表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/70

2010年  2月 その3

変更履歴

2011/01/03 誤植修正 以外 → 意外

2011/04/03 記述修正 その間に、汐月さんが定時検診をするので、 → 休憩の前に、汐月さんが定時検診をするので、

2011/04/03 記述修正 なつめちゃんは、以外なわたしの言葉を聞いて、 → なつめちゃんは、意外なわたしの言葉を聞いて、

2011/04/03 記述修正 食事制限で2個、汐月さんも1個、 → 食事制限で1個、汐月さんも1個、

2011/04/03 記述修正 なつめちゃんのこと、を考えていました。 → なつめちゃんのことを、考えていました。

2011/04/27 記述統一 一種類、二種類、三種類 → 1種類、2種類、3種類

2011/05/27 記述統一 一つ、二つ、三つ → 1つ、2つ、3つ

2011/07/22 記述統一 一人、二人、三人 → 1人、2人、3人

2013/04/20 誤植修正 全然動かけなかった時と → 全然動けなかった時と

2013/04/20 誤植修正 色々悩んでいた割りには → 色々悩んでいたわりには

2013/04/20 誤植修正 今年度最後の雪がが降るという予想で → 今年度最後の雪が降るという予想で

2013/04/20 誤植修正 スポンジの間に中に入れるフルーツと → スポンジの間に入れるフルーツと

2013/04/20 句読点調整

2013/04/20 改行調整

2013/04/20 区切り行追加

2013/04/20 記述統一 居る・居ない → いる・いない

2013/04/20 記述削除 なつめちゃんが退院しました!

2013/04/20 記述削除 と言っても、一時退院ですけどね。

2013/04/20 記述修正 19日に、汐月さんから連絡が入って → 19日に汐月さんから連絡があって

2013/04/20 記述修正 明日から2、3日の間だけ → 20日から3日間だけ

2013/04/20 記述修正 一時退院することを、教えてもらったんです → なつめちゃんが一時退院することを、教えてもらいました

2013/04/20 記述修正 この時に → この時

2013/04/20 記述結合 説明しました。 → 説明したんですが、

2013/04/20 記述修正 ダメって言われるかもと思っていたら → ダメって言われるかと思っていたら

2013/04/20 記述修正 わたしの提案に許可をしてくれて → わたしの提案を許可してくれて

2013/04/20 記述修正 必要な物の手配をしてくれました → 必要な物の手配もしてもらいました

2013/04/20 記述追加 それからわたしの方も、色々と準備をして、そして今日が誕生会の当日です。

2013/04/20 記述削除 これで、わたしが考えた、

2013/04/20 記述削除 なつめちゃんのお誕生会をすることが出来ます。

2013/04/20 記述追加 送ってもらいました。 → 車で送ってもらって、

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんには、自分の部屋で待っていてもらい → なつめちゃんは、自分の部屋で待たせておいて

2013/04/20 記述削除 わたしは、なつめちゃんの家に上がりました。

2013/04/20 記述削除 マンションに着いて、荷物を運ぶのも手伝ってもらい、

2013/04/20 記述修正 その手前の作業です → その手前の作業ですけどね

2013/04/20 記述修正 ケーキとか料理を → ケーキや料理を

2013/04/20 記述修正 あげたいと思ったのは → プレゼントしたかったのは

2013/04/20 記述修正 ご飯を楽しく食べられるようにしてあげたい → ご飯を楽しく食べられるようにしてあげる

2013/04/20 記述修正 ということでした → ことでした

2013/04/20 記述修正 わたしが手料理を作ってあげればと思ったけど → わたしが手料理を作ればと思ったけど

2013/04/20 記述修正 美味しくはならなかったんです → 結局美味しくは出来なかったんです

2013/04/20 記述修正 わたしが作ったって言えば → 多分それでも、わたしが作ったって言えば

2013/04/20 記述修正 ならないと思ったんです。 → ならない気がして……

2013/04/20 記述修正 感想は違ってくるんじゃないかなと → 感想は違ってくるんじゃないかって

2013/04/20 記述修正 それにメニューの方も → メニューの方は

2013/04/20 記述削除 なつめちゃんが、食べられないものが少なくて、

2013/04/20 記述結合 調理しやすいものを選びました。 → 比較的調理しやすいものを選んで、

2013/04/20 記述削除 意外に、普通のカレーが大丈夫だったので、

2013/04/20 記述結合 これにしました。 → すぐに無難なカレーに決まったけど、

2013/04/20 記述修正 かなり悩みました → かなり悩みましたね

2013/04/20 記述修正 卵とか、小麦とかが、ダメなんです。 → 卵や小麦なんかがダメだから、ケーキのレシピがなくて、

2013/04/20 記述修正 だから無理かな、と思ったけど → だから無理かなって思ったけど

2013/04/20 記述修正 スポンジがうまく出来ませんでした。 → スポンジがうまく出来ず……

2013/04/20 記述修正 結局 → 結局最後は

2013/04/20 記述修正 変わりない出来でした → 変わりない出来でしたね

2013/04/20 記述結合 ベッドに座って待っていました。 → ベッドに座って待っていたんですが、

2013/04/20 記述修正 全然動けなかった時と → 全然動けなかった時とは

2013/04/20 記述修正 回復しているように見えました → 回復しているように見えましたね

2013/04/20 記述修正 これから何をするの? → 期待と不安の入り交じった

2013/04/20 記述修正 と言いたげな表情で → 表情で

2013/04/20 記述修正 なんか、前よりもっと、お人形っぽくなってる気がする。 → なんだか前よりもっと、お人形っぽくなってる気がする……

2013/04/20 記述結合 なつめちゃんに着せてあげました。 → なつめちゃんに着せてあげたら、

2013/04/20 記述修正 意図がつかめないみたいで → その意図がつかめないみたいで

2013/04/20 記述修正 不思議そうにエプロンを見ていて → しばらく不思議そうにエプロンを見ていましたが、

2013/04/20 記述修正 顔を上げてまたわたしをみると、囁き声みたいな小さい声で → 顔を上げてまたわたしを見ると、囁くような小さい声で

2013/04/20 記述修正 とても小さい子みたいに聞いてきました → とても小さな子みたいに質問してきました

2013/04/20 記述修正 すごくかわいいんだけど → そんななつめちゃんは、すごくかわいいんだけど

2013/04/20 記述修正 なんでこんなに、幼く見えるんだろう。 → でもなんでこんなに、幼く見えるんだろう……

2013/04/20 記述修正 わたしは、これからわたとし一緒にご飯作るんだよ → わたしはなつめちゃんに、これから一緒にご飯作ることを

2013/04/20 記述修正 と伝えると → 伝えると

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんは不安そうに → その途端に、なつめちゃんは不安そうに

2013/04/20 記述修正 一度も料理とかしたこと → 料理なんてした事

2013/04/20 記述結合 うつむきながら小声で言いました。 → うつむきながら小声で言ったけど、

2013/04/20 記述修正 わたしは、なつめちゃんに → この反応は予想通りだったので

2013/04/20 記述削除 出来ることだけ、手伝ってくれればいいから、

2013/04/20 記述修正 そんなに心配しないで、と励ましつつ → 大丈夫だからと励ましつつ

2013/04/20 記述修正 ダイニングルームへと連れて来ました → ダイニングルームへと向かいました

2013/04/20 記述削除 なつめちゃん、随分消極的になっているような、

2013/04/20 記述削除 そんな気がするのは、気のせいかな。

2013/04/20 記述削除 まだ病み上がりで、何かするのが億劫になってるだけ?

2013/04/20 記述削除 なら、いいんだけど。

2013/04/20 記述修正 調理を開始しました → 調理に取り掛かりました

2013/04/20 記述修正 用意は万全です。 → 用意は万全です。 → 用意は万全です!

2013/04/20 記述修正 汐月さん、また、今までに → 汐月さん、今日もまた

2013/04/20 記述修正 見たことないメガネしてたような気がする → 新しいメガネしてたような気がする

2013/04/20 記述修正 後で確認しよう。 → 後で確認しよう……

2013/04/20 記述修正 にんじん → ニンジン

2013/04/20 記述修正 たまねぎ → タマネギ

2013/04/20 記述修正 泣きながら切っていました → 泣きながら切ってましたね

2013/04/20 記述修正 それをみた → それを見た

2013/04/20 記述修正 あえて隣で切ってあげて → あえて隣で切って

2013/04/20 記述追加 そしたらなつめちゃん、号泣です……

2013/04/20 記述削除 手は力が入れづらいだけで、指はちゃんと動かせたので、

2013/04/20 記述修正 ジャガイモの皮むきを → ジャガイモの皮むきも

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんが → そうやって、なつめちゃんが

2013/04/20 記述修正 いつも家で作ってる → いつも家で作っている

2013/04/20 記述結合 ポークカレーです。 → ポークカレーなので、

2013/04/20 記述修正 だから、今回もお肉は豚肉です → 今回もお肉は豚肉です

2013/04/20 記述移動 なつめちゃんが、調理場でも長時間いられるように、

2013/04/20 記述移動 背もたれ付きの、キッチンスツールも、

2013/04/20 記述移動 しっかり準備してあり、用意は万全です。

2013/04/20 記述結合 ニヤニヤしてました。 → ニヤニヤしてたら、

2013/04/20 記述結合 榊さんの分も作るんです。 → 榊さんの分も作るし、

2013/04/20 記述修正 とても驚いていました。 → とても驚いていましたね……

2013/04/20 記述修正 事前に汐月さんに → あらかじめ汐月さんに

2013/04/20 記述修正 やる気になっていました → やる気になってましたね

2013/04/20 記述修正 小さめに作るように伝えておいたので → 小さめに作るように伝えておいたから

2013/04/20 記述修正 かなりの数のおにぎり、というか俵結びが → かなりの数のおにぎりが

2013/04/20 記述修正 全く同じにしか見えなくて → 全く同じにしか見えず

2013/04/20 記述修正 扇状に並べておいた、と言ったのですが → 扇状に並べておいたらしいのですが

2013/04/20 記述修正 お皿を回してしまったから、もう分かりません。 → お皿を回してしまって……

2013/04/20 記述修正 最後までおにぎりの出来を気にしていて → 最後までおにぎりの出来が気掛かりらしく

2013/04/20 記述修正 味は大丈夫かな、とか → 味は大丈夫かとか

2013/04/20 記述修正 わたしに聞いていましたが → わたしに聞いていて

2013/04/20 記述削除 なつめちゃんは、ただ握っただけだから、

2013/04/20 記述修正 それは大丈夫だよ、とわたしは繰り返し答えてました → いくら大丈夫って言っても、気にしてましたね

2013/04/20 記述修正 テーブルの席に着かせて → テーブルの席に着かせると

2013/04/20 記述結合 汐月さんと榊さんを呼びに行きました。 → 汐月さんと榊さんを呼びに行ったんですが、

2013/04/20 記述修正 ちょっと緊張しているように見えました → かなり緊張している様子でした

2013/04/20 記述修正 2人を連れてきて → この後すぐに2人を連れてきて

2013/04/20 記述修正 そのたびに止まっていました → そのたびに止まっていましたね

2013/04/20 記述修正 とても美味しいですよ、 → 「とても美味しいですよ」

2013/04/20 記述修正 空気読んで欲しいなあ…… → 空気読んで欲しいなぁ……

2013/04/20 記述修正 わたしの作った → ちなみに、わたしの作った

2013/04/20 記述修正 銀縁の楕円形のメガネかけてました → 銀縁で楕円形のメガネしてました

2013/04/20 記述修正 何種類持っているのかなぁ。 → 何種類持っているんだろう、気になる……

2013/04/20 記述移動 榊さんの活躍により、

2013/04/20 記述追加 食事が始まって20分後には、

2013/04/20 記述修正 並んでいた俵結びは → 並んでいたおにぎりは

2013/04/20 記述修正 お昼ご飯を食べ終わって → お昼ご飯を食べ終わると

2013/04/20 記述修正 カレーの調理へと戻って → カレーの調理へと戻り

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんに、3種類のルーを入れてもらって → 3種類のルーを入れてから、なつめちゃんに

2013/04/20 記述修正 ルーが溶けるまでよく混ぜてもらい → ルーが溶けるまでよく混ぜてもらって

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんに米を研いでもらい → なつめちゃんに米を研がせて

2013/04/20 記述結合 ご飯を炊いてもらいました → ご飯も炊いてもらってから、

2013/04/20 記述修正 用意されていました → 用意されていましたね

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんはかなり夢中になっていて → なつめちゃんはかなり夢中で

2013/04/20 記述修正 わたしの方を見ることも無くて → わたしの方を見ることもなく

2013/04/20 記述修正 で、色々悩んでいたわりには → 色々と悩んだ結果は

2013/04/20 記述修正 周りをきれいにならして → 周りをきれいにならした後

2013/04/20 記述修正 挟むフルーツの配置を、完全な均等に置いていて → 挟むフルーツの配置も完全な均等で

2013/04/20 記述修正 全く同じ中身になるように並べてました → 全く同じ中身になるように並べてましたね

2013/04/20 記述修正 わたしが、もういい加減いいんじゃないかな → もういい加減いいんじゃないかな

2013/04/20 記述修正 声をかけようとしたら → わたしが声をかけようとしたら

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんが納得したものに仕上がったようで → なつめちゃんが納得したものに仕上がったらしく

2013/04/20 記述結合 4時半でした。 → 4時半を過ぎていて、

2013/04/20 記述分割 予定より30分オーバーでしたが、 → 予定より30分オーバーです……

2013/04/20 記述移動 まあ、汐月さんも了解してくれたから、

2013/04/20 記述修正 まあ、汐月さんも了解してくれたから → 汐月さんも了解してくれたから

2013/04/20 記述移動 大丈夫でした。

2013/04/20 記述修正 大丈夫でした → 大丈夫だったみたいでよかったです

2013/04/20 記述修正 夕食の開始予定は、6時なので → と言うのも、夕食の開始予定は6時の予定で

2013/04/20 記述修正 支度を始める、5時半までの1時間は → 支度を始めるまでの時間は

2013/04/20 記述修正 部屋のベッドで休ませることになっていて → 部屋のベッドで休ませることになっていたから焦ったけど

2013/04/20 記述移動 車椅子に座った、なつめちゃんを、

2013/04/20 記述移動 わたしは、部屋まで連れて行きました。

2013/04/20 記述修正 部屋まで連れて行きました → 部屋まで急いで連れて行きました

2013/04/20 記述結合 そばにいて欲しいと頼まれました。 → そばにいて欲しいと頼まれてしまい、

2013/04/20 記述修正 わたしは、汐月さんの様子を見て → 汐月さんの様子を見て

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんの身体の傷痕は → なつめちゃんの体の傷痕は

2013/04/20 記述修正 見ているだけでも、とても辛かったです → ただ黙ってとなりで見ているだけでも、痛々しくてとても辛かったです

2013/04/20 記述修正 右手で掴んでから → 右手で握ると

2013/04/20 記述修正 わたしが、出会った時の話を病院でしたことを → 最初の出会いを思い出してくれたことが

2013/04/20 記述修正 とても嬉しかったよ → とても嬉しかったと

2013/04/20 記述削除 と、その時言えなかったお礼を、

2013/04/20 記述結合 訊いてみました。 → 訊いてみると、

2013/04/20 記述修正 楽しい過去すらなくって → 幸せだった過去すらなくて

2013/04/20 記述修正 わたしを見て微笑んでいたけど → わたしを見て微笑んでいたんですが

2013/04/20 記述修正 わたしはとても → とてもじゃないけど

2013/04/20 記述削除 何かをさせようとはしなかったの。

2013/04/20 記述修正 病院から派遣されてる → 病院から派遣された

2013/04/20 記述修正 考えたことなかった → 考えた事すらなかった

2013/04/20 記述修正 ちょっと迷いました → ちょっと迷いましたね

2013/04/20 記述修正 多分、それは特定の相手だけじゃないかな、とも思うけど → 多分それは、誰でもではなくて、特定の相手だけじゃないかとも思うけど

2013/04/20 記述結合 微かな寝息を立てて眠ってしまいました。 → 微かな寝息を立てて眠ってしまい、

2013/04/20 記述修正 安らかな顔をしてすやすや眠る → 穏やかな顔をしてすやすや眠る

2013/04/20 記述修正 何も考えず眺めていました。 → 何も考えず眺めていました……

2013/04/20 記述結合 テーブルに並べました。 → テーブルに並べてから、

2013/04/20 記述修正 そして、最後に冷やしておいたケーキを出して → 最後に冷やしておいたケーキを出して

2013/04/20 記述修正 ローソクを16本立てました。 → ローソクを16本立てたら、準備完了です!

2013/04/20 記述結合 なつめちゃんの右側の席に着きました。 → なつめちゃんの右側の席に座ってから、

2013/04/20 記述修正 わたしの顔を見ていました → じっとわたしの顔を見ていました

2013/04/20 記述修正 今回のわたしのプランは → ですが、今回のわたしのプランは

2013/04/20 記述修正 わたしの意図を理解したのか → そんなわたしの意図を理解したのか

2013/04/20 記述修正 わたしを見るのをやめて → こっちを見るのをやめて

2013/04/20 記述結合 覚悟を決めて口を開きました。 → 覚悟を決めて喋り始めたんですが、

2013/04/20 記述修正 別にいつもいるし → 別にいつも居るし

2013/04/20 記述修正 集まったって訳じゃないし → 集まったって訳じゃないけど

2013/04/20 記述修正 なんか違わない、みな? → 何か違わない? みな……

2013/04/20 記述修正 伝えたいことだけ言えばいいから、と言うと → 思っていることを話すように言うと

2013/04/20 記述修正 今日は初めて、2人に私から → 今日は初めて

2013/04/20 記述削除  材料を切るところから、作ったものです。

2013/04/20 記述修正 食べて下さい → 食べて下さい……

2013/04/20 記述修正 と言うと → そう言うと

2013/04/20 記述修正 榊さんの拍手の後 → 遅れて榊さんの拍手の後

2013/04/20 記述修正 誕生会が始まりました。 → 誕生会が始まりました!

2013/04/20 記述修正 カレーやケーキを一口食べた直後は → カレーやケーキをひと口食べた直後

2013/04/20 記述結合 チェックしている鋭い目で食べていましたね。 → チェックしている鋭い目で食べていて、

2013/04/20 記述修正 8等分したケーキを並べました → 8等分したケーキを並べ終えると、みんな食べ始めました

2013/04/20 記述修正 チェックしている、鋭い目で食べていました → チェックしている鋭い目で食べていましたね

2013/04/20 記述修正 美味しいです、うまく出来てますね → 「美味しいです、うまく出来てますね」

2013/04/20 記述修正 で → それに対して

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんは榊さんに手を伸ばして → なつめちゃんは榊さんに

2013/04/20 記述修正 まだ、たくさんあるから → まだ食べられるでしょ?

2013/04/20 記述修正 もっと食べれるでしょ? → たくさんあるから……

2013/04/20 記述結合 と言って、おかわりするように言っていました。 → と言って、おかわりするように言うと、

2013/04/20 記述結合 キャラが違ってきてるような気がします。 → キャラが変わってきてるような気がします、

2013/04/20 記述修正 ま、それを狙っているんですけどね。 → まぁ、それを狙っているんですけどね……

2013/04/20 記述修正 聞いてみると → 尋ねると

2013/04/20 記述修正 楽しいよ → 楽しい

2013/04/20 記述修正 わたし的には問題なく → わたしとしては問題なく

2013/04/20 記述修正 申し分ないものでした → いい感じでしたね

2013/04/20 記述修正 甘さ控えめあっさり味で → 甘さ控えめのあっさり味で

2013/04/20 記述修正 一口食べるたびに、ブラックのコーヒーを → ひと口食べるたびに、濃いブラックのコーヒーで

2013/04/20 記述修正 榊さんが聞かれたことに返事を返して → 榊さんが訊かれたことに返事を返して

2013/04/20 記述修正 楽しく過ごすことが出来ました → 楽しく過ごすことが出来たと思います

2013/04/20 記述修正 ついに → その後はいよいよ

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんへの無茶振りは無しで → なつめちゃんへの無茶振りはせずに

2013/04/20 記述結合 かなり期待した眼差しを向けていました。 → かなり期待した眼差しを向けていて、

2013/04/20 記述修正 緊張してきました。 → 緊張してきました……

2013/04/20 記述修正 榊さんの見ている中で → 榊さんの見ている中

2013/04/20 記述修正 今、開けていい? → 「今、開けていい?」

2013/04/20 記述修正 クマは → すると中身のクマは

2013/04/20 記述修正 向いていました → 向いていたんです

2013/04/20 記述修正 汐月さんは → なので、縫いぐるみを正面から見た汐月さんは

2013/04/20 記述修正 クマの顔を見た途端に、榊さんをちらりと見ると → すぐに榊さんをちらりと見た途端

2013/04/20 記述修正 口に手を当てて、堪えるように横を向いて → 顔を背けるように横を向くと、口に手を当てて

2013/04/20 記述修正 わたしを睨みつけていました。 → わたしを睨みつけていましたね……

2013/04/20 記述修正 すごく殺気に近い、怒りの波動を感じて → 怒気を通り越した、殺気じみたものを感じて

2013/04/20 記述修正 全身に鳥肌が立ちました。 → 全身に鳥肌が……

2013/04/20 記述追加 しまった、榊さんがこんなに怒るなんて、

2013/04/20 記述追加 予想してなかった……

2013/04/20 記述追加 蛇に睨まれたカエルって、こんな感じなのかも……

2013/04/20 記述結合 自分の方に向かせました。 → 自分の方に向かせてから、

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんは、しばらくクマを見つめた後 → しばらく見つめた後

2013/04/20 記述修正 榊さんは不機嫌そうに文句を言って → 榊さんは不機嫌そうに文句を言った後

2013/04/20 記述修正 わたしを睨んでました。 → わたしを睨んでましたね……

2013/04/20 記述結合 榊さんと何度も見比べていました。 → 榊さんと何度も見比べているし、

2013/04/20 記述修正 鳥肌立ちっぱなしでした。 → 生きた心地がせずに、鳥肌立ちっぱなしです……

2013/04/20 記述修正 どうやら気に入ってくれたかなと思いました → どうやら気に入ってくれたみたいなのは、何よりだったんですけどね……

2013/04/20 記述修正 この、さ、クマ → これ

2013/04/20 記述修正 決まっ、て、ない、よ、だから、なつめちゃんが決めて → 決まってないから、なつめちゃんが決めていいと

2013/04/20 記述修正 と、横から感じる殺気の方を → 横から感じる殺気の方を

2013/04/20 記述修正 ふうん → ふぅん

2013/04/20 記述修正 ちょっとだけ、なつめちゃんは → この時のなつめちゃんはちょっとだけ

2013/04/20 記述修正 にやけているようにも見えました → にやけているようにも見えましたね

2013/04/20 記述修正 最後は → で、最後は

2013/04/20 記述修正 こうして、わたしの企画は、わたしが榊さんから → 今回のわたしの企画は、榊さんから

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんの態度も → なつめちゃんの様子も

2013/04/20 記述修正 すごく明るくて楽しそうにしていました → すごく明るくて楽しそうにしてましたし

2013/04/20 記述修正 何か引っかかるものを感じたのも → 少し引っかかるものを感じたのも

2013/04/20 記述修正 わたし的には → わたしとしては

2013/04/20 記述修正 もっとじっくり考えてみたいと思います。 → もっとじっくり考えてみたいと思います……

2013/04/20 記述修正 もう9時でした → もう9時過ぎで

2013/04/20 記述修正 これは完全に遅刻です。 → その時点で完全に遅刻決定です……

2013/04/20 記述修正 前回は、かなのことで悩んでいる頃でした → 前回はたしか、かなのことで悩んでいる頃だったような

2013/04/20 記述修正 その夢は → 今回の夢も

2013/04/20 記述修正 塔から少しでも外に出ると → 塔の中にいる限り

2013/04/20 記述修正 恐ろしい呪いがかけられていました → 恐ろしい呪いがかけられていましたが、お姫様はそれを知りません

2013/04/20 記述修正 怪物共は、そこから飛び降りて俺達の餌になれと → そこから飛び降りて俺達の餌になれと

2013/04/20 記述修正 罵る恐ろしい声が次々に、聞こえてました → 罵る恐ろしい声にしか聞こえません

2013/04/20 記述修正 あざ笑っているのが見えました → あざ笑っているようにしか見えません

2013/04/20 記述修正 小さな窓を閉めてベッドに隠れて → 小さな窓を閉めてベッドに隠れると

2013/04/20 記述修正 大怪我をしてしまい、逃げ帰りました → 大怪我をして、逃げ帰ってしまいました

2013/04/20 記述修正 ある日ついに、窓の外の柵に止まりました → やがて、暗雲立ち込める闇夜に、羽ばたく音が聞こえるところまで近づきました

2013/04/20 記述修正 大鷲の足につかまろうとして → 窓から見えている、大鷲の大きな足につかまろうとした時

2013/04/20 記述追加  途切れた暗雲からのぞいた満月の光で、

2013/04/20 記述修正 小さな蝙蝠でした → 蝙蝠の翼をもった魔物でした

2013/04/20 記述修正 その蝙蝠は → そしてその魔物は

2013/04/20 記述修正 お姫様を罵りました → お姫様を罵ったのです

2013/04/20 記述削除  やはりこれも、失望させられるだけだったと、

2013/04/20 記述修正 最後の希望を失ってしまい → 最後の希望を失って

2013/04/20 記述修正 ついにくじけて → とうとうくじけてしまい

2013/04/20 記述修正 窓から身を投げてしまいました → 窓から身を投げました

2013/04/20 記述修正 蝙蝠はその鉤爪で → 魔物はその鉤爪で

2013/04/20 記述修正 お姫様は地面に落ちて、死んでしまいました → 地面に向かって落ちていきます

2013/04/20 記述追加  その時、自分の名を呼ぶ声を聞いて、

2013/04/20 記述分割 お姫様が最後に見たのは、紛れもない大きな鷲で、 → 最後に見えたのは、紛れもない大きな鷲でした。

2013/04/20 記述修正 看護師さんたちだと思いました → 看護師さんたちだと思います

2013/04/20 記述修正 救出は失敗してしまいました。 → 救出は失敗してしまい、それだけじゃなくて、お姫様を死なせる原因になっていました

2013/04/20 記述修正 ダメって言う意味なのかなって → ダメって言う意味なんじゃないかと

2013/04/20 記述修正 やっぱり分かりませんでした → やっぱり分かりません

2013/04/20 記述修正 もうすこし、冷静になって、考えてみようと思います。 → もう少し冷静になって、考えてみようと思います……

2013/04/20 記述修正 小題変更 → なつめちゃんのこと

2013/04/20 記述移動 三月からは気温も上がって、春になるんだそうで、

2013/04/20 記述修正 春になるんだそうで → 春になるんだそうですが

2013/04/20 記述修正 先週に見た夢が気になって → 先週に見た夢が気がかりで

2013/04/20 記述修正 雪空の散歩に行きました → 雪空の中、散歩に行きました

2013/04/20 記述結合 粉雪が顔に当たって痛いです。 → 粉雪が当たって痛いくらいなので、

2013/04/20 記述修正 ホッカイロを入れてるんだけど → 使い捨てカイロを入れてるんだけど

2013/04/20 記述修正 マフラーで、顔が埋まるくらい巻いて → 顔が埋まるくらいマフラー巻いて

2013/04/20 記述修正 天気が悪い時の定番の場所の → 天気が悪い時はもう定番となっている

2013/04/20 記述修正 ホッカイロを乗せて座りました → その上にカイロを乗せて座りました

2013/04/20 記述修正 現れそうにないと思って → 現れそうにないと思い

2013/04/20 記述修正 持ってきませんでした → 持ってきていません

2013/04/20 記述修正 考えていました。 → 考えていました……

2013/04/20 記述修正 今は、新しい治療を行っているそうで → これから新しい治療に入るそうで

2013/04/20 記述修正 お誕生会の時の、食事やケーキを作っている時の → お誕生会の時、食事やケーキを作っていた

2013/04/20 記述修正 すごく真剣で、とても生き生きとしているように見えて → とても生き生きとしているように見えて

2013/04/20 記述修正 いつもの → それまでの

2013/04/20 記述修正 多分 → ……多分

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんのお父さんとかに、お願いすれば → なつめちゃんのお父さんにお願いすれば

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんより → もしもなつめちゃんより

2013/04/20 記述修正 わたしは嫌だ。 → 何か間違っている気がする……

2013/04/20 記述分割 わたしは、わたしの為に生きてるんだから、 → だってわたしは、わたし自身の為に生きてるんだから。

2013/04/20 記述削除 それだけは、絶対に譲れない。

2013/04/20 記述修正 なつめちゃんは → もし、なつめちゃんが

2013/04/20 記述修正 忍さんは教えてくれた → 忍さんは教えてくれたんだ

2013/04/20 記述修正 わたしが望む未来は見えないのが、良く分かった → なつめちゃんの心は変わらないのが、よく分かった

2013/04/20 記述修正 あんな性格じゃなかったんだけどなぁ → あんな性格じゃなかった

2013/04/20 記述修正 あんな身体の傷があったなんて → あんな体の傷があったなんて

2013/04/20 記述修正 他の子とも遊んでた → 他の子とも一緒になって遊んでた

2013/04/20 記述修正 口ゲンカとかに、なってたりして → 口ゲンカになって

2013/04/20 記述修正 手を出してしまって → 手を出してしまい

2013/04/20 記述修正 何かいい方法が思いつくような気がする。 → 何かいい方法が思いつくような気がする……

2013/04/20 記述修正 その人の性格とか癖は → その人の性格や癖は

2013/04/20 記述修正 とか言っていた気がする → って言っていた気がする

2013/04/20 記述修正 考えたいと思います。 → 考えたいと思います……


2月21日 お誕生会


19日に汐月さんから連絡があって、20日から3日間だけ、

なつめちゃんが一時退院することを、教えてもらいました。


汐月さんの話によると、わたしが面会した後なつめちゃんは、

急に元気になったそうで、まだ普通に動き回るのは無理だけど、

とりあえず一時でも、退院することが出来て良かったです。


この時わたしは汐月さんに、

なつめちゃんにしてあげようと思っていることを、

説明したんですが、ダメって言われるかと思っていたら、

汐月さんは、わたしの提案を許可してくれて、

必要な物の手配もしてもらいました。


それからわたしの方も、色々と準備をして、

そして今日が誕生会の当日です。


   ・   ・   ・   


なつめちゃんのマンションへは、

例の荷物が大きかったから、警護の人にお願いして、

荷物と一緒に車で送ってもらって、

汐月さんとの電話での、事前の打ち合わせ通り、

なつめちゃんは、自分の部屋で待たせておいて、

わたしは支度にかかりました。


まあ支度と言っても、クリスマスみたいに部屋を飾り立てたり、

用意したご馳走を並べたりではなくて、

その手前の作業ですけどね。


つまり、ケーキや料理を作る準備をしていたんです。


わたしがなつめちゃんに、プレゼントしたかったのは、

もっと、ご飯を楽しく食べられるようにしてあげることでした。


最初は、わたしが手料理を作ればと思ったけど、

どれだけやっても、結局美味しくは出来なかったんです。


多分それでも、わたしが作ったって言えば、

なつめちゃんは美味しいって、口では言うと思うけど、

それは、本当に料理が美味しいんじゃなくて、

わたしが作ってくれたからってだけにしか、

ならない気がして……


それじゃ意味がないから、もうちょっと考えて、

だったら自分で作ったものだったら、

感想は違ってくるんじゃないかって、思いついたんです。


汐月さんには、基本的なところはわたしが調理して、

なつめちゃんには、出来る範囲で、

危なくないところを手伝ってもらう形で、

料理を作らせたいとお願いして、許可をもらいました。


なつめちゃんのマンションはとても大きくて、

ダイニングルームも広いのは、

前に泊まった時に見て、知っていたから、

まだ長時間立っていられないなつめちゃんでも、

座って手伝ってもらって、時間をかければ、

ちゃんと料理は出来るはず。


メニューの方は、送られてきた食材とレシピから、

比較的調理しやすいものを選んで、

すぐに無難なカレーに決まったけど、

それと比べてケーキの方は、かなり悩みましたね。


いかにもお誕生日のケーキって感じなのは、

なつめちゃんのアレルギーで、

卵や小麦なんかがダメだから、ケーキのレシピがなくて、

だから無理かなって思ったけど、色々調べてみたら、

アレルギーの人用に、豆乳生クリームや米粉で作った、

スポンジを使ったケーキがあったので、

自宅で何回か挑戦してみたのですが、

なかなかスポンジがうまく出来ず……


結局最後は、汐月さんにお願いして用意してもらいました。


届いた米粉で出来たスポンジは、見事なスポンジで、

普通のケーキのスポンジと比べても、変わりない出来でしたね。


これが出来ていれば、残りの作業は、

ホイップクリームを作って、デコレーションするだけなので、

なつめちゃんがメインで、作ってもらうことが出来ます。


例のプレゼントは、最後に出そうと思って、

別の部屋に隠しておいてもらいました。


   ・   ・   ・   


準備が出来たので、なつめちゃんを呼びに部屋へと行くと、

なつめちゃんは、ベッドに座って待っていたんですが、

病院で見た、全然動けなかった時とは見違えるほどに、

回復しているように見えましたね。


今日の趣旨は、秘密にしてもらっていたから、

なつめちゃんは、期待と不安の入り交じった表情で、

わたしを見つめていました。


なんだか前よりもっと、お人形っぽくなってる気がする……


わたしはなつめちゃんに、後ろ手で隠して持ってきた、

エプロンを出して、なつめちゃんに着せてあげたら、

なつめちゃんは、その意図がつかめないみたいで、

しばらく不思議そうにエプロンを見ていましたが、

顔を上げてまたわたしを見ると、囁くような小さい声で、

「みな、わたしは何かするの?」

と、とても小さな子みたいに質問してきました。


そんななつめちゃんは、すごくかわいいんだけど、

でもなんでこんなに、幼く見えるんだろう……


わたしはなつめちゃんに、

これから一緒にご飯作ることを伝えると、

その途端に、なつめちゃんは不安そうに、

「え、料理?

 みな、私、料理なんてした事、ないよ?

 だから、ちゃんと作れない、と思う……」

と、うつむきながら小声で言ったけど、

この反応は予想通りだったので、大丈夫だからと励ましつつ、

車椅子に座らせて、ダイニングルームへと向かいました。


   ・   ・   ・   


ダイニングルームについて手を洗ったら、

早速、調理に取り掛かりました。


なつめちゃんが、調理場でも長時間いられるように、

背もたれ付きの、キッチンスツールも、

しっかり準備してあり、用意は万全です!


最初のうちは、汐月さんが脇の方で、

わたしの手際を、確認していたけど、

大丈夫と思ってもらえたようで、

しばらくしたら、いつの間にかいなくなっていました。


汐月さん、今日もまた新しいメガネしてたような気がする、

後で確認しよう……


まず、カレーからですが、

なつめちゃんには、ピーラーを使って、

ニンジンの皮むきをしてもらって、

その後、タマネギの皮も剥いてもらいました。


その間にわたしは、ジャガイモの皮むきと、

鍋の準備をして、なつめちゃんが剥いたタマネギを、

泣きながら切ってましたね。


それを見たなつめちゃんは、

ちょっと驚いていて、どうやらタマネギを切ると、

涙が出ることを、知らなかったようなので、

あえて隣で切って、体験させてあげました。


そしたらなつめちゃん、号泣です……


最初はおそるおそるやっていた、なつめちゃんだったけど、

すぐに慣れてきたみたいで、

わたしがやっていた、ジャガイモの皮むきも、

いくつか手伝ってもらいました。


そうやって、なつめちゃんがジャガイモの皮をむいている間、

わたしは鍋で、炒める準備に入りました。


わたしの作るカレーは、いつも家で作っている、

何のひねりもない普通のカレーです。


カレーのルーが使えるかが、とても心配だったけど、

何種類か、市販のルーで使ってもいい物を、

汐月さんに用意してもらっていたから、

いつも通りに作ることが出来ました。


うちのカレーは、ルーを3種類混ぜて作ります。


色々試したら、その3つを組み合わせたのが、

一番美味しかったんです。


ただ今回はルーの量が、ちょっと少なめで、

カレーと言うよりも、スープカレーっぽいかも。


それと、うちではカレーと言えば、

ポークカレーなので、今回もお肉は豚肉です。


わたしが豚肉を炒めている間、

なつめちゃんには、切った野菜を炒めてもらって、

わたしが炒めた肉を入れて、水を加えた後は、

なつめちゃんに、かき混ぜたり、

水を継ぎ足してもらっていました。


この時のなつめちゃんは、

わたしと一緒に作っていることより、

自分で調理しているのを、楽しんでいるように見えて、

ちょっと嬉しかったです。


なつめちゃんは、鍋をかき混ぜながら、

「ねえ、これ、量が多くない?」

と聞かれて、わたしは何も言わずニヤニヤしてたら、

それを見たなつめちゃんは、とても不思議そうに、

何も答えないわたしを見ていました。


今回、わたしが考えたお誕生会は、

なつめちゃんが、お世話になった人をもてなすんです。


だから、なつめちゃん自身の分と、わたしと、

それから、汐月さんと、榊さんの分も作るし、

もちろんケーキも4人分です。


このことを教えると、なつめちゃんには、

予想外のことだったようで、とても驚いていましたね……


   ・   ・   ・   


しばらく煮込む段階に入って、

予定通り、ちょうどお昼になったので、

お昼ごはんにしました。


お昼ごはんは、あらかじめ汐月さんに、

炊いておいてもらったごはんで、なつめちゃんに、

4人分のおにぎりを作ってもらいます。


おにぎりに入れる具も、なつめちゃんが食べられる食材で、

汐月さんに用意してもらってあるので、

あとはただ、具を入れて握るだけです。


その間に、わたしがお味噌汁を作りました。


なつめちゃんは、カレーを手伝ったことで、

食事を作ることに、興味を持ってきたのか、

かなり、やる気になってましたね。


榊さんがいるから、かなり多めにご飯は炊いてあって、

なつめちゃんには、少食でも色んな具を食べられるように、

小さめに作るように伝えておいたから、かなりの数のおにぎりが、

大きな丸いお皿いっぱいに出来ました。


なつめちゃんの、几帳面な性格が災いして、

どれも全く同じにしか見えず、どれに何の具を入れたのかは、

わたしにはもう判りません。


作った本人に聞くと、具の並んでいる順番に作って、

扇状に並べておいたらしいのですが、

わたしがテーブルに運ぶ時に、お皿を回してしまって……


なつめちゃんは、最後までおにぎりの出来が気掛かりらしく、

変じゃないかとか、味は大丈夫かとか、

ずっと、わたしに聞いていて、

いくら大丈夫って言っても、気にしてましたね。


支度が出来たところで、

なつめちゃんを、テーブルの席に着かせると、

わたしは、汐月さんと榊さんを呼びに行ったんですが、

ダイニングルームを出る時に見た、

ちらっとこっちを見た、なつめちゃんは、

かなり緊張している様子でした。


   ・   ・   ・   


この後すぐに2人を連れてきて、席に着いてもらい、

4人で一緒に、なつめちゃんの作ったおにぎりと、

わたしの作ったお味噌汁を食べました。


なつめちゃんは、おにぎりを手にとって食べる人の、

リアクションが気になって仕方ないようで、

自分が食べる手は、そのたびに止まっていましたね。


汐月さんは、そんななつめちゃんのことを分かっていて、

一口食べてすぐに、

「とても美味しいですよ」

と感想を伝えたのに対して、榊さんは、

黙々と食べ続けていて、何も言おうとしません。


榊さん、空気読んで欲しいなぁ……


ちなみに、わたしの作ったお味噌汁も、

汐月さんから、お褒めの言葉を頂いたので、

ちょっと嬉しかったです。


今日の汐月さん、銀縁で楕円形のメガネしてました。


一体、何種類持っているんだろう、気になる……


食事が始まって20分後には、

大きなお皿いっぱいに、並んでいたおにぎりは、

榊さんの活躍により、きれいになくなりました。


   ・   ・   ・   


お昼ご飯を食べ終わると、

後片付けを、なつめちゃんと2人でした後に、

カレーの調理へと戻り、3種類のルーを入れてから、

なつめちゃんに、ルーが溶けるまでよく混ぜてもらって、

カレーはこれで完成です。


この後に、なつめちゃんに米を研がせて、

ご飯も炊いてもらってから、次はケーキに取りかかります。


今度はなつめちゃんに、メインで作業してもらって、

わたしはほとんど、見てるだけです。


まずは、ホイップクリームをなつめちゃんに作ってもらい、

その後に、入れたいフルーツを切ってもらいます。


生クリームを混ぜるのには、電動の泡立て器を使ったので、

それほど疲れさせないで、ちゃんと出来ました。


次は、なつめちゃんのセンスで、

スポンジの間に入れるフルーツと、

上に乗せるフルーツを、選んでもらいました。


なつめちゃんは、果物のアレルギーはないので、

色々と用意されていましたね。


この辺になると、なつめちゃんはかなり夢中で、

もうわたしの方を見ることもなく、真剣に選んでいました。


色々と悩んだ結果は、定番の、

苺のショートケーキになりそうです。


最後に、ホイップクリームを塗りながら、

フルーツとスポンジを乗せていって、

ホイップクリームで、周りをきれいにならした後、

ケーキの上に、苺をデコレーションして、

出来上がりました。


ここでも、なつめちゃんの几帳面さが出て、

挟むフルーツの配置も完全な均等で、

どこを切っても、4等分か8等分すると、

全く同じ中身になるように並べてましたね。


わたしには面倒で、そこまで出来ないです。


スポンジの横や上の面を、クリームで塗るのも、

恐ろしく丁寧にやっていて、

出来上がったケーキは、まるで手作り感のない、

お店のケーキ並みの綺麗さです。


でも、まだなつめちゃんは出来たとは言わないで、

出来たケーキを念入りに確認しては、

ちょこちょこと、手直しを繰り返していました。


もういい加減いいんじゃないかなと思って、

わたしが声をかけようとしたら、

「みな、出来たよ」

と、なつめちゃんが納得したものに仕上がったらしく、

いつの間にかくっつけていた、

頬についたクリームにも気づかずに、

笑顔でわたしに言いました。


   ・   ・   ・   


ケーキを冷蔵庫にしまって時計を見ると、

4時半を過ぎていて、予定より30分オーバーです……


車椅子に座った、なつめちゃんを、

わたしは、部屋まで急いで連れて行きました。


と言うのも、夕食の開始予定は6時で、

支度を始めるまでの時間は、なつめちゃんの体調を考えて、

部屋のベッドで休ませることになっていたから焦ったけど、

汐月さんも了解してくれたから、

大丈夫だったみたいでよかったです。


休憩の前に、汐月さんが定時検診をするので、

わたしが、それならと思って部屋を出ようとすると、

なつめちゃんに呼び止められて、

そばにいて欲しいと頼まれてしまい、汐月さんの様子を見て、

無言で頷くのを確認してから、なつめちゃんのそばに戻りました。


汐月さんは、なつめちゃんの左腕の袖をまくると、

5本血を採ってから、4本の注射を打って、

問診の後に洋服の上を脱いで、視診と触診をしていました。


前に一度見ていましたが、なつめちゃんの体の傷痕は、

とても見慣れられるものではなくて、

ただ黙ってとなりで見ているだけでも、

痛々しくてとても辛かったです。


そこまで終わると服を着てから、最後の点滴を打って、

これで診療は終わり、汐月さんは部屋を出ていって、

なつめちゃんはベッドに横になりました。


なつめちゃんは、わたしの手を、

点滴を打っていない右手で握ると、

最初の出会いを思い出してくれたことが、

とても嬉しかったと、改めてわたしに伝えました。


わたしは、なつめちゃんに頷いて答えてから、

ちょっと気になった、なんでよくあるような、

苺のショートケーキにしたのかを、訊いてみると、

「昔読んだ小説に、主人公の誕生日に、

 丸い苺のショートケーキを、

 家族みんなで切り分けて、食べるくだりがあって、

 それが、とても羨ましかったの。

 主人公は、楽しかった過去として、

 もう、誰も居なくなってしまった家の中で、

 それを回想するんだけど、

 私にはそういう、幸せだった過去すらなくて、

 それがとても、悲しかった。

 だから、苺のショートケーキなの」

と言うと、わたしを見て微笑んでいたんですが、

とてもじゃないけど笑い返せなくて、

ただ、なつめちゃんの手を、

しっかりと握ってあげることしか出来ませんでした。


わたしが黙っていると、

なつめちゃんは、仰向けに天井を見上げながら、

今のところの、今日の感想を話し始めました。


「今までずっと、人から何かをしてもらってばかりで、

 ずっと私も、それが当たり前だと思ってた。

 あの2人だって、私から見れば、

 契約している警護の人間と、

 病院から派遣された医者でしかなくて、

 仕事として、面倒見られるのが当然で、

 自分から何かをしてあげるなんて、考えた事すらなかった」

と言った後、こちらを向いて、

「でも、今日みなに言われて、料理をして、

 さっきのおにぎりは、にぎっただけだけど、

 私が作ったものを、食べてもらうと思ったら、

 形とか味とか、どう思われるのかが、

 とても気になってしまって、すごく落ち着かなかった。

 これって、誰でもそう思うものなの?」

と尋ねられて、わたしはなんて答えたらいいか、

ちょっと迷いましたね。


多分それは、誰でもではなくて、

特定の相手だけじゃないかとも思うけど、

でも、どうやら当人には自覚がないようなので、

ここでは、適当に返事しておきました。


この会話の後は、なつめちゃんは結構疲れていたようで、

いつの間にか、微かな寝息を立てて眠ってしまい、

わたしは、穏やかな顔をしてすやすや眠る、

なつめちゃんの顔を、何も考えず眺めていました……


   ・   ・   ・   


しばらくして、時計を確認すると、

準備に入る予定時刻の5時半になったので、

なつめちゃんを起こして、

2人でダイニングルームへと向かいました。


カレーを温めなおしている間に、

炊けたご飯を、お皿によそっておいて、

暖め終わったカレーをかけて、テーブルに並べてから、

最後に冷やしておいたケーキを出して、

ローソクを16本立てたら、準備完了です!


なつめちゃんのデコレーションでは、

このローソクを立てる場所も、決められていて、

完全に均等なケーキです。


   ・   ・   ・   


ここまでの準備を終えたところで、ちょうど6時となり、

汐月さんと榊さんが時間通りに、

ダイニングルームに入ってきました。


2人が席に着いたところで、

なつめちゃんを、お誕生日席に着かせて、

わたしは、なつめちゃんの右側の席に座ってから、

ケーキのローソクに火を点けて、リモコンで部屋の照明を消すと、

わたしは定番の歌を歌うのではなく、

なつめちゃんに、一言挨拶をするように言いました。


なつめちゃんは、意外なわたしの言葉を聞いて、

とても戸惑っていて、何度も助けを求めるように、

じっとわたしの顔を見ていました。


ですが、今回のわたしのプランは、

なつめちゃんがゲストをもてなすのが目的ですから、

当然手助けはしません。


なつめちゃんは、そんなわたしの意図を理解したのか、

こっちを見るのをやめて、正面を見ると、

覚悟を決めて喋り始めたんですが、

「あ、あの、ええと、

 今日は、私の為に集まって、頂いて、

 って、別にいつも居るし、

 私の為に、集まったって訳じゃないけど、

 これだと、何か違わない? みな……」

と、またわたしを頼って見てくるので、

細かいことは気にしないで、思っていることを話すように言うと、

なつめちゃんは、一度下を向きました。


そして大きく深呼吸すると、仕切り直して顔を上げて、

もう一度、話し始めました。


「私は、今日、じゃなくて、

 今月で16歳になりました。

 今日、ここにこうしていられるのは、

 皆さんのおかげです、とても感謝しています。

 これからも、何かと迷惑をかけると思うけど、

 宜しくお願いします。

 汐月さん、榊、今日は初めて、

 みなに手伝ってもらって、食事を作りました。

 日頃、お世話になっている、お礼のつもりです。

 口に合うか、分からないけど、食べて下さい……」


そう言うと、なつめちゃんは深々と、頭を下げました。


わたしと汐月さんの拍手に続いて、遅れて榊さんの拍手の後、

顔を上げたなつめちゃんに、ローソクを吹き消してもらって、

誕生会が始まりました!


   ・   ・   ・   


なつめちゃんが、ケーキを切り分けて、

切った断面すら全てが全く同じに見える、

8等分したケーキを並べ終えると、みんな食べ始めました。


汐月さんは、カレーやケーキをひと口食べた直後、

栄養士の顔になって、分量とか成分を確認するような、

味わっているというよりも、

チェックしている鋭い目で食べていて、

わたし的には、それがとても怖かったです。


一体、この人はいくつの顔を持っているんだろう、

まるで役割に応じて、お面を変える役者さんみたいです。


でも、確認が終わったら、

やさしげな表情になって、なつめちゃんに、

「美味しいです、うまく出来てますね」

と、声をかけていました。


それに対して、またしても榊さんは、

仏頂面のまま、いかにも体育会系っぽく、

流し込むようにカレーを食べてしまい、

5分も経たず、お皿は空になりました。


すると、なつめちゃんは榊さんに、

「まだ食べられるでしょ?

 たくさんあるから……」

と言って、おかわりするように言うと、榊さんは一言だけ、

「……なら、頼む」

と言って、皿をなつめちゃんに渡しました。


なつめちゃん、キャラが変わってきてるような気がします、

ま、それを狙っているんですけどね……


みんなが、食べているのを見ながら、

なつめちゃんも、自分で作ったカレーを食べて、

ちょっとびっくりしたように、カレーを見ていました。


自分で作って、みんなで食べるカレーの味を、

なつめちゃんに尋ねると、

「うん、今までで、一番美味しいし、楽しい」

と、笑顔で答えてくれました。


結局、なつめちゃんと汐月さんが1杯、

わたしは2杯、榊さんは分からないくらい食べて、

カレーはなくなりました。


ケーキの方も、汐月さんの値踏みのような試食以外は、

わたしとしては問題なく、ケーキの出来も味も、

いい感じでしたね。


甘さ控えめのあっさり味で、

これはこれで、とても美味しかったです。


なつめちゃんは、もっと食べたがっていたけど、

食事制限で1個、汐月さんも1個、

榊さんと、わたしが3個でした。


榊さんは、甘い物は苦手っぽくて、

ひと口食べるたびに、濃いブラックのコーヒーを、

まるで流し込むように、飲んでいました。


食事の時間は、わたしと、汐月さんと、

なつめちゃんとで、おしゃべりしながら、

たまに、榊さんが訊かれたことに返事を返して、

みんなで楽しく過ごすことが出来たと思います。


その後はいよいよ、最後のプレゼント贈呈です。


これはさすがに、なつめちゃんへの無茶振りはせずに、

わたしから、例のものを渡します。


別室に隠しておいてもらった、例のあれを、

わたしが抱えて持ってくると、

なつめちゃんは、かなり期待した眼差しを向けていて、

今度はわたしの方が、緊張してきました……


みんなリビングに移動して、なつめちゃんを、

ソファーに座らせてから、その隣にあれを置いて、

なつめちゃんに渡しました。


汐月さんや、榊さんの見ている中、

「今、開けていい?」

と、尋ねるなつめちゃんに、頷いて返事を返すと、

早速、包装紙を縛っていた、リボンを解いて、

風呂敷を開くように、包装紙を開きました。


すると中身のクマは、なつめちゃんに背を向けていて、

わたしたちの方を、向いていたんです。


なので、縫いぐるみを正面から見た汐月さんは、

リアクションが早くて、すぐに榊さんをちらりと見た途端、

顔を背けるように横を向くと、口に手を当てて、

肩を震わせていました。


普段、空気を読まない榊さんも、

さすがに、これには気づいたようで、

ものすごく怖い顔で、わたしを睨みつけていましたね……


この時、怒気を通り越した、殺気じみたものを感じて、

全身に鳥肌が……


しまった、榊さんがこんなに怒るなんて、

予想してなかった……


蛇に睨まれたカエルって、こんな感じなのかも……


なつめちゃんは、みんなの反応を気にしながら、

クマを、自分の方に向かせてから、しばらく見つめた後、

ゆっくりと、榊さんに視線を移して、

「これ、榊?」

と、本物に向かって言いました。


「……なんで、俺に聞くんだ」

と、榊さんは不機嫌そうに文句を言った後、

やっぱり、わたしを睨んでましたね……


その後、なつめちゃんは、まじまじとクマを見ては、

榊さんと何度も見比べているし、

汐月さんは、ツボに入ってしまったようで、

ずっと、笑いを堪え続けていて、

それが榊さんの苛立ちを、さらに煽ってしまい、

無言の怒りが、わたしへと向けられて、

わたしはずっと、生きた心地がせずに、

鳥肌立ちっぱなしです……


その間もなつめちゃんは、

ずっとクマに抱きつくように掴んだままで、

どうやら気に入ってくれたみたいなのは、

何よりだったんですけどね……


「ねえ、みな、これ、名前は?」

と、視線は本物へと向けつつ、なつめちゃんは、

わたしに尋ねて来たので、わたしは、

決まってないから、なつめちゃんが決めていいと、

横から感じる殺気の方を、ちらちらと見ながら、

おそるおそる答えました。


「ふぅん、そっか、分かった。

 名前かあ、どうしようっかなあ」

と言うなつめちゃんの視線は、やはり本物に向いていて、

この時のなつめちゃんはちょっとだけ、

にやけているようにも見えましたね。


で、最後は、とうとう堪えきれなくなった、

汐月さんの大爆笑という、予測出来なかった形で、

お誕生会は終わりました。


   ・   ・   ・   


今回のわたしの企画は、榊さんから、

すごい顔で睨まれたこと以外、成功だったと思います。


わたしが、なつめちゃんにあげたかったもの、

なつめちゃんに、受け取って欲しかったもの、

なつめちゃんから、受け取りたかったもの、

これらがちゃんと、やり取り出来たんじゃないかなと、

思いました。


別れ際の、なつめちゃんの様子も、

最近では、とても悲しそうな表情ばかりだったのが、

今日は、すごく明るくて楽しそうにしてましたし。


でも、帰りの道中で、忍さんの言葉や、

汐月さんの言っていた言葉を考えた時、

少し引っかかるものを感じたのも、否定出来ません。


わたしとしては、やれるだけのことをして、

うまくいったと思うのに、

なんでこんなに、気にかかるんだろう。


このことは、もっとじっくり考えてみたいと思います……




2月22日 また妙な夢を見ました


今朝は目を覚ましたら、もう9時過ぎで、

その時点で完全に遅刻決定です……


こうなると、慌てても仕方ないので、

もう諦めて、悠然と朝の支度をしました。


寝坊の原因は、昨日のなつめちゃんの誕生祝いで、

色々と気になることや、思い当たることがあって、

なかなか寝付けなくって、

明け方くらいにやっと眠ったら、見事に寝坊です。


わたしは寝坊する時だけ、夢を見るみたいで、

前回はたしか、かなのことで悩んでいる頃だったような。


今は、なつめちゃんのことが気がかりで、

夢を見たんじゃないかと思います。


今回の夢も、やっぱり童話みたいで、

内容は、こんな感じでした……


   ・   ・   ・   


 あるところに、気まぐれな悪い魔女にさらわれて、

 雪の国にある、高い氷の塔の最上階に囚われた、

 とある国の、美しいお姫様がいました。


 このお姫様には、塔の中にいる限り、

 見るもの聞くもの全てが、

 正しく見えず、正しく聞こえないという、

 恐ろしい呪いがかけられていましたが、

 お姫様はそれを知りません。


 ある日、遠征の果てに辿り着いた国の兵士達が、

 お姫様を助けに来ました。

 兵士達は、お姫様に助けに来たことを伝えようと、

 大声で呼びかけました。


 外から聞こえる声に気付いた、お姫様は、

 それを確認する為に、窓から顔を出して下を見ました。


 しかし、お姫様が目にしたのは、

 塔の下に群がっている、不気味な怪物の群れが、

 こちらを見上げていて、

 そこから飛び降りて俺達の餌になれと罵る、

 恐ろしい声にしか聞こえません。


 お姫様は怖くなって、小さな窓を閉めてベッドに隠れて、

 怖くて震えていました。


 この後、窓を閉める音で兵士達に気づいた魔女は、

 魔法で兵士達を、追っ払ってしまいました。


 またある日、今度は隣の国の王子様が、

 遠路はるばる単身で、お姫様を助けに来ました。


 王子様は、お姫様のいる牢の小窓へ向かって、

 小石を投げて、救出に来たことを知らせながら、

 魔女に気付かれないように、

 静かに氷の塔を、よじ登り始めました。


 外から聞こえる物音に気付いた、お姫様は、

 それを確認する為に、窓から顔を出して下を見ました。


 しかし、お姫様が目にしたのは、

 不気味な目玉を手にして、

 今まさにそれを、投げつけようとしている、

 恐ろしい姿の悪魔が、気味の悪い顔で、

 あざ笑っているようにしか見えません。


 お姫様は怖くなって、小さな窓を閉めてベッドに隠れると、

 怖くて震えていました。


 この後、窓を閉める音で王子様に気づいた魔女が、

 魔法で王子様を塔から落としてしまい、

 王子様は大怪我をして、逃げ帰ってしまいました。


 これ以降も幾度となく、救出の手は差し伸べられましたが、

 お姫様にかけられた呪いのせいで、全て失敗に終わり、

 救出へ向かう者たちの数は、日増しに減っていきました。


 やがて月日は流れて、お姫様の存在は忘れられていき、

 お姫様も、半ば諦めていました。


 ある日、お姫様は窓から、空を飛ぶ大きな鷲の姿を見ました。


 あの大鷲なら、私をここから救い出してくれるかも知れない。

 お姫様はこれを、最後の希望と信じてみる事にしました。


 お姫様は、大鷲が助けに来てくれる事を願って、

 毎日祈りました。


 お姫様の願いが通じたのか、大鷲は日が経つごとに、

 こちらへと近づいてくるようになり、

 やがて、暗雲立ち込める闇夜に、

 羽ばたく音が聞こえるところまで近づきました。


 お姫様は喜んで、魔女のいない隙にと、

 急いで窓から身を乗り出して、窓から見えている、

 大鷲の大きな足につかまろうとした時、

 途切れた暗雲からのぞいた満月の光で、

 その姿を見てしまいました。


 その時、お姫様が目にしたのは、

 大きな鷲ではなく、蝙蝠の翼をもった魔物でした。


 そしてその魔物は、お姫様に向かって、

 もう誰もお前を助けには来ない、

 みんなお前の事など忘れたのだ、

 と、お姫様を罵ったのです。


 お姫様は、その言葉に最後の希望を失って、

 ここまで繋ぎ止めていた心は、とうとうくじけてしまい、

 窓から身を投げました。


 魔物はその鉤爪で、お姫様に掴みかかってきましたが、

 お姫様はそれを振り払い、あとちょっとの所で届かず、

 地面に向かって落ちていきます。


 その時、自分の名を呼ぶ声を聞いて、

 お姫様は目を開くと、最後に見えたのは、

 紛れもない大きな鷲でした。


 その正体は、大鷲に姿を変えた、

 魔法使いの弟子だったのに。


 魔法使いの弟子は、貴女を助けに来ました、

 祖国では多くの人々が、貴女の帰りを待っています、

 と伝えたのに。


 身を投げたお姫様を、必死で救おうと、

 急降下して、追いかけたのに。


 全ての善意は、魔女がかけた呪いのせいで、

 歪んだ悪意としてしか、お姫様には届く事はなく、

 こうして、気まぐれな魔女の悪戯により、

 1人の罪もない、お姫様の人生は、

 短く、そして不幸に、幕を閉じました。


   ・   ・   ・   


この夢の中の、お姫様がなつめちゃんで、

魔女っていうのは、多分病気のことで、

助けに来た兵隊や王子様は、

病院の先生や、看護師さんたちだと思います。


そして、魔法使いの弟子っていうのが、

多分、わたしのことで、

夢の中では、救出は失敗してしまい、それだけじゃなくて、

お姫様を死なせる原因になっていました。


これって、わたしの今のやり方では、

ダメって言う意味なんじゃないかと、

朝食を食べながら、考えていました。


もしかして、なつめちゃんが、

元気になるようにと思って、

わたしが、何かをすればするほど、

なつめちゃんは、元気になったとしても、

それを、わたしがいるからだと思って、

もっと強く、わたしがいないとダメだと、

思い込んでいくの?


そして、わたしがなつめちゃんに、

何もしてあげられなくなった時、

なつめちゃんは、今までで、

一番大きな傷を負ってしまう?


でも、じゃあどうしたらいいのかについては、

やっぱり分かりません。


もう少し冷静になって、考えてみようと思います……




2月28日 なつめちゃんのこと


三月からは気温も上がって、春になるんだそうですが、

今日の天気は、今年度最後の雪が降るという予想で、

朝から粉雪が降っていました。


先週に見た夢が気がかりで、落ち着いて考えたいのもあって、

お昼ごはんを食べた後に、御家河のいつもの場所へと、

雪空の中、散歩に行きました。


空気はとても冷たくて、北風が吹くと、

粉雪が当たって痛いくらいなので、

あちこちのポケットには、

使い捨てカイロを入れてるんだけど、

顔だけはそれは出来ないから、

顔が埋まるくらいマフラー巻いて、

河原へと向かいました。


河原には、こんな天気だから誰もいなくて、

たまに、犬の散歩の人とすれ違うくらいです。


天気が悪い時はもう定番となっている、橋の下に着くと、

座るところに敷くクッションをバッグから出して、

その上にカイロを乗せて座りました。


これで、防寒対策はバッチリです。


今日は、さすがに寒すぎて、

ヒョウちゃんは、現れそうにないと思い、

あげる物も、持ってきていません。


だんだんと大きくなってくる、降り続く雪を見ながら、

わたしは、忍さんの言葉を思い出して、

なつめちゃんのことを、考えていました……


   ・   ・   ・   


なつめちゃんは、お誕生会の翌日に、

病院へと戻りました。


これから新しい治療に入るそうで、

今はまた、面会謝絶になっていて、

しばらくそれは続くそうです。


お誕生会の時、食事やケーキを作っていたなつめちゃんは、

とても生き生きとしているように見えて、

それまでの、お人形さんみたいな雰囲気は、

全く感じませんでした。


あの時のなつめちゃんは、どこにでもいる普通の女の子でした。


ずっと、こういう感じでいてもらいたいと、

わたしは思っています。


でもその為には、今のところ、

わたしが親友として、そばにいないといけない。


わたしは、これからもずっと、

なつめちゃんと、一緒にいる?


……多分、それは出来ない。


もしかしたら、なつめちゃんのお父さんにお願いすれば、

わたしをそばにいれるように、してくれるかも知れない。


そうすれば、なつめちゃんは、

わたしに影響を受けて、変わっていくかも知れない。


でもこれだと、逆に考えれば、

もしもなつめちゃんより、わたしが先に死んじゃえば、

その時点で、ダメになると言うことだ。


それに、そういう生き方は、何か間違っている気がする……


わたしは、なつめちゃんの為に、

色々してあげたいとは思うけど、

なつめちゃんだけの為に、生きてるんじゃない。


だってわたしは、わたし自身の為に生きてるんだから。


たとえ、なつめちゃんがそのせいで、

取り返しのつかないことに、なったとしても。


この考え方が、なつめちゃんに対して、

ひどいとか冷たいとか、思われるのなら、

わたしは、そういう人間なんだと思う。


もし、なつめちゃんが、わたしに頼ってしか生きれないなら、

わたしは、なつめちゃんを見捨てるしかない。


逆に考えれば、なつめちゃんには、

わたしがいなくちゃダメなのが、ダメってことだ。


だからって、いなくなればいいって訳でもなくって、

わたしがいなくても、大丈夫なように、

なつめちゃんの心を、変えないといけない。


汐月さんが言いたいのは、そういうことなんだと、

忍さんは教えてくれたんだ。


そして、今のままだと、

なつめちゃんの心は変わらないのが、よく分かった。


でも、どうやって、それを変えればいい?


どうしたら、なつめちゃんの心を変えられる?


どうすれば、なつめちゃんは、

わたしがそばにいなくても、元気になってくれる?


いくら考えてみても、全然分からない。


小さい頃の、なつめちゃんは、

あんな性格じゃなかった。


昔、元気な振りをしていた時は、

あんな体の傷があったなんて、思えないくらい元気で、

わたしだけじゃなくて、他の子とも一緒になって遊んでた。


その頃の、なつめちゃんのイメージは、

元気で、ちょっとわがままで、けっこう頑固だった。


だから、よくちょっとしたことで、口ゲンカになって、

なつめちゃんが、手を出してしまい、

相手の子を、泣かせちゃったこともあったくらいなのに、

今じゃあ、ガラス細工のお人形みたいに、

脆くって、繊細で、気弱な女の子になってしまった。


でも、本当のなつめちゃんって、

どっちなんだろう。


もしかしたら、小学校の頃のなつめちゃんも、

今のなつめちゃんも、実は違っていて、

どっちでもないのかも知れない。


どんなに自分を取り巻く環境や、

自分の体が変わっても、その人の性格や癖は、

普段は隠してるとしても、変えられるものではないはず。


それが分かれば、何かいい方法が思いつくような気がする……


   ・   ・   ・   


ここまで、考えたところで、

いつの間にか、自分が雪だるまになっているのに気づき、

慌てて雪を払って、空を見ると、

もう日が沈み始めていました。


もう少しで、答えが分かりそうだったけど、

仕方なく急いで家に帰りました。


汐月さんは、遅くてもたしか3月中にはって、

言っていた気がする。


なんとか、それまでに、

なつめちゃんの気持ちを変える方法を、

考えたいと思います……





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ