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2010年 10月 その2

変更履歴

2011/04/12 記述統一 1年生、(中学)2年、高校3年 → 一年生、二年、高校三年

2011/06/18 誤植修正 始め → 初め

2011/06/29 記述統一 一つ、二つ、三つ → 1つ、2つ、3つ

2011/09/23 誤植修正 話し → 話

2013/08/29 誤植修正 わたしか走ったのは → わたしが走ったのは

2013/08/29 誤植修正 邪魔しちゃうと悪な → 邪魔しちゃうと悪いな

2013/08/29 誤植修正 何かが重大なことがあって → 何か重大なことがあって

2013/08/29 誤植修正 話をしてしている時が → 話をしている時が

2013/08/29 誤植修正 駅の向こうのスーパーへ買い物に言って → 駅の向こうのスーパーへ買い物に行って

2013/08/29 誤植修正 なぜが → なぜか

2013/08/29 句読点調整

2013/08/29 改行調整

2013/08/29 区切り行追加

2013/08/29 記述統一 といっても・とはいっても → と言っても・とは言っても

2013/08/29 記述修正 一学期とは違って → 一学期と違い

2013/08/29 記述修正 ほとんどなくなって → ほとんどなくなったのもあって

2013/08/29 記述修正 格ゲーの件とか、スカルヘッドの件はあったけど → それ以外にも、格ゲーやスカルヘッドの件はあったけど

2013/08/29 記述結合 試験に集中しました → 試験を頑張った

2013/08/29 記述修正 その甲斐あって → 甲斐あって

2013/08/29 記述修正 この場所へ、ヒョウちゃんが帰ってきてからは → ヒョウちゃんが帰ってきてからは

2013/08/29 記述移動 あの時に感じた後悔を、もうしたくないから、

2013/08/29 記述修正 ヒョウちゃんの巡回コースになっているから → ヒョウちゃんの巡回コースなので

2013/08/29 記述修正 今ではほぼ必ず → 今では必ず

2013/08/29 記述修正 ご飯を食べて → ご飯を食べるんですけど

2013/08/29 記述修正 いい感じの空の写真を撮りたいってので → いい感じの空の写真を撮りたくてですけど

2013/08/29 記述修正 わたしは思っていたのに → 思っていたのに

2013/08/29 記述修正 そしてそれが原因で、その元凶は → そしてそれが原因なんだろうけど、そこに

2013/08/29 記述修正 門埜さん絡みであるのは → 門埜さんが絡んでいるのは

2013/08/29 記述修正 それが何なのかを → それが一体何なのかを

2013/08/29 記述修正 放課後の陸上部の練習を見ても → 放課後の陸上部の練習でも

2013/08/29 記述結合 右肩のところがほつれてしまいました。 → 右肩のところがほつれてしまい、

2013/08/29 記述分割 それがけっこう大きな穴になってしまい、 → それがけっこう大きな穴になってしまいました。

2013/08/29 記述移動 泣く泣く冬服のブレザーとスカートを、

2013/08/29 記述修正 泣く泣く冬服のブレザーとスカートを → 仕方がないので、わたしとしてはまだちょっと早いんだけど、冬服のブレザーとスカートを

2013/08/29 記述移動 昨日、ハンガーラックの奥からひっぱり出しました。

2013/08/29 記述修正 ベストとかセーターとか → ベストやセーター

2013/08/29 記述修正 はだけたワイシャツだけです → はだけたワイシャツ1枚だけです

2013/08/29 記述修正 薄いマフラーを巻いています → 薄手のマフラーをしています

2013/08/29 記述修正 白が好きみたいです → 白が好きみたいですね

2013/08/29 記述修正 靴下も常に黒です → 靴下まで常に黒です

2013/08/29 記述修正 想像すら出来なかったのに。 → 想像すら出来なかった……

2013/08/29 記述修正 それに対して、間宮さんは → それに対して

2013/08/29 記述修正 話をしている時が → 話をしている時時間が

2013/08/29 記述削除 でも、間宮さんが門埜さんたちと一緒にいる時間は増えていて、

2013/08/29 記述修正 今日の間宮さんは、門埜さんたちと一緒に → 今日は昼休みになったらすぐに、門埜さんは間宮さんを呼んで

2013/08/29 記述修正 昼休みになったらすぐ → 一緒に

2013/08/29 記述修正 どこかへと → どこかへ

2013/08/29 記述修正 今日は → でもこれで、今日も

2013/08/29 記述修正 これでこの教室は、束の間の平和が訪れました。 → 内心ホッとしたんですけどね……

2013/08/29 記述削除 周りの人たちも、誰もはっきりとは言いませんが、

2013/08/29 記述削除 そんな空気が漂っています。

2013/08/29 記述修正 来ていなかったからか → 全く来ていなかったからか

2013/08/29 記述修正 ちょっと来てもらってもいいですか? → 聞いてもらえますか……

2013/08/29 記述修正 全然お弁当の方に気がいっていないのが判りました。 → 全然お弁当の方に気がいっていません……

2013/08/29 記述修正 嫌われた原因も判らなくって → 避けられてる理由も判らなくって

2013/08/29 記述修正 今までに見たことがなくて → 今までに見たことがなく

2013/08/29 記述修正 見ていてとても痛々しくて → とても痛々しくて

2013/08/29 記述修正 涙と鼻水でぐちゃぐちゃの → 涙と鼻水でグチャグチャの

2013/08/29 記述修正 ひどい顔になってました → ひどい顔になってましたね

2013/08/29 記述修正 とてもいじらしくて、かわいいって → とても健気でいじらしいって

2013/08/29 記述修正 ひどい顔して泣いている → もっとひどい顔して泣いている

2013/08/29 記述結合 感じていたんじゃないかと不意に思いました。 → 感じていたんじゃないかと思いつつ、

2013/08/29 記述修正 わたしは葵ちゃんに、わたしが知っていることを → とりあえず葵ちゃんに、今わたしが知っていることを

2013/08/29 記述修正 わたしの方も、直接聞いてはいないけど → で、最後にわたしの意見として

2013/08/29 記述修正 そう → ……そう

2013/08/29 記述修正 見てほしかったんです → 見てほしかったのに……

2013/08/29 記述修正 10日にあって → 10日にあったんですけど

2013/08/29 記述修正 わたしが走ったのは、予選ですぐに負けちゃったから → 予選ですぐに負けちゃったから

2013/08/29 記述修正 9日だけでした → わたしが走ったのは9日だけでした

2013/08/29 記述修正 間宮さんは9日は欠席だったそうです → 間宮さんは9日だけ欠席だったそうです

2013/08/29 記述修正 最後だけがんばって、声を出してました → 最後だけだったけど頑張って、声を出してましたね

2013/08/29 記述削除 葵ちゃん、とっても健気です。

2013/08/29 記述修正 葵ちゃんの話を聞いたら、何の根拠もないけど → 葵ちゃんの話を聞いたら

2013/08/29 記述修正 同じクラスの人ではなくて → 同じクラスの人だけでなく、よそのクラスの人もいたし

2013/08/29 記述修正 一年生も混じっていました → 一年生も少し混じっていました

2013/08/29 記述修正 あまり見せない → 見たことない

2013/08/29 記述修正 厳しい顔をしていました → 厳しい顔をしていましたね

2013/08/29 記述修正 邪魔しちゃうと悪いな、と思って → 邪魔しちゃうと悪いかと思い

2013/08/29 記述修正 用事を済ませて、すぐに売店から帰って来ました → 用事を済ませると、すぐに帰って来ました

2013/08/29 記述修正 そういえば、前にヒョウちゃんの治療代について → 教室に戻ってから、ヒョウちゃんの治療代について

2013/08/29 記述修正 確認しなきゃと思っていたら → 確認しなきゃと思っていたことを

2013/08/29 記述修正 すっかり忘れていたことに気づきました → すっかり忘れていたのに気づきました

2013/08/29 記述修正 何の連絡もないところを見ると → かなからは何の連絡もないところを見ると

2013/08/29 記述修正 もうかなとしては、すっかり終わった事になっているみたいです。 → すっかり終わったことになっているっぽいから、

2013/08/29 記述修正 それとなく聞いてみよう、そう決めました → それとなく聞いてみよう

2013/08/29 記述修正 うちのクラス以外では、かなのクラス以外でも → それと入れ替わるように、かなのグループのことらしい噂も

2013/08/29 記述結合 かなのグループの人も、増えているみたいです。 → 耳にすることが増えているから、

2013/08/29 記述修正 どうやらまた一年の時みたいな → また一年の時みたいに

2013/08/29 記述修正 かな、対、門埜さん → かなのグループと門埜さんのグループが

2013/08/29 記述修正 の形へと → 対立する状態へと

2013/08/29 記述修正 きっといい方向の → きっと良い方向の

2013/08/29 記述修正 何かをしようとしているんだ → 何かをしようとしているんだと

2013/08/29 記述修正 そう信じています → 信じています

2013/08/29 記述修正 そのいいことって言うのが → その良いことって言うのが

2013/08/29 記述修正 ケンカとか、抗争とか → ケンカや抗争みたいな

2013/08/29 記述修正 ヒョウちゃんや、空を見ながら → ヒョウちゃんの様子や、空を眺めながら

2013/08/29 記述修正 もしかして → もしかすると

2013/08/29 記述結合 その予感は的中しました。 → その予感は的中で、

2013/08/29 記述修正 そこは野球とかサッカーの、グラウンドがあって → 野球とサッカーのグラウンドがある

2013/08/29 記述結合 整備された河川敷になっています。 → 整備された河川敷になっているんですけど、

2013/08/29 記述修正 そのグラウンドの → そこで、グラウンドの

2013/08/29 記述修正 わたしは土手の階段を下りて → なのでわたしは、気づかれないように土手の階段を下りて

2013/08/29 記述修正 グラウンドのフェンス脇へと回り込みました → グラウンドのフェンス脇へと先回りして待ち構えました

2013/08/29 記述修正 土手の方向へと、曲がったところで → こちらへと曲がってきたのを見計らって

2013/08/29 記述修正 わたしと向かい合ったんです → わたしは間宮さんの目の前に出たんです

2013/08/29 記述修正 間宮さんは最初 → すると間宮さんは最初

2013/08/29 記述修正 すぐに最近の顔つきの → すぐにいつもの

2013/08/29 記述修正 通す気がないのが判った → わたしが通す気がないのを知った

2013/08/29 記述修正 わたしを突き飛ばして、行こうとしているのが判って → 突き飛ばしてでも行くつもりなのが判り

2013/08/29 記述修正 その前に、聞きたかったことを → そうされる前に、間宮さんへ向かって

2013/08/29 記述修正 間宮さんへ向かって、次々と早口に言いました。 → 今までずっと聞きたかったことを叫んだんです……

2013/08/29 記述移動 どうして、新人戦の決勝で負けたの?

2013/08/29 記述修正 新人戦の決勝で負けたの? → 「部活や合宿に行かないの?」

2013/08/29 記述修正 どうして、門埜さんたちの言うこと聞いているの? → 「どうして、門埜さんたちと一緒にいるの?」

2013/08/29 記述移動 どうして、県大会の2日目を休んだの?

2013/08/29 記述修正 どうして、県大会の2日目を休んだの? → 「どうして、県大会の2日目を休んだの?」

2013/08/29 記述移動 どうして、葵ちゃんに冷たくなったの?

2013/08/29 記述修正 葵ちゃんに冷たくなったの? → 「急に葵ちゃんに冷たくなったの?」

2013/08/29 記述修正 言い始めたところから、間宮さんは → ――言い始めた途端に、間宮さんが

2013/08/29 記述削除 もう平静を装えないくらいに驚いて、

2013/08/29 記述修正 今ここで間宮さんへぶつけなければ → ――今ここで間宮さんへぶつけなければ

2013/08/29 記述修正 だからこの時わたしは → ――だからこの時わたしは

2013/08/29 記述修正 わたしは、止めませんでした → それでもわたしは、喋るのを止めませんでした

2013/08/29 記述削除 それは、葵ちゃんの為もあるけど、

2013/08/29 記述修正 殺される覚悟で → 文字通り殺される覚悟で

2013/08/29 記述修正 何もかも、気になっていたことを → ずっと気になっていたことを何もかも

2013/08/29 記述修正 間宮さんへと投げつけたんです → 間宮さんへとぶつけました

2013/08/29 記述移動 決勝の時、わざと負けたのはなんで?

2013/08/29 記述修正 決勝の時、わざと負けたのはなんで? → 「新人戦の決勝で、わざと負けたのはなんで?」

2013/08/29 記述移動 部活に出ない、本当の理由はなに?

2013/08/29 記述修正 部活に出ない、本当の理由はなに? → 「部活に出ない、本当の理由はなに?」

2013/08/29 記述移動 門埜さんたちとの関係は何なの?

2013/08/29 記述修正 門埜さんたちとの関係は何なの? → 「門埜さんたちとの関係は何なの?」

2013/08/29 記述修正 9日の夜、どこにいたの? → 「9日の夜は、どこにいたの?」

2013/08/29 記述修正 初めてわたしは → わたしは初めて

2013/08/29 記述修正 間宮さんの顔色が変るほど → 顔色が変るほど、間宮さんが

2013/08/29 記述修正 絶対 → ……絶対

2013/08/29 記述修正 逃げ出したいけど → 今すぐにでも逃げ出したいけど

2013/08/29 記述修正 ポタポタ地面に垂れるのを、初めて見ました → ポタポタ地面に落ちるのを始めて体験しました

2013/08/29 記述削除 逆上した間宮さんを、見てしまった後は、

2013/08/29 記述修正 もう何も出来ず → この後はもう何も出来ず

2013/08/29 記述修正 わたしの視界から消えました。 → わたしの視界から消えて――

2013/08/29 記述修正 わたしは後ろへと吹っ飛ばされて → わたしは

2013/08/29 記述修正 2メートルくらい後ろへ飛ばされたんです → 2メートルくらい後ろへ吹っ飛びました

2013/08/29 記述修正 この直後から息が吸えなくなって → この直後から息が出来なくなり

2013/08/29 記述修正 今度は → すぐに

2013/08/29 記述修正 すぐにお腹のところがすごく熱くなって → すぐにお腹のところがすごく熱くなり

2013/08/29 記述修正 吐き気がこみ上げてきて → 吐き気もこみ上げてきて

2013/08/29 記述修正 すごい痛みに変っていきました → すごい痛みに変わっていきました

2013/08/29 記述修正 息も出来なくて、お腹はめちゃくちゃ痛くて → 息も出来ないし、お腹はメチャクチャ痛くて

2013/08/29 記述分割 地面に転がって、泥まみれになって、 → 地面でのた打ち回ることしか出来ません……

2013/08/29 記述削除 もだえていました。

2013/08/29 記述結合 これ以上詮索するな。 → これ以上詮索するな、

2013/08/29 記述修正 初めて → 生まれて初めて

2013/08/29 記述修正 息も出来ない。 → 息も出来ない……

2013/08/29 記述修正 死んじゃう。 → 死んじゃう……

2013/08/29 記述修正 しんじゃうよ。 → しんじゃうよ……

2013/08/29 記述修正 くる、しい。 → くる、しい……

2013/08/29 記述修正 くるしいよ。 → くるしいよ……

2013/08/29 記述修正 きもちわるいよ。 → きもちわるいよ……

2013/08/29 記述修正 たすけて。 → たすけて……

2013/08/29 記述修正 だれか、たすけて。 → だれか、たすけて……

2013/08/29 記述修正 座ることが出来ました → 地面に座ることが出来ました

2013/08/29 記述修正 どんどんひどくなっていって → どんどん酷くなっていって

2013/08/29 記述修正 そんな軽傷のはずないです。 → そんな軽傷のはずない……

2013/08/29 記述修正 もしかして、内臓とか破裂してるかも知れない。 → 下手したら内臓とか破裂してるかも知れない……

2013/08/29 記述修正 誰にも気づかれることもなくって → 誰にも気づかれることもなく

2013/08/29 記述修正 わたしは1人で、こんなところで → こんなところで

2013/08/29 記述修正 泥と、自分が戻したもので → 泥と自分が戻したものにまみれた

2013/08/29 記述修正 死んでいるところを想像しました。 → 死んでいるところを想像してしまい……

2013/08/29 記述修正 1人で動けなくて、絶望していたら → 動けもせずに、ひたすら絶望していると

2013/08/29 記述修正 低い泣き声が聞こえました → 低い泣き声が

2013/08/29 記述修正 わたしのところへと来てくれたんです。 → わたしのところへと来てくれたんです!

2013/08/29 記述修正 ひどいありさまになってる → 酷いありさまになっている

2013/08/29 記述削除 いつも通りにすぐ横に座りました。

2013/08/29 記述修正 でもいつもとは違って、ヒョウちゃんは → いつもとは違って正面に座ると

2013/08/29 記述修正 自分を助けてくれたから → 前に自分を助けてくれたから

2013/08/29 記述修正 わたしを助けに来てくれた → ここに来てくれた

2013/08/29 記述修正 わたしを助けに来てくれたんだ → わたしを助けに来てくれた

2013/08/29 記述削除 さっきまでの、絶望していた気持ちはなくなって、

2013/08/29 記述修正 生きる希望が見えてきた気がしました。 → 生きる希望が見えてきた気がしました……

2013/08/29 記述修正 その時気づいて → その時気づいたんだけど

2013/08/29 記述修正 グラウンドにある → 周りを見渡すと、グラウンドにある

2013/08/29 記述修正 こうして、なんとかわたしは → こうしてわたしは

2013/08/29 記述修正 自力で帰ってきました → なんとか自力で帰ってきました

2013/08/29 記述削除 すこし腫れていました。

2013/08/29 記述修正 それから、服を脱いでみて → それ以外に全身にも

2013/08/29 記述修正 他にもあちこち怪我してるのが判りました → あちこち怪我してるのが判りました

2013/08/29 記述修正 すり傷とか、小さいあざなんだけど → すり傷や小さいあざで

2013/08/29 記述修正 ぶっ飛ばされて → 吹っ飛ばされた時に

2013/08/29 記述修正 怪我している場所が、背中やお尻や肘に → 背中やお尻や肘に

2013/08/29 記述修正 出来ていたようです → たくさん出来ていましたね

2013/08/29 記述修正 自分の拳を比べてみました → 自分の拳を比べてみたんです

2013/08/29 記述修正 大体おんなじような → 大体同じくらいの

2013/08/29 記述修正 よくは判りません → よくは判りませんが、単純に強い力で叩かれたってだけじゃなさそうです

2013/08/29 記述修正 腹筋とか使わないように → 腹筋は使わないように


10月14日 リベンジの中間試験


今日は、今週の火曜日から始まった中間試験の最終日です。


今回は一学期と違い、間宮さんからの無言のプレッシャーは、

ほとんどなくなったのもあって、だいぶ授業に集中できました。


それ以外にも、格ゲーやスカルヘッドの件はあったけど、

そういうのは出来るだけ頭の隅に追いやって、

試験を頑張った甲斐あって、テストの出来は上々で、

どの教科も赤点はないはずです。


   ・   ・   ・   


今日はバイトもない日なので、

すぐに家に帰ってお昼を食べてから、

御家河の土手へと向かいました。


あの時に感じた後悔を、もうしたくないから、

ヒョウちゃんが帰ってきてからは、特に予定がなければ、

毎週日曜日は御家河に来るようにしています。


わたしが待つ場所は、ヒョウちゃんの巡回コースなので、

今では必ずヒョウちゃんと会えるようになりました。


ヒョウちゃんはいつも、自分の体1つ分あけて、

わたしの隣へと座ると、ご飯を食べるんですけど、

食べ終わっても、わたしが帰るか夕方になるまで、

一緒にいます。


これって、わたしのことを主だって、

認めてくれてるんじゃないのかなぁって思うんだけど、

抱くのはやっぱりまだ無理そうなので、

もっと、ヒョウちゃんに認められるように、

努力しないとダメみたいです。


と言っても、具体的には、

何をしたらいいのか判りませんけどね……


   ・   ・   ・   


この河原の土手へと来るのは、

ヒョウちゃんのお世話以外に、他にも理由があります。


1つは、いい感じの空の写真を撮りたくてですけど、

もう1つは、間宮さんに会う為です。


夏休みに入ってから、打ち解けてきてるって思っていたのに、

二学期になったら、間宮さんとの距離は、

また広がってしまっている、そう感じています。


間宮さんの身に何か重大なことがあって、

そしてそれが原因なんだろうけど、

そこに門埜さんが絡んでいるのは、間違いないと思います。


それが一体何なのかを、わたしは知りたいんです。


だから、こうしてここに来ていれば、

自主連で走っている間宮さんと、

また出会えるんじゃないかと思って、

待っているんだけど、走るコースを変えちゃったのか、

ここのところ、全く会えてません。


放課後の陸上部の練習でも、あまり姿を見かけなくなってるし、

練習中の葵ちゃんも、いまいち元気がないように見えます。


きっと、葵ちゃんも心配しているんだろうな。


わたしじゃ大して、役には立たないかも知れないけど、

それでも、お世話になった間宮さんの為に、

何かをしてあげられればって思います……




10月18日 衣更え


まだそんなに寒くないから、もうしばらくは夏服の、

ワイシャツとカーディガンでいようかと思っていたんですが、

学校からバイトへ向かう間に、

カーディガンをどっかに引っ掛けてしまって、

右肩のところがほつれてしまい、

それがけっこう大きな穴になってしまいました。


わたしは裁縫は出来なくて、何かそういう用があれば、

いつも母に頼んでいたんですけど、今週はずっと出張なので、

直してもらえるのは早くても来週です。


仕方がないので、わたしとしてはまだちょっと早いんだけど、

冬服のブレザーとスカートを、

昨日、ハンガーラックの奥からひっぱり出しました。


   ・   ・   ・   


今のクラスでの、夏服と冬服の割合は、

ちょうど半分ずつくらいです。


と言っても、夏服の人たちはみんな、

ベストやセーター、カーディガンを着ていて、

さすがにワイシャツだけの人は、門埜さんの取り巻きの中にいる、

いつもワイシャツのボタンを3つ外している人くらいです。


自分の胸の筋肉を、自慢しているのか、

それとも金のネックレスを、自慢したいのか、

その理由はよく判りませんけど、とにかくその人はいつも、

はだけたワイシャツ1枚だけです。


あれで、寒くないのかなぁ。


門埜さんは、夏服のロングカーディガンで、

ちょっと寒い日には、薄手のマフラーをしています。


マフラーの色はもちろん白で、

カーディガンの方は、何種類か見たことあるけど、

やっぱり全部、色は白でした。


とにかくあの人は、白が好きみたいですね。


一方、それとは真逆の格好なのが、

こっちもまだ、夏服のままの間宮さんで、

ずっと変わらず、黒のVネックセーターで、

靴下まで常に黒です。


   ・   ・   ・   


前の衣更えの時には、

まさか間宮さんが、門埜さんに従うだなんて、

想像すら出来なかった……


いまだに間宮さんとは、話も出来てないし、

クラス以外で見かける機会は、減る一方です。


それに対して、

門埜さんたちに呼ばれてですけど、話をしている時時間が、

日が経つごとに増えているように思います。


なんだか、時間が経てば経つほど、

せっかく近づいていた、間宮さんとの距離が、

開いてしまっているような気がします……




10月22日 葵ちゃんの涙


表向きにはすっかり普段通りに戻っていますが、

『格ゲー』があったあの日以降、次はいつ誰がやらされるのか、

誰もが気にしているけど、何も起きない毎日が続いています。


今日は昼休みになったらすぐに、門埜さんは間宮さんを呼んで、

一緒にどこかへ出て行ってしまいました。


でもこれで、今日も何のイベントも仕掛けてこないのが判って、

内心ホッとしたんですけどね……


そんな時、教室の入り口に見慣れた姿が見えました。


それは、お弁当を手にした葵ちゃんです。


二学期になってからというもの、

ここへは全く来ていなかったからか、

ずいぶん久しぶりに、制服姿を見る気がします。


葵ちゃんは、いつものように、

わたしを見てお辞儀していましたが、

その顔は今までにないほどしょんぼり顔でした。


わたしが廊下へと出ると、

「三崎先輩、聞きたいことがあるんです。

 ご飯食べながらでいいので、聞いてもらえますか……」

と、いつもの元気な挨拶もありません。


わたしは頷いてから、お弁当を持って、

葵ちゃんの後についていきました。


   ・   ・   ・   


葵ちゃんが向かったのは屋上で、これは多分偶然だと思うけど、

わたしとなつめが一緒に来た場所と、同じところへ座りました。


そして葵ちゃんは、いつもの大きなお弁当を広げるけど、

心ここに在らずで、その動作はとてもゆっくりしていて、

全然お弁当の方に気がいっていません……


「先輩、みこと先輩のことなんですが、

 あのう、何か、聞いてたりしませんか。

 二学期になってから、なんか変なんです。

 みこと先輩、全然練習にも来なくて、

 たまに来ても、前みたいに話をしてくれないし。

 こっちから強引に話しかけてみたりもしたけど、

 そしたら、自分にかまうなって言われたんです。

 わたし何か、みこと先輩にしたんでしょうか。

 避けられてる理由も判らなくって、

 もう、どうしたらいいのか、判らないんです……」

と、消えそうな小さな声で言いながら、

葵ちゃんはうつむいて、お弁当箱を脇に置くと、

体育座りになって、膝の上で両手を組んで、

顔を伏せてしまいました。


ここまでへこんだ葵ちゃんは今までに見たことがなく、

わたしは何と言っていいのか、その対応に困ってしまいました。


わたしだって、間宮さんのことが判らなくって、

今はこっちの方が、聞きたいくらいなんですから。


でも、食事もしようとしない葵ちゃんはとても痛々しくて、

せめてご飯だけはちゃんと食べてもらおうと思って、

まずはそれを説得しようと、5分くらいずっと慰めていました。


そしたらやっと葵ちゃんは、顔を上げてくれたけど、

その顔は涙と鼻水でグチャグチャの、ひどい顔になってましたね。


だけどそんな葵ちゃんが、とても健気でいじらしいって、

この時わたしは感じたんです。


多分、もっとひどい顔して泣いているわたしを見てきた、

かなやなつめも、今のわたしを同じように、

感じていたんじゃないかと思いつつ、

わたしはすぐにハンカチとポケットティッシュを取り出して、

葵ちゃんに渡しました。


   ・   ・   ・   


使っていなかったポケットティッシュを、

ちょうど使い切ったところで、

葵ちゃんは、ちょっとだけ元気を出してくれて、

とりあえず2人でお弁当を食べました。


葵ちゃんの食べるペースは、いつもの半分くらいで、

わたしの方が先に食べ終わったから、とりあえず葵ちゃんに、

今わたしが知っていることを教えてあげました。


この中には、間宮さんから口止めされていた、

御家河で会ったことも入っています。


だけど、クラス委員になったことまでは教えましたが、

門埜さんの手下みたいになっていることや、

イジメに加担していることなんかは、伝えていません。


で、最後にわたしの意見として、

多分、部活に出てないのは、委員会とかの活動が忙しくって、

部活にもあんまり参加できないから、

ちゃんと葵ちゃんのことを、見てあげられなくなってるのを、

あの人なりの、ぶっきらぼうな言い方で伝えたんじゃないかって、

葵ちゃんには言っておきました。


何か、それっぽく聞こえる理由で、

どうにかして、葵ちゃんを慰めてあげたいと思って、

わたしはそう伝えたんです。


葵ちゃんは、わたしのこの言葉で、

ある程度は納得してくれたみたいで、

涙で潤んだ目を、指で拭いながらだけど、

ちょっとだけ笑顔を見せて、

「……そう、ですね。

 クラス委員は、何かと放課後に用があるから、

 仕方ない、ですよね。

 でも、せめて新人戦の県大会で、わたしが走るところを、

 みこと先輩に、見てほしかったのに……」

と、寂しそうに呟いていました。


新人戦の県大会?


わたしはちょっと気になって、

その大会がいつだったのかを尋ねると、葵ちゃんは、

「今月の8日から10日にあったんですけど、

 予選ですぐに負けちゃったから、

 わたしが走ったのは9日だけでした」

と、教えてくれました。


葵ちゃんの話によると、本来だったら、

陸上部なら、出場メンバーじゃなくても全員出席で、

競技に出ない人たちは、応援していたんだそうですが、

間宮さんは9日だけ欠席だったそうです。


この後、葵ちゃんも食べ終わって、

お昼休みも終わりになったから、

それぞれ自分の教室へと戻りました。


帰る時の葵ちゃんは、

いつもの半分くらいの元気さまで回復していて、

「先輩に話を聞いてもらえて、よかったです。

 ありがとうございました!」

と、最後だけだったけど頑張って声を出してましたね。


   ・   ・   ・   


わたしはこの後、教室に戻ってから、

間宮さんが、欠席したって言う日のことを、

思い出していました。


その日は、駅の向こうのスーパーへ買い物に行って、

スカルヘッドの、ケンカを目撃した日だ。


なんでか理由は判らないけど、葵ちゃんの話を聞いたら、

あのスカルヘッドの人たちが、

顔を隠している理由が気になりました。


それってその正体が、普段はそういうことを、

している人じゃないからなんじゃないかって、

ふと思ったんです。


もしかして、あれって、間宮さんだった、とか……


この想像は、もちろん葵ちゃんには話していませんし、

わたしがケンカを見たことも、伝えてはいません。


たまたま、日にちが一致している、

今はそれだけでしかないけど、

少しだけ、嫌な予感がしているんです。


今回ばかりは、自分の直感が外れてほしいと、

強く願うばかりです……




10月26日 最近のかな


今日は久しぶりに、学校でかなの姿を見かけました。


と言っても、昼休みに行った売店のところで、

遠くにいたのを見ただけですけどね。


かなは、10人くらいの人たちと一緒に、

売店の隣りにある食堂で、ご飯を食べていました。


でも、そこにいた人たちって言うのは、

同じクラスの人だけでなく、よそのクラスの人もいたし、

さらに学年も違う三年の先輩や、

一年生も少し混じっていました。


見た目にも、その集団はバラバラで、

体育会系っぽい人もいれば、文系っぽい人もいたり、

ヤンキーっぽい人や地味な人もいて、

どういう集まりなのかがよく判りません。


だけどみんな、かなの話を真剣に聞いているのは、

見ていて良く判って、

きっとあれが、かなのやろうとしていることに、

賛同しているメンバーなんだろうなって思いました。


そこでのかなの表情は、わたしと一緒にいる時には見たことない、

真面目できつくて冷たい感じすら受ける、

厳しい顔をしていましたね。


わたしは、変にかなの視界に入って、

邪魔しちゃうと悪いかと思い、

用事を済ませるとすぐに帰って来ました。


   ・   ・   ・   


教室に戻ってから、ヒョウちゃんの治療代について、

確認しなきゃと思っていたことを、

すっかり忘れていたのに気づきました。


あのメール以降、かなからは何の連絡もないところを見ると、

すっかり終わったことになっているっぽいから、

今さら蒸し返すのも、かえって面倒がられるだけかもなぁ、

どうしよう。


何か今度、かなと話す機会があった時にでも、

それとなく聞いてみよう。


最近では、かなの変な噂も下火になって、

それと入れ替わるように、かなのグループのことらしい噂も、

耳にすることが増えているから、また一年の時みたいに、

かなのグループと門埜さんのグループが、

対立する状態へと戻り始めているみたいです。


でも今度のかなのグループは、前とは中身が違うから、

きっと良い方向の何かをしようとしているんだと信じています。


少し不安なのは、その良いことって言うのが、

門埜さんのグループとの、ケンカや抗争みたいな、

そう言うんじゃないといいんだけど……




10月31日 間宮さんからの警告


今日も先週と同じく、御家河へとやって来て、

ヒョウちゃんの様子や空を眺めながら、

間宮さんに会えないかと待っていました。


でもやっぱり全然姿を見せないので、

もしかすると、わたしと会わないように、

走る場所を変えたんじゃないかと思って、

もうちょっと上流の方へと行ってみたんです。


そしたら、その予感は的中で、

いつもの場所から、自転車で15分くらい行くと、

野球とサッカーのグラウンドがある、

整備された河川敷になっているんですけど、

そこで、グラウンドのフェンスの外側を走っている、

間宮さんを発見しました!


さらに幸運なことに、

間宮さんは、まだわたしに気づいていません。


なのでわたしは、気づかれないように土手の階段を下りて、

間宮さんが回ってくる、

グラウンドのフェンス脇へと先回りして待ち構えました。


そして間宮さんが、グラウンドの隅まで走ってきて、

こちらへと曲がってきたのを見計らって、

わたしは間宮さんの目の前に出たんです。


すると間宮さんは最初、とてもびっくりした顔をしていたけど、

すぐにいつもの無表情な顔に戻って、

わたしを避けて進もうとしたから、

両手を広げて、道を塞ぎました。


わたしが通す気がないのを知った間宮さんは、

突き飛ばしてでも行くつもりなのが判り、

そうされる前に間宮さんへ向かって、

今までずっと聞きたかったことを叫んだんです……


「どうして、門埜さんたちと一緒にいるの?」


「門埜さんたちとの関係は何なの?」


――言い始めた途端に、

間宮さんが逆上していくのが判りましたが、

それでもわたしは喋るのを止めませんでした。


「どうして、部活や合宿に行かないの?」


「部活に出ない本当の理由はなに?」


――今ここで間宮さんへぶつけなければ、

もう二度とチャンスはない、そんな気がしたんです。


「どうして、急に葵ちゃんに冷たくなったの?」


「新人戦の決勝でわざと負けたのはなんで?」


――だからこの時わたしは、文字通り殺される覚悟で、

ずっと気になっていたことを何もかも、

間宮さんへとぶつけました。


「どうして、県大会の2日目を休んだの?」


「9日の夜はどこにいたの?」


ここで、わたしは初めて、

顔色が変るほど、間宮さんが激怒するのを見ました。


それは、前に脅された時のことが、

かわいいもんだったと思えるほどの恐怖でした。


……絶対、殺される。


とても怖くて、今すぐにでも逃げ出したいけど、

体中震えてしまって言うことを聞かないし、

暑くもないのに、漫画みたいに冷や汗が顔をしたたって、

ポタポタ地面に落ちるのを始めて体験しました。


この後はもう何も出来ず、

ただ両手を広げたままで固まっていたら、

不意に間宮さんが、わたしの視界から消えて――


その次の瞬間、わたしは2メートルくらい後ろへ吹っ飛びました。


この直後から息が出来なくなり、喉に手をやろうとしたら、

すぐにお腹のところがすごく熱くなり、

それと同時に吐き気もこみ上げてきて、

さらにお腹の熱さは、すごい痛みに変わっていきました。


息も出来ないし、お腹はメチャクチャ痛くて、

気持ち悪くって吐きそうで起きることも出来ず、

あまりの苦しさにボロボロ泣きながら、

わたしは体をくの字に曲げて、

地面でのた打ち回ることしか出来ません……


そんなわたしに、間宮さんは非情にも、

「これ以上詮索するな、いいか、これは警告だ。

 これ以上何か言い出すのなら、次はこんなもんじゃないからな」

そう、言い捨てて、

痛くて苦しくて、地面でもがいているわたしを跨いでから、

一度立ち止まると、

「あざが出来たところを冷やせ。

 静かにしてれば、3日もすれば痛みは治まる」

とだけ言うと、遠ざかっていきました。


   ・   ・   ・   


生まれて初めて、人から、本気で、殴られた……


すごく、痛いし、苦しいし、息も出来ない……


本当に、死んじゃう……


しんじゃうよ……


くる、しい……


くるしいよ……


きもちわるいよ……


たすけて……


だれか、たすけて……


この後、吐き気に耐え切れなくなって、

戻してしまいました


でも、そうしたら、息もだんだん出来るようになって、

必死の思いいで体を起こして、フェンスに寄りかかって、

やっと地面に座ることが出来ました。


呼吸はだいぶましになって、吐き気の方も、

一度吐いたら、かなり落ち着いてきました。


でも、熱くなったお腹の痛みはどんどん酷くなっていって、

あまりの痛さに涙が止まりません。


間宮さんはあんなこと言ってたけど、

こんなに痛いのに、そんな軽傷のはずない……


下手したら内臓とか破裂してるかも知れない……


もしかして、わたしこのまま死んじゃうの?


そう思えてきて、さらに涙が溢れてきます。


ちょうどその場所は、周りから死角なので、

誰にも気づかれることもなく、こんなところで、

泥と自分が戻したものにまみれた、うす汚れた状態で、

死んでいるところを想像してしまい……


いやだ、いやだよ、そんなの……


動けもせずに、ひたすら絶望していると、

聞き覚えのある低い泣き声が。


それは、ヒョウちゃんでした。


さっき別れたヒョウちゃんが、

わたしのところへと来てくれたんです!


ヒョウちゃんは、酷いありさまになっている、

わたしのそばまで来てくれて、

いつもとは違って正面に座ると、

じっとわたしを見つめていました。


これは、きっと、恩返しなんだ。


前に自分を助けてくれたから、そのお返しにここに来てくれた、

わたしにはそう思えました。


なぜか、ヒョウちゃんが来てくれたら、

お腹の痛みもちょっとずつ引き始めたように感じて、

生きる希望が見えてきた気がしました……


   ・   ・   ・   


その状態から、なんとか歩けるくらいに痛みが引くまでに、

30分くらいかかりました。


時間を確認しようと右腕を見たら、

時計をし忘れていたことに、その時気づいたんだけど、

すり傷だらけになっている自分の腕を見て、

忘れてきて良かったと、心の底から思いました。


周りを見渡すと、グラウンドにある大きな時計が見えたから、

それで確認するともう4時でした。


この場所から、土手の上の自転車のところまで、

ヒョウちゃんは、わたしに付き合ってくれて、

自転車のところまで辿り着くと、

ヒョウちゃんは去っていきました。


ヒョウちゃん、本当にありがとね、

今度来る時、美味しいご飯を持ってくるから。


   ・   ・   ・   


こうしてわたしは、アパートまで、

なんとか自力で帰ってきました。


すぐにお風呂に入ろうと、汚れた服を脱いで、

恐る恐る、まだ痛むお腹を見てみると、

お腹の真ん中に掌くらいの、大きなあざが出来ていて、

それ以外に全身にも、あちこち怪我してるのが判りました。


それはすり傷や小さいあざで、

吹っ飛ばされた時に背中から落ちたから、

背中やお尻や肘に、たくさん出来ていましたね。


頭からシャワーを浴びると、

流したお湯が、茶色い泥水になっているのを見て、

改めて、ひどい目にあったと感じました。


わたしは、お風呂に入っている時に、

ちょっと気になって、お腹に出来たあざと、

自分の拳を比べてみたんです。


やっぱりだ、あざの方がもっと大きいし、

それに、あざの形が合わない。


次に掌と比べてみると、ちょうど同じくらいの大きさで、

大体同じくらいの形になりました。


あの時間宮さんは、わたしに殴りかかったんじゃなくて、

掌でお腹を叩いていたんだ。


格闘技なんて詳しくないから、

それがどういう意味なのかは、よくは判りませんが、

単純に強い力で叩かれたってだけじゃなさそうです。


お風呂から上がった後は、他にやりようもないから、

間宮さんに言われた通り、お腹に湿布を貼って冷やしつつ、

出来るだけ腹筋は使わないように、安静にしていました。


夕飯も、ちょっとは食べられそうだったけど、

そんなに食べたくないし、

また戻しちゃうんじゃないかって思って、

食べずに水だけ飲んでました。


とりあえず、今日はゆっくり休みます。


おなか、すごく、いたい……




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