2011年 3月 その1
変更履歴
2011/04/23 記述統一 第一、第二、第三 → 第1、第2、第3
2011/04/30 記述統一 一匹、二匹、三匹 → 1匹、2匹、3匹
2013/12/20 誤植修正 良いかけたけど → 言いかけたけど
2013/12/20 誤植修正 だったから → だったら
2013/12/20 句読点調整
2013/12/20 改行調整
2013/12/20 区切り行追加
2013/12/20 小題変更 生徒会選挙 → 生徒会臨時選挙
2013/12/20 記述修正 来年度の生徒会役員を決める → あの事件で欠員となってしまった生徒会長を決める
2013/12/20 記述修正 選挙がありました → 臨時の生徒会選挙がありました
2013/12/20 記述削除 この選挙、あの事件が起きる前までは、
2013/12/20 記述削除 誰も、特に注目していなくて、
2013/12/20 記述修正 今期に副会長や、書記をしていた人たちが → これまでの選挙だと、前期に副会長や書記をしていた人から
2013/12/20 記述修正 生徒会長や副会長になるのが → 引き継ぐ形で生徒会長になるのが
2013/12/20 記述修正 今までのパターンだったんですが → お決まりのパターンだったんだけど
2013/12/20 記述分割 みことがぎりぎりで立候補したから、 → 今までにない展開が起きました。
2013/12/20 記述修正 大波乱が起きました → それは言うまでもなく、みことの立候補です
2013/12/20 記述削除 選挙活動なんて、全くしていなくて、
2013/12/20 記述削除 立候補したのが、土日を挟んで投票日の5日前と言う、
2013/12/20 記述削除 直前だったにも関わらず、みことは前副会長を押さえて、
2013/12/20 記述削除 見事に当選してしまいました。
2013/12/20 記述削除 これも全て、あの事件のおかげです。
2013/12/20 記述削除 まぁ、あれがなければ、みことは立候補なんてしてないから、
2013/12/20 記述削除 そう言う意味では、なるべくしてなったのかも知れません。
2013/12/20 記述修正 ギルドでも、現行の生徒会の書記のひとりで → かなの率いるギルドからも、現行組織で書記をしていたメンバーを
2013/12/20 記述修正 ギルドの息のかかった、生徒会長の候補者を立てて → 立候補させていて
2013/12/20 記述修正 生徒会を → この選挙で生徒会を
2013/12/20 記述修正 計画していたらしかったんだけど → 計画したみたいですが
2013/12/20 記述修正 これで、失敗に終わってしまったようです → 失敗に終わってしまいました
2013/12/20 記述追加 何故なら、当選したのはみことだったから。
2013/12/20 記述追加 こうして選挙は、かつてない予想外の結果で終わりました。
2013/12/20 記述修正 実はこの大波乱、別の波乱を巻き起こしそうなんです。 → でもこの展開は、別の新たな波乱を巻き起こしそうなんです……
2013/12/20 記述修正 みんなで協力して掴み取ろうが信条で → 『みんなで協力して掴み取る』が信条で
2013/12/20 記述修正 自分たちに利益になることを → 利益になることは
2013/12/20 記述修正 出来るだけ早く実現していく為の組織で → 出来るだけ早く実現していく為の組織だから
2013/12/20 記述修正 その為だったら多少の悪い事は必要悪だと思っている → その為なら多少の問題となる行為でも、必要悪だと思っているところがあります
2013/12/20 記述修正 それを阻害する者は絶対に許さない → それを阻害する者は絶対に許さないし、どんな理由があろうと不正は認めません
2013/12/20 記述修正 ギルドやかなは、門埜さんを倒したみことのやり方は → なのでギルドからすると、門埜さんを力尽くで倒した今回のみことのやり方は
2013/12/20 記述修正 決して喜ばしい物ではなく、むしろギルドからすると → 決して喜ばしいものではなくむしろ
2013/12/20 記述修正 計画の進行を狂わせたと思っているみたいです → 偶然うまくいっただけの暴挙だったと思っているみたいです
2013/12/20 記述修正 カリスマ性を持つこと自体を → カリスマ性を持つこと自体
2013/12/20 記述修正 独善に繋がることだと、良く思っていなくて → 独裁に繋がる危険な状態だと考えているようで
2013/12/20 記述修正 第2の門埜さんに、なりかねないって → それは第2の門埜さんになりかねないと
2013/12/20 記述修正 自分たちの立場から見た利益だけを求めているあり方を知って → 自分たちの立場から見た利益だけを求めていると知ると
2013/12/20 記述修正 自分たちだけよければ → 今の自分たちさえ良ければそれで良いと言う考えが
2013/12/20 記述修正 どっちも目指しているところは → 理想として目指しているところは
2013/12/20 記述修正 同じような気がするんだけど → どちらも同じような気がするんだけど
2013/12/20 記述修正 だから、どうしても主張し合えば → だから
2013/12/20 記述修正 そのルートはずれている気がします → それを実現する方法はかなりずれている気がします
2013/12/20 記述修正 大きな力を手に入れるとは、思わなかった → 大きな力を手に入れるなんて、思いませんでした
2013/12/20 記述修正 双方歩み寄って、仲良くしてもらえればって → どちらも歩み寄って仲良くしてもらえればと
2013/12/20 記述修正 門埜さんって言う大きな障害がなくなったんだから → 門埜さんって言う大きな問題がなくなったんだから
2013/12/20 記述移動 その為にはどうすればいいんだろう……
2013/12/20 記述修正 その為にはどうすればいいんだろう…… → その為にはどうすれば良いのか、
2013/12/20 記述修正 わたしが頼み込めば → 今度ばかりは、わたしが頼み込んだって
2013/12/20 記述修正 今日は、4日早いけど → 今週末に、まだ4日早いけど
2013/12/20 記述追加 どうして前倒しでやることになったのかと言うと、
2013/12/20 記述修正 本当だったら、かなの予定として、門埜さんの撃退は → 本来のかなの予定としては、門埜さんへの攻撃開始は
2013/12/20 記述修正 『逆襲のホワイトデー』にするつもりだったと言っていました → 『逆襲のホワイトデー』にするつもりだったとか
2013/12/20 記述修正 門埜さんを片付けた後は → それで門埜さんを片付けた後は
2013/12/20 記述修正 ギルドが生徒会を、押さえられなかったことから → みことの起こした急展開で事態は変わってしまい
2013/12/20 記述追加 校内での最大勢力の地位確立が揺らぎ始めたのに加えて、
2013/12/20 記述追加 本来は来期で容易く達成出来る予定だった、
2013/12/20 記述追加 生徒会掌握の計画もかなり怪しくなってきていて、
2013/12/20 記述修正 まだ → それらの対策の為に
2013/12/20 記述修正 抜けられなくなってしまったって、ぼやいていました → 抜けられなくなってるらしいです
2013/12/20 記述追加 そんな状況なので、今後の予定が立たなくなってしまったから、
2013/12/20 記述追加 時間の取れるうちにやってしまうしかなくなったという訳です。
2013/12/20 記述修正 これって半分くらいは、わたしのせいかなって思って → 話を聞いて、これって半分くらいはわたしのせいかもと思い
2013/12/20 記述修正 なんで謝るの? → なんで謝るの
2013/12/20 記述修正 わたしがみことをたきつけたって気もして…… → わたしがみことをそそのかしたって気が……
2013/12/20 記述修正 誕生祝いとしての旅行の予定が立たなくなったから → 誕生祝いとしての旅行が厳しくなったから
2013/12/20 記述修正 かなともゆっくり話したいし…… → かなとも色々話したかったので。
2013/12/20 記述修正 朝から晩までなんとなく過ごしました → 朝から晩までなんとなく過ごしてきました
2013/12/20 記述修正 お互い面倒な話題はなしにして → お互い面倒な話題はなしで
2013/12/20 記述修正 家でも作れそうだ…… → 家でも作れそうだなぁ……
2013/12/20 記述修正 今年度の最優秀チーズケーキに選ばれたらしいチーズケーキと → 今年度の最優秀賞に選ばれたチーズケーキと
2013/12/20 記述修正 特別賞だったらしいフルーツケーキの → 特別賞だったフルーツケーキの
2013/12/20 記述修正 とても意外で美味しかったです → ちょっと意外でこっちも美味しかったです
2013/12/20 記述修正 その後はジャグジーのお風呂にゆっくり入りました。 → その後はもう定番のジャグジーのお風呂に入ったんですが、
2013/12/20 記述修正 って言って → って言ったかと思ったら
2013/12/20 記述結合 とてもとてもへこみました。 → とてもへこんでたんですけど、
2013/12/20 記述修正 余計にへこまされました → 余計にへこまされましたね
2013/12/20 記述修正 かなとはどうでもいい話ばかりして → かなと一年の頃の話なんかをして
2013/12/20 記述結合 時間を過ごしました。 → 過ごし、
2013/12/20 記述修正 いきなり言われてしまいました → 朝からいきなり言われてしまいました
2013/12/20 記述修正 目を覚ましてからも → その後も
2013/12/20 記述修正 どうでもいい会話をしていたら、もうお昼になっていました → いたら、あっという間にお昼になっていました
2013/12/20 記述結合 2人でくつろいでいました。 → 2人でくつろいでいたんですけど、
2013/12/20 記述修正 かなと水着で人前で並んで立つなんて自殺行為だ → 水着姿でかなと並んで人前に立つなんて公開処刑だ
2013/12/20 記述修正 わたしの要望にそって探しておくって → 要望に合わせて探しておくって
2013/12/20 記述修正 ご飯は頼まないでサンチュで巻いて食べたので → ご飯は頼まずにサンチュで巻いて食べたので
2013/12/20 記述修正 意外といっぱい食べられました → 意外といっぱい食べられましたね
2013/12/20 記述修正 やっばり牛タンとかハラミが美味しかったです → 特に牛タンとかハラミが良いですね
2013/12/20 記述修正 お腹いっぱい食べて → 焼肉をお腹いっぱい食べて
2013/12/20 記述修正 デザートもシャーベットと杏仁豆腐を食べて → デザートにシャーベットと杏仁豆腐も食べてから
2013/12/20 記述修正 かなに駅まで見送ってもらって → かなに駅まで見送ってもらい
2013/12/20 記述修正 かなと出会った頃の → かなと出会った当時の
2013/12/20 記述修正 こういう時間を作れたのは良かったなって → こういう時間を作れて良かったと
2013/12/20 記述修正 改めて感じました → 改めて感じましたね
2013/12/20 記述修正 これって随分前から、行こうって言ってたなって → これってあの頃から言ってた話なのを
2013/12/20 記述修正 思い出していました → 思い出しました
2013/12/20 記述修正 そして珍しく、母が出張から午後には帰って来たので → そして偶然にも、母が午後には出張から帰って来るという話だったので
2013/12/20 記述修正 母と過ごすことにしました → 母と過ごすことになりました
2013/12/20 記述修正 家に帰ると → 学校から家に帰ると
2013/12/20 記述修正 すごく久し振りな気がします。 → すごく久し振りな気がする……
2013/12/20 記述削除 そのことを伝えると母から、ここ最近出張が続いて、
2013/12/20 記述削除 家のことを任せきりにしていたことを、謝られてしまい、
2013/12/20 記述削除 わたしとしては、そんなに気にしていなかったので、
2013/12/20 記述削除 大丈夫だよって、答えました。
2013/12/20 記述修正 母が用意した夕飯は → この日の夕飯は
2013/12/20 記述削除 母のカレーは、久し振りな気がする。
2013/12/20 記述修正 辛口がいいかって思って → ちょっと辛いのがいいから
2013/12/20 記述修正 いくつかルーは混ぜても → いくつかルーを混ぜて
2013/12/20 記述修正 やっぱり甘口ですごく甘いけど → やっぱり甘口で全然辛くないけど
2013/12/20 記述修正 絶対に美味しいだろうって思っていたから → 絶対に美味しいだろうって思い込んでいたから
2013/12/20 記述修正 これはかなり意外でした → これはかなり意外でしたね
2013/12/20 記述追加 かなやなつめとの食事で出て来るケーキとは違い、
2013/12/20 記述追加 どこにでも売っているごく普通のショートケーキでしたが、
2013/12/20 記述追加 これこれで、普通に美味しかったです。
2013/12/20 記述修正 食事が終わってから → 食事が終わって落ち着いたところで
2013/12/20 記述修正 父の絵を探してくれていることを伝えて → 父の絵を探してくれていることを伝えてから
2013/12/20 記述修正 わたしは母に尋ねました → わたしは母に尋ねてみたんです
2013/12/20 記述修正 前々から母に聞きたかったけど → 前々から訊きたかったけど
2013/12/20 記述修正 そこに触れないようになっていたんです → そこに触れないようになっていました
2013/12/20 記述修正 今日はあんまり関係ないけど、わたしの誕生日だし → 今日はわたしの誕生日でちょうど良い機会かもと思い
2013/12/20 記述移動 忍さんも頑張っているから良い機会だと思って、
2013/12/20 記述修正 忍さんも頑張っているから良い機会だと思って → 忍さんもずっと頑張って探してくれているから、少しでも協力したいし
2013/12/20 記述修正 思い切って聞いてみました → 思い切って尋ねてみたんです
2013/12/20 記述修正 母は → すると母は
2013/12/20 記述修正 ため息をつきながら → 溜息をつきながら
2013/12/20 記述修正 1枚も絵を描いてなかったって言ったんです → 1枚も絵を描いてなかったって
2013/12/20 記述修正 塗りつぶしていたんだって答えました → 塗り潰していたんだって答えたんです
2013/12/20 記述修正 描いた絵を消していた!? → 描いた絵を消していたってこと!?
2013/12/20 記述修正 父が描いている姿や → 父が描いている姿と同時に浮かぶのは
2013/12/20 記述修正 真っ白なキャンパスは → 真っ白なキャンパスばかりで
2013/12/20 記述削除 何度か見た気がするけど、
2013/12/20 記述修正 なんで → でもどうして
2013/12/20 記述修正 わたしがそれを母へと尋ねようとしたら → わたしがそれを尋ねようとしたら
2013/12/20 記述修正 その前に母は席を立って、タンスの引き出しを開けて → その前に母は席を立つと、タンスの引き出しから
2013/12/20 記述修正 何か手紙を持って戻ってきました → 封筒を取り出して戻ってきました
2013/12/20 記述修正 母は、これはお父さんが、お前へ宛てた手紙だよ → そして母は無言で
2013/12/20 記述修正 と言って → その封筒を
2013/12/20 記述修正 それは、少し色が変わり始めている → それは
2013/12/20 記述修正 どこにでも売っている、茶色の封筒で → 変色しかけた茶色の封筒で
2013/12/20 記述結合 母を問い詰めました。 → 母を問い詰めて、
2013/12/20 記述修正 わたしが父に、懐いていたことは知っていたのに → さらにわたしが父に、懐いていたことも知っていたのに
2013/12/20 記述修正 どうして今まで隠してたんだって、怒りました → なんで今まで隠してたんだって、思わず怒りました
2013/12/20 記述修正 わたしが父の絵のことを聞いた時 → わたしが父の絵のことを尋ねた時に
2013/12/20 記述修正 この手紙を渡すように言われていたから → この手紙を渡すように言われていたので
2013/12/20 記述結合 と言われました。 → 答えてから、
2013/12/20 記述修正 父のことで知っていることを → わたしがまだ知らなかった父のことを
2013/12/20 記述修正 1枚ずつ消して行く作業を始めました → 1枚ずつ消して行く作業を
2013/12/20 記述修正 それを父に尋ねても → それを何度尋ねても
2013/12/20 記述修正 そう言うばかりで、その本当の理由は → そう繰り返すばかりで、その行動の本当の理由は
2013/12/20 記述修正 最後まで教えてくれなかったそうです → 最後まで教えてくれなかったんだとか
2013/12/20 記述修正 その行動以外の父の行動は以前と変わりなく → その行動以外の父の様子は以前と変わりなかったので
2013/12/20 記述削除 変なところはなかったから、
2013/12/20 記述修正 死ぬ間際にも、全てを消しきれなかったことを → 死ぬ間際まで、全てを処分しきれなかったのを
2013/12/20 記述修正 ずっと悔やんでいたと教えられました → 悔やんでいたと教えられました
2013/12/20 記述修正 なぜか手紙を見るのが怖いと感じて → 何となく手紙を見るのが怖いと感じて
2013/12/20 記述修正 母の話も終わって → 母の話も終わり
2013/12/20 記述修正 寝る時間になったけど → 寝る時間になっても
2013/12/20 記述修正 手にとっては → 手に取っては
2013/12/20 記述修正 学校のカバンに入れておきました → 学校のカバンに入れておくことにしました
2013/12/20 記述修正 なぜか → 何故か
2013/12/20 小題変更 忍さんに相談 → 違和感
2013/12/20 記述移動 今日は、休みに入る前の、最後のバイトの日です。
2013/12/20 記述修正 休みに入る前の → 試験休みに入る前の
2013/12/20 記述修正 テストも近いので明日から航海堂のバイトは → 学年末試験も近いから明日から航海堂のバイトは
2013/12/20 記述結合 テストが終わるまで休みにしたんです。 → テストが終わるまで休みにしたので、
2013/12/20 記述結合 父の心境が何か判るかもって思って、尋ねてみたんです。 → 父の心境が何か判るかもと思って尋ねてみたら、
2013/12/20 記述修正 わたしの方まで驚いてしまいました → わたしまで驚いちゃいましたね
2013/12/20 記述修正 わたしの話を聞き終えた忍さんは → その後、わたしの話を聞き終えた忍さんは
2013/12/20 記述修正 そう言う気持ちは無くは無いよ → そう言う気持ちはなくもないよ
2013/12/20 記述修正 自分の失敗を悔やんで → 自分の至らなさを悔やんで
2013/12/20 記述修正 忍さんに聞いてみたら忍さんは → 聞いてみたら忍さんは
2013/12/20 記述修正 それを知る立場に無いんだから → 本来それを知る立場にないから
2013/12/20 記述修正 絵を探し続けるだけ → まだ残っている絵を探し続けるだけ
2013/12/20 記述修正 所有者が色々変わっててさ → 所有者が色々変わってて
2013/12/20 記述修正 でも → でも現存している限り
2013/12/20 記述修正 安心して待ってて → 気長に待ってて
2013/12/20 記述修正 と答えてくれました → とのことでした
2013/12/20 記述移動 なんなんだろう、この違和感。
2013/12/20 記述修正 忍さんがわたしにひどいことを → 忍さんがわたしに酷いことを
2013/12/20 記述修正 何だか忍さんのことを疑っているのが嫌だと思って → どう訪ねていいのかも判らず確認しようがなかったので
2013/12/20 記述修正 やっぱりやめて、何か判ったら知らせますって言って → 何か判ったら知らせると伝えた後に
2013/12/20 記述修正 また絵を描いたら、見て下さいとも伝えて → 絵を描いたらまた見て欲しいと付け加えて
2013/12/20 記述修正 忍さんに感じた違和感 → これって
2013/12/20 記述修正 そこで最後の追い込みで → そこで最後の追い込みとして
2013/12/20 記述修正 試験勉強することにして、みことのアパートに来ました → 試験勉強することになり、みことのアパートにやって来ました
2013/12/20 記述修正 前の成績勝負の時で → 前の成績勝負で
2013/12/20 記述修正 わたしはどちらかと言うと教えてもらうつもりです。 → わたしはどちらかと言うと、教えてもらうつもりなんですけどね……
2013/12/20 記述修正 みことのアパートに着いてすぐに → アパートに着くとすぐに
2013/12/20 記述結合 まずベランダへと来て欲しいと頼まれました。 → まずベランダへと来て欲しいと頼まれたので、
2013/12/20 記述修正 来てもらって、いきなりこんな事を頼んでしまって申し訳ない → いきなりこんな事を頼んでしまって申し訳ない
2013/12/20 記述修正 こうして祈ってやれるのは → こうして祈ってやるのが
2013/12/20 記述修正 今のところは他には見ていない → それから他には見ていない
2013/12/20 記述修正 あいつらの墓標でも作っておくかな → 墓標でも作っておきたいが
2013/12/20 記述修正 だんだん → まるで
2013/12/20 記述修正 ま → まぁ
2013/12/20 記述修正 良いんですけどね → いいんですけどね
2013/12/20 記述修正 2人で夕飯を食べてから → 2人で夕飯を食べて
2013/12/20 記述修正 ファーストフードのお店で → 行ったのはファーストフードのお店で
2013/12/20 記述修正 ハンバーガーを食べてから帰りました → 夕飯はハンバーガーです
2013/12/20 記述修正 でも冷めたら味はどうなんだろう、これ → でもあれって冷めたら味はどうなんだろう
2013/12/20 記述修正 鍋とかはあっても自炊はしていなくて → 鍋とかはあっても自炊はしておらず
2013/12/20 記述修正 みことに食べたい物を聞いたらみことは → 食べたい物を聞いたらみことは
2013/12/20 記述修正 お返しは出来ないと全員に繰り返して言っていたので → お返しは出来ないと全員に言ったらしいので
2013/12/20 記述修正 今日はそれどころではなく → それに今日はそれどころではなく
2013/12/20 記述修正 カレーにソースをかけようとしていたから → ソースをかけようとしていたから
2013/12/20 記述修正 思わずソースを持っていた手をつかんで止めてしまいました → 思わず手をつかんで止めてしまいました
2013/12/20 記述修正 みことは → そしたらみことは
2013/12/20 記述修正 この食べ方は間違っているのか? → 何か間違っているのか?
2013/12/20 記述修正 まずはそのまま食べて → まずはそのまま食べてから
2013/12/20 記述修正 感想を聞かせて欲しいって → 感想を聞かせて欲しいと
2013/12/20 記述結合 そのままで食べてもらいました。 → 食べてもらうと、
2013/12/20 記述削除 そしたらみことは、
2013/12/20 記述修正 このままでも美味しいな → ソースなしでも丁度いい辛さだ
2013/12/20 記述修正 どんなカレーを食べてたんだろ…… → どんなカレーを食べてたんだろう……
2013/12/20 記述修正 って言ってたから → って言っていたので
2013/12/20 記述修正 自炊する気になったみたいです → 自炊する気になったみたいで
3月2日 生徒会臨時選挙
今日は、あの事件で欠員となってしまった生徒会長を決める、
臨時の生徒会選挙がありました。
これまでの選挙だと、前期に副会長や書記をしていた人から、
引き継ぐ形で生徒会長になるのが、
お決まりのパターンだったんだけど、
今回は今までにない展開が起きました。
それは言うまでもなく、みことの立候補です。
かなの率いるギルドからも、
現行組織で書記をしていたメンバーを立候補させていて、
この選挙で生徒会をギルドの下位組織に組み込もうと、
計画したみたいですが、失敗に終わってしまいました。
何故なら、当選したのはみことだったから。
やはりあの事件でのインパクトは絶大だったようで、
まるで信者のようなファンの人たちも、
かなりの人数になっていたのが大きかったですね。
こうして選挙はかつてない予想外の結果で終わりました。
でもこの展開は、別の新たな波乱を巻き起こしそうなんです……
・ ・ ・
かなのギルドは、
自分たちの望むものはみんなで協力して掴み取ろうが信条で、
利益になることは出来るだけ早く実現していく為の組織だから、
その為なら多少の問題となる行為でも、
必要悪だと思っているところがあります。
それに対してみことの信条は、
正しい行いをしている人は、報われなければいけない、
それを阻害する者は絶対に許さないし、
どんな理由があろうと不正は認めません。
なのでギルドからすると、
門埜さんを力尽くで倒した今回のみことのやり方は、
決して喜ばしいものではなく、
偶然うまくいっただけの暴挙だったと思っているみたいです。
ひとりの生徒がカリスマ性を持つこと自体、
独裁に繋がる危険な状態だと考えているようで、
それは第2の門埜さんになりかねないと警戒しているそうです。
それに対してみことの方は、門埜さんに対抗していた、
ギルドの姿勢は評価していたけど、善悪ではなく、
自分たちの立場から見た利益だけを求めていると知ると、
それが利己的な考えに見えたらしくて、
今の自分たちさえ良ければそれで良いと言う考えが、
気に食わないって言っていました。
2人の考え方は、理想として目指しているところは、
どちらも同じような気がするんだけど、
それを実現する方法はかなりずれている気がします。
だから、いつかどこかでぶつかることになるとは思ったけど、
まさかみことがこんなに早く、
大きな力を手に入れるなんて思いませんでした。
わたしとしては、出来るだけ2人の衝突を避けるように、
間に入ってお互いの意見を伝えたりして、
どちらも歩み寄って仲良くしてもらえればと考えています。
せっかく、門埜さんって言う大きな問題がなくなったんだから、
みんなで仲良く過ごして行きたいんだけど、今度ばかりは、
わたしが頼み込んだって変わるものでもなさそうだし、
その為にはどうすれば良いのか、いまいち判りません……
3月5,6日 かなからの誕生祝い
今週末に、まだ4日早いけど、
かながわたしの誕生祝いをしてくれるとのことで、
かなの家に遊びに行って来ました。
どうして前倒しでやることになったのかと言うと、
本来のかなの予定としては、
門埜さんへの攻撃開始は今月の14日を予定していたんだそうで、
『血のバレンタイン』に対抗して、
『逆襲のホワイトデー』にするつもりだったとか。
それで門埜さんを片付けた後は、
試験休みまでに後任者へギルドの引継ぎをして、
他のメンバーに任せてから、春休みにわたしの誕生祝いも兼ねて、
2人で旅行に行こうと思っていたんだそうです。
だけど、みことの起こした急展開で事態は変わってしまい、
校内での最大勢力の地位確立が揺らぎ始めたのに加えて、
本来は来期で容易く達成出来る予定だった、
生徒会掌握の計画もかなり怪しくなってきていて、
それらの対策の為に、ギルドの幹部メンバーから、
抜けられなくなってるらしいです。
そんな状況なので、今後の予定が立たなくなってしまったから、
時間の取れるうちにやってしまうしかなくなったという訳です。
話を聞いて、これって半分くらいはわたしのせいかもと思い、
思わずかなに謝ってしまいました。
かなはなんで謝るのって顔してたけど、なんとなく、
わたしがみことをそそのかしたって気が……
そんな訳で、誕生祝いとしての旅行が厳しくなったから、
別の形でお祝いしてもらうことになったんです。
で、かなにどうして欲しいかって聞かれて、
わたしはかなに、2人でゆっくり過ごしたいって伝えました。
今はそれが、一番の贅沢じゃないかなって思うし、
かなとも色々話したかったので。
だからこの土日はずっと、かなの家で一緒に、
朝から晩までなんとなく過ごしてきました。
・ ・ ・
バイトが終わったら、そのままかなの家に行って、
お互い面倒な話題はなしで昔みたいに何気ないお喋りをして、
晩ご飯は中華の出前を取って食べました。
北京ダックとか、フカヒレのスープとか、
ツバメの巣のスープとか、エビチリとかも、
とても美味しかったけど、
わたしが一番気に入ったのは、花巻です。
具の入ってない蒸しパンみたいで、妙に気に入りました。
でも何かをつけて食べないと、
本当に味のないただの蒸しパンですけどね。
これなら家でも作れそうだなぁ……
ケーキは、今となってはちょっと懐かしい、
かながまだ所属しているチーズケーキ同好会で、
今年度の最優秀賞に選ばれたチーズケーキと、
特別賞だったフルーツケーキのふたつありました。
チーズケーキは、上の段がスフレチーズケーキで、
下の段がレアチーズケーキになっていて、
食べてみると、食感も風味も少し違っているのが、
美味しかったです。
フルーツケーキは、苺のショートケーキの代わりに、
色んなフルーツが入ってるケーキで、
生クリームよりも甘い、色んなフルーツと、
甘さ控えめの生クリームの組み合わせが、
ちょっと意外でこっちも美味しかったです。
その後はもう定番のジャグジーのお風呂に入ったんですが、
やっぱりかなの家のジャグジーは最高です。
お風呂ではかなから、体の傷が綺麗に治って、
良かったって言われたのは良いんだけど、その後、
「ねぇ、太った?」
って言ったかと思ったら、お腹の肉をつままれました!
頭に来てやり返そうとしたら、
かなのお腹にはそんなに贅肉はなくて、
ウェストも前より細くなっている様な気がするし、
胸も綺麗に大きくなっている気がして、
それを見てとてもへこんでたんですけど、
そんなわたしに、かなは、
「大丈夫、人間の価値はスタイルじゃないよ!」
なんて上から目線のフォローを入れられて、
余計にへこまされましたね。
お風呂を上がった後も、客間でくつろいでいて、
ここでもかなと一年の頃の話なんかをして過ごし、
そうしているうちに、夜も遅くなったので、
2人でかなの部屋に行って休みました。
・ ・ ・
次の日目を覚ましたら、無意識にかなに抱きついていて、
目の前にいるあきれた顔をしたかなから、
「おはよう、みなも。
やっぱりこの癖は直ってないんだね。
欲求不満なんじゃない?
誰か紹介しようか?」
と、朝からいきなり言われてしまいました。
そんなことはないと思うんだけどなぁ……
そうなのかなぁ……
とりあえずかなには、今はいいって言って断っておきました。
その後もずっとベッドでゴロゴロしていていたら、
あっという間にお昼になっていました。
お昼は昨日の残りを適当に食べて、
午後はジャグジーのお風呂や、屋上のウッドデッキとかで、
ひたすら何もせずに2人でくつろいでいたんですけど、
この時の話題で、かなから2人で行く旅行で、
行きたい所はないかって尋ねられて、
わたしは少し考えてみました。
かなと一緒に行きたいところ、ねぇ……
海はやめた方が良さそうだなぁ、
水着姿でかなと並んで人前に立つなんて公開処刑だ。
それにどうせなら、人がいっぱいいるところよりも、
自然が多いところが良いな。
春休みはダメになったって言ってたから、
時期としては、やっぱり夏休みかぁ。
夏だったら、避暑地にある森の中の別荘とかで、
絵でも描きながらゆっくりしていたい……
なんて希望をかなに伝えると、
「昨日から、結構まったり過ごしているって思うけど、
みなも、まだ足りないんだ……
ま、色々とあったから、何にも考えたくないってのも、
判らないでもないけどね。
でもあんまりボーっとしてるとボケるんじゃない?」
なんて言われたけど、とりあえず要望に合わせて探しておくって、
かなは言っていました。
せっかくゆっくり出来るんなら、
精一杯ゆっくりして何が悪いんだ!
って思うんだけど、やっぱりまだ疲れてるのかな……
・ ・ ・
夕方になったらかなが、
「みなもが、まったりモードなのは、
きっとパワーが足りないんじゃないかな。
だから夕食はがっつり肉を喰おうじゃないか!」
と言い出して、前に冷麺を食べた焼肉屋さんへと行って、
焼肉を食べました。
かなは色んなのをどんどん注文して、
お肉の皿で、テーブルがいっぱいになったけど、
ご飯は頼まずにサンチュで巻いて食べたので、
意外といっぱい食べられましたね。
実はかなが、こってりしたホルモンが大好きなのを、
今日初めて知ったんです。
それを、一番辛いタレにつけて、
キムチもいっぱい入れるのが好きみたいで、
わたしの3倍はキムチ食べてました。
わたしはどのお肉も、みんな美味しかったんですけど、
特に牛タンとかハラミが良いですね。
それをタレじゃなくて、レモン汁とか塩だけで食べるのが、
一番良かったです。
これには理由があって、普段食べなれない良いお肉だから、
出来るだけお肉の味が判る食べ方で、
あんまり他の物も混ぜないで食べたかったから、
こうなりました。
焼肉をお腹いっぱい食べて、
デザートにシャーベットと杏仁豆腐も食べてから、
そのままかなに駅まで見送ってもらい、
駅で別れて帰って来ました。
・ ・ ・
この2日間、かなとはあの事件のことも、
みことのこともギルドのことも、全く話しませんでした。
そうしたら、かなと出会った当時の、
2人ともお互いのことしか考えてなかった頃を、
思い出せたような気がして、
こういう時間を作れて良かったと改めて感じましたね。
この後、旅行の約束のことが頭をよぎって、
これってあの頃から言ってた話なのを思い出しました。
前々からのかなとの約束だから、
次こそは予定通り行けると良いなぁ……
3月9日 わたしの誕生日
今日はわたしの17歳の誕生日です。
そして偶然にも、
母が午後には出張から帰って来るという話だったので、
バイトは休みにして、母と過ごすことになりました。
・ ・ ・
学校から家に帰ると、母は食事の支度をしていました。
母の料理を食べるのは、何だかとても、
すごく久し振りな気がする……
この日の夕飯は、近くのケーキ屋さんで買ってきた、
1ホールだけど小さめのショートケーキと、カレーでした。
母の作るカレーは、本当に普通のカレーで、
具は豚肉とジャガイモとニンジンと玉ねぎで、
ルーだって、母が辛いのが苦手だから市販の甘口です。
小さい時なら、甘口でちょうど良かったけど、
もう高校生にもなったら、ちょっと辛いのがいいから、
自分が作る時はいくつかルーを混ぜて、
中辛くらいになるようにしています。
今日、久し振りに食べた母のカレーは、
やっぱり甘口で全然辛くないけど、とても懐かしい味で、
予想以上に美味しいって思いました。
もう自分で作るカレーの方が、
絶対に美味しいだろうって思い込んでいたから、
これはかなり意外でしたね。
ケーキは2人で1ホールだと、ちょっと多いから、
半分を2つに分けて食べました。
かなやなつめとの食事で出て来るケーキとは違い、
どこにでも売っているごく普通のショートケーキでしたが、
これこれで、普通に美味しかったです。
・ ・ ・
食事が終わって落ち着いたところで、
忍さんが父の絵を探してくれていることを伝えてから、
どうしてうちには1枚も残っていないのかを、
わたしは母に尋ねてみたんです。
この話は、前々から訊きたかったけど、
父の他の話題なら昔話を喜んでするのに、
絵のことになると何となく避けたがっている気がして、
わたしも聞きづらく感じてしまい、いつの間にか自然と、
そこに触れないようになっていました。
忍さんもずっと頑張って探してくれているから、
少しでも協力したいし、
今日はわたしの誕生日でちょうど良い機会かもと思い、
思い切って尋ねてみたんです。
すると母は少し暗い表情になって、
わたしが全く予想していなかった、意外なことを言いました。
実は父は、家で静養するようになってからは、
1枚も絵を描いてなかったって。
でもわたしはたしかに、幼稚園だったけど、
一緒に河原に行った父が絵を描いていたのを見たって反論すると、
母は溜息をつきながら、それは描いていたんじゃなくて、
塗り潰していたんだって答えたんです。
父はいつも、絵を描いていたんじゃなくて、
描いた絵を消していたってこと!?
そう言われて考えてみると、
父が描いている姿と同時に浮かぶのは、
描き途中の絵や真っ白なキャンパスばかりで、
完成した絵を見た記憶がありません。
でもどうしてそんなことしていたの?
わたしがそれを尋ねようとしたら、
その前に母は席を立つと、タンスの引き出しから、
封筒を取り出して戻ってきました。
そして母は無言で、その封筒をわたしへと差し出したんです。
それは変色しかけた茶色の封筒で、
表には『水面へ』とだけ書かれていて、
裏には父の名の『三崎 了』と書かれていました。
そんな手紙があることを、初めて知らされたわたしは、
どうして今まで教えてくれなかったのかと母を問い詰めて、
さらに、わたしが父に懐いていたことも知っていたのに、
なんで今まで隠してたんだって、思わず怒りました。
そしたら母は、これは父の遺志で、
わたしが父の絵のことを尋ねた時に、
この手紙を渡すように言われていたので、
今まで知らせなかったんだと答えてから、
この後母は、わたしがまだ知らなかった父のことを、
教えてくれました。
・ ・ ・
聖アンナのホスピスに入っていた父は、
最期は自宅で過ごしたいと望んで、
ホスピスを出て自宅で過ごし始めてから、
それは始まったそうです。
今まで学生時代から描き溜めていた絵を、
1枚ずつ消して行く作業を。
最初母は、遺作として残すべき作品を選んでいるのだと思って、
特に気にしなかったんだけど、
残したくない作品なら、もっと簡単な処分方法があるのに、
どうしてわざわざ消したり塗りつぶすのかと、
疑問に思ったそうです。
それを何度尋ねても父は、
自分の作品は、この世から全て消さなくてはいけない、
そう繰り返すばかりで、その行動の本当の理由は、
最後まで教えてくれなかったんだとか。
母としては、父が精神的に疲れてしまって、
奇行を始めたのかとか、凡人には判りようもない、
芸術家としての感性がそうさせているのかとか、
色々気にしたんだけど、
その行動以外の父の様子は以前と変わりなかったので、
父の気の済むようにすればいいと思うことにして、
最後は何も言わなかったそうです。
そうして父は、自分の絵を消す作業を続けたけど、
全ての自分の絵を消すことは出来なくて、死ぬ間際まで、
全てを処分しきれなかったのを悔やんでいたと教えられました。
どうしてせっかくの絵を、わたしも好きだった絵を、
わざわざ自分で消してしまったの、お父さん……
その理由は、この最後の手紙の中に記されているのかも知れない。
そう思ったけど、何となく手紙を見るのが怖いと感じて、
わたしは受け取った手紙の封を開けられずにいました。
・ ・ ・
母の話も終わりお風呂に入って、
寝る時間になってもやっぱり手紙は見れなくて、
手に取ってはまた置くのを繰り返していました。
開けちゃいけないって気がするのは、
何となくこれはまだ、読む時じゃないってことなのかな……
わたしはそう思って、お守りじゃないけど、
いつでも見たくなったら読めるようにと、
学校のカバンに入れておくことにしました。
一体、何が書いてあるんだろう。
お父さんがわたしへと伝えたかったこと。
気になるけど、すごく気になるけど、
何故かどうしても開けられません……
3月11日 違和感
学年末試験も近いから、明日から航海堂のバイトは、
テストが終わるまで休みにしたので、
今日は試験休みに入る前の、最後のバイトの日です。
この日は、忍さんも閉店直前に顔を出したので、
バイトが終わってから忍さんに時間をもらって、
母から聞いた父の話をしました。
美大生の忍さんならもしかしたら、
父の心境が何か判るかもと思って尋ねてみたら、
手紙をもらったと聞いた時の忍さんは、
とても驚いたような顔をしていて、
そんな忍さんを見てわたしまで驚いちゃいましたね。
その後、わたしの話を聞き終えた忍さんは、
とても渋い表情をしていました。
「うーん、自分の絵を消す、か。
私でも、そう言う気持ちはなくもないよ。
思ったように描けていない絵とか失敗した彫刻とかは、
失敗作が目の前にあると、自分の至らなさを悔やんで、
苛つくからってのが私の場合の理由かなあ。
だからそう言う事をするのは、
作品が失敗したと気づいたすぐ後だけで、
昔の作品には、衝動的な感情は沸かないかな」
忍さんでも、やっぱり父の心境は判らないみたいです。
やっぱり忍さんの絵を探す為の情報も何かあるかも知れないから、
手紙を読んだ方が良いかって聞いてみたら忍さんは、
「みなもちゃんとしては、その手紙はまだ見たくないんでしょ?
だったら、無理に見る事はないって思うよ。
その手紙の中にヒントがあるかも知れないけど、
私はそもそも、本来それを知る立場にないから、
ヒントがあろうがなかろうが、
私はまだ残っている絵を探し続けるだけ。
これは、みなもちゃんの為でもあるけど、
自分が手に入れたいからって言う理由もある。
だから、もしみなもちゃんが手紙を読んで、
何か絵を探す良い情報が書いてあれば、
その時に教えてくれればいいからね」
と笑って言ってくれました。
わたしは忍さんに頷いて答えてから、
父の絵の捜索の方はどうなのかを聞いてみると、
忍さんは笑顔から苦笑に変わって、
「実はね、結構行方を追うのに苦労してる。
所有者が色々変わってて足取りが追いきれないんだ。
でも現存している限り、必ず手に入れるつもりだから、
気長に待ってて」
とのことでした。
だけどこの時の忍さん、なんか態度に違和感を感じたんです。
今の忍さんの言葉には嘘はないって判る。
それに忍さんがわたしに酷いことをしようとするはずもないから、
ますますこの違和感が何だか判らない。
わたしは忍さんに、それを聞こうかと思って言いかけたけど、
どう訪ねていいのかも判らず確認しようがなかったので、
何か判ったら知らせると伝えた後に、
絵を描いたらまた見て欲しいと付け加えて、この日は帰りました。
なんなんだろう、この違和感。
これって私の気のせいなのかなぁ……
3月12日 みことと試験勉強
来週からは、学年末試験が始まります。
そこで最後の追い込みとして、
みことと一緒に試験勉強することになり、
みことのアパートにやって来ました。
前の成績勝負でみことの頭が良いのは判っているから、
わたしはどちらかと言うと、
教えてもらうつもりなんですけどね……
・ ・ ・
アパートに着くとすぐにみことから、
まずベランダへと来て欲しいと頼まれたので、
この前に見た三毛猫のことかと思って聞いてみると、
みことは頷いて、
「いきなりこんな事を頼んでしまって申し訳ない。
だけどこうして祈ってやるのが、
私だけではこいつらも寂しいだろうから、
悪いが付き合って欲しい」
と言いながら、わたしにお線香を渡しました。
今はただ狭い庭のあちこちに、
土の小山の上に手の平くらいの石が、
点々と置いてあるだけの寂しいお墓に、
わたしはその石のひとつひとつに手を合わせて、
お線香を立てておきました。
わたしが手を合わせている間、みことはそれを見ながら、
「あの三毛猫と、その後にもう1匹死んだ。
それから他には見ていない。
今のうちに墓標でも作っておきたいが、
でも名前も判らないから、何て書けば良いんだろう」
と呟いていました。
・ ・ ・
供養を済ませてから、わたしたちは勉強を始めました。
やっぱり予想していた通り、一緒に勉強していると言うよりは、
わたしがみことに教えてもらうばっかりで、
みことは家庭教師みたいになっていました。
でも人に教えるのも、きっと勉強だよね、
そう信じておくことにします。
休憩をしている時に、ふと気になって、
みことに陸上部のことを尋ねると、
生徒会長になったから部活はやめたんだそうで、
何だか勿体ない気がしたけど、
みこととしては、あれは誰かと争っていたいと言う、
闘争本能を満たす為にやっていただけだから、
別に未練はないとのことでした。
ただ、葵ちゃんがものすごく怒っていて、
どうやってなだめれば良いかは今後の課題みたいです。
なんだか最近の葵ちゃん、
まるでみことの恋人みたいになってきてるなぁ……
でも、今まで冷たい扱いを受けたりしたんだから、
そういうことを言う権利はあるかな。
まぁなんだかんだ言ってても、
2人は仲が良さそうだからいいんですけどね。
・ ・ ・
この後は、夕方まで勉強してから、
2人で夕飯を食べて帰ってきたんだけど、
行ったのはファーストフードのお店で、
夕飯はハンバーガーです。
わたしは普段、節約で外食はしないから、
たまに食べると一番安いのでも、美味しいなって思います。
1人なら下手に作るよりも安上がりだし、
忙しかったりしたら、買って食べちゃうかもなぁ。
でもあれって冷めたら味はどうなんだろう。
みことがいつも何を食べているのかが気になって、
ご飯はいつもどうしているのかを尋ねたら、
みことは、鍋とかはあっても自炊はしておらず、
コンビニかこう言う店で食べてるって言っていました。
いつもファーストフードとコンビニのお弁当ってのは、
あんまり体に良くないな……
明日来る時は、勉強教えてもらってるお礼も兼ねて、
何かご飯を作ることにして、食べたい物を聞いたらみことは、
「だったらカレーを作って欲しい」
とリクエストされました。
みこと、わたしのカレーを気に入ってくれるかな……
3月14日 ホワイトデー
今日はホワイトデーですが、
今年は色々とあって何にもしてなかったから、
お返しも何にもありません。
みことは当選してから、色々いっぱいもらっていたけど、
受け取る時に、お返しは出来ないと全員に言ったらしいので、
公言通り特に何もしないみたいです。
それに今日はそれどころではなく、学年末試験の初日でした。
でも試験勉強はみことの家で対策してきたからけっこう万全で、
今日もほとんど問題なく、それなりに出来たと思います。
昨日、みことに勉強のお礼として作ったカレーは、
食べようとした時にみことがいきなり、
ソースをかけようとしていたから、
思わず手をつかんで止めてしまいました。
そしたらみことはとても不思議そうな顔をして、
「いつも伯父貴はこうしていたから、
これが本来の食べ方だって思ったんだが、
何か間違っているのか?」
と質問されてしまいました。
わたしはみことに、まずはそのまま食べてから、
感想を聞かせて欲しいとお願いして食べてもらうと、
「みなものカレーはソースなしでも丁度いい辛さだ」
って言っていました。
みこと、今まで伯父さんのところで、
どんなカレーを食べてたんだろう……
食べ終わった後にみことは、
「このカレーの作り方を教えて欲しい」
って言っていたので、試験が終わってから、
試験休みにでもみことに料理を教えようと思います。
どうやら自炊する気になったみたいで、よかったよかった。
でも今はまず、テストを片付けるのが先なので、
赤点になって補習にならないように、テストに専念します!