたひとつ、僕の恋は散った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ