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2010年  8月 その2

変更履歴

2011/03/22 記述統一 一所懸命 → 一生懸命

2011/04/15 記述統一 (温度)1度、2度、3度 → 1℃、2℃、3℃

2011/04/24 記述統一 1ケ所、二ヶ月、二ケ月 → 1ヶ所、2ヶ月、3ヶ月

2011/06/16 誤植修正 始め → 初め

2011/08/02 記述統一 一人、二人、三人 → 1人、2人、3人

2013/07/16 誤植修正 もう怪我の方はかなり治ってしていた → もう怪我の方はかなり治っていた

2013/07/16 誤植修正 わたしに背中を向けて座わっています → わたしに背中を向けて座っています

2013/07/16 句読点調整

2013/07/16 改行調整

2013/07/16 区切り行追加

2013/07/16 記述統一 友だち → 友達

2013/07/16 記述統一 ひと通り・一通り → ひととおり

2013/07/16 記述修正 あの看板のドーベルマンは → あのドーベルマンは

2013/07/16 記述修正 どうしても → でもどうしても

2013/07/16 記述修正 まだヒョウちゃんの姿は → まだヒョウちゃんは

2013/07/16 記述修正 見かけていません。 → 見つかりません……

2013/07/16 記述移動 この間にも、間宮さんと何度か会ったけど、

2013/07/16 記述修正 この間にも → それとこの間にも

2013/07/16 記述移動 今はそれどころではなくて、

2013/07/16 記述移動 わたしからは声もかけずにいて、間宮さんの方は、

2013/07/16 記述移動 わたしが何をしているのかが、気になったようで、

2013/07/16 記述修正 気になったようで → 気になるらしく

2013/07/16 記述移動 こっちを見ていました。

2013/07/16 記述修正 こっちを見ていました。 → 逆にこっちを見ていましたね……

2013/07/16 記述修正 河原にある、草むらとか、藪の中とかを → 河原の草むらや藪の中を

2013/07/16 記述修正 茂みに何がいるか → それに茂みに何がいるか

2013/07/16 記述修正 木の枝とか草から → 木の枝や草から

2013/07/16 記述削除 完全武装しています。

2013/07/16 記述修正 更に帽子と軍手までしてるんです → 更に帽子と軍手までしています

2013/07/16 記述分割 また心配されてしまい、わたしは忍さんに、 → また心配されてしまったし……

2013/07/16 記述削除 バイトのシフトを直前で変更してしまったことを、

2013/07/16 記述削除 ここで改めて謝りました。

2013/07/16 記述修正 今はそれどころではなくて → 今はそれどころじゃないから

2013/07/16 記述修正 わたしからは声もかけずにいて → わたしからは声もかけずにいたら

2013/07/16 記述修正 誰にも頼ることは、出来ないし → 誰にも頼るわけにはいかないし

2013/07/16 記述修正 バイト先に迷惑をかける訳にも行かないんだけど → バイト先に迷惑をかけちゃダメなんだけど

2013/07/16 記述修正 もうすでに迷惑をかけてしまっていて → もうすでにかけてしまっているのは

2013/07/16 記述修正 おとといと昨日は → さらにおとといと昨日は

2013/07/16 記述修正 地面がとてもぬかるんでいたりして → 地面がとてもぬかるんでしまい

2013/07/16 記述修正 歩くのも大変なくらいでした → 歩くのも大変なくらいだったんです

2013/07/16 記述修正 足が筋肉痛になっていて → 足が筋肉痛で

2013/07/16 記述修正 ガマンして御家河に向かいました → でもガマンして御家河に向かいました

2013/07/16 記述移動 何かが石に引っかかって、

2013/07/16 記述修正 何かが石に引っかかって → 石に引っかかって

2013/07/16 記述修正 浮いているのが見えました → いるのが見えたんです

2013/07/16 記述修正 気になったので近づいてみると → 気になったので近づいてみたら

2013/07/16 記述修正 ちょうど橋の下でした → そこはちょうど橋の下でした

2013/07/16 記述修正 引き上げてあげようと思い → 引き上げてあげようと思ったんですけど

2013/07/16 記述修正 外れてしまい → 外れて

2013/07/16 記述結合 川下へと流されていってしまいました。 → 川下へと流されていってしまい、

2013/07/16 記述修正 ヒョウちゃんは → ……ヒョウちゃんは

2013/07/16 記述修正 なら、無事でいる可能性は上がったんじゃないか → それなら、無事でいる可能性は上がったんじゃないかと思って

2013/07/16 記述修正 そう思えて、あの犬には悪いけど → あの犬には悪いけど

2013/07/16 記述結合 ちょっとだけ嬉しくなりました。 → ちょっとだけ嬉しくなったんですが、

2013/07/16 記述修正 ヒョウちゃんもこの辺にいるかも知れない。 → ヒョウちゃんもこの辺にいるかも……

2013/07/16 記述修正 わたしは、この辺りの茂みを中心に → 日が傾いていく中、この辺りの茂みを中心に

2013/07/16 記述修正 大きさがヒョウちゃんに近くて気になって → 大きさがヒョウちゃんくらいなのが気になって

2013/07/16 記述修正 長い尻尾が生えているのが見えて → 長い尻尾みたいなのが生えているのが見えたので

2013/07/16 記述修正 ヒョウちゃんでした。 → ヒョウちゃんでした……

2013/07/16 記述修正 涙ぐんだまま、動けなくなっていました → 動けなくなってしまいました

2013/07/16 記述修正 がんばってそれに近づいて → 気力を振り絞ってそれに近づいて

2013/07/16 記述修正 想像出来ないくらいひどい状態でした → 想像出来ないくらい酷い状態でした

2013/07/16 記述修正 目も半開きのままで、瞬きもしていなくて → 目も半開きのまま、瞬きもしておらず

2013/07/16 記述修正 口も半開きのまま → 口も開きっぱなしで

2013/07/16 記述修正 その体はとてもひんやりしていて → その体はとても冷たく

2013/07/16 記述修正 あの犬にやられたんだ。 → あの犬にやられたんだ……

2013/07/16 記述修正 余計に辛くなりました → 余計に辛くなります

2013/07/16 記述修正 こうして抱いてあげたかったな…… → こうして抱きたかったのに……

2013/07/16 記述修正 もし → もしも

2013/07/16 記述修正 舐めてくれたりしたのかなとか思ったら → 舐めてくれたりしたのかなとか思うと

2013/07/16 記述修正 余計に悲しくなってしまい → 余計に悲しくなって

2013/07/16 記述修正 落ち込んでる時とか、悩んでいる時とか → 落ち込んでる時や悩んでいる時に

2013/07/16 記述修正 こんなことになるんだったら → まさかこんな日が来るなんて思わなかった

2013/07/16 記述修正 もっと会いに来ればよかった…… → もっと会いに来てあげていたら……

2013/07/16 記述修正 短く聞こえました → 短く聞こえたんです

2013/07/16 記述修正 かすかに息をしている音が聞こえました。 → かすかに息をしている音が!

2013/07/16 記述修正 すぐに病院へ連れて行かないと! → すぐに病院へ連れて行かなきゃ

2013/07/16 記述修正 この近くの病院なんて判りません → この近くの動物病院なんて判りません

2013/07/16 記述修正 涙は止まらないし、頭は真っ白になってしまいました → 頭は真っ白になってしまい、ひたすら出て来るのは涙だけです

2013/07/16 記述修正 細かいことを考える余裕もなくて → 細かいことを考える余裕もなく

2013/07/16 記述修正 ヒョウちゃんが死にそうなんです! → ヒョウちゃんが死にそうだって

2013/07/16 記述修正 とだけ、泣きながら声に出しました → ことだけは、泣きながらだったけどどうにか伝えたんです

2013/07/16 記述結合 ヒョウちゃんが何なのかを尋ねられました。 → ヒョウちゃんが何なのかを訊かれたから、

2013/07/16 記述修正 猫です、と短く答えると → ヒョウちゃんが猫なのを伝えると

2013/07/16 記述修正 すこし落ち着いてきて → 少し落ち着いてきて

2013/07/16 記述修正 とにかく言われたことをやろうと思って → とにかく言われたことをやろうと

2013/07/16 記述修正 詳しそうな知り合いとかいない? → 詳しそうな知り合はいない?

2013/07/16 記述修正 と、忍さんに言われて → そう忍さんに言われて

2013/07/16 記述結合 思いました。 → 思ったんですけど、

2013/07/16 記述修正 連絡してみました → 連絡してみたんです

2013/07/16 記述分割 けど、なつめは今海外たから無理だと思った時、 → なつめは今海外たから無理だ……

2013/07/16 記述結合 かなならどうだろうと思って連絡してみたんです。 → だったら、かなならどうだろうと思って連絡すると、

2013/07/16 記述修正 かなはすぐに電話に出てくれて → かなはすぐに電話に出てくれたので

2013/07/16 記述修正 見つけてほしいと頼みました → 見つけてほしいと頼んだんです

2013/07/16 記述修正 5分待ってて → 「5分待ってて」

2013/07/16 記述結合 と言って一旦電話を切りました。 → と言って一旦電話は切れたので、

2013/07/16 記述修正 着ていた長袖のシャツを脱いで → 着ていた上着を脱いで

2013/07/16 記述修正 全然動かなくて → 全く動かないし

2013/07/16 記述結合 弱々しくて苦しそうな息をしているだけでした。 → 弱々しくて苦しそうな息をし続けていて、

2013/07/16 記述修正 体温が伝わるようにしながら → 体温が伝わるようにして

2013/07/16 記述修正 ヒョウちゃんを見つめていました。 → ヒョウちゃんを少しでも暖めることしか出来ません……

2013/07/16 記述修正 この時、自転車の止まる音が聞こえて → そうしていたら、近くで自転車の止まる音が聞こえたので

2013/07/16 記述修正 そこには自主連帰りの間宮さんがいました → そこにいたのは自主連帰りの間宮さんでした

2013/07/16 記述修正 冷静な表情を変えないで、見ていました → 表情を変えることもなく、冷静に見ていました

2013/07/16 記述修正 ヒョウちゃんのためにがんばって → 頑張れ

2013/07/16 記述修正 病院の手配をしてくれました。 → 病院の手配をしてくれました!

2013/07/16 記述結合 その動物病院の場所を確認しました。 → すぐにその動物病院の場所を確認したんですが、

2013/07/16 記述修正 かなり時間がかかりそうでした。 → 間に合いそうもない……

2013/07/16 記述修正 自転車を貸して下さい! → 自転車を貸して欲しいって

2013/07/16 記述修正 と、必死にお願いしました → 必死にお願いしたんです

2013/07/16 記述修正 メールの地図を、一緒に覗き込んでいた間宮さんは → それを聞いて、メールの地図を無言で見た間宮さんは

2013/07/16 記述移動 「駄目だな」

2013/07/16 記述修正 駄目だな → 駄目だ

2013/07/16 記述結合 と、一言だけ答えました。 → 一言だけ答えたんです、

2013/07/16 記述修正 この時わたしは → わたしはそれを聞いて

2013/07/16 記述修正 殴りかかっていたとろでした → 殴りかかっていたと思います

2013/07/16 記述修正 自転車のかごに入れました → 自転車の前カゴに入れたんです

2013/07/16 記述削除 ちょっと、何するの!

2013/07/16 記述削除 と、叫んで立ち上がった、わたしから、

2013/07/16 記述修正 今度は、携帯を奪い取って → その後すぐに、今度は携帯を奪い取って

2013/07/16 記述修正 ひどい顔してるぞ → 酷い顔してるぞ

2013/07/16 記述結合 言い残して、すごい速さで行ってしまいました。 → 言い残すと、すごい速さで走り去ってしまい、

2013/07/16 記述結合 立てなくなってしまいました。 → 立てなくなってしまったので、

2013/07/16 記述修正 と伝えました → と伝えておきました

2013/07/16 記述修正 しばらく休んで → その後しばらく休んで

2013/07/16 記述修正 動物病院へと向かいました。 → 動物病院へと向かったんです……

2013/07/16 記述修正 歩いて行ったら、30分くらいかかって → その病院へは、歩いて行ったら、1時間以上かかって

2013/07/16 記述修正 ドアの脇にある診療時間をみたら → ドアの脇にある診療時間を確認すると

2013/07/16 記述修正 間宮さんが乗っていた自転車が倒れていたので → 間宮さんが乗っていた自転車があるのを見て

2013/07/16 記述修正 それを直してから中へと入りました → 急いで中に入りました

2013/07/16 記述削除 何がどうしたのか、よく分からなかったけど、

2013/07/16 記述修正 わたしを抱きしめました。 → 抱きしめられて、それと同時に真っ暗になりました……

2013/07/16 記述修正 次に目を覚ました時は、わたしの顔を見下ろす3人の人が見えて → 次に目を覚ました時には、わたしは3人の人に見下ろされていて

2013/07/16 記述修正 間宮さんが着ていた → 間宮さんが着ていたはずの

2013/07/16 記述移動 白衣を着た先生と、ナース服っぽい看護師さんと、

2013/07/16 記述修正 白衣を着た先生と → それは、白衣を着た先生と

2013/07/16 記述移動 それから、呆れ顔の間宮さんでした。

2013/07/16 記述結合 呆れ顔の間宮さんでした。 → 呆れ顔の間宮さんで、

2013/07/16 記述修正 ほっとした表情になっていました。 → ほっとした表情になっていましたが、間宮さんだけは渋い顔のままでしたね……

2013/07/16 記述結合 しばらく気を失っていたようです。 → しばらく気を失っていたようで、

2013/07/16 記述修正 わたしは、その前の状況を思い出した途端 → その前の状況を思い出した途端

2013/07/16 記述修正 勢い良く飛び起きて → 勢い良く飛び起きると

2013/07/16 記述修正 ものすごく必死に尋ねました → ものすごく必死に尋ねてしまいました

2013/07/16 記述修正 先生はとても驚いていて → そしたら先生はとても驚いてしまい

2013/07/16 記述結合 寝ていた長椅子に倒されました。 → 寝ていた長椅子に倒された後に、

2013/07/16 記述修正 内臓や骨には → 診断の結果、内臓や骨に

2013/07/16 記述修正 更に全身打撲の状態で、衰弱もひどくて → 更に全身打撲の状態で衰弱も酷く

2013/07/16 記述修正 今は応急処置が終わって、今は眠らせてあって → 今は応急処置を終えて眠らせてあり

2013/07/16 記述修正 高坂さんに → くれぐれも高坂さんに

2013/07/16 記述修正 とわたしに伝えた後 → と言った後わたしへと

2013/07/16 記述修正 落ち着いてから → もうしばらく休んでから

2013/07/16 記述修正 冷静になってきて → ようやく冷静になり

2013/07/16 記述修正 間宮さんは支えながら → 間宮さんは素早く支えながら

2013/07/16 記述修正 私とサシで話す時は熱があるんだ? → 私とサシで話す時いつも熱があるんだ?

2013/07/16 記述修正 もしかして自分に熱がある事 → もしかして

2013/07/16 記述修正 わたしは熱があることを自覚しました。 → わたしは熱があることを自覚しました……

2013/07/16 記述追加 それよりも今は、ヒョウちゃんの様子を見ないとと思い、

2013/07/16 記述結合 ヒョウちゃんが丸まって眠っていました。 → ヒョウちゃんが丸まって眠っていて、

2013/07/16 記述分割 その寝息は、それほど苦しそうでもなくなっていて、 → その様子を見てやっと安心することか出来ました。

2013/07/16 記述結合 その姿を見てから、間宮さんに送られて帰って来ました。 → その後、家に帰ったんですけど、

2013/07/16 記述修正 わたしが荷台に座ると今度は → 座ると今度は

2013/07/16 記述修正 手を組むように言われたんです

2013/07/16 記述修正 その後 → そして更に

2013/07/16 記述結合 わたしの家に向かって出発しました。 → わたしの家に向かって出発したんですけど、

2013/07/16 記述修正 間宮さんは → 道中間宮さんは

2013/07/16 記述修正 とても心地よくてかなり寝そうでした → 妙に心地よくてかなり寝そうでしたね

2013/07/16 記述修正 かながわたしに襲いかかって来た時とか → かながわたしに襲いかかって来た時に

2013/07/16 記述修正 と → って

2013/07/16 記述修正 間宮さんは → そんなわたしの状態を察して、間宮さんは

2013/07/16 記述結合 それはもう無理でした。 → それはもうほとんど無理で、

2013/07/16 記述修正 うとうと → ウトウト

2013/07/16 記述追加 そんな調子でどうにかうちまで辿り着くと、

2013/07/16 記述修正 私はこれで帰るからな → 私はこれで帰る

2013/07/16 記述修正 間宮さんは帰ってしまいました → 間宮さんはさっさと帰ってしまいました

2013/07/16 記述修正 頭はクラクラしてるけど、何よりも → 頭はまだかなりクラクラしてるけど、今は何よりも

2013/07/16 記述修正 ぐっすり眠れます…… → ぐっすり眠れる……

2013/07/16 記述修正 今回は → 今回はちゃんと

2013/07/16 記述修正 ペットを連れてきている人がいました → ペットを連れてきている人がいましたね

2013/07/16 記述結合 ないような気がする。 → ないような気がするけど、

2013/07/16 記述修正 昨日寝ている時に、思いました → 他の人のペットたちを見ていて、そう思いました

2013/07/16 記述修正 それと治療費についても → それと治療費について

2013/07/16 記述修正 真意が読めませんでした → 真意が読めません

2013/07/16 記述追加 そんなことを考えていると、

2013/07/16 記述修正 と、怒られました → って、いきなり怒られました

2013/07/16 記述修正 後2人の看護師さんもで → 2人の看護師さんもで

2013/07/16 記述修正 高坂さんに聞いたらひと通り処置して欲しい → 高坂さんに聞いたらひと通り処置して欲しいと言う

2013/07/16 記述修正 とのご依頼だったからやっておきましたけど → 達てのご依頼だったからやっておきましたけど

2013/07/16 記述修正 ぼーっとしてないでちゃんと聞いてますか → ボーっとしてないでちゃんと聞いてますか

2013/07/16 記述修正 飼い主の心得を → 飼い主としての心得を

2013/07/16 記述削除 すいません、と、

2013/07/16 記述修正 これから気をつけます、を繰り返して言っていました → 重ね重ね謝り続けておきました

2013/07/16 記述修正 この後 → で、このお説教の後に

2013/07/16 記述修正 避妊手術!? → 避妊!?

2013/07/16 記述修正 思い込んでいたんです。 → 思い込んでた……

2013/07/16 記述修正 しないで下さい → 手術はしないで欲しい

2013/07/16 記述修正 この後もちくちくと → この後もチクチクと

2013/07/16 記述修正 話を聞かせてくれました。 → 話を聞かせてくれたんですが……

2013/07/16 記述分割 やっぱ、そうなっちゃうよねぇ、 → やっぱ、そうなっちゃうよねぇ……

2013/07/16 記述修正 と、それは内心予想はしていたので → それは内心予想はしていたので

2013/07/16 記述修正 すいませんの一点張りでした → すいませんの一点張りでしたね

2013/07/16 記述修正 わたしはここで → 謝りつつも

2013/07/16 記述結合 檻みたいなケージの中に入っていました。 → 檻みたいなケージの中に容れられていて、

2013/07/16 記述結合 先生は嫌味っぽく、説明してくれました。 → 先生はかなり嫌味っぽく、説明して下さったので、

2013/07/16 記述修正 わたしを見つめる → そんなわたしを見つめる

2013/07/16 記述結合 ちょっとだけ違っているように感じました。 → ちょっとだけ違っているように感じて、

2013/07/16 記述修正 ちょっと手を出してみたけど → 手を出してみたけど

2013/07/16 記述修正 やっぱり判りませんでした。 → やっぱり判りませんね……

2013/07/16 記述修正 とても大変でしょうけど → かなにも伝えておくことも強調しつつ

2013/07/16 記述削除 どうか宜しくお願いします、と、

2013/07/16 記述修正 どうやって御家河までヒョウちゃんを運ぶかだなぁ → どうやって御家河までヒョウちゃんを運ぶかか……

2013/07/16 記述修正 出来なさそうだなぁ → 出来なさそう

2013/07/16 記述修正 クマみたいだ → クマみたいだけど

2013/07/16 記述修正 もっといいんだけど…… → もっと良いんだけど……

2013/07/16 記述修正 満足がいくところまで仕上げる事が出来ました! → 満足がいくところまで仕上げることが出来ました!

2013/07/16 記述修正 ダメだしされた時の → ダメ出しされた時の

2013/07/16 記述修正 絵が仕上がった時に → で、今日絵が仕上がった時に

2013/07/16 記述結合  ランニング中の間宮さんに会いました → ランニング中の間宮さんに会ったんですけど、

2013/07/16 記述修正 わたしの描いていた絵を → 描き上がったばかりの絵を

2013/07/16 記述修正 呆れる発言をしました → 呆れる発言をされました

2013/07/16 記述修正 ひどいような気がするなぁ → ちょっと酷い気がするなぁ

2013/07/16 記述修正 わたしもすごくお世話になったし → すごくお世話になったし

2013/07/16 記述結合 あの時のお礼を伝えました。 → あの時のお礼を伝えたんですけど、

2013/07/16 記述修正 すると間宮さんは → そしたら間宮さんは

2013/07/16 記述修正 だいたいだなあ → 大体なあ

2013/07/16 記述修正 それが知ってる奴だったら声かけるだろうが → それが知ってる奴だったら声をかけるだろう

2013/07/16 記述修正 少しは自分の体調とかを認識しろ → 少しは自分の体調を認識しろ

2013/07/16 記述分割 わたしは、ごめんなさい、以後気をつけます、 → それは仰るとおりだったから、わたしは謝ることしか出来ませんでした……

2013/07/16 記述削除 と答えました。

2013/07/16 記述修正 知ってる奴に昇格しているのは → 知り合いに昇格しているのは

2013/07/16 記述修正 と言って走り去ろうとした → そう言い残して走り去ろうとした

2013/07/16 記述修正 今までずっと聞きたかったことを → 今までずっと言いたかったことや聞きたかったことを

2013/07/16 記述修正 まず → まず始めに

2013/07/16 記述修正 恋愛感情は、ないんです → 恋愛感情は全くないと

2013/07/16 記述結合 と言うのを、改めて説明しました。 → ことを、改めて説明したんですけど、

2013/07/16 記述修正 胸までつかんでいいと誰が言った? → 胸まで掴んでいいと誰が言った?

2013/07/16 記述修正 そんなことないとは、言わせねえぞ → その気がないとは言わせないぞ

2013/07/16 記述修正 ああ → あぁ

2013/07/16 記述修正 え、胸をつかんだ!? → え、胸を掴んだ!?

2013/07/16 記述修正 離れそうだった手を、必死でしがみついていたのが → 必死でしがみついていたのが

2013/07/16 記述修正 ええと → えぇと、あのう

2013/07/16 記述修正 つかんだんじゃないし → 掴んだんじゃないし

2013/07/16 記述修正 それは落ちないように、寝そうになりながら → それは寝そうになりながら

2013/07/16 記述修正 言葉を選んで伝えました → 慎重に言葉を選んで伝えました

2013/07/16 記述修正 あんな状況でもあるってことだな → あんな状況でもあるってことか

2013/07/16 記述修正 ひどいまとめ方をされてしまいました。 → 酷いまとめ方をされてしまいました……

2013/07/16 記述修正 これ以上弁解しても → これ以上何を言っても

2013/07/16 記述修正 合宿に行かなかったの → 合宿に行かなかったのかと

2013/07/16 記述修正 名前で呼ぶようにさせてるの → 名前で呼ぶようにさせてるのか

2013/07/16 記述修正 と、わたしは早口に尋ねました → を、わたしは早口に尋ねたんです

2013/07/16 記述分割 それがお前に何か関係あるのか、 → それがお前に何か関係あるのか?

2013/07/16 記述修正 聞きたいのはそれだけか → 聞きたいのはそれだけだな

2013/07/16 記述修正 と、早口に答えて → そう早口に答えると

2013/07/16 記述修正 まあいいかと思ってそのまま病院へ向かいました。 → まあいいかと思ってそのまま病院へ向かうと、

2013/07/16 記述修正 目撃しました → 目撃したんです

2013/07/16 記述分割 あのくらい元気になったかなぁ、 → あのくらい元気になったかなぁ……

2013/07/16 記述削除 とか思いながら、病院へと向かいました。

2013/07/16 記述修正 病院に着くと、なぜか先生が → 病院に着くと、根岸先生が慌てた様子で

2013/07/16 記述結合 病院の入り口から出てきたところでした。 → 病院の入り口から現れて、

2013/07/16 記述修正 根岸先生はかなり慌てていて、わたしの姿を見たら → わたしの姿を見たら

2013/07/16 記述修正 もっと動揺したのが判りました → もっと動揺したのがすぐに判りました

2013/07/16 記述結合 と言って、根岸先生は、頭を下げました。 → そう言って、根岸先生は頭を下げたんですけど、

2013/07/16 記述修正 多分 → だって多分

2013/07/16 記述修正 わたしは先生に → なのでわたしは、逃げたことには触れずに

2013/07/16 記述修正 ヒョウちゃんの具合のことを、尋ねました → ヒョウちゃんの具合のことだけを、先生に尋ねたんです

2013/07/16 記述修正 ええと → ぐ、具合? あ、ええと

2013/07/16 記述修正 あの猫ならもう大丈夫かも知れない → あの猫ならもう大丈夫かも知れない、ですが……

2013/07/16 記述修正 との先生のお墨付きをもらったので → かなり戸惑い気味ではあったけど、一応先生のお墨付きをもらったので

2013/07/16 記述修正 あの時 → さっき

2013/07/16 記述修正 御家河にも自力で戻れそうだから → 御家河にも自力で戻るだろうし

2013/07/16 記述修正 根岸先生は最後に、一体ヒョウちゃんは → そして帰り際に根岸先生から、ヒョウちゃんは

2013/07/16 記述修正 そんなの判らないから雑種ですと → そんなの判らないから雑種って

2013/07/16 記述修正 わたしは帰り道で、スーパーによって → 帰りにスーパーに寄って

2013/07/16 記述修正 ヒョウちゃんの好きそうで → ヒョウちゃんの好きそうな

2013/07/16 記述修正 御家河の土手を散歩していました → 御家河の土手に行っていました

2013/07/16 記述修正 1日あれば、絶対ここに戻っていると思うから → ヒョウちゃんだったら、1日あればここに戻っていると思うから

2013/07/16 記述修正 今までで一番ヒョウちゃんと遭遇した回数が多い → ヒョウちゃんと遭遇した回数が最も多い

2013/07/16 記述修正 橋の脇の土手で待っていました → 橋の脇の土手で待っていたんです

2013/07/16 記述修正 午前中からここへ来て、お昼になったから → 午前中からここへ来ていたんですけど、お昼になったので

2013/07/16 記述修正 河と空を眺めつつゆっくりしながら → 河と空を眺めつつ

2013/07/16 記述追加 そろそろ、かな……

2013/07/16 記述修正 わたしの予想通り → すると予想通り

2013/07/16 記述結合 こちらへとやって来ました。 → こちらへとやって来るのが見えたので、

2013/07/16 記述修正 わたしのすぐ後ろを通り過ぎて → わたしのすぐ後ろを通り過ぎ

2013/07/16 記述修正 まだちょっと、毛並みはボサボサだけど → まだ毛並みはボサボサだけど

2013/07/16 記述修正 ヒョウちゃんは元気そうです → もうすっかり元気そうです

2013/07/16 記述修正 牛挽肉は、かなりの勢いで食べてしまい → そうやってヒョウちゃんを観察しているうちに、牛挽肉は、あっという間に食べてしまい

2013/07/16 記述修正 どんどん飲んでしまい → かなりの勢いで飲んでいて

2013/07/16 記述修正 ペットボトルには、半分くらいしか → なくならないように注ぎ足していたら、ペットボトルの半分以上

2013/07/16 記述修正 残ってません → 飲んでしまいましたね

2013/07/16 記述修正 撫でてから、しまった! → すぐに、しまった!

2013/07/16 記述修正 不満そうな低い声で一度鳴いただけで → 不満そうな低い声で一度鳴いて

2013/07/16 記述修正 ちょっと耳をこっちに向けたけど → ちょっと耳をこっちに向けただけで

2013/07/16 記述修正 逃げ出すことも → 暴れもしないし

2013/07/16 記述修正 ヒョウちゃん → ……ヒョウちゃん

2013/07/16 記述修正 触ってしまいました。 → 触ってしまいました!

2013/07/16 記述修正 あの時わたしが助けたことを覚えていてくれていて → あの時わたしが助けたことを覚えていて

2013/07/16 記述修正 認めてくれたんだと思いました → 認めてくれたんだと思います

2013/07/16 記述修正 これはさすがに当分先になりそうです。 → これはさすがに当分先だろうなぁ……


8月20日 ヒョウちゃんの捜索


16日に、ヒョウちゃんが追いかけられていたのを見てから、

バイトは全部夕方からに変えてもらって、

昼間はずっと、御家河へと来ています。


ヒョウちゃんのことが、気になってしまって、

河原をずっと探していました。


あのドーベルマンは、まだ捕まっていなくて、

看板も前よりも増えているから、

自分も襲われるかもしれないと思うと怖いけど、

でもどうしても、ヒョウちゃんのことが気になるんです。


とても嫌な予感がしていて、ヒョウちゃんを、

早く見つけないといけないって、強く感じるんです。


でも今日で4日経ったけど、まだヒョウちゃんは、

見つかりません……


   ・   ・   ・   


毎日、最後にヒョウちゃんを見た場所を中心に、

河原の草むらや藪の中を、あちこち歩き回って探しているけど、

見つかるのは黒っぽいゴミばっかりです。


真夏の炎天下の下で、30℃を超える猛暑の中、

1日中草むらを歩き回っているのは、とても大変です。


それに茂みに何がいるか分からないから、

木の枝や草から体を守るために、

厚手の長袖のシャツとパンツに、靴下とスニーカー履いて、

更に帽子と軍手までしています。


この服装がとても暑苦しくって、

何度もクラクラして、倒れそうになってしまい、

その度に休憩しないといけないから、

なかなか思うようには進みません。


でも、これだけの格好をしていても、

家に帰って着替えると、顔や体のあちこちに、

擦り傷や切り傷が出来ています。


忍さんには、顎の下の傷に気づかれた時に、

バイトの時間を変更したこともあって、

また心配されてしまったし……


それと、この間にも間宮さんと何度か会ったけど、

今はそれどころじゃないから、

わたしからは声もかけずにいたら、間宮さんの方は、

わたしが何をしているのかが気になるらしく、

逆にこっちを見ていましたね……


   ・   ・   ・   


ヒョウちゃんは、うちの飼い猫じゃないし、

これは、わたしが気になったって言う直感だけで、

やっていることだから、誰にも頼るわけにはいかないし、

手伝ってもらえるものではないと思っています。


だから本当は、バイト先に迷惑をかけちゃダメなんだけど、

もうすでにかけてしまっているのは、とても申し訳ないです……


でも、あくまで直感なんだけど、

今ヒョウちゃんを探さなきゃいけないって、

そんな気が、すごくするんです……




8月23日 ヒョウちゃんが……


ヒョウちゃんを探し始めてから、7日目です。


最近は、毎日の疲れもたまっているんだけど、

ヒョウちゃんのことが気になってしまって、

夜もあんまり眠れません。


さらにおとといと昨日は、大雨が降って、

地面がとてもぬかるんでしまい、

歩くのも大変なくらいだったんです。


そのせいか今日は、足が筋肉痛で、

歩くのもちょっと辛かったけど、

でもガマンして御家河に向かいました。


   ・   ・   ・   


この日も一生懸命探したけど、結局見つからなくて、

もう4時になってしまい、そろそろ、

戻らないといけない時間になりました。


引き上げようとした時に、河の浅瀬の方に目を向けてみたら、

何か大きなものが、石に引っかかっているのが見えたんです。


ヒョウちゃんにしては、大きすぎるとは思ったけど、

気になったので近づいてみたら、それはあのドーベルマンでした。


ドーベルマンは、体中引っかき傷だらけで、

お腹が裂けたりはしてないけど、

首が直角に折れ曲がっていて、肋骨があるはずの胸も、

えぐれてるみたいにへこんでいて、

明らかに死んでいるのが分かりました。


そばの大きな岩には大量の血が付いていて、

上を見上げてみると、そこはちょうど橋の下でした。


多分、この犬は橋から落ちて、

この岩に叩きつけられたみたいです。


せめて、引き上げてあげようと思ったんですけど、

近づいていく途中で、犬の死体は、

引っかかっていた石から外れて、川下へと流されていってしまい、

わたしはそれを、何も出来ずに眺めていました。


……ヒョウちゃんは、戦いに勝ったのかも知れない。


それなら、無事でいる可能性は上がったんじゃないかと思って、

あの犬には悪いけど、ちょっとだけ嬉しくなったんですが、

でも逆に考えてみたら、ドーベルマンが、

あれだけ傷だらけだったんだから、

ヒョウちゃんだって、同じくらいやられているんじゃないか、

そう思ったら、逆に不安が増してきました。


あのドーベルマンが、ここに落ちたのが、

戦っている最中だったとしたら、

ヒョウちゃんもこの辺にいるかも……


   ・   ・   ・   


日が傾いていく中、この辺りの茂みを中心に見て回っていたら、

泥まみれの黒い塊が水溜りに半分沈んでいるのが見えました。


またゴミかなぁと思ったけど、

大きさがヒョウちゃんくらいなのが気になって、

近づいてよく見てみたら、

その塊には、長い尻尾みたいなのが生えているのが見えたので、

もしかしてと思ってそれを触ってみると、

それはボロ切れみたいになった、ヒョウちゃんでした……


悪い予感は、ちょっとは想像していたけど、

それが目の前で実際に起きてしまうのは、

比較にならないほどの衝撃で、わたしはしばらく、

変わり果てたその姿を目の前にして、

動けなくなってしまいました。


あまりのショックで気が遠くなるのを感じたけど、

気力を振り絞って、それに近づいてよく見てみると、

ヒョウちゃんの体は、泥と血にまみれていて、

今まで見てきた元気だった姿からは、

想像出来ないくらい酷い状態でした。


足も力なく投げ出されていて、

目も半開きのまま、瞬きもしておらず、

口も開きっぱなしで全く動いていません。


おそるおそる、ヒョウちゃんに触ってみても、

その体はとてもその体はとても冷たく、

元気な時には絶対に許さなかったのに、

今は、わたしに触られても何の反応もありません。


やっぱりヒョウちゃんも、あの犬にやられたんだ……


悲しい現実を突きつけられて、涙が溢れてきました。


こんなことになる前に、前に見かけた時、

どんな目にあってでも捕まえておけばよかった。


なんであの時、わたしはそうしなかったんだろう。


今さらそんなことを思っても、

もう手遅れだと自分でも判っているけど、

どうしても悔やんでしまい、

そう考えてしまうと、余計に辛くなります。


わたしはヒョウちゃんの体を、そこから引き揚げて、

平らな乾いたところまで、運んでから、

軍手を外して、顔の回りや体の汚れを取ってあげました。


ごめんね、ヒョウちゃん、助けてあげられなくて。


わたしは、ヒョウちゃんの体を抱き上げて、

両腕で抱きしめました。


こんな姿になる前に、こうして抱きたかったのに……


ヒョウちゃんの濡れた冷たい顔が、

わたしの頬に当たるのを感じて、もしもなついていたら、

わたしのこと、舐めてくれたりしたのかなとか思うと、

余計に悲しくなって、ボロボロ泣いてしまい、

涙が止まりません。


わたしが、落ち込んでる時や悩んでいる時に、

ヒョウちゃんにはいっぱいお世話になったのに、

わたしは大したこと、してあげられなかった。


まさかこんな日が来るなんて思わなかった、

もっと会いに来てあげていたら……


この時、かすかに風の吹く音が、短く聞こえたんです。


だけど周りの草は揺れていなくて、風は吹いていません。


わたしはすこし冷静になって、ヒョウちゃんの顔に、

耳がつくくらいに近づけて、耳を澄ましてみると、

かすかに息をしている音が!


ヒョウちゃんまだ生きてる!


でも虫の息っぽいのは、間違いなくって、

すぐに病院へ連れて行かなきゃと思ったけど、

この近くの動物病院なんて判りません。


でも急がないと、ヒョウちゃんが死んじゃう……


わたしは、どうしたらいいか分からなくなってしまい、

もう泣いてる場合じゃないのは、分かっているのに、

頭は真っ白になってしまい、ひたすら出て来るのは涙だけです。


そんな時に頭に浮かんだのは、忍さんでした。


もう、細かいことを考える余裕もなく、

とにかく助けてほしくって、忍さんに連絡しました。


わたしは、忍さんが出た途端に、

ヒョウちゃんが死にそうだってことだけは、

泣きながらだったけどどうにか伝えたんです。


多分、忍さんは最初、

何のことだか分からなかったんだと思うけど、

わたしの普通じゃない状態を、察してくれて、

まず落ち着くように言った後に、

ヒョウちゃんが何なのかを訊かれたから、

わたしは、ヒョウちゃんが猫なのを伝えると、

忍さんはそれだけで、状況を理解してくれたようで、

わたしを落ち着かせるための、

ゆっくりとした口調に変わりました。


「みなもちゃん、まずは落ち着いて、

 深呼吸しながらでいいから、私の話を聞いて。

 その辺りって、動物病院とかありそうな場所?

 街中じゃないのなら、まず、

 病院のありそうな方向に移動して。

 それから、今どこにいるかを教えて」


忍さんの声を聞いたら少し落ち着いてきて、

とにかく言われたことをやろうと、

わたしはヒョウちゃんを抱えて、河原の土手の下まで戻ってから、

橋の名前を確認して、もう一度忍さんに連絡しました。


「居場所は分かったけど、今私も手が離せなくて、

 すぐには調べられないんだ、ごめん。

 誰かそういうの、詳しそうな知り合いはいない?

 あ、前に話してくれた友達とかは?」


そう忍さんに言われて、その友達って、

なつめのことだと思ったんですけど、

なつめは今海外たから無理だ……


だったら、かなならどうだろうと思って連絡すると、

かなはすぐに電話に出てくれたので、事情を説明して、

ヒョウちゃんを今すぐ連れていける動物病院を、

見つけてほしいと頼んだんです。


かなは、誰かと話をしている最中みたいで、

それを中断する声が小さく聞こえた後に、

「5分待ってて」

と言って一旦電話は切れたので、

わたしは土手の下で、着ていた上着を脱いで、

ヒョウちゃんの体を包んだ後、

抱いて暖めながら連絡を待っていました。


この間もヒョウちゃんは、全く動かないし、

弱々しくて苦しそうな息をし続けていて、

わたしはヒョウちゃんの体に、

力が掛からないように気をつけながら、

出来るだけ自分にくっつけて、体温が伝わるようにして、

ヒョウちゃんを少しでも暖めることしか出来ません……


   ・   ・   ・   


そうしていたら、近くで自転車の止まる音が聞こえたので、

見上げてみるとそこにいたのは、自主連帰りの間宮さんでした。


間宮さんは、わたしの状態を見て、

ただならない状況を理解したようで、

いつもみたいな態度はとらずに、何も言わずに近づいてくると、

わたしの抱いているヒョウちゃんの様子を、

表情を変えることもなく、冷静に見ていました。


その時、かなからの折り返しの連絡が来て、

「みなも、動物病院だけど見つかったから、

 その場所のメールを送っといたよ。

 そこの先生には、これからそっちに向かうって伝えといた。

 みなもの名前でもあたしの名前でも、どっちでも通じるからね。

 頑張れ、みなも!」

と、病院の手配をしてくれました!


わたしはかなにお礼を言ってから、届いていたメールを見て、

すぐにその動物病院の場所を確認したんですが、

ここからけっこう遠くて、

歩いていったら間に合いそうもない……


そこでわたしは、間宮さんに、

何でも言うこと聞くから、自転車を貸して欲しいって

と、必死にお願いしたんです。


それを聞いて、メールの地図を無言で見た間宮さんは、

ヒョウちゃんとわたしの様子を一瞥した後、

一言だけ答えたんです――


「駄目だ」


わたしはそれを聞いて、完全に頭に血が上ってしまい、

相手が間宮さんだろうと構うことなく、

自分でも、何を言っているのか分からないくらい、

思い切り反論して文句をぶつけました。


多分、ヒョウちゃんを抱いていなければ、

殴りかかっていたと思います。


間宮さんは、そんな逆上しているわたしを見ても、

全く態度を変えずに、冷やかに見つめながら、

抱いていたヒョウちゃんを、わたしからあっさりと奪い取って、

自転車の前カゴに入れたんです。


その後すぐに、今度は携帯を奪い取って画面を確認したら、

わたしに投げ返して自転車に乗ると、

「三崎、お前じゃ遅すぎて多分手遅れになる。

 私が運んでおくから、お前は後から来い、

 それと、お前も無理するな、酷い顔してるぞ。

 いいな」

と言い残すと、すごい速さで走り去ってしまい、

わたしは、怒りのぶつける先を失って、

急に力が抜けてしまい、その場に座り込んでしまいました。


今までの疲れと緊張が、急に解けたせいか、

座りこんだ途端に、頭がすごくクラクラしてきて、

1秒でも早く病院へ向かいたかったけど、

立てなくなってしまったので、

その間に忍さんへ、病院が見つかったことと、

今日はお休みさせてほしいと伝えておきました。


その後しばらく休んで、ちょっと落ち着いて来たところで、

めまいもだいぶ治まってきたから、地図を見ながら、

かなの教えてくれた動物病院へと向かったんです……


   ・   ・   ・   


その病院へは、歩いて行ったら1時間以上かかって、

やっと到着しました。


ドアの脇にある診療時間を確認すると、

とっくに終わっている時間でしたが、

間宮さんが乗っていた自転車があるのを見て、

急いで中に入りました。


待合室では、間宮さんが長椅子に座っていて、

その目の前の診察室だけに、明かりがついていて、

そこでヒョウちゃんの治療がされているみたいです。


入ってきたわたしに気づいた間宮さんは、

何故か急に立ち上がってわたしのところに駆け寄ると、

抱きしめられて、それと同時に真っ暗になりました……


   ・   ・   ・   


次に目を覚ました時には、わたしは3人の人に見下ろされていて、

それは、白衣を着た先生とナース服っぽい看護師さんと、

それから呆れ顔の間宮さんで、

わたしの体には、間宮さんが着ていたはずの、

ジャージの上着がかけられていました。


意識を取り戻したのを見た、先生と看護師さんは、

ほっとした表情になっていましたが、

間宮さんだけは渋い顔のままでしたね……


どうやらわたしは、ここに入ったところで、

そのまま倒れてしまって、しばらく気を失っていたようで、

その前の状況を思い出した途端、

勢い良く飛び起きると先生につかみかかって、

ヒョウちゃんはどうなったのかを、

ものすごく必死に尋ねてしまいました。


そしたら先生はとても驚いてしまい、

すぐに間宮さんが、わたしを先生から引き離して、

寝ていた長椅子に倒された後に、先生は乱れた白衣を直しながら、

ヒョウちゃんの状況を教えてくれました。


診断の結果、内臓や骨に異常はなかったけど、

引っかき傷と咬み傷がほぼ全身にあって、

更に全身打撲の状態で衰弱も酷く、

かなり危ない状態だったそうです。


今は応急処置を終えて眠らせてあり、

全治1ヶ月だと教えてもらいました。


先生は最後に、

「くれぐれも高坂さんに、宜しくお伝え下さい」

と言った後わたしへと、もうしばらく休んでから、

猫の様子を見ていく様に伝えて、

看護師さんと一緒に診察室へと戻っていきました。


わたしはここで、ようやく冷静になり、

今お金を持っていないのに気づいて、

先生を呼び止めて治療代のことを尋ねたら、

「それは高坂さんの方から、自分に請求してほしいと、

 連絡があったので、気にしなくても大丈夫ですよ」

と言われました。


結構、治療代って高いんじゃないのかなぁ、

後でかなに確認しよう。


ヒョウちゃんの具合が見たくて、長椅子から起き上がると、

まだ目眩がしてきてフラフラしてしまい、

そんなわたしを、間宮さんは素早く支えながら、

「どうしてお前は、私とサシで話す時いつも熱があるんだ?

 もしかして、気づいてないのか?」

と言われて、ここで初めて、

わたしは熱があることを自覚しました……


それよりも今は、ヒョウちゃんの様子を見ないとと思い、

間宮さんに肩を借りて、診察室に入ると、

そこには、ちょっと大き目のケージに入っている、

体や足に包帯を巻かれて、真っ黒から真っ白に変わっていた、

ヒョウちゃんが丸まって眠っていて、

その様子を見てやっと安心することか出来ました。


   ・   ・   ・   


その後家に帰ったんですけど、間宮さんはわたしに、

自転車の荷台に座るように言ってきて、座ると今度は、

「しっかりつかまってろ」

と言ってきて、自分のお腹の前で、

手を組むように言われたんです。


そして更に、着ていたジャージの上着で、

わたしと自分の胴体を縛ってから、

わたしの家に向かって出発したんですけど、

道中間宮さんは、わたしが寝ないように、

道をずっと聞きながら自転車をこいでいました。


わたしは熱のせいで、意識が朦朧としてくる中、

間宮さんの背中がとても暖かいのと、

右を向いて耳をつけていて、そこから聞こえてくる、

間宮さんの声と心臓の音が、

妙に心地よくてかなり寝そうでしたね。


これって、かながわたしに襲いかかって来た時に、

抱きついて寝ちゃった時と同じかもって、

遠のいていく意識の中で思いました。


そんなわたしの状態を察して、間宮さんは、

「三崎、寝るな!」

と怒っているけど、それはもうほとんど無理で、

わたしはウトウトしながら、間宮さんに呼びかけられては、

目を覚まして、道を指示してはまたウトウトする、

ひたすらこれの繰り返しです。


この時、もしジャージで縛られてなかったら、

確実に自転車から落ちていたと思います。


それでもかなり落ちかかっていたのを、

なんとか落ちずに、無事にうちまで辿り着けたのは、

間宮さんが後ろに手を回して、

わたしを支えてくれたおかげみたいです。


そんな調子で、どうにかうちまで辿り着くと、

間宮さんに肩を借りて、階段を上って、

玄関まで連れてきてもらったところで、

「ここまでくれば大丈夫だよな、私はこれで帰る。

 三崎、ちゃんと休め、じゃあな」

と言って、わたしがお礼を言おうとする前に、

間宮さんはさっさと帰ってしまいました。


   ・   ・   ・   


この後わたしは、すぐにお風呂に入って、

食欲もなかったから、すぐに寝ました。


治療代のことは気になるけど、

それはわたしが元気になったら、かなに確認してみよう。


それから間宮さんにも、すごくお世話になったから、

ちゃんとお礼を言わないとなぁ。


頭はまだかなりクラクラしてるけど、今は何よりも、

ヒョウちゃんが助かって良かったです。


これでやっと、ぐっすり眠れる……




8月25日 ヒョウちゃんのお見舞い


わたしの夏風邪も、昨日1日寝ていたらすっかり良くなったので、

ヒョウちゃんの様子を見に、根岸動物病院まで行って来ました。


今回はちゃんと診療時間内に行ったので、

わたし以外にも、ペットを連れてきている人がいましたね。


ヒョウちゃんも、うちで飼ってあげられれば、

あんなことにはならなかったんだろうけど、

それはヒョウちゃんの生き方ではないような気がする……


だから、どんなにわたしがそうしたくても、

多分無理だったんじゃないかと、

他の人のペットたちを見ていて、そう思いました。


それと治療費について、昨日かなにメールしたんだけど、

かなからの返信は一言だけ、

「priceless!」

って書いてありました。


これ、たしかお金では買えないほど価値がある、

って意味だったと思うんだけど、いまいち真意が読めません。


多分、あえて金額を伝えてこないのは、

自分が払うからいいって意味っぽいけど、

それは、なんだか申し訳ないなぁ……


でも、あんまり何度も聞くのも、

それはそれで失礼な気がしてくるし、

ヒョウちゃんが元気になって退院してから、

改めて確認しようと決めました。


そんなことを考えていると、

4つある診療室の一番右にある第4診療室から、

前に見た看護師さんに呼ばれて、わたしは中へと入りました。


   ・   ・   ・   


診療室の中では、院長の根岸先生が、

想像していない姿で、わたしの前に現れました。


先生は、両手と頭に包帯を巻いていて、

両頬にもガーゼが張ってあって、

この前に見た、ヒョウちゃん並みの状態だったんです。


わたしがその姿にびっくりして、何も言えずにいると、

根岸先生は、聞き取りづらい声で、

「ねえ、びっくりしたでしょう、

 これ、あなたの猫にやられたんですよ!

 高坂さんからのご紹介の方じゃなかったら、

 とっくに返しているところですよ本当に。

 こんなに凶暴な猫は初めてです、

 一体あなたはどういう躾してたんですか!」

って、いきなり怒られました。


やられたのは先生だけじゃなくて、2人の看護師さんもで、

その2人は現在自宅療養中なんだそうです。


「あなた、飼い主なら躾けるのは義務ですよ、

 それに予防接種も何にもやってないんでしょ、

 高坂さんに聞いたらひと通り処置して欲しいと言う、

 達ての依頼だったからやっておきましたけど、

 そう言うのは飼い主のあなたがしっかりとですね、

 管理しなくちゃ駄目なんですよ、

 ボーっとしてないでちゃんと聞いてますか、本当にもう」

と根岸先生は、飼い主としての心得を、

わたしに対してお説教して下さいましたが、

残念ながら、わたしは飼い主ではないですなんて、

口が裂けても言えない雰囲気だったので、

ひたすら頭を下げて、重ね重ね謝り続けておきました。


で、このお説教の後に、先生から驚くことを言われたんです。


「避妊手術をするかはあなたに聞いて欲しいと、

 言われているんですけどどうしますか?」


え、去勢じゃなくて、避妊!?


この時初めてわたしは、

ヒョウちゃんがメスだったのを知りました。


あんなに強いから、てっきり雄猫だとばっかり思い込んでた……


わたしは、ヒョウちゃんの飼い主ではないので、

そんなことを決める権利はないから、

根岸先生には、手術はしないで欲しいと伝えました。


この後もチクチクと先生のお説教は続きましたが、

10分くらいしたら、先生の気も済んだようで、

やっとヒョウちゃんの現状について、

話を聞かせてくれたんですが……


先生の話によると、ヒョウちゃんは、

凄まじい回復を見せているらしくて、

この分だと、かなり予定は早まって、

あと1週間もあれば、退院出来るそうです。


でもその代わり、元気になってきた途端に、

とてつもなく凶暴になって、治療のたびに、

それに立ち会った人間が病院送りになっているとも、

言われました。


やっぱ、そうなっちゃうよねぇ……


れは内心予想はしていたので、わたしはここでもまた、

すいませんの一点張りでしたね。


謝りつつも、ヒョウちゃんを見てみると、

前のケージとは違って、体の大きさと比べると全然大きい、

檻みたいなケージの中に容れられていて、

「普通の猫ならあれで十分なんだけど、

 この猫の場合普通のケージは壊して逃げ出すんで、

 大型犬用の檻に入れているんですよ、

 金属製の檻じゃないとまた逃げ出しそうなんでね」

と、先生はかなり嫌味っぽく説明して下さったので、

わたしはここでも、謝っておきました。


そんなわたしを見つめる、ヒョウちゃんの顔は、

あの日以前の元気な時とはちょっとだけ違っているように感じて、

試しに手を出してみたけど、檻の奥にいたから、

前に威嚇された距離まで近づけられなかったです。


これでもわたしは、命の恩人なんだから、

少しはわたしのこと、認めてくれればいいけど、

ヒョウちゃんがわたしのことを、どう思って見ているのかは、

やっぱり判りませんね……


わたしは先生に、かなにも伝えておくことも強調しつつ、

頭を深々と下げて、帰って来ました。


   ・   ・   ・   


今度お見舞いに来る時は、菓子折りとか持って来ないと、

ダメだなぁと心底思いました。


それとも紹介してくれた、かなと一緒に来た方がいいのかなぁ。


次の問題は、どうやって御家河までヒョウちゃんを運ぶかか……


あんな大きな金属の檻なんて、とても運べないし、

小さいケージだと、壊して逃げるだろうし、

麻酔でも打ってもらって、眠っているうちに運ぶとかしか、

出来なさそう。


これじゃあまるで、クマみたいだけど、

まぁ、あんまり変わらないかも。


ヒョウちゃん色々と、しでかしちゃってるけど、

元気になってきているから、わたし的には良かったです。


後は、あんまり病院の人に迷惑かけなければ、

もっと良いんだけど……




8月28日 絵が完成しました!


ここのところずっと、ヒョウちゃんの件で色々あって、

予定よりも枚数は描けなかったけど、

とりあえず、手がけていた1枚は、

満足がいくところまで仕上げることが出来ました!


これなら自信を持って、忍さんに見せられます。


それだけに、ダメ出しされた時のダメージも大きいですけど、

それを怖がってちゃ話にならないので、

ここは忍さんとの真剣勝負です!


で、今日絵が仕上がった時にたまたま通りかかった、

ランニング中の間宮さんに会ったんですけど、

間宮さんは、わたしのそばで立ち止まってから、

描き上がったばかりの絵を眺めた後に、

「ああ、本当に絵描いてたんだな、

 これでやっと、お前の言ってた事を信じられる。

 本当にストーカーではなかったのか」

と、呆れる発言をされました。


この人今まで、ずっと疑ってたんだ、

それって、ちょっと酷い気がするなぁ。


でも、間宮さんにはヒョウちゃんの件で、

すごくお世話になったし、文句を言える立場じゃありません。


わたしはここで改めて、

間宮さんにあの時のお礼を伝えたんですけど、

そしたら間宮さんは、ちょっと変な顔しながら、

「偶然、通りかかっただけだし、

 たまたま気が向いて、手助けしただけだ。

 と言うよりも大体なあ、

 あんな状態で地面に座ってる人間を見つけて、

 それが知ってる奴だったら声をかけるだろう、普通。

 それにしても、本当にお前は手のかかる奴だな、

 これで何回目だ、ったく。

 少しは自分の体調を認識しろ」

と、いつもとは違うトーンで怒られてしまい、

それは仰るとおりだったから、

わたしは謝ることしか出来ませんでした……


でも、間宮さんにとって、わたしはいつの間にか、

知り合いに昇格しているのは、間違いなさそうです。


「用はそれだけなら、私はもう行くぞ」


そう言い残して走り去ろうとした、間宮さんを、

わたしは呼び止めました。


今の間宮さんなら話を聞いてくれそうだし、いい機会だと思って、

今までずっと言いたかったことや聞きたかったことを、

ここで尋ねてみたんです。


まず始めに、わたしは間宮さんに対して、

恋愛感情は全くないことを、改めて説明したんですけど、

これに対して、間宮さんはすぐさま、

「そうは思えないな、だってお前、

 この前体調が悪そうだから自転車で家まで送ってやった時、

 私の背中に嬉しそうにしながら、抱きついていただろうが。

 あの時、つかまってろとは言ったが、

 胸まで掴んでいいと誰が言った?

 私の体をまさぐって喜んでたくせに、

 その気がないとは言わせないぞ」

と、とんでもない反論を返されました。


あぁ、それはたしかに、間宮さんの背中は、

すごく心地よかったのは認めるけど、え、胸を掴んだ!?

なにそれ、記憶にないんだけど?


もしかして、起こされるたびに必死でしがみついていたのが、

間宮さんの胸だったってこと?


えぇと、あのう、それとこれとは、違うんです。


決して、やましい気持ちじゃなくって、

触りたくって掴んだんじゃないし、

それに間宮さんのは、かなとかとは違って、

そんなに大きくないから、ちょっと判りづらかったのかも、

ってこれ言ったら殺される、ダメだ、うまく説明出来ない……


わたしは一応間宮さんに、それは寝そうになりながら、

必死につかんだのが胸だったのかも知れないけど、

それは意識してなかったし、第一わたしは覚えてないと、

慎重に言葉を選んで伝えました。


けど、間宮さんの目はまるで、

痴漢を見下すような冷やかな眼差しで、

「そういう下心だけは、あんな状況でもあるってことか。

 あれがお前の恋愛表現か、全く大したものだな」

とわたしの弁明は、全く聞き入れられず、

酷いまとめ方をされてしまいました……。


この件は、これ以上何を言っても無駄っぽいから、

次の話題へと変えようとしたら、

間宮さんは今にも、立ち去ろうとしていたので、

どうして合宿に行かなかったのかと、それと何で、

葵ちゃんには名前で呼ぶようにさせてるのかを、

わたしは早口に尋ねたんです。


すると、間宮さんの動きが止まって、

ゆっくりと、こっちを向きました。


でもその表情は、さっきまでの、

わたしの痴漢疑惑のことを、話していた時とは違って、

前にも見た怖い顔になっていました。


「三崎、それがお前に何か関係あるのか?

 別に関係ないだろう。

 余計な詮索はするなと、前にも言ったよなあ?

 まあいい、答えてやる。

 私は、自分の名前が気に入っているから、

 葵とは親しくなったんで、名前で呼ばせただけだ。

 合宿に行かなかった理由は、

 メンバーの中に気に食わない先輩がいるからだ。

 聞きたいのはそれだけだな、

 もう私は練習に戻るぞ、じゃあな」


そう早口に答えると、さっさと走って行ってしまいました。


   ・   ・   ・   


最後の質問の時の、間宮さんの態度、

いつもの間宮さんらしくなかった気がする。


力では絶対に、負けるはずがないのに、

妙に緊張していたって言うか、

なんかわたしのことを怖がっていたみたいな、

そんな気がしたのは気のせいかな……




8月30日 ヒョウちゃんの自主退院


今日は、いつものスーパーで買ってきた安物の菓子折りを持って、

根岸動物病院へと、ヒョウちゃんの面会に行って来ました。


家を出た後に、携帯を忘れてきたのに気づいたけど、

まあいいかと思ってそのまま病院へ向かうと、

その途中の道で、ヒョウちゃんに良く似た猫が、

塀の上を疾走しているのを、目撃したんです。


もうヒョウちゃんも、あのくらい元気になったかなぁ……


   ・   ・   ・   


病院に着くと、根岸先生が慌てた様子で病院の入り口から現れて、

わたしの姿を見たら、もっと動揺したのがすぐに判りました。


「ああ、君か、今預かっている猫が大暴れして、

 看護師2人を倒して逃亡してしまったんだ、申し訳ない!」

そう言って、根岸先生は頭を下げたんですけど、

わたしはそれを聞いても、特に驚きませんでした。


だって多分、近いうちにこうなるような気がしていましたから。


なのでわたしは先生に、逃げたことには触れずに、

ヒョウちゃんの具合のことだけを、先生に尋ねたんです。


「ぐ、具合? あ、ええと、もう怪我の方はかなり治っていた、

 普通の猫なら、まだ安静にさせておくべきだとは思うが、

 あの猫ならもう大丈夫かも知れないですが……」

かなり戸惑い気味ではあったけど、

一応先生のお墨付きをもらったので、

わたしは先生に、今まで面倒を診てもらったお礼と、

お土産の菓子折りを渡して、帰って来ました。


さっき走っていたのがヒョウちゃんなら、

もう心配いらなそうだと思ったからです。


御家河にも自力で戻るだろうし、手間も省けました。


そして帰り際に根岸先生から、

ヒョウちゃんは何と言う種類なのかと聞かれたんですけど、

そんなの判らないから、雑種って答えておきました。


   ・   ・   ・   


帰りにスーパーに寄って、ヒョウちゃんの好きそうな、

消化も良さげな牛挽肉とまずい硬水を買って帰りました。


明日にでも、御家河に行って、ヒョウちゃんに、

退院祝いをあげようと思います。




8月31日 ヒョウちゃんの凱旋


今日は1日、ヒョウちゃんに会うため、

御家河の土手に行っていました。


ヒョウちゃんだったら、1日あればここに戻っていると思うから、

今日は絶対に、今まで離れていた自分の縄張りの確認に、

歩き回っているはず。


だからわたしは、ヒョウちゃんと遭遇した回数が最も多い、

橋の脇の土手で待っていたんです。


   ・   ・   ・   


午前中からここへ来ていたんですけど、

お昼になったので、持ってきたお弁当を食べながら、

河と空を眺めつつ現れるのを待っていました。


そろそろ、かな……


すると予想通り、ヒョウちゃんは上流の方から、

こちらへとやって来るのが見えたので、

わたしは、牛挽肉のパックのビニールを破って、

硬水をお皿に注いで、私の左側の地面に置きました。


ヒョウちゃんは前と変わらず、堂々と、

道の真ん中を通って、私のところまで来ると、

わたしのすぐ後ろを通り過ぎ、硬水のお皿へと近づいて、

すぐに水を飲んでから肉も食べ始めました。


いつもは、私とある程度の距離をとってヒョウちゃんは座るから、

その分開けてお皿とパックを置いたんだけど、

今日のヒョウちゃんは、いつもより近くの、

わたしとご飯の間に、わたしに背中を向けて座っています。


まだ毛並みはボサボサだけど、もうすっかり元気そうです。


そうやってヒョウちゃんを観察しているうちに、

牛挽肉はあっという間に食べてしまい、

水もかなりの勢いで飲んでいて、

なくならないように注ぎ足していたら、

ペットボトルの半分以上、飲んでしまいましたね。


ご飯を食べ終えたヒョウちゃんは、

わたしに、お尻と尻尾を向けたままで、

珍しく満足げに、尻尾の先をゆっくり振っていました。


やっぱり、お腹が減っていたのかなぁ、

病院のご飯はまずかったんだね、ヒョウちゃん。


わたしは無意識に、すぐそばにいるヒョウちゃんの背中へと、

手を伸ばしてそっと撫でました。


すぐに、しまった! と思ったんだけど、

ヒョウちゃんは、不満そうな低い声で一度鳴いて、

ちょっと耳をこっちに向けただけで、

暴れもしないし、威嚇もされません。


尻尾はさっきよりも、イライラしているみたいで、

振るスピードが上がったけど、

ちょっとしたら、元の速さに戻りました。


……ヒョウちゃん、ついにわたしのこと、

認めてくれました!


でもやっぱり、触られなれてないせいか、

背中を撫でるたびに、ヒョウちゃんはイライラするみたいで、

不満げな低い声で鳴いていたし、

尻尾の振る早さも、その都度早くなってます。


でも、わたしはとても嬉しくて、

何度も何度も、触ってしまいました!


   ・   ・   ・   


きっと、あの時わたしが助けたことを覚えていて、

認めてくれたんだと思います。


後は首輪をしてくれたら、いいんだけど、

これはさすがに当分先だろうなぁ……


今日は、わたしとヒョウちゃんにとって、

大きく前進した、嬉しい記念日です!





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