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2010年  6月 その2

変更履歴

2010/11/27 誤植修正 県予選大会 → 地区予選大会

2011/04/11 記述統一 1年生、(中学)2年、高校3年 → 一年生、二年、高校三年

2011/04/14 記述修正 一回り → ひと回り

2011/04/15 記述統一 (回数)1度、2度、3度 → 一度、二度、三度

2011/04/21 記述統一 (期間)一日、二月、三年 → 1日、2月、3年

2011/06/04 記述統一 一つ、二つ、三つ → 1つ、2つ、3つ

2011/06/28 誤植修正 今だ → 未だ

2011/07/27 記述統一 一人、二人、三人 → 1人、2人、3人

2013/06/16 誤植修正 見たいな事言われたらどうしよう → みたいな事言われたらどうしよう

2013/06/16 誤植修正 興味を引かない作風だね → 興味を惹かない作風だね

2013/06/16 句読点調整

2013/06/16 改行調整

2013/06/16 区切り行追加

2013/06/16 記述統一 友だち → 友達

2013/06/16 記述統一 ひと通り・一通り → ひととおり

2013/06/16 記述統一 かなちゃん → かな

2013/06/16 小題変更 忍さんに絵を見てもらいました → 絵の評価

2013/06/16 記述修正 本日は創立記念日で → 今日は創立記念日で

2013/06/16 記述修正 体育祭の日に休んだから、その分も取り返す為 → 体育祭の日に休んだ分も取り返す為に

2013/06/16 記述修正 今日は、忍さんにわたしの絵を → この日は忍さんも朝から来ると聞いていたから

2013/06/16 記述修正 見てもらおうと思って、時間があるかを尋ねると → 時間があるかを尋ねると

2013/06/16 記述結合 前に、時間がある日を聞いてみたんです。 → 時間があるかを尋ねると、

2013/06/16 記述修正 そしたら、平日の昼間なら → 昼間なら

2013/06/16 記述修正 そんなに忙しくもないから、大丈夫 → 大丈夫

2013/06/16 記述修正 との事だったので、今日バイトがてら → との返事だったので

2013/06/16 記述結合 絵を見てもらう事にしました → 絵を見てもらうことにして、

2013/06/16 記述修正 午後に時間を作ってくれて → 午後に時間を作ってくれたので

2013/06/16 記述修正 バイトを外れて → バイトのシフトから外れて

2013/06/16 記述移動 今まで書いた、スケッチブックやクロッキーの中から、

2013/06/16 記述移動 ちょっとは自信があるのを持ってきて、

2013/06/16 記述分割 ちょっとは自信があるのを持ってきて、 → ちょっとは自信があるのを持ってきました。

2013/06/16 記述修正 忍さんに、見てもらいました。 → 持って来た絵を見せたんです……

2013/06/16 記述修正 1ページずつ、無言で眺めて、と言うより → 1ページずつ見始めたんですけど、それは眺めるなんて感じではなく

2013/06/16 記述修正 チェックをしてるかのような、厳しい雰囲気で → 普段の忍さんとは違う厳しい雰囲気で

2013/06/16 記述修正 とても気軽に声を掛けられません → とても声を掛けられません

2013/06/16 記述修正 思わず、面接試験を受けているような気持ちで → 面接試験を受けているような気持ちで

2013/06/16 記述修正 全ページを確認していました → 全ページを確認してましたね

2013/06/16 記述修正 スケッチブックを → そして最後まで見た後、スケッチブックを

2013/06/16 記述修正 息を吐いてから水を一口飲むと → 息を吐いてから水をひと口飲むと

2013/06/16 記述修正 いきなり厳しい事を言う宣言をされました。 → いきなり厳しいことを言う宣言をされました……

2013/06/16 記述修正 わたしは、この時点で → わたしはもうこの時点で

2013/06/16 記述修正 全然ダメ、みたいな事言われたらどうしよう → 全然ダメみたいなこと言われたらどうしよう

2013/06/16 記述修正 と思って → かと思って

2013/06/16 記述修正 でも、忍さんに、どうぞお願いします、と返しました → 覚悟を決めて、頷きました

2013/06/16 記述修正 道具のせいもあるとは思うけど → 道具の所為もあるとは思うけど

2013/06/16 記述修正 使ってる筆の数が判るもん → 使ってる筆の数が判るから

2013/06/16 記述修正 涙が、鼻水が → 涙と鼻水が

2013/06/16 記述修正 思っていた事を → 思っていたことを

2013/06/16 記述修正 あっさりと言い当てられてしまったから。 → あっさりと言い当てられてしまったから……

2013/06/16 記述修正 鼻を啜りながら、覚悟を決めて → 鼻を啜りながら

2013/06/16 記述修正 続けて下さい、と言いました → 続けて欲しいと伝えたんです

2013/06/16 記述修正 『使用中』へと代えてから戻って来て → 『使用中』に変えてから戻って来て

2013/06/16 記述修正 鉛筆画のことで → 鉛筆画の事で

2013/06/16 記述修正 これは → これって

2013/06/16 記述修正 忍さんに、評価ではなくて、質問されたので → わたしはこの質問に

2013/06/16 記述削除 わたしは、ちゃんと喋れそうもなかったから、

2013/06/16 記述修正 ううん、と首を振って答えました → 首を振って答えました

2013/06/16 記述修正 私の気のせいか → 私の気の所為か

2013/06/16 記述修正 そしたら、時間が出来た時にでも教えるよ → 時間がある時にでも教えるよ

2013/06/16 記述削除 落ち着くまでゆっくりしてていいよ、と言い残して、

2013/06/16 記述修正 しばらく泣いていました → その後もしばらく泣いていました

2013/06/16 記述修正 とても嬉しかったんです。 → とても嬉しかったから……

2013/06/16 記述修正 めちゃめちゃ厳しくて → めちゃめちゃ厳しいらしく

2013/06/16 記述修正 その評価に反論出来る人は、少ないとかで → それに反論出来る人は少ないとかで

2013/06/16 記述修正 でも作風が似てるっていうのは → それとは別に、作風が似てるって話は

2013/06/16 記述修正 ちょっと気になりました → ちょっと気になりましたね

2013/06/16 記述修正 去年はクラス内で、ちょっと騒がれたくらいで → 去年はクラスでちょっと騒がれたくらいで

2013/06/16 記述修正 それで終わっていたんだけど、今回は体育祭で → 終わっていたんだけど、今回は

2013/06/16 記述修正 異常な速さで → それも、異常な速さで

2013/06/16 記述修正 なんだか残念な名前で → なんだか残念な感じで

2013/06/16 記述修正 もう先週の頭から、休み時間とか、お昼休みとか → もう先週から、休み時間やお昼休み

2013/06/16 記述修正 放課後とか、この人たちは授業どうしてんだろ → 放課後まで、この人たちは授業どうしてんだろう

2013/06/16 記述修正 マークされてて → ずっとマークされていて

2013/06/16 記述修正 外でマークしているほどです。 → 必ず外で待機いるほどで……

2013/06/16 記述削除 とか、

2013/06/16 記述修正 顧問の先生までやってきて言ってくるんです、毎日のように → 顧問の先生までやってきて、毎日言ってくるんです

2013/06/16 記述修正 諦めてもらうことにしたんです → 諦めてもらうことにしました

2013/06/16 記述修正 全員唖然としていました → 全員唖然としてましたね

2013/06/16 記述修正 中には、ふざけてんのか! → それを見ていた人の中には、「ふざけてんのか!」

2013/06/16 記述分割 とか怒り出した、三年の人とかもいたけど、 → と怒り出した、三年の人もいましたね。

2013/06/16 記述修正 わたしは最後まで泳いだ後に → 最後まで泳いだ後に

2013/06/16 記述修正 それと → それに

2013/06/16 記述修正 温水プールで泳げたのだけは → でも今日は、温水プールで泳げたことだけは

2013/06/16 記述修正 校庭の脇を通ると → 校庭の脇を通ったら

2013/06/16 記述修正 陸上部が練習をしていました。 → 陸上部が練習をしてたのでよく見ると、

2013/06/16 記述修正 わたしはちょっとそれが気になって → わたしはちょっとそれが気になったので

2013/06/16 記述修正 けっこう目立ってました → けっこう目立ってましたね

2013/06/16 記述修正 お礼を言うべきかなとも思ったけど → お礼を言うべきかとも思ったけど

2013/06/16 記述修正 って言う思いも → って言う気持ちも

2013/06/16 記述追加 ベンチに座って間もなく、

2013/06/16 記述修正 ずっと先頭で走って → ずっと先頭で走っていたし

2013/06/16 記述修正 後ろの人を、だんだん引き離していって → その後も、後ろの人を引き離して

2013/06/16 記述修正 こっちに近づいてきました。 → こっちに近づいてきたんです……

2013/06/16 記述修正 私になんか → 私に

2013/06/16 記述修正 なんてこと、言えるはずもなくて → なんて、言えるはずもなく

2013/06/16 記述修正 わたしは体育祭のプールでのお礼を言おうとして → とりあえず

2013/06/16 記述修正 間宮さんのことを!? → 実は間宮さんのことを!?

2013/06/16 記述修正 急いで家に帰って熱測ってみたら → 急いで家に帰って熱を測ってみたら

2013/06/16 記述修正 風邪引いたようです → 風邪を引いたようです

2013/06/16 記述修正 門埜さんに関わっている人とかが → 門埜さんに関わっている人が

2013/06/16 記述結合 手を出されたりとかは、まだ無いです → 手を出されたりは、まだありませんけど、

2013/06/16 記述修正 でも体育祭の後から → 体育祭の後から

2013/06/16 記述結合 わたしにはどうも良く判りません。 → わたしにはどうも良く判らないけど、

2013/06/16 記述追加 標的がいなくなったら、次の相手を狙うんじゃ……

2013/06/16 記述結合 廊下に出て行って話をしてるみたいです。 → 廊下に出て行って話をしてるみたいで、

2013/06/16 記述修正 前にも間宮さんに話に来ていた → 前にも見かけた

2013/06/16 記述修正 いつもお昼休みはここにはいないから → いつもお昼休みはここにいないから

2013/06/16 記述修正 別の時間に出直した方がいいよ → 別の時間に出直した方がいい

2013/06/16 記述修正 と教えてあげると → と教えてあげたら

2013/06/16 記述修正 お礼を言われてしまい → 良く通る声でお礼を言われてしまい

2013/06/16 記述修正 周囲の視線を集めてしまいました → すっかり周囲の注目の的でした

2013/06/16 記述修正 やっぱり → 見た目は

2013/06/16 記述結合 苗字を呼ばれたような気が…… → 苗字を呼ばれたような気がするけど、

2013/06/16 記述修正 なんでこの子が知ってんだろう? → なんでこの子が知ってるんだろう……

2013/06/16 記述結合 この子と途中まで一緒に向かいました。 → 途中まで一緒に向かうと、

2013/06/16 記述結合 すぐに謝りました。 → すぐに謝ったんですが、

2013/06/16 記述修正 大丈夫です → 大丈夫です!

2013/06/16 記述修正 絶対言われるんです → 絶対言われるんです!

2013/06/16 記述修正 こっちを見上げて、話すところとかを見てると → こっちを見上げながら話すところを見てると

2013/06/16 記述結合 尋ねました。 → 尋ねてみたら、

2013/06/16 記述修正 その子の話では、水泳部の友達がいて → 大威さんには水泳部の友達がいて

2013/06/16 記述修正 前の体育祭の話とか、その後の水泳部での話とかを → 前の体育祭の話や、その後の水泳部での話を

2013/06/16 記述修正 探す時の特徴が、やたらと髪の長い二年の女子 → 「探す時の特徴が、やたらと髪の長い二年の女子だって

2013/06/16 記述修正 と説明を受けたと → 説明を受けたと

2013/06/16 記述修正 判ったんです! → 判ったんです!」

2013/06/16 記述結合 陸上部での間宮さんのことを尋ねました。 → 陸上部での間宮さんのことを尋ねた途端、

2013/06/16 記述修正 そしたら、大威さんは目をきらきらさせて → 大威さんは目をキラキラさせて

2013/06/16 記述修正 自分もメンバーだけど → 自分もメンバーなのに

2013/06/16 記述修正 みこと先輩のことを尊敬してます! → みこと先輩を尊敬してます!

2013/06/16 記述修正 もっと驚きました → もっと驚きです

2013/06/16 記述修正 とは思っていたけど、この子の話とか → とは思っていたけど

2013/06/16 記述修正 他の予選出場メンバーなら優先されるのに → 予選出場メンバーなら優先されるのに

2013/06/16 記述修正 わたしたち一年と同じ練習で → わたしたち一年と同じ練習だし

2013/06/16 記述修正 雑用とかも、やらされてるけど → 雑用まで押し付けられても

2013/06/16 記述修正 誰よりも速いの → 誰よりも速いのは

2013/06/16 記述修正 ほとんど判るなぁ → ほとんど判る

2013/06/16 記述修正 ああ、それはわたしも一緒かも。 → あぁ、それはわたしも一緒かも……

2013/06/16 記述修正 飲み物をおごってあげました → 飲み物をおごってあげたんです

2013/06/16 記述修正 大威さんは、はきはきと → そしたら大威さんは、やっぱり元気に

2013/06/16 記述修正 相手にしていないんだろう、なんて思っていたから → 相手にしていないんだろうって思っていたから

2013/06/16 記述修正 すごく新鮮で嬉しかったんです → すごく新鮮で嬉しかったんですよね

2013/06/16 記述修正 もうちょっと考えれば良かったかなぁ…… → もうちょっと考えればよかったかも。

2013/06/16 記述修正 バイトとか忙しいから → 今はバイトが忙しいし

2013/06/16 記述修正 あんなかわいい後輩がいると思うと → それにしても、あんなかわいい後輩がいると思うと

2013/06/16 記述修正 また、部活の様子を見に行ってみようかな……

2013/06/16 記述修正 久しぶりに家に帰っていた母から、手紙を渡されました → 久しぶりに帰っていた母から、手紙を渡されたんです

2013/06/16 記述修正 テレビとかではどっかで → テレビでは

2013/06/16 記述修正 あんまりいないんじゃないかな → あんまりいないんじゃないか

2013/06/16 記述修正 まさか自分宛に届くとは。 → まさか自分宛に届くとは……

2013/06/16 記述削除 それに今までのわたしなら、海外からわたし宛に、

2013/06/16 記述削除 手紙を出すような知り合いも、いなかったし。

2013/06/16 記述修正 よく分からない長い名前でした → よく分からない長い名前でしたね

2013/06/16 記述結合 とか思いながら、早速開けてみました。 → なんて思いながら、早速開けてみると、

2013/06/16 記述修正 ひと回り小さな、宛名とかが記入済みの封筒と → ひと回り小さな宛名が記入済みの封筒と

2013/06/16 記述修正 懐かしいなつめの直筆です。 → 懐かしいなつめの直筆でした……

2013/06/16 記述修正 2ヶ月ぶりですね → 2ヶ月経ちましたが

2013/06/16 記述修正 代わりにメール打ってもらえば、出来なくもないけど → 代わりにメールを打ってもらえば、出来なくもないけれど

2013/06/16 記述修正 苦痛とかは無いのですが → 痛みなどは無いのですが

2013/06/16 記述修正 1ヶ月に2日間しか起きていないので → 1ヶ月に2日間しか起きておらず

2013/06/16 記述分割 月日が経つのがとても早いです、 →  月日が経つのがとても早いです。

2013/06/16 記述移動  何しろ、普通の人の14倍で進むので。

2013/06/16 記述結合 何しろ、普通の人の14倍で進むので。 → 普通の人の14倍で進むので、

2013/06/16 記述修正 この眠っている時間が長い方が → 眠っている時間が長い方が

2013/06/16 記述修正 筋肉がこわばってしまって → 筋力が落ちてしまって

2013/06/16 記述移動  心配しなくても、ちゃんと榊から、

2013/06/16 記述修正 心配しなくても、ちゃんと榊から → 今はちゃんと榊から

2013/06/16 記述移動  トレーニングのレクチャーは受けているので、安心して下さい。

2013/06/16 記述修正 トレーニングのレクチャーは受けているので → トレーニングのレクチャーを受けているので

2013/06/16 記述削除  次の勝負では、体力のハンディをこれでカバーするから、

2013/06/16 記述削除  前みたいには行かないと、覚悟しておいて下さい。

2013/06/16 記述修正 おかわりを要求するけど → おかわりを要求するけれど

2013/06/16 記述修正 病院食を進んで食べたいなんて → 病院食を進んで食べたいだなんて

2013/06/16 記述結合 これが2通目です。 → これが2通目で、

2013/06/16 記述修正 先月に父と母へ宛てた手紙を書いて出しました → 先月に父と母へ宛てた手紙を出しました

2013/06/16 記述修正 改めて書きました → 改めて書いたんです

2013/06/16 記述修正 今までのお礼とか、これからも迷惑をかけるけど → 在り来たりな短い文章にまとめただけなのに、

2013/06/16 記述削除  宜しくお願いしますとか、

2013/06/16 記述削除  その程度の内容しかないのに、

2013/06/16 記述修正 私が子供だからなのかも知れないけど → 私がまだ子供だからなのかも知れないけれど

2013/06/16 記述修正 かなり恥ずかしいし → かなり気恥ずかしいし

2013/06/16 記述修正 こっちに来てから → こちらに来てからというもの

2013/06/16 記述修正 特別治療室の中に監禁されているから → 特別治療室の中に監禁されている様なものだから

2013/06/16 記述修正 まあ、私としては、2週間に一度だけど → でも私としては、2週間に一度だけでも

2013/06/16 記述修正 良いのですけど → 良いのですけれど

2013/06/16 記述修正 榊にその事を聞くと → 榊にその事を尋ねると

2013/06/16 記述修正 とか言ってます → と言っています

2013/06/16 記述修正 優先順位が違うんじゃないの? → 優先順位が違うんじゃないのか

2013/06/16 記述修正 とか思うんだけど → と思い

2013/06/16 記述修正 まあ、こんな感じで → 今はこんな感じで

2013/06/16 記述修正 私の事は、今のところ → 私の事は

2013/06/16 記述修正 そんなに心配しなくても大丈夫です → 心配しなくても大丈夫です

2013/06/16 記述修正 そっちの近況も知りたいから → そちらの近況も知りたいから

2013/06/16 記述修正 まるでSF映画の宇宙船の中みたいな → まるでSF映画に出て来る、宇宙船の中みたいな

2013/06/16 記述修正 伸ばしてるのかな → 伸ばしてるのかも

2013/06/16 記述修正 童話の眠り姫とかみたいだなぁ…… → 童話の眠り姫みたい……

2013/06/16 記述修正 この文面には → 手紙の文面には

2013/06/16 記述修正 そこはわざと書いてないんだと思いました → そこはわざと書いてないんだと思います

2013/06/16 記述追加 強がっているのもあるでしょうけど、

2013/06/16 記述追加 きっと、わたしに余計な心配させないように……

2013/06/16 記述修正 わたしもこの日に → この日の夜に

2013/06/16 記述修正 がんばってますとだけ書いて → 適当に

2013/06/16 記述修正 向こうでなつめも、がんばってるんだから → なつめも向こうで、頑張ってるんだから

2013/06/16 記述修正 がんばります! → 頑張ります!


6月16日 絵の評価


今日は創立記念日で、学校はお休みなので、

体育祭の日に休んだ分も取り返す為に、終日航海堂でバイトです。


この日は忍さんも朝から来ると聞いていたから、

時間があるかを尋ねると、昼間なら大丈夫との返事だったので、

絵を見てもらうことにして、

今まで書いた、スケッチブックやクロッキーの中から、

ちょっとは自信があるのを持ってきました。


忍さんは、午後に時間を作ってくれたので、

わたしもその時間に合わせて、バイトのシフトから外れて、

持って来た絵を見せたんです……


   ・   ・   ・   


忍さんは、まずクロッキー帳を手にとって、

1ページずつ見始めたんですけど、

それは眺めるなんて感じではなく、

普段の忍さんとは違う厳しい雰囲気で、

とても声を掛けられません。


わたしはだんだん緊張してきて、

面接試験を受けているような気持ちで、

背筋を正して、忍さんの返答を待ちました。


クロッキー帳をひと通り見終わると、

今度は、水彩のスケッチブックを手にとり、

これも真剣な眼差しで、全ページを確認してましたね。


そして最後まで見た後、

スケッチブックをテーブルに置いた忍さんは、

ふぅっと、息を吐いてから水をひと口飲むと、

「みなもちゃん、率直に言うけど、いい?」

と、いきなり厳しいことを言う宣言をされました……


わたしはもうこの時点で、

全然ダメみたいなこと言われたらどうしようかと思って、

既にちょっと涙目でしたが、覚悟を決めて頷きました。


「では遠慮なく。

 まず水彩の方だけど、道具の所為もあるとは思うけど、

 あんまり面白くない。

 て言うか、興味を惹かない作風だね。

 みなもちゃん、道具にお金かけてないでしょ?

 使ってる筆の数が判るから、この絵じゃ。

 それだと、良くない絵は余計に悪くなる。

 これ以上はこの道具じゃ描き表せないって、

 自分で限界作って甘えちゃうから。

 もし、ちゃんとした絵にしたいなら、

 描きたいものを、的確に表現しきれる道具を揃えて、

 甘える余地を無くさないと駄目」


……もうこれだけで、わたしは限界を超えてしまいました。


涙と鼻水が、止まりません。


悲しいのではなく、悔しかったんです。


自分でも何となく、思っていたことを、

あっさりと言い当てられてしまったから……


そんなわたしを見ても忍さんは、普通に冷静な声で、

「まだ続きあるけど、ちゃんと聞ける?

 なんなら、落ち着いてからにしようか?」

と言われたけど、忍さんはそんなに暇じゃないし、

わたしも最後まで聞きたかったので、

鼻を啜りながら、続けて欲しいと伝えたんです。


忍さんはその間に、更衣室のドアの所まで歩いて行って、

ドアを開けて外側にあるプレートを、

『使用中』に変えてから戻って来て、再開しました。


「鉛筆画の事で、ちょっと聞きたいんだけど、

 この画風、どっかで見た事があるような気がしてて、

 それが何だったか、思い出せないんだよね。

 これって参考にしている画家とかいる?」


わたしはこの質問に、首を振って答えました。


「そう、じゃあ、私の気の所為か、

 この鉛筆画だけど、うん、いいと思う。

 私は好きだな。

 描きたい対象を、どう見せたいかも伝わってくるし、

 それだけのスキルもあるのが分かる。

 こっちは、限界を決めてないで描けてる。

 後は、テクニックを覚えれば、更に理想に近づくと思う。

 もっとどういう風に表したいってのを、教えてくれれば、

 時間がある時にでも教えるよ」

と言って、わたしにティッシュとハンカチを渡して、

更衣室を出て行きました。


わたしは泣きながら頭を下げて、

その後もしばらく泣いていました。


今度は、嬉しくて。


忍さんに、好きな絵と言ってもらえたのは、

とても嬉しかったから……


   ・   ・   ・   


30分くらいして、やっと落ち着いたので、

トイレに行って自分の顔を確認してから、お店に戻りました。


後で他のバイトの人に聞くと、

忍さんは、学生だけど作品の評価になると、

めちゃめちゃ厳しいらしく、

ほとんどの作品は、ダメ出しされるんだそうです。


時には、目の前にいる先輩や准教授の作品でも。


でも、その批評が的を得ていて、

それに反論出来る人は少ないとかで、

ダメ出しされなかった絵もあったことを伝えると、

みんな、とても驚いていました。


この日忍さんは用事で、店には戻って来なかったので、

直接お礼は言えなかったから、メールでお礼を伝えました。


それとは別に、作風が似てるって話は、

ちょっと気になりましたね。


一体、誰にだったんだろう……




6月22日 水泳部の勧誘


あの体育祭の日以降、かなの予告どおり、

ずっとある人たちに、付きまとわれています。


それは、水泳部の人たちです。


去年はクラスでちょっと騒がれたくらいで、

終わっていたんだけど、

今回はギャラリーもいるところで泳いだもんだから、

相当有名になってしまったようです。


それも、異常な速さで50mを潜水で泳ぎきって、

そのまま失神した女子と言う、なんだか残念な感じで。


もう先週の頭から、休み時間やお昼休み、放課後まで、

この人たちは授業どうしてんだろうって思うくらい、

ずっとマークされていて、

トイレに行っても、多分一年の女子の部員とかが、

必ず外で待機いるほどです……


それで、近づいてきたと思えば、

「ぜひ、水泳部に入部して下さい!」

「君ならインターハイ出場も夢じゃないから!」

「大会でいいタイムを出せば、受験もスポーツ推薦取れるぞ!」

なんてことを、部員の生徒だけじゃなくて、

顧問の先生までやってきて、毎日言ってくるんです。


最初は、色んな人に相手にされてるのが、

ちょっとは嬉しかったけど、

さすがに3日も続くと、嫌気がさして来ました。


今までの誰とも話せなかった、静かな日々が懐かしいです。


まあ、この学校は水泳には力を入れているところだし、

かなり目立ってしまったのは事実だから、

しょうがないので、わたしの本当の実力を見てもらって、

諦めてもらうことにしました。


   ・   ・   ・   


放課後、わたしは水泳部の待っている、

室内温水プールへと行きました。


最初は全員で大歓迎みたいな雰囲気でしたが、

わたしが潜水以外で泳ぎ始めると、

全員唖然としてましたね、そのあまりの遅さに。


それを見ていた人の中には、

「ふざけてんのか!」

三年の人もいましたね。


最後まで泳いだ後に、わたしが速いのは潜水だけなので、

もし、潜水で25m泳げばいい競技があるのなら、

それなら参加しますと告げて、帰って来ました。


ああ、めちゃめちゃ緊張したし、

それにものすごく恥ずかしかった……


なんで、こんな目に遭わないといけないんだろう、

だけどもうこれで、水泳部の人たちは来ないはずです。


でも今日は、温水プールで泳げたことだけは、

すごく良かったです。


もうちょっと上手いことやれば、

温水プールで、泳げるように出来たかなぁ、

まあ、いいや。


   ・   ・   ・   


プールから教室へと戻る途中、校庭の脇を通ったら、

陸上部が練習をしてたのでよく見ると、

その中には、間宮さんも混じっていて、

ちょうどこれから、短距離を走るところでした。


体育祭ではかなり速かったけど、

陸上部の中では、どうなんだろう。


わたしはちょっとそれが気になったので、

ベンチに座って、その様子を見ていくことにしました。


陸上部の中でも、間宮さんはやっぱり大きい方で、

けっこう目立ってましたね。


間宮さんとは体育祭の後、一度も話をしていません。


お礼を言うべきかとも思ったけど、

原因を作った張本人なんだからっていう気持ちもあったし、

やっぱりクラスでは、声をかけるなオーラが、

かなり強くって、何も言えず……


だからわたしの中に、

ここでなら何か言えるかもって言う気持ちも、

あったのかも知れません。


ベンチに座って間もなく、スタートの笛がなって、

並んでいた6人の人たちが、一斉に走り出しました。


さすがに体育祭の時のように、ゴボウ抜きとは行きませんが、

間宮さんはここでも、他の人たちよりも速かったです。


スタート直後から、ずっと先頭で走っていたし、

その後も後ろの人を引き離して、

最後は2位の人から、1mくらい離してゴールしてました。


やっぱり、走るフォームがきれいだなぁ、

なんか野生の動物、チーターとか、ヒョウとか、

そういう感じで、かっこいいです。


間宮さんの走る姿は、自分でも理由が判りませんが、

何度見てもなぜか飽きなくて、

わたしは、髪が乾ききっていないのも忘れて、

ずっと練習を見ていました。


   ・   ・   ・   


日が暮れてきたので、練習が終わり、

二年や三年の人は、部室へと戻っていって、

一年生が道具の片付けをし始めると、

一緒に手伝っていた間宮さんが、わたしに気づいて、

こっちに近づいてきたんです……


そして、わたしの目の前に来て、

「さっきから何してんだ?

 私に用でもあるのか?」

と、きつい口調で言われました。


まさか、走る姿に見蕩れてましたなんて、言えるはずもなく、

とりあえず立ち上がった途端、なんだか顔が熱くなって、

頭がクラクラしてきました。


わたしって、自分でも気づかなかったけど、

実は間宮さんのことを!?


なんて自分で驚いていたら、怪訝な表情で、

じっと顔を近づけて見つめられた後、

「お前顔赤いぞ、風邪引いてんじゃないのか?

 こんなところにずっといるからだろ、早く帰れ」

と言い捨てられて、片付けへと戻っていってしまいました。


え、風邪?


そういえば、なんか寒気がするような……


   ・   ・   ・   


急いで家に帰って熱を測ってみたら、微熱でした。


やっぱりわたし、風邪を引いたようです。


もし熱がなかったら、本当にどうしようかと思いました。


ああよかった、熱があって。


結局、間宮さんには何も言えなかったけど、

教室にいる時よりも、部活の時の方が、

普通に話せそうな感じなのが判りました。


口はきついけど、けっこう真面目で、

いい人なんじゃないかなって思うのは、

勘違いかなぁ……




6月25日 陸上部での間宮さん


最近、下校している時に、

誰かがわたしを見ているような気がします。


水泳部の人たちのはずもないし、

やっぱり、前に襲われたときと同じ、

門埜さんに関わっている人が、

今度はわたしを、狙っているのかも……


でも教室の中では相変わらずで、取り巻きの人からも、

手を出されたりは、まだありませんけど、

体育祭の後からずっと、標的にされていた男子が、

今週からずっと休んでいます。


あの人たちが、どういうやり方で、

対象にする人を決めているのかが、

わたしにはどうも良く判らないけど、

標的がいなくなったら、次の相手を狙うんじゃ……


間宮さんの方も、相変わらずです。


クラスの人とはまともに話をしないけど、

たまに、部活の人が教室の外に来ると、

廊下に出て行って話をしてるみたいで、

何となく、一年生が良く来てる気がします。


今日も昼休みに、間宮さんがどこかへ行っていた時、

前にも見かけた、かなり小柄でかわいらしい一年の女子が、

教室の中を覗いているのに気づきました。


わたしはこの子のところへ行って、

間宮さんは、いつもお昼休みはここにいないから、

別の時間に出直した方がいいと教えてあげたら、

「教えていただいて、ありがとうございます、三崎先輩!」

としっかり頭を下げて、良く通る声でお礼を言われてしまい、

すっかり周囲の注目の的でした。


見た目はちっちゃくてかわいらしくても、

やっぱり体育会系だから、元気だなぁ、あれ?

今わたし、苗字を呼ばれたような気がするけど、

なんでこの子が知ってるんだろう……


   ・   ・   ・   


お昼休みは、まだ時間が残っていたので、

売店へ行く方向と、この子の教室は同じだったから

わたしは飲み物を買いに行くついでに、途中まで一緒に向かうと、

歩き始めてすぐに、彼女は自己紹介しました。


大威おおい あおいさん。


わたしは無意識に、全部ア行だと言ってしまい、

もしかして気にしてるかもと思って、すぐに謝ったんですが、

でも大威さんは笑顔で、

「大丈夫です!、気にしてませんから、

 それ、自己紹介すると、絶対言われるんです!」

と、明るく答えました。


メイクしてる感じじゃないのに、目が大きくて、

並ぶと頭がわたしの首くらいだから、

身長が150cmもなくて、雰囲気は子犬っぽい感じで、

こっちを見上げながら話すところを見てると、

ちょっとだけ、かなに似てるかも?


肩くらいまでの黒髪を後ろで束ねてて、

短い尻尾みたいで、頭の形が丸いからよく似合ってました。


わたしは歩きながら、大威さんに、

どうしてわたしの名前を知っていたのかを、尋ねてみたら、

大威さんには水泳部の友達がいて、

前の体育祭の話やその後の水泳部での話を、

その友達から聞いたんだそうで、

どうやら、その水泳部の友達の子が、

わたしに付きまとっていた人たちの中の1人だったみたいです。


「探す時の特徴が、やたらと髪の長い二年の女子だって、

 説明を受けたとその友達が言っていて、

 それが三崎先輩だって聞いていたから、判ったんです!」

と、彼女は元気良く答えてくれました。


もう1つ、わたしはこの子に、

陸上部での間宮さんのことを尋ねた途端、

大威さんは目をキラキラさせて、

「みこと先輩は本当にすごいんですよ!

 タイムは、短距離も長距離も速いし、

 アドバイスとかも的確ですし。


 他の先輩たちは、インターハイの地区予選大会の、

 トレーニングを優先していて、

 私たち一年を、相手してくれないんですけど、

 みこと先輩だけは、自分もメンバーなのに、

 ちゃんと指導してくれるんです。


 わたし、みこと先輩を尊敬してます!」

と、すごい勢いで教えてくれました。


わたしは、大威さんの勢いにびっくりしたけど、

それよりも、間宮さんが後輩の面倒見が良いってことを聞いて、

もっと驚きです。


部活では、教室とは態度が違ってるとは思っていたけど、

これだけ慕ってる後輩がいるんだから、

すごく良い先輩ってことだよなぁ。


大威さんは、さっきのテンションから、

ガラッと変わって、今度はとても悔しそうに、

「でも、そのせいで、みこと先輩、

 他の先輩たちからは、あまり良く思われてないんです。

 練習も、予選出場メンバーなら優先されるのに、

 わたしたち一年と同じ練習だし、雑用まで押し付けられても、

 文句も言わずに従ってるんです。

 練習のタイムだけで見たら、誰よりも速いのは、

 みんな判っているのに」

と、呟きました。


この子、すごく素直で正直なんだなぁ、

顔に感情がめちゃめちゃ出ていて、

次にどういうことを言おうとしているか、ほとんど判る。


あぁ、それはわたしも一緒かも……


   ・   ・   ・   


ここまで話をしていたら、売店について、

わたしは大威さんに、色々教えてもらったお礼に、

飲み物をおごってあげたんです。


そしたら大威さんは、やっぱり元気に、

「ありがとうございます!

 それでは失礼します!」

と挨拶してから、走っていきました。


   ・   ・   ・   


間宮さん、てっきり自分の速さを誇示してて、

自分より遅い人間なら、先輩だろうが何だろうが、

相手にしていないんだろうって思っていたから、

かなり意外でした。


同じ陸上部の人とは、ちゃんと話すのに、

どうしてクラスの人たちとは、話をしようとしないのかなぁ。


それにしても、あの子、大威さん、かわいかったなぁ。


何よりも、三崎先輩!

って言われて、すごく新鮮で嬉しかったんですよね、

今まで先輩とか、言われたことなかったんで。


後輩かぁ、やっぱり水泳部、

もうちょっと考えればよかったかも。


でも、今はバイトが忙しいし、

やってる時間がないもんなぁ……


それにしても、あんなかわいい後輩がいると思うと、

間宮さんが羨ましいです。


また、部活の様子を見に行ってみようかな……




6月30日 なつめからのエアメール


バイトが終わって家に帰ると、

久しぶりに帰っていた母から、手紙を渡されたんです。


それは、テレビでは見たことあるかも知れないけど、

今まで一度ももらったことがない、

赤と青のストライプで縁取られた、海外からのエアメールでした。


昔ならまだ分かるけど、今じゃ海外でも携帯使えるから、

わざわざ手紙を出す人なんて、

あんまりいないんじゃないかと思っていたけど、

まさか自分宛に届くとは……


だから、最初は何かと思ったけど、

エアメールの右下に、うちの住所とわたしの名前が、

4段に分けてローマ字で書いてあって、

左上のところには、1行目に

「Natsume Nishina」

とローマ字で書かれていて、

2行目と3行目は良く判らなかったけど、4行目は、

「Germany」

と書いてあったから、これはドイツに行った、

なつめからの手紙だと分かりました。


差出人の住所は、どうも入院している病院らしくて、

よく分からない長い名前でしたね。


もしわたしも、エアメールで返事を出すなら、

この宛先で良いのかなぁなんて思いながら、

早速開けてみると、封筒の中には手紙の他に、

ひと回り小さな宛名が記入済みの封筒と、

インスタントカメラで撮ったっぽい、1枚の写真が入っていて、

手紙の文面は、もちろん日本語で書かれていました。


きれいだけど、線が細くて小さめの文字、

間違いなく、懐かしいなつめの直筆でした……


   ・   ・   ・   


「 親愛なるライバルのみなもへ


 4月の末以来、2ヶ月経ちましたが、

 そちらは如何お過ごしでしょうか。

 今の私からすると、ある事情によりまだ5日目ですけどね。


 まず最初に、どうしてわざわざエアメールなのかと言うと、

 私のいる特別治療室内に、携帯の持ち込みが出来なくて、

 これでしか、連絡する手段が無いからです。


 榊に頼んで代弁してもらうとか、

 代わりにメールを打ってもらえば、出来なくもないけれど、

 直接私の言葉をみなもへと伝えたいから、手紙にしました。


 まさか、毎日泣いて過ごしているとか、

 苛められて学校休んでるとか、そんなじゃないでしょうね?

 そんなの許しませんから。


 私の方は、こちらについて早々に、

 次の日から新治療へと入りました。

 この新しい治療は、痛みなどは無いのですが、

 1回始まると、大体2週間は眠りっぱなしです。

 だから私は今、1ヶ月に2日間しか起きておらず、

 普通の人の14倍で進むので、月日が経つのがとても早いです。


 でも、眠っている時間が長い方が、

 治療の効果も大きいし、成功率も上がると聞いて、

 私は最長の期間で、治療を依頼しました。


 このサイクルで、半年間は続けて様子を見る予定で、

 少なくとも後4ヶ月は、こんな生活が続きます。


 2週間も寝たきりだと、筋力が落ちてしまって、

 運動しないといけないので、みなもからもらったうちのミナモ、

 とても重宝しています。

 あれは丁度良い、スパーリングの相手です。


 あんまり夢中になって叩いていたら、

 私が錯乱していると思われてしまった事があって、

 リハビリ担当の医師に、羽交い絞めにされました。


 今はちゃんと榊から、

 トレーニングのレクチャーを受けているので、安心して下さい。


 それと、食事をたまにしか食べられないからなのか、

 それともスパーリングのおかげなのか、

 2週間ぶりに摂る食事は、味はともかく、

 いつも量が足りない気がするようになりました。

 そこで、おかわりを要求するけれど、

 認めてもらえなくて、いつもひもじい思いをしています。


 病院食を進んで食べたいだなんて、思う日が来るとは、

 これには自分でもびっくりしています。


 実はエアメールを出すのは、これが2通目で、

 先月に父と母へ宛てた手紙を出しました。

 内容は、今まで面倒見てもらった事への、

 感謝の気持ちとお礼を、改めて書いたんです。


 在り来たりな短い文章にまとめただけなのに、

 便箋1枚書くだけで、半日掛かってしまいました。


 これは、私がまだ子供だからなのかも知れないけれど、

 自分の親に、改まって気持ちを告げるのは、

 かなり気恥ずかしいし、照れるものですね。


 話は変わって、私の周りですが、

 こちらに来てからというもの、榊は暇そうです。

 私の警護役と言っても、無菌室の奥にある、

 特別治療室の中に監禁されている様なものだから、

 守るも何もないはずなのに、

 どうして榊も同行するように、指示したのか、

 父の考えは未だに良く判りません。


 でも私としては、2週間に一度だけでも、

 体の鍛え方のレクチャーを受けられるから、

 良いのですけれど。


 そんな暇してる榊が、今一番心配しているのは、

 クマのミナモの事みたいで、

 面会の度に、病室に来てからまず最初にするのは、

 私の心配ではなく、ミナモの状態の確認です。


 あまりに熱心に見ているから、

 榊にその事を尋ねると、私が殴っているから、

 どうやって補強するかを検討しているんだと言っています。


 そんなの私の立場からすれば、

 貴方は、ぬいぐるみの警護役じゃないんだから、

 優先順位が違うんじゃないのかと思い、

 これを言うと榊に呆れられます。

 私の考え方って、どこか変でしょうか?


 今はこんな感じで、それなりに順調にやっていますから、

 私の事は心配しなくても大丈夫です。


 そちらの近況も知りたいから、みなもからもお返事下さいね。


 封筒の中に、返信用の封筒も入れておきますので、

 それを使って下さい。


 お便り楽しみに待ってます。

                    かしこ


 2010年6月26日

                   仁科 棗  」


   ・   ・   ・   


同封されていた写真には、まるでSF映画に出て来る、

宇宙船の中みたいな、大きなカプセルのような機械の前で、

気のせいかやつれて見える、

クマのミナモの首を右腕で絞めていて、

相変わらずのスーツ姿で、そっぽを向いている、

榊さんの首を左腕で絞めながら、中心で笑っている、

患者衣姿のなつめが写っていました。


なつめ、ちょっと痩せたような気がするのは、

両隣に大きいものが、並んでいるせいかなぁ。


あ、髪けっこう長くなってる、伸ばしてるのかも。


何はともあれ、元気そうで良かった。


それにしてもなつめ、早く自覚して欲しいなぁ、

縫いぐるみに、嫉妬してるんだってことに。


もしかして、自分で本当に判ってないのかなぁ。


ま、それは置いといて、治療とは言え、

2週間に1日しか意識がないなんて、

そんな生活わたしには、とても考えられません。


まるで、童話の眠り姫みたい……


手紙の文面には書いてはいないけど、

新しい治療ってのは、大変じゃないはずがなくて、

そこはわざと書いてないんだと思います。


強がっているのもあるでしょうけど、

きっと、わたしに余計な心配させないように……


   ・   ・   ・   


この日の夜に、手紙の返事を書きました。


なつめには、わたしのことを気にせずに、

治療へ専念してもらいたいと思って、

あんまり門埜さんのことは書かないで、

そこらへんは、適当にごまかしておきました。


なつめも泣き言を書いて来ないんだから、

わたしも書く訳にはいきません。


その代わり、バイト先でのことや間宮さんのことや、

大威さんのことなんかを書きました。


なつめも向こうで、頑張ってるんだから、

わたしだってなつめに馬鹿にされないように、頑張ります!





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