2010年 9月 その1
変更履歴
2011/03/21 記述統一 葵の一人称 あたし → わたし
2011/03/24 誤記修正 父の描いていた、油絵くらいです。 → 父の描いていた、水彩画くらいです。
2011/04/04 記述統一 一週間、二日間、三時間 → 1週間、2日間、3時間
2011/04/09 記述統一 1学期、2学期、3学期 → 一学期、二学期、三学期
2011/04/12 記述統一 1年生、(中学)2年、高校3年 → 一年生、二年、高校三年
2011/05/08 記述統一 一階、二階、三階 → 1階、2階、3階
2011/06/08 記述統一 一つ、二つ、三つ → 1つ、2つ、3つ
2011/08/03 記述統一 一人、二人、三人 → 1人、2人、3人
2013/07/31 誤植修正 トーナメント線だったら → トーナメント戦だったら
2013/07/31 誤植修正 隣りに座っているだけでも分かりました → 隣に座っているだけでも分かりました
2013/07/31 誤植修正 誰から絵は習って描いてないから → 誰からも絵は習って描いてないから
2013/07/31 誤植修正 門埜さんとと同じ道を辿っていたかなは → 門埜さんと同じ道を辿っていたかなは
2013/07/31 誤植修正 ちょっと意外なところが起こりました → ちょっと意外なことが起こりました
2013/07/31 句読点調整
2013/07/31 改行調整
2013/07/31 区切り行追加
2013/07/31 記述統一 友だち → 友達
2013/07/31 小題変更 次はメガネ → 『次はメガネ』
2013/07/31 記述修正 二学期が始まって → 今日は、二学期が始まって
2013/07/31 記述修正 教室へと入った時に → 教室へ入るとすぐに
2013/07/31 記述追加 『次はメガネ』
2013/07/31 記述結合 『次はメガネ』って書いてあったんです。 → そう書いてあって、
2013/07/31 記述修正 黒板にいっぱいの大きな字で → 黒板に大きな字で
2013/07/31 記述結合 門埜さんのグループを見ました。 → 門埜さんのグループを見たんですけど、
2013/07/31 記述修正 クラスの人たちを眺めていました → クラスの人たちを眺めていましたね
2013/07/31 記述修正 教室ではやっぱり → 教室では相変わらず
2013/07/31 記述修正 8時半のチャイムが鳴って → 8時半のチャイムが鳴った時に
2013/07/31 記述修正 黒板を消せ! → 黒板を消せ
2013/07/31 記述結合 先生が来る前に消していました。 → 先生が来る前に消したんですけど、
2013/07/31 記述修正 これで誰が書いたのかがほぼ分かったことで → これで誰が書いたのか分かって
2013/07/31 記述修正 教室の空気は、二学期が始まって早々に → 二学期が始まって早々に
2013/07/31 記述修正 重苦しい感じになっていて → 教室の空気は重苦しい感じに変わり
2013/07/31 記述修正 あわてて外したりしているのが、見えました → いつの間にかみんな外したりしてましたね
2013/07/31 記述修正 この日は、まだ予告だけだったらしくって → でもこの日は、まだ予告だけだったようで
2013/07/31 記述修正 特に誰も何もされないで → 特に誰も何も起きることなく
2013/07/31 記述修正 メガネの人たちの中には → 普段、メガネを掛けていた人たちの中には
2013/07/31 記述結合 下校時間になりました。 → 下校時間になったんですが、
2013/07/31 記述修正 クラスの人たちを支配しているんだ → クラスの人たちを支配している
2013/07/31 記述修正 わたしにはそう見えました → 今日の出来事はわたしにはそう見えました
2013/07/31 記述修正 ひどいことをするのか → こんなことをするのか
2013/07/31 小題変更 忍さんに絵を渡しました → わたしの絵……
2013/07/31 記述修正 とりあえず渡すだけ渡そうと思って → とりあえず渡すだけでもと思い
2013/07/31 記述追加 忍さんは、ちょうど休憩中にやってきたので、
2013/07/31 記述修正 わたしは忍さんに → わたしは
2013/07/31 記述結合 お願いしました。 → お願いしたら、
2013/07/31 記述結合 と、わたしに言いました。 → とのことだったので、
2013/07/31 記述削除 わたしは、それで構いません、と答えて、
2013/07/31 記述結合 クロッキー帳を差し出しました。 → クロッキー帳を差し出したんですけど、
2013/07/31 記述修正 わたしの絵をちょっとだけ眺めてから → 絵をちょっと見ただけで
2013/07/31 記述修正 怪訝な顔をしていました → 怪訝な顔に
2013/07/31 記述修正 ちらっと見ただけで、もうダメ出し? → 少し見ただけで、もうダメなの?
2013/07/31 記述修正 それは、ちょっと、心の準備が出来てない…… → それはさすがに、心の準備が出来てないんだけど……
2013/07/31 記述追加 そう思っていたら、忍さんは、
2013/07/31 記述修正 と呟いてから → と呟いて
2013/07/31 記述修正 と言ってクロッキー帳を閉じて → と言ってクロッキー帳を閉じると
2013/07/31 記述修正 仕事へと戻りました → 仕事へと戻っていきました
2013/07/31 記述修正 誰からも絵は習って描いてないから → 誰からも絵は習って描いてないし
2013/07/31 記述修正 見たことある絵って言ったら → よく見た絵って言っても
2013/07/31 記述修正 でもそれとは → でも
2013/07/31 記述修正 根本的に全然違うと思うし → それとは根本的に全然違うと思うし
2013/07/31 記述修正 わたしも父の絵を見たのは、幼い頃だから → それにわたしも父の絵を見たのは、幼い頃だったのもあって
2013/07/31 記述修正 ちょっと気になります。 → ちょっと気になります……
2013/07/31 記述修正 鈴木先生は、席替えをすると言いました → 席替えをする予定でした
2013/07/31 記述修正 毎学期ごとに席替えしていたから → 新学期に入るとすぐに席替えしていたから
2013/07/31 記述修正 起こったんです → 起こりました
2013/07/31 記述修正 呆気にとられているのが、見ていて判りました → 呆気にとられているのが、一目瞭然でした
2013/07/31 記述移動 クラスの委員長が、手を上げて、
2013/07/31 記述移動 それは待って欲しいと先生に意見したんです。
2013/07/31 記述結合 先生に提案していました。 → 先生に提案し始めて、
2013/07/31 記述修正 他の人たちも手を上げていって → 他の人たちも手を上げた結果
2013/07/31 記述修正 クラスの過半数が、手を上げていました → 最終的には、クラスの過半数が、手を上げていましたね
2013/07/31 記述修正 委員長は先生に → それを確認した委員長は先生に
2013/07/31 記述結合 頭を下げていました。 → 頭を下げたら、
2013/07/31 記述修正 後ろの席から拍手とか、口笛とかが聞こえてきて → 後ろの席から拍手や口笛が聞こえてきて
2013/07/31 記述修正 次第にクラス全体に広がっていきました → それは次第にクラス全体に広がっていきました
2013/07/31 記述移動 この時の先生の目線は、何かを確認するみたいに、
2013/07/31 記述移動 教室の奥を、見つめていたように思います。
2013/07/31 記述修正 教室の奥を、見つめていたように思います → 教室の奥の方を、見ていたように思います
2013/07/31 記述修正 この時に、となりから小さい音だけど → そんな中で、隣から小さく
2013/07/31 記述修正 この賛成の拍手は → こうして湧き上がった賛成の拍手は
2013/07/31 記述修正 何かが起きていて → 何かが起きて
2013/07/31 記述修正 駅前に買い物へと行って来ました → 買い物で駅前に行って来ました
2013/07/31 記述修正 午前中に来ました → 午前中に来たんです
2013/07/31 記述修正 小さな人影が。 → 小さな人影が……
2013/07/31 記述修正 わたしは → それを聞いたわたしは、あんまり引き止めても悪いので
2013/07/31 記述修正 葵ちゃんの携帯が鳴って → ちょうどその時に葵ちゃんの携帯が鳴って
2013/07/31 記述修正 携帯を、確認していた葵ちゃんは → すぐに確認していた葵ちゃんは
2013/07/31 記述修正 がっかりした顔になって → ガッカリした顔に変わり
2013/07/31 記述修正 低いトーンで言いました → 低いトーンでつぶやきました
2013/07/31 記述修正 楽しみにしてたのかあ → 楽しみにしてたのかなぁ
2013/07/31 記述修正 ちょっと、かわいそうに見えたので → あまりにも可哀想に見えたので
2013/07/31 記述修正 わたしは葵ちゃんに、わたしで良ければ → わたしで良ければ
2013/07/31 記述修正 本当ですか! → 本当ですか!?
2013/07/31 記述修正 ぱっと明るい顔になりました → パッと明るい顔になりました
2013/07/31 記述修正 後輩の子におごってもらうのはなあと思って → 後輩の子におごってもらうのはなぁと思って
2013/07/31 記述修正 普通の1人前なんだけどな…… → 普通の1人前なんだけど……
2013/07/31 記述修正 食べているっぽいから → 食べていそうだ
2013/07/31 記述修正 とか計算していたら、わたしの倍以上の量が乗っている → なんて計算していたら、まさにわたしの倍以上の量が乗っている
2013/07/31 記述修正 まとめて買ってきているようにしか見えません → まとめて買ってきているようにしか見えませんでしたね
2013/07/31 記述修正 2人で2階のテーブル席について → この後、2人で2階のテーブル席について
2013/07/31 記述修正 葵ちゃんは、最近の部活の話とか → 葵ちゃんは、すごい勢いで食べながら
2013/07/31 記述修正 友達から聞いた噂なんかを、話しながら → 友達から聞いた噂や最近の部活の話なんかを
2013/07/31 記述修正 すごい勢いで食べてました → 話してくれたんです
2013/07/31 記述修正 その噂って言うのは → 噂って言うのは
2013/07/31 記述修正 凪高の生徒ばっかりが狙われているってのは → 凪高の生徒ばっかりが狙われているって言うのは
2013/07/31 記述修正 聞きましたけど → 前から聞いていたけど
2013/07/31 記述移動 何でもいいけど葵ちゃん、行儀が悪いから、
2013/07/31 記述移動 食べるか話すか、どっちかにしようね。
2013/07/31 記述移動 でもリスみたいで、かわいいから、いいか。
2013/07/31 記述結合 陸上部の、新人戦の県内地区予選があるって聞きました → 新人戦の県内地区予選があるって聞いて、
2013/07/31 記述修正 ご飯も食べ終わって、いよいよ葵ちゃんが → そんな話をしていたら、ご飯も食べ終わったので、葵ちゃんが
2013/07/31 記述結合 行きたかった場所へと向かいました。 → 葵ちゃんの行きたかった場所へと向かったんですが、
2013/07/31 記述修正 全部で20台くらいはありました → 全部で20台くらいはありましたね
2013/07/31 記述修正 片面の壁は、窓になっていて → ここは片面の壁が、窓になってるから
2013/07/31 記述移動 ゲームセンターとかって、わたしの中には、
2013/07/31 記述修正 ゲームセンターとかって → ゲームセンターって
2013/07/31 記述移動 薄暗いってイメージがあったけど、
2013/07/31 記述修正 ここは、かなり明るくって → 明るくて
2013/07/31 記述修正 ちょっと違いました → かなり雰囲気が違いました
2013/07/31 記述修正 プリクラには、結構いたけど → プリクラの方には、結構人がいたけど
2013/07/31 記述追加 プリクラは、撮りたい人と一緒に来るはずだから、
2013/07/31 記述追加 そうなると目的は……
2013/07/31 記述修正 葵ちゃんは → 予想通り、葵ちゃんは
2013/07/31 記述修正 へんなぬいぐるみを → 変なぬいぐるみを
2013/07/31 記述結合 このぬいぐるみ。 → これ、
2013/07/31 記述修正 なんかのキャラなのかなぁ → なんかのキャラっぽいけど
2013/07/31 記述修正 着物姿で → 頭は犬だけど着物姿で
2013/07/31 記述結合 多分犬の侍なんだと思うんだけど。 → 多分犬の侍なんだと思うんだけど、
2013/07/31 記述修正 ずっと通って、集めてたんですけど、
2013/07/31 記述修正 あの顔とか → あの顔
2013/07/31 記述修正 あれを取るために → あれを取る為に
2013/07/31 記述修正 約束してたんですけどね → 約束してたんですけど、ドタキャンされた時はどうしようかと思いました
2013/07/31 記述修正 がんばって → 2人で頑張って
2013/07/31 記述追加 へぇ、ぶさゑもんって言うのか……
2013/07/31 記述修正 これって → そもそもこれって
2013/07/31 記述修正 こういうゲームって → こういうのって
2013/07/31 記述修正 ああ → あぁ
2013/07/31 記述修正 めちゃめちゃ真剣で、わたしは思わず → メチャメチャ真剣で、思わず
2013/07/31 記述修正 はい、と、敬語になってしまいました → 返事が敬語になってしまいました
2013/07/31 記述移動 そんなに言われると、すごく緊張してきてしまって、
2013/07/31 記述移動 失敗したらどうしようとか、不安になってきます。
2013/07/31 記述結合 不安になってきます。 → 不安になってしまい、
2013/07/31 記述修正 葵ちゃんは、UFOキャッチャーのガラスに張り付いて → そんなわたしの焦る様子も気にせずに、葵ちゃんは、UFOキャッチャーのガラスに張り付くと
2013/07/31 記述修正 いよいよ始まりました。 → 始まってしまいました……
2013/07/31 記述修正 後はひたすら → この後はひたすら
2013/07/31 記述削除 ガラスに張り付いて、
2013/07/31 記述修正 ひたすらボタンを押してました → ひたすらボタンを押してましたね
2013/07/31 記述修正 ボタンを押すしかないしなぁ…… → ボタンを押すしか出来ません……
2013/07/31 記述修正 しばらく時間は進んで → 延々と指示が来てはボタンを押す作業は続き
2013/07/31 記述修正 何度か『ぶさゑもん』に → 何度かぶさゑもんに
2013/07/31 記述修正 これで取れそうだ! → これで取れる
2013/07/31 記述修正 と、思って葵ちゃんを見たら、小銭入れを握り締めて → って思って葵ちゃんを見たら、小銭入れを握り締めたまま
2013/07/31 記述修正 がっくりと肩を落としていました → がっくりと肩を落として、動きが止まっていました
2013/07/31 記述修正 どうしたの? → 声をかけようと
2013/07/31 記述修正 って声をかけたら、一言 → したら、その前に
2013/07/31 記述追加 あぁ、もうそんなに使っちゃったんだ……
2013/07/31 記述修正 ここでさっきの借りを返しとこう! → ここでさっきの借りを返そう!
2013/07/31 記述修正 お昼のお返しするよ、と葵ちゃんに言って → お昼のお返しって言って
2013/07/31 記述修正 投入口に入れました → 投入口に入れたら葵ちゃん、まるで神様を見るかのような顔でこっちを見てましたね
2013/07/31 記述修正 そして、とうとう『ぶさゑもん』をGET出来ました! → そしてさらに数回のチャレンジの末、ようやくGET出来ました!
2013/07/31 記述修正 見せてもらった『ぶさゑもん』は → 見せてもらったそれは
2013/07/31 記述修正 もっとブサイクでした。 → 予想以上にブサイクでした……
2013/07/31 記述修正 これ、かわい、い? → これ、かわ、い、い?
2013/07/31 記述修正 うううん、判らないな → ……判らない
2013/07/31 記述修正 葵ちゃんの話では、ゲームセンターとかでも → その後の葵ちゃんの話では、ここ以外でも
2013/07/31 記述修正 いつもやるのはUFOキャッチャーだけで → やるのはUFOキャッチャーだけだし
2013/07/31 記述修正 やるときは → やる時は
2013/07/31 記述修正 1人では → 1人だと
2013/07/31 記述修正 それに付き合ってくれる友達が → それに付き合ってくれる人が
2013/07/31 記述修正 周りが見えなくなるタイプみたいだしな…… → 周りが見えなくなるタイプみたいだし。
2013/07/31 記述修正 すごい集中力かも。 → すごい集中力かも……
2013/07/31 記述結合 と言う話をして、帰ることにしました。 → と言う話になり、帰ることにしたんですが、
2013/07/31 記述追加 あれ、あんな人たちいたっけなぁ……
2013/07/31 記述修正 嬉しさいっぱいの葵ちゃんに → 嬉しさいっぱいの葵ちゃんへと
2013/07/31 記述修正 わたしに構わずに走って、と伝えました → わたしに構わず走って逃げるように伝えたんです
2013/07/31 記述修正 そう話したんです。 → そう話したんですが……
2013/07/31 記述修正 首を振った後 → すぐ真顔に戻って首を振った後
2013/07/31 記述修正 ちょっとだけがんばって下さい → ちょっとだけ頑張って下さい
2013/07/31 記述分割 と、さっきとは別人のようにしっかりとして、 → と逆に言われたんです。さっきとは別人のようにしっかりとして、
2013/07/31 記述削除 とても頼りがいがあるように見えました。
2013/07/31 記述削除 この時わたしは、葵ちゃんが、
2013/07/31 記述削除 さっきまでとは別人のようにしっかりとしていて、
2013/07/31 記述削除 なんだか間宮さんに似ているなと感じました。
2013/07/31 記述結合 走り出しました。 → 走り出したんですが、
2013/07/31 記述修正 やっぱり → するとやはり
2013/07/31 記述結合 助けてもらえるかどうかは、怪しいです。 → 誰かに助けてもらえるかどうかは、かなり怪しいんですが、
2013/07/31 記述修正 後ろの人たちは、どんどん近づいてきていました → それでも後ろの人たちは、どんどん近づいてきています
2013/07/31 記述修正 あと5メートルくらいのところで → あと5メートルくらいまで迫ったところで
2013/07/31 記述修正 大通りに出ると、葵ちゃんはわたしから手を離して → 大通りに出た途端、葵ちゃんはわたしから手を離すと
2013/07/31 記述修正 なんと、ガードレールを飛び越えて → ガードレールを飛び越えて
2013/07/31 記述修正 そこは信号も無い場所で → そこは信号もない道路で
2013/07/31 記述結合 走ってきていました。 → 走ってきていて、
2013/07/31 記述修正 トラックは葵ちゃんを見て → トラックは
2013/07/31 記述修正 クラクションを、思いっきり鳴らしながら → 思いっきりクラクションを鳴らしつつ
2013/07/31 記述修正 急ブレーキで止まろうとして、対向車線にはみだして → 急ブレーキで
2013/07/31 記述修正 車道を塞ぐようにして、止まりました。 → 葵ちゃんを避けるように対向車線にはみ出して、車道を塞いで、止まりました……
2013/07/31 記述結合 こちらの様子を見ていました。 → こちらの様子を見ている中、
2013/07/31 記述修正 すごい勢いで降りてきて → すぐに降りてきて
2013/07/31 記述修正 葵ちゃんの様子を見て → 葵ちゃんが無事なのを見ると
2013/07/31 記述削除 ぶつかっていないのを確認した後、
2013/07/31 記述修正 ただ呆然と見ていました。 → ただ呆然と眺めていることしか出来ません……
2013/07/31 記述修正 トラックの運転手の人は → しばらくしたら、トラックの運転手の人は
2013/07/31 記述修正 しばらくしたら、気が済んだようで → 気が済んだようで
2013/07/31 記述結合 トラックへと戻って行き、走って行ってしまいました。 → トラックへと戻って、走り去っていったんですけど、
2013/07/31 記述追加 そして、少し離れたところまで来ると、
2013/07/31 記述修正 葵ちゃんは笑顔で言いました → 葵ちゃんは笑顔で言ったんです
2013/07/31 記述修正 どうするつもりたったの! → どうするつもりたったのか
2013/07/31 記述修正 だけど葵ちゃんはそれを聞いたら → だけど葵ちゃんはそれを聞くと
2013/07/31 記述修正 わたしの視線を受け止めて → わたしの視線を受け止めつつ、真面目な表情で
2013/07/31 記述修正 無事に帰ってもらわないと → 無事に帰ってもらわなきゃ
2013/07/31 記述修正 心配させたことは謝ります → 心配させたのは謝ります
2013/07/31 記述修正 と言って、微笑んでいました → と言った後、最後に微笑んでいました
2013/07/31 記述修正 姿を消していました。 → 姿を消していて、結果的には無事だったけど……
2013/07/31 記述追加 車を避けるって、そんなこと出来るの……?
2013/07/31 記述修正 葵ちゃんは → それは置いといて、とりあえず葵ちゃんは
2013/07/31 記述修正 責任感も強い子なのが → 責任感も強い子なのは
2013/07/31 記述修正 間宮さんも、認めている子だもんなぁ → あの間宮さんも、認めている子なんだから
2013/07/31 記述修正 わたしは、こういうのは出来るだけしないでね → こういうのは出来るだけしないように
2013/07/31 記述修正 と言った後に、お礼を言いました → やんわりと言ってから、お礼を言っておきました
2013/07/31 記述修正 このあとは → この後は
2013/07/31 記述修正 あの子なら、間宮さんも認めそうだし → あの子なら
2013/07/31 記述削除 あの2人なら、相性も良さそうで、
2013/07/31 記述修正 そういう後輩がいる → そんな後輩がいる
2013/07/31 記述修正 『次はメガネ』の文字で → 『次はメガネ』の文字を
2013/07/31 記述結合 みんなコンタクトになっています。 → みんなコンタクトになったんですけど、
2013/07/31 記述移動 あれを見てから、メガネのままの人は、
2013/07/31 記述修正 あれを見てから → 見てから
2013/07/31 記述移動 誰もいなくなりました。
2013/07/31 記述結合 誰もいなくなりました。 → 誰もいなくなっていて、
2013/07/31 記述修正 そして標的に選ばれたのは → そんな中で標的に選ばれたのは
2013/07/31 記述修正 メガネを止めているのって → メガネじゃなくなっているのって
2013/07/31 記述修正 とか思いました → って思いました
2013/07/31 記述修正 門埜さんと同じ道を辿っていたかなは、こうなる道から逃れて → 一方、以前は門埜さんと同じ道を辿っていたかなは
2013/07/31 記述修正 表面的な利害や保身の目的であるのがみえみえな → 表面的な利害や保身の目的であるのが見え見えな
2013/07/31 記述修正 ちやほやされて → チヤホヤされて
2013/07/31 記述修正 とても哀れに見えました → とても哀れに見えてきます
2013/07/31 記述修正 他人を貶めたりしないと → 他人を貶めたりしていなければ
2013/07/31 記述修正 全く共感出来ないし、わたしの直感ですが → 全く共感出来ないし
2013/07/31 記述修正 はね返ってくることになるんじゃないかと思えてなりません → はね返ってくるんじゃないかと思えてなりません
2013/07/31 記述修正 そういえば → そう言えば
2013/07/31 記述修正 毎日練習に出ていたのに → 毎日かかさず練習に出ていたのに
2013/07/31 記述修正 それも体育祭の時と同じでした。 → それも体育祭の時と同じパターンです……
2013/07/31 記述修正 わたしは → その結果わたしは
2013/07/31 記述修正 両方とも参加させられました。 → 両方とも参加させられる羽目に……
2013/07/31 記述修正 スケジュールが組まれているから → 同じクラスの試合がぶつからないように、スケジュールが組まれているから
2013/07/31 記述修正 トーナメント戦だったら最初に負ければ終わるけど → さらに、トーナメント戦だったら最初に負ければ終わるけど
2013/07/31 記述修正 総当たり戦だから → 球技大会は総当たり戦なので
2013/07/31 記述修正 いつも試合場所へと → 試合場所へと
2013/07/31 記述修正 体育の時間に一度ずつやった → 体育の授業で1回だけやった
2013/07/31 記述修正 それが問題です → そういうレベルでしたね
2013/07/31 記述修正 1回表でコールド負けとかに → 1回表でコールド負けも
2013/07/31 記述修正 なりかねないなあと → ありえるんじゃないかと
2013/07/31 記述修正 その人の代わりに間宮さんが → 代わりに間宮さんが
2013/07/31 記述修正 間宮さんの投げる球は → まずソフトの方ですが、間宮さんの投げる球は
2013/07/31 記述修正 必死にがんばりました → 頑張っていました
2013/07/31 記述追加 バレーの方は、得点出来たのはほとんどが、
2013/07/31 記述追加 間宮さんがサーブやレシーブした時でしたね。
2013/07/31 記述修正 けど、やっぱり1人だけが活躍しても勝てなくて → だけどやっぱり、1人だけが活躍しても勝てず
2013/07/31 記述結合 試合放棄で不戦敗でした。 → 試合放棄で不戦敗でしたし、
2013/07/31 記述修正 それで正解でした → それで正解でしたね
2013/07/31 記述修正 家に帰って、ゆっくり休みます。 → 今はもう、動きたくない……
9月1日 『次はメガネ』
今日は、二学期が始まって最初の登校日です。
夏休みの間に、色々と不安な話を聞いたのを、
登校中に思い出したけど、
初日からいきなりはないんじゃないかって、
少し期待していましたが、それは甘かったみたいです。
・ ・ ・
学校について、教室へと入るとすぐに、
わたしはそれに気づきました。
『次はメガネ』
黒板に大きな字でそう書いてあって、
クラスの人たちも、みんなこれが何なのか判らなくて、
あちこちで話をしていました。
わたしはこれを見てすぐに、後ろの席に集まっている、
門埜さんのグループを見たんですけど、
取り巻きの人たちは、みんな、ニヤニヤしながら、
クラスの人たちを眺めていましたね。
間違いなく、これを書いたのはあの中の誰かで、
これが話していた、新しいゲームなのかも知れない。
間宮さんはと言うと、二学期になっても、
教室では相変わらず非常に近寄りづらい態度で、
この時も、クラスの雰囲気に対して苛立っているのが、
隣に座っているだけでも分かりました。
この黒板の文字は、8時半のチャイムが鳴った時に、
後ろの人から黒板を消せと命令されて、
最前列に座っている人が、先生が来る前に消したんですけど、
これで誰が書いたのか分かって、二学期が始まって早々に、
教室の空気は重苦しい感じに変わり、
特にメガネをかけている人たちは、
いつの間にかみんな外してましたね。
でもこの日は、まだ予告だけだったようで、
特に誰も何も起きることなく、下校時間になったんですが、
普段メガネを掛けていた人たちの中には、
午前中で早退したり、下校時間になった途端に、
すごく急いで帰っていて、逆にメガネをかけてない人たちは、
ちょっと安心しているような雰囲気も感じました。
・ ・ ・
黒板に書かれた落書き1つで、クラスの人たちを支配している、
今日の出来事はわたしにはそう見えました。
前にかなは、門埜さんのことを、
直接的な暴力と恐怖で人を従わせていたって言っていたけど、
これが、門埜さんの求めるものなのかな……
どうして、何かをされた訳でもない人に対して、
こんなことをするのか、わたしには門埜さんの考えというか、
望んでいることがさっぱり理解出来ません。
9月4日 わたしの絵……
この日は、航海堂に忍さんも来る日だったから、
夏休みに完成した絵を、少しでも早く見て欲しくて、
とりあえず渡すだけでもと思い、持って行きました。
忍さんはちょうど休憩中にやってきたので、
わたしは、もらったクロッキー帳で風景画を1枚仕上げたから、
見て欲しいとお願いしたら、忍さんはちょっと困り顔で、
「あ、描けたんだ、そっか。
ごめん、みなもちゃん、今はちょっと色々あって、
すぐに見てあげられないんだ。
これ、預かってもいいんなら、
時間作って見ておくけど、それでいい?」
とのことだったので、クロッキー帳を差し出したんですけど、
忍さんは受け取ってすぐに、クロッキー帳を開いて、
絵をちょっと見ただけで、眉をしかめて怪訝な顔に。
少し見ただけでもうダメなの?
それはさすがに、心の準備が出来てないんだけど……
そう思っていたら、忍さんは、
「この画風、やっぱりどっかで……」
と呟いて、額に手を当てて唸りながら、
1分くらい悩んでいたけど、最後に、
「駄目だ、思い出せん!」
と言ってクロッキー帳を閉じると、仕事へと戻っていきました。
・ ・ ・
とりあえず、ダメ出しされなかったのは良かったけど、
やっぱりわたしの絵は、忍さんが見たことある、
誰かの絵に似ているようです。
でもわたしは、誰からも絵は習って描いてないし、
よく見た絵って言っても、父の描いていた水彩画くらいです。
でも、わたしのは鉛筆画だから、
それとは根本的に全然違うと思うし、
それにわたしも父の絵を見たのは、幼い頃だったのもあって、
どういう画風だったかも覚えていません。
わたしに似てる画風の人、ちょっと気になります……
9月6日 席替え
今日は、二学期に入って最初のHRで、
席替えをする予定でした。
一年の時にも、新学期に入るとすぐに席替えしていたから、
当然あるんだなぁと思って聞いていたんですが、
ここで予期していないことが起こりました。
クラスの委員長が、手を上げて、
それは待って欲しいと先生に意見したんです。
委員長は、席替えについて、
現在の席のままで良いと思う生徒も多いので、
多数決でするかしないかを決定したいと、先生に提案し始めて、
鈴木先生は、予想していなかった展開に、
呆気にとられているのが一目瞭然でした。
先生が戸惑っている間に、委員長は早速多数決を始めて、
まず席替えを望む人に、挙手をするように言いました。
誰も手を上げる人はいないまま、委員長は次に、
席替えはしないのを望む人は、挙手するように言うと、
門埜さんの親しい人たちが次々と手を上げて、
それにつられるように、他の人たちも手を上げた結果、
最終的には、クラスの過半数が手を上げていましたね。
それを確認した委員長は先生に、
多数決により席替えは、望まない方が過半数なので、
このままの席でお願いしますと、頭を下げたら、
鈴木先生はすぐに反論しようとしたけど、
後ろの席から拍手や口笛が聞こえてきて、
それは次第にクラス全体に広がっていきました。
そんな中で、隣から小さいく舌打ちするのが聞こえて、
間宮さんを見ると、こっちに背を向けて後ろの席を見ていました。
この時の先生の目線は、何かを確認するみたいに、
教室の奥の方を、見ていたように思います。
こうして湧き上がった賛成の拍手は、
先生が席替えをしないと言うまで続いて、
結局席替えはせずに、HRが終わってしまいました。
・ ・ ・
多分鈴木先生は、担任でありながら、
受け持っているクラスの生徒を、制御出来ないことが、
他の先生たちに知られるくらいなら、
カリキュラムに反しても、生徒の意志を尊重した、
と言えば穏便に済む方を選んだ、そんな風に感じました。
それとも、もしかすると、
それだけじゃないのかも知れないけど、
わたしにはよく判りません。
でもこれで、ひとつはっきりしたのは、
このクラスで何かが起きて、担任の先生に助けを求めたところで、
何の解決にもならないだろうってことです。
やっぱり、自分の身は自分で守らなくちゃいけない、
そういうことなんでしょうか……
9月12日 葵ちゃんの素顔
今日は午前中から、買い物で駅前に行って来ました。
本当は、せっかくの休日なんだから、
朝はゆっくりして、午後に出てきたかったけど、
夏休みから続いている暴行事件のことがあって、
出来るだけ早い時間の方が、
そういうのにも巻き込まれなさそうだから、
午前中に来たんです。
いまいち趣味じゃない、ダウンジャケットの、
代わりの上着を見に来たんだけど、
安くて良いのが見つからず、お昼になってしまい、
諦めてもう帰ろうとしていた時、
こっちに向かって走ってくる、小さな人影が……
この登場パターンは、あの子しかいません。
「三崎先輩、こんにちは!
お買い物ですか?」
やっぱり葵ちゃんでした。
パーカーにショートパンツ姿の葵ちゃんは、
相変わらず元気でかわいいです。
葵ちゃんは、午後から友達と遊ぶ約束をしていて、
せっかくだから、早めに出て来て、
お店とかをブラブラしていたんだそうで、
これから待ち合わせの場所へと、向かうところだったようです。
それを聞いたわたしは、あんまり引き止めても悪いので、
それじゃと挨拶しようとしたら、
ちょうどその時に葵ちゃんの携帯が鳴って、
すぐに確認していた葵ちゃんは、
誰が見ても判るくらい、ガッカリした顔に変わり、
「友達に今、ドタキャンされました」
と、低いトーンでつぶやきました。
その友達と会うの、そんなに楽しみにしてたのかなぁ。
へこんでる葵ちゃんが、あまりにも可哀想に見えたので、
わたしで良ければ付き合おうかと言ってみたら、
「本当ですか!? ありがとうございます!」
と言うと、パッと明るい顔になりました。
「じゃあまずは、お昼食べましょう!」
と言って、連れて来られたのは、
ファーストフードのお店でした。
「わたしに付き合ってもらうから、お昼はおごります!
どれでもいいですから、どうぞ好きなのを選んで下さい」
と葵ちゃんに言われたけど、
後輩の子におごってもらうのはなぁと思って、
自分で払うよって言って見たんだけど、
「いえいえ、おごりますから」
の、一点張りで葵ちゃんは譲らず、
仕方なくわたしは普通のセットを選ぶと、
「それだけで大丈夫ですか?」
と、心配されてしまいました。
普通のセットだから、
これでも、普通の1人前なんだけど……
注文の品を受け取って、葵ちゃんを待っている間、
葵ちゃんのお弁当の量を考えると、
多分わたしの倍は食べていそうだなんて計算していたら、
まさにわたしの倍以上の量が乗っている、
山盛りのトレーを持った、葵ちゃんがやって来ました。
傍目に見たら、みんなの分を、
まとめて買ってきているようにしか見えませんでしたね。
・ ・ ・
この後、2人で2階のテーブル席について、
葵ちゃんは、すごい勢いで食べながら、
友達から聞いた噂や最近の部活の話なんかを、
話してくれたんです。
噂って言うのは、先々月くらいから、
有名になり始めた、連続暴行事件についてで、
凪高の生徒ばっかりが狙われているって言うのは、
前から聞いていたけど、
今度のはどうやら、反撃に出ている人がいるらしくて、
襲撃していた暴走族とか不良のグループの情報を、
警察に密告しているグループが、いるらしいって話でした。
その情報は、警察が動くレベルのもので、
今では凪高の生徒を襲っていたグループは、
タレこんでいるグループを見つけ出すのに、
必死になっているらしいです。
それを葵ちゃんは、ポテトを口いっぱいに頬張りながら、
教えてくれました。
へぇ、やり返している人たちもいるんだ、
でも危なそうだなぁ、それって。
それと、今月の18日と19日は、
新人戦の県内地区予選があるって聞いて、
どこでやるのかを尋ねると、
けっこう近い場所にある、競技場でした。
今までそういう大会とか、一度も見たことないから、
どんな感じか判らないけど、
ちょっと、見に行ってみようかなぁ……
何でもいいけど葵ちゃん、行儀が悪いから、
食べるか話すか、どっちかにしようね。
でもリスみたいで、かわいいから、いいか。
・ ・ ・
そんな話をしていたら、ご飯も食べ終わったので、
葵ちゃんの行きたかった場所へと向かったんですが、
それは、駅前からちょっと離れたところにある、
小さいデパートの中のゲームコーナーでした。
そこは、フロア全部がプリクラと、
UFOキャッチャーしかないところで、
全部で20台くらいはありましたね。
ゲームセンターって、わたしの中には、
薄暗いってイメージがあったけど、
ここは片面の壁が窓になってるから明るくて、
かなり雰囲気が違いました。
そこにいたのは女の子ばっかりで、
プリクラの方には、結構人がいたけど、
UFOキャッチャーにはほとんどいません。
プリクラは、撮りたい人と一緒に来るはずだから、
そうなると目的は……
予想通り、葵ちゃんはプリクラには目もくれず、
一直線にUFOキャッチャーへと向かい、
フロアの奥の方にあった台へと、張り付いていました。
「良かった、まだあったぁ!」
と、すごく喜んでいる葵ちゃんは、
その筐体の中の景品で、体が半分埋まっている、
変なぬいぐるみを見つめていました。
何だろうこれ、なんかのキャラっぽいけど、
でも見たことないなぁ。
頭は犬だけど着物姿で、片手に刀を持っているから、
多分犬の侍なんだと思うんだけど、
顔がとにかくブサイクなのが、特徴でしょうか。
うん、とにかく、ブサイクです。
「これ、『ぶさゑもん』って言うんです。
今わたしの中では、一番のお気に入りなんです!
あの顔かわいくないですか?
この人形、ここにしか置いてなくって、
ずっと通って集めてたんですけど、
あれが取れれば、コンプリートなんです!
でも、もう1個しか残っていなくって、
だから今日はどうしても、あれを取る為に、
手伝ってくれるって言った友達と、約束してたんですけど、
ドタキャンされた時はどうしようかと思いました。
でも三崎先輩が付き合ってくれたから、本当に助かりました!
2人で頑張って取りましょうね!」
へぇ、ぶさゑもんって言うのか……
え、わたしも何かするの!?
そもそもこれって、2人でやるゲームだっけ?
こういうのって、一度もやったことないから、
全く自信がないんだけど……
わたしは葵ちゃんに、それを話すと、
「三崎先輩は、ボタンを押してくれればいいですから、
大丈夫ですよ」
と言って、ニコニコしながら、
肩から提げていた、バッグの中へと手を入れて、
赤いがま口の小銭入れを取り出すと、
コインを投入口に、どんどん入れていきます。
あぁ、これは本気でやる人だ。
「三崎先輩、ボタンをお願いします。
最初にこのボタンを押して、
わたしが合図したら、離して下さい。
次は、こっちのボタンを押して、
また合図しますから、離して下さい。
タイミングは合わせて下さいね。
ちょっとでもずれたらダメですからね。
いいですね、先輩」
わたしにレクチャーする葵ちゃんは、メチャメチャ真剣で、
そんなに言われると、すごく緊張してきてしまって、
失敗したらどうしようとか、不安になってしまい、
思わず返事が敬語になってしまいました。
そんなわたしの焦る様子も気にせずに、葵ちゃんは、
UFOキャッチャーのガラスに張り付くと、
「先輩、始めて下さい!」
と威勢よく言ってきて、始まってしまいました……
この後はひたすら、前とか横とかに動き回りながら、
UFOキャッチャーのアームと人形を凝視して、
「今です!」
「そこです!」
「あああ!!!」
「次がんばりましょう!」
といった、葵ちゃんからの言葉の合図に反応して、
ひたすらボタンを押してましたね。
いっぱい入っていたように見えた小銭入れは、
どんどん減っていくけど、葵ちゃんは全然気にしないで、
投入口へと入れていきます。
本当に取れるまでやる気だ、これは早く取らないと、
大変なことになりそうだなぁ。
でもわたしには、タイミングとか良く判らないから、
指示通りに、ボタンを押すしか出来ません……
・ ・ ・
そして延々と、指示が来てはボタンを押す作業は続き、
もう20回以上チャレンジして、
上に乗っていたぬいぐるみをどかしたり、
周りのどうでもいいぬいぐるみを落としたり、
何度かぶさゑもんに、アームが引っかかりかかったりして、
取りやすそうな位置に転がってきたのを見て、
これで取れるって思って葵ちゃんを見たら、
小銭入れを握り締めたまま、がっくりと肩を落として、
動きが止まっていました。
わたしが声をかけようとしたら、その前に、
「お金、使い切っちゃいました。
もうちょっとだったのに……」
と言って、人形を悲しそうに見つめていました。
あぁ、もうそんなに使っちゃったんだ……
そうだ、ここでさっきの借りを返そう!
わたしは、自分の財布から千円を出して、
両替機でお金を崩して来てから、
お昼のお返しって言って、投入口に入れたら葵ちゃん、
まるで神様を見るかのような顔で、こっちを見てましたね。
そしてさらに数回のチャレンジの末、
ようやくGET出来ました!
葵ちゃんは、とっても喜んでいましたが、
見せてもらったそれは、近くで見たら、
予想以上にブサイクでした……
これ、かわ、い、い?
……判らない、その感性。
そしてこれを取る間に、取ってしまった6つの人形は、
「これは、先輩に差し上げます!
うちにも同じものがたくさんあるから」
と言うことで、わたしがもらいました。
どれもこれも、どっかで見たことあるようなキャラなんだけど、
ひとつも思い出せません。
その後の葵ちゃんの話では、ここ以外でも、
やるのはUFOキャッチャーだけだし、
やる時はいつもこんな感じで、
狙ったものを取るまでは、何回でも通って、
そのシリーズを全部取るまでは諦めないのだそうで。
でも、取りたいものを確認しながらボタンを押すのが、
小柄な葵ちゃんでは、1人だとどうしても出来ないから、
いつも友達に頼んでいるんだけど、それに付き合ってくれる人が、
なかなかいないんだそうです。
たしかに、これを毎回付き合ってたら、
ちょっと大変かも知れない。
葵ちゃんって、夢中になると、
周りが見えなくなるタイプみたいだし。
ある意味、すごい集中力かも……
・ ・ ・
気づくともう3時を過ぎていて、
いつの間にか、ずいぶん時間が経っていました。
あんまり遅くなると、最近は物騒だから、
そろそろ、帰った方がいいんじゃないかと言う話になり、
帰ることにしたんですが、
ゲームコーナーの階から、階段で下へ降りた時に、
視線を感じて後ろを振り返って見てみたら、
何人かの男の人のグループも、
ちょっと後から、出てくるのが見えました。
あれ、あんな人たちいたっけなぁ……
わたしは何となく、嫌な予感がして、
嬉しさいっぱいの葵ちゃんへと、
後ろの人たちから死角になった間に、
状況を説明して、次の死角に入ったら、
わたしに構わず走って逃げるように伝えたんです。
多分、もし狙われているとしたらわたしだし、
葵ちゃんだけなら、陸上部だから逃げ切れると思って、
そう話したんですが……
葵ちゃんはそれを聞くと、すぐ真顔に戻って首を振った後、
「わたしに考えがあります。
1階に下りたら、大通りに向かって走ります。
わたしも引っ張って走りますから、
先輩はちょっとだけ頑張って下さい。
その後は、わたしに任せて下さい」
と、逆に言われたんです。
葵ちゃんを信じて頷いた後、
階段を降りきって1階に着いたらすぐに、
わたしと葵ちゃんは、走り出したんですが、
するとやはり、後ろのグループは、
わたしたちを狙っていたらしく、
走って逃げ出したのが判った途端に、
向こうは、色々怒鳴りながら追いかけてきました。
あの人たちは、制服姿じゃないわたしたちを狙っているから、
単純に凪高の生徒を襲っているのとは違うはず。
だとすると、やっぱり門埜さんに繋がっている人たちだろうか。
そんなことを考えながら、全力疾走していました。
葵ちゃんが言っていた、大通りまでは、
それほどの距離ではないから、何とか走れそうだけど、
そこに出ても、駅前から離れているから、
人通りも少なくて、多少揉め事になっていたって、
誰かに助けてもらえるかどうかは、かなり怪しいんですが、
葵ちゃん、どうする気だろう。
大通りまで向かう、短い直線の道を、
葵ちゃんに手を引かれながら、全力で走ったけど、
それでも後ろの人たちは、どんどん近づいてきています。
そして、後ろの人たちとの距離が、
あと5メートルくらいまで迫ったところで、
大通りに出た途端、葵ちゃんはわたしから手を離すと、
ガードレールを飛び越えて、車道へと飛び出しました!
そこは信号もない道路で、ちょうどその時、
トラックがこちらへ向かって走ってきていて、
トラックは、思いっきりクラクションを鳴らしつつ、
急ブレーキですごいタイヤの音を響かせながら、
葵ちゃんを避けるように対向車線にはみ出して、
車道を塞いで止まりました……
この音を聞いて、周囲のビルから人が出てきたり、
窓から人がこちらの様子を見ている中、
トラックの運転手の人がすぐに降りてきて、
その場に座り込んでいた葵ちゃんが無事なのを見ると、
ものすごい勢いで葵ちゃんに怒鳴り始めました。
葵ちゃんは、
「飛び出して、ごめんなさい!」
とずっと謝っていて、わたしはその様子を、
ガードレールの脇に立って、何にも考えられず、
ただ呆然と眺めていることしか出来ません……
しばらくしたら、トラックの運転手の人は気が済んだようで、
トラックへと戻って、走り去っていったんですけど、
この騒ぎで道路はすっかり渋滞してしまい、
ノロノロ運転になっていて、
ゆっくりと通り過ぎる車のドライバーはみんな、
この事故騒ぎの当事者の、葵ちゃんへと目を向けていました。
まだ大勢の人が見ているうちに、
葵ちゃんは立ち上がると、わたしの手を取って、
駅へ向かって早足に歩き出しました。
そして、少し離れたところまで来ると、
「先輩、驚かしちゃいました?
でもこれで、追いかけてきた奴らは、
手が出せなくなったはずですよ」
と、葵ちゃんは笑顔で言ったんです。
わたしは、そんな葵ちゃんに、
あんな危ないことして、もし何か遭ったら、
どうするつもりたったのかって怒りました。
だけど葵ちゃんはそれを聞くと立ち止まって、
わたしの視線を受け止めつつ、真面目な表情で、
「それはわたしの台詞です、三崎先輩。
わたしに付き合ってもらったせいで、
先輩に何か遭ったりしたら、
それこそ申し訳なくて耐えられないし、
第一そんなの、わたしが自分を許せません。
だから、どんなことがあっても、
先輩だけは、無事に帰ってもらわなきゃって思ったんです。
心配させたのは謝ります、ごめんなさい。
でも、2人とも無事だったんだから、良かったじゃないですか」
と言った後、最後に微笑んでいました。
たしかに、葵ちゃんの言う通り、
あの人たちはこの騒ぎで姿を消していて、
結果的には無事だったけど……
「騒ぎを起こそうとは、思っていましたけど、
轢かれるつもりは、全くありませんでしたよ。
もしあのトラックが避けなかったら、
わたしが車を避けようと思っていました。
あの道は、制限速度が40kmだから、
すごいスピード出してる車じゃなければ、
何とかなるって、思ってました」
車を避けるって、そんなこと出来るの……?
それは置いといて、とりあえず葵ちゃんは、
とても心の強くてしっかりした、
責任感も強い子なのは、良く判りました。
あの間宮さんも、認めている子なんだから、
当然と言えば当然かもなぁ……
だけどやっぱり、それは自殺行為だから、
身を呈して守るのは、もうちょっと考えて欲しいです。
でも助けられたのは事実なので、
こういうのは出来るだけしないように、
やんわりと言ってから、お礼を言っておきました。
・ ・ ・
この後は何事もなく、無事に駅まで着いて、
わたしは葵ちゃんと別れて、帰って来ました。
今日は葵ちゃんの、色んな面を見た気がする。
それにしても、葵ちゃんって、
見た目の小さくてかわいいイメージとは違って、
けっこう気も強いし、気前もいいし、
わたしを守ろうとしているところとか、
なんだか親分っぽいキャラで、
年下相手に言うのは、ちょっと変な気がするけど、
便りになる子なんだなって思いました。
あの子なら、間宮さんの下でもやっていけそうな気がする。
そんな後輩がいる間宮さんが、
前にも増して、羨ましいなと思いました。
でもこのことを、間宮さんが聞いたらどうなるんだろう。
これが、門埜さんの仕業である証拠はないけど、
葵ちゃんが巻き込まれたのを知ったら、
ただじゃ済まないんじゃないかなぁ。
それがちょっと気がかりです……
9月14日 最近のクラス
二学期の最初の日にあった、『次はメガネ』を見てから、
メガネのままの人は誰もいなくなっていて、
今ではうちのクラス、みんなコンタクトになったんですけど、
そんな中で標的に選ばれたのは、
一番最後までメガネをしていた女子で、
その人は、最近休むようになってしまっています。
門埜さんたちから、いじめられる対象にされている人が、
狙われるのを避けようとしていたのは、まあ判るんですけど、
ある程度、門埜さんに近い人たちでも、
メガネじゃなくなっているのって、どうしてなのか、
理由がいまいち判りません。
これって、前にかなが説明してくれた、
恐怖と暴力で従わせているって言う、
門埜さんの人間関係を表しているのかなって思いました。
ある意味、門埜さんは、
いつも一緒にいる取り巻きの人たちがあれだけいても、
本当の意味では、誰もいないのかも知れない。
一方、以前は門埜さんと同じ道を辿っていたかなは、
今では新たな信念を理解する人たちと一緒にいる。
そう考えると、表面的な利害や保身の目的であるのが見え見えな、
取り巻きの人たちにチヤホヤされて、
周囲の人たちから話しかけられている、
門埜さんの姿は、とても哀れに見えてきます。
やっぱり、以前のかなと同じで、本人はそれを判っていて、
こんなことを続けているんだろうか……
他人を貶めたりしていなければ、
この人は自分を守れないのだろうか……
門埜さんのやり方には、全く共感出来ないし、
この人は、本当にかわいそうだけど、
もう変われないような気がします。
いつか、自分のしてきたことの反動が、
はね返ってくるんじゃないかと思えてなりません。
・ ・ ・
そう言えば間宮さんですけど、
わたしと葵ちゃんが狙われたことを、
葵ちゃんから聞いていないのか、特に態度には変化はありません。
話を聞いていたら、間宮さんのことだから、
絶対にただじゃ済まさないと思っていたので、
これはかなり意外でした。
それとも、門埜さんが関係しているかどうか、
はっきりしていないから、黙っているのかな。
ここ最近の間宮さんは、
一学期の時は、毎日かかさず練習に出ていたのに、
部活に出ないですぐに帰る日があるみたいで、
掃除とかでちょっと遅くなってから、
帰りに校庭の方を回って見たら、
グラウンドに間宮さんの姿がない日がありました。
夏休みも、合宿に参加せずに、
1人で練習していたのと同じ理由で、
放課後の練習にも、参加してないのかも知れない。
葵ちゃん、そのことをまた、
気にしていなければいいんだけど……
9月16日 悪夢の球技大会
昨日と今日は、球技大会でしたが、
体育祭の時以上に、厳しいものになりました。
どの種目を担当するかが決まったのが、今週の月曜のHRで、
それも体育祭の時と同じパターンです……
出場メンバーは、男子のバスケだけは、
門埜さんの取り巻きの人たちがやりたがってすぐに決まったけど、
その他の競技は全部、門埜さんのグループの人たちからの推薦で、
押し付けられてしまいました。
もちろん、だいたい全員が何かを参加するように、
人数が決まっているから、クラスの半分が出ないとなると、
残りの人たちは、競技を掛け持ちで出ることになります。
その結果わたしは、ソフトボールとバレーボールの、
両方とも参加させられる羽目に……
ちなみに、間宮さんも同じです。
自分のクラスの、応援が出来るようにと、
同じクラスの試合がぶつからないように、
スケジュールが組まれているから、
一応両方参加は出来るんだけど、
出場メンバーは、試合場所へと走り回ることになります。
さらに、トーナメント戦だったら最初に負ければ終わるけど、
球技大会は総当たり戦なので、どれだけ負けても、
試合はやらないといけません。
ただ、ソフトもバレーも、
一定以上の点差が開くとコールドになるので、
体育の授業で1回だけやった、
練習試合しかしてないうちのクラスは、
何回までコールド負けにならないで試合が続くのか、
そういうレベルでしたね。
バレーボールはともかく、ソフトボールは、
ピッチャーだけはちゃんと出来ないと、
ゲームとして成り立たないんじゃないかと、とても心配でした。
ピッチャーにさせられた人は、
練習試合では、全然まともに投げられなくて、
一度もストライクが入らなかったんです。
これは下手すると、1回表でコールド負けも、
ありえるんじゃないかと心配していたら、
その人は当日お休みしてしまい、
代わりに間宮さんがピッチャーをやることになりました。
・ ・ ・
そしてとうとう、球技大会は始まってしまったけど、
ちょっと意外なことが起こりました。
それは、間宮さんの活躍です。
まずソフトの方ですが、間宮さんの投げる球は、
あんまり打たれることがなくて、
けっこう三振を取っていったことと、
バッティングでも、他の人はダメダメでしたが、
間宮さん1人が打って、その後の人たちが、
送りバントして点を取ったりして、
意外とみんな頑張っていました。
バレーの方は、得点出来たのはほとんどが、
間宮さんがサーブやレシーブした時でしたね。
だけどやっぱり、1人だけが活躍しても勝てず、
ソフトもバレーも全戦負けてしまいました。
男子の方は、バスケはラフプレーで反則になり、
それにキレてしまった人が、相手の選手に蹴りを入れて、
試合中止の反則負けで終わり、
それ以降の試合は、試合放棄で不戦敗でしたし、
男子のサッカーは、いいように点を取られまくって、
すごい点差で大敗でした。
・ ・ ・
この2日間は、掛け持ちにさせられた時から、
嫌な予感がしていたので、
明日もバイトは、お休みにしておいたんですが、
それで正解でしたね。
どっちの競技でも、走りまくって、
試合場所への移動でも走らされて、
閉会式が終わって下校する頃にはもう、ボロボロでした。
今日はとにかく疲れました。
今はもう、動きたくない……