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2010年  2月 その2

変更履歴

2011/01/03 誤植修正 以外 → 意外

2011/04/14 記述修正 一回り → ひと回り

2011/04/28 記述統一 一枚、二枚、三枚 → 1枚、2枚、3枚

2011/05/26 記述統一 一つ、二つ、三つ → 1つ、2つ、3つ

2011/07/21 記述統一 一人、二人、三人 → 1人、2人、3人

2011/09/19 誤植修正 話し → 話

2013/04/11 誤植修正 と気がづきました → と気づきました

2013/04/11 誤植修正 とを伝えると → と伝えると

2013/04/11 句読点調整

2013/04/11 改行調整

2013/04/11 区切り行追加

2013/04/11 記述統一 友だち → 友達

2013/04/11 記述統一 かなちゃん → かな

2013/04/11 記述修正 汐月さんから送られてきた →今日は、汐月さんから送られてきた

2013/04/11 記述修正 今日は、なつめちゃんの食事を作ってみました → 早速なつめちゃんの食事を作ってみました

2013/04/11 記述修正 この食材で作れる、メニューのレシピ集もあったので → この食材で作る、メニューのレシピもあるので

2013/04/11 記述修正 後は → 他には

2013/04/11 記述移動 プロの料理人が作った料理より、

2013/04/11 記述修正 更に、物足りない味になるばっかりです → もっと物足りない味になるばっかりです

2013/04/11 記述修正 汐月さんから言われた通りだなぁ。 → 汐月さんから言われた通りだ……

2013/04/11 記述修正 学生街の航海堂がある駅です → 学生街の航海堂がある駅ですね

2013/04/11 記述修正 『○×まるばつや』っていう名前のお店で → それは、『○×まるばつや』っていう名前のお店で

2013/04/11 記述修正 今まで扱ってなかった品物を入荷してるんです → 新しい商品を入荷しています

2013/04/11 記述修正 空いてそうな → いつでもあまりお客さんはいないけど、より空いてそうな

2013/04/11 記述修正 そっくりなだけでちがいました → 似ているけどけっこう違っていましたね

2013/04/11 記述修正 手触りも毛がふかふかで → 手触りも毛がふかふかだし

2013/04/11 記述修正 だけど → だけどなんだか

2013/04/11 記述修正 すごく榊さんっぽいです → すごく榊さんっぽい

2013/04/11 記述修正 プレゼントはこれにしよう! → プレゼントはこれに

2013/04/11 記述修正 と、決めました。 → 決めました!

2013/04/11 記述修正 た、高い! → ……た、高い!

2013/04/11 記述修正 がっくりしてたら → ガッカリしてたら

2013/04/11 記述追加 なんで判ったのかと言うと、胸のネームプレートに、

2013/04/11 記述追加 『店長』って書いてあったから……

2013/04/11 記述修正 この店長さんは → 店長さんは

2013/04/11 記述修正 今まで一度も話したことはなかったです → 今まで一度も話したこともありません

2013/04/11 記述修正 山積みのぬいぐるみを指さして → 山積みのぬいぐるみを指差して

2013/04/11 記述修正 思ったより大きいなと思ったら本当に大きくて → 思ったより大きいなと思ったら、他のよりもひと回り大きいし

2013/04/11 記述修正 これでいいので安くしてもらえませんか → これでいいので安くしてもらえないかって

2013/04/11 記述修正 と店長さんに、交渉してみました → 交渉してみたんです

2013/04/11 記述修正 店長さんは電卓片手に → そしたら店長さんは電卓片手に

2013/04/11 記述修正 と、聞かれて、わたしは正直に2万円です → と逆に訊かれたので、わたしは正直に2万円

2013/04/11 記述修正 と答えました → と答えたんです

2013/04/11 記述修正 店長さんは、うーん、と、うなってから → それを聞いた店長さんは、腕を組みつつ溜息をつくと

2013/04/11 記述修正 と言われても → そう言われても

2013/04/11 記述修正 大きいから → かなりでっかくて

2013/04/11 記述修正 涙目になりながら → 涙目になっていたら

2013/04/11 記述削除 もし売ってもらえたら、

2013/04/11 記述削除 送料のお金はないので、手で持って帰ります!

2013/04/11 記述修正 と言ったら、店長さんはちょっと考えた後に → 店長さんはニヤリと笑って

2013/04/11 記述修正 じゃあ、宣伝代と言う事で、2万円にしてあげる、 → 「じゃあこれを、持って帰ってくれるんなら、宣伝代と言う事で、2万円にしてあげよう。

2013/04/11 記述削除 って言われました!

2013/04/11 記述修正 ただその代わり、 → ただその代わり……」

2013/04/11 記述修正 クマは裸のままで → と言うと、クマは裸のままで

2013/04/11 記述修正 肩から『○×屋』の名前が大きく入った → お腹に『○×屋』の名前が大きく入った

2013/04/11 記述修正 たすきみたいなのをかけられて → 包装紙を貼られて

2013/04/11 記述修正 これで家まで持って帰るのが →  「これで家まで宣伝しながら持って帰るのが

2013/04/11 記述修正 値引きの条件だよ → 値引きの条件だ」

2013/04/11 記述修正 わたしは → ……わたしは

2013/04/11 記述修正 すごく人目を引いたし → すごくすごく人目を引いたし

2013/04/11 記述修正 でも、何か質問されるたびに → それでも約束なので、何か質問されるたびに

2013/04/11 記述修正 これは『○×屋』で買ったんです → これは『○×屋』で買ったって

2013/04/11 記述修正 って答えておきました → 答えておきました

2013/04/11 記述修正 プレゼントの準備が出来ました。 → プレゼントの準備が出来ました!

2013/04/11 記述修正 これ気に入ってくれるかなぁ → 気に入ってくれるかなぁ

2013/04/11 記述修正 なつめちゃんと榊さんの → なつめちゃんや榊さんの

2013/04/11 記述修正 リアクションが楽しみです。 → リアクションが楽しみです!

2013/04/11 記述修正 航海堂のバイトを再開しました → 航海堂のバイトを再開です

2013/04/11 記述修正 今までのシフトだと → 今までのシフトの流れだと

2013/04/11 記述修正 色々と心配させてしまった忍さんに → その理由は、色々と心配させてしまった忍さんに

2013/04/11 記述修正 感謝とお詫びを込めて → お詫びと感謝を込めて

2013/04/11 記述修正 チョコレートを渡そうと思ったんです。 → チョコレートを渡そうと思って……

2013/04/11 記述修正 今度はアドバイスももらいたいと思っています → 今度はアドバイスをもらいたいと思っています

2013/04/11 記述修正 用事があって → ちょっと用事があって

2013/04/11 記述修正 土曜の午前中は家にいてね → 『土曜の午前中は家にいてね』

2013/04/11 記述修正 うちで待っていました → うちで待っていたんです

2013/04/11 記述修正 10時くらいに、宅急便の人が小包を持って来ました → そしたら10時くらいに、宅配便の人が小包を持って来ました

2013/04/11 記述修正 かなで → やっぱりかなで

2013/04/11 記述修正 手紙が入っていました → それと手紙が入っていました

2013/04/11 記述修正 あなたのことが好きです! → あなたの事が好きです!

2013/04/11 記述修正 気をつけて食べてね → 気をつけて食べてね!

2013/04/11 記述修正 愛の告白でした。 → 愛の告白かぁ……

2013/04/11 記述修正 手紙の内容は、ともかくとして → ……手紙の内容はともかく

2013/04/11 記述修正 一口サイズの → ひと口サイズの

2013/04/11 記述修正 一口サイズの → こちらもひと口サイズの

2013/04/11 記述削除 すこし本気で心配になってしまいました。

2013/04/11 記述修正 ホワイトデーにお返しするね → ホワイトデーにお返しするって

2013/04/11 記述修正 と書いて、返信しました → 書いて、返信しときました

2013/04/11 記述削除 お酒が入ってるのがあるって、書いてあったから、

2013/04/11 記述修正 高級な味がしました → 高級な味がします

2013/04/11 記述修正 高いものは美味しいです。 → 高いものは美味しい……

2013/04/11 記述修正 もう2枚ほど食べてから → もう2つほど食べてから

2013/04/11 記述修正 久しぶりに → 向かっている最中、久しぶりに

2013/04/11 記述修正 店内に入って → お店に着いて

2013/04/11 記述削除 わたしは恐縮してしまって、

2013/04/11 記述削除 長い間、休んでしまってすみませんでした、

2013/04/11 記述修正 と、頭を下げて謝ると → 何度も頭を下げて謝ってしまうのですが

2013/04/11 記述修正 挨拶を返されてばかりでした。 → 挨拶を返されてばかりです……

2013/04/11 記述修正 わたしは、自分の存在ってその程度だったのかなぁ → その反応に、自分の存在ってその程度だったのかって

2013/04/11 記述修正 と、ちょっと寂しく思っていると → ちょっと寂しく思っていたら

2013/04/11 記述修正 社員の人に手招きされて → 社員の人に手招きされたので

2013/04/11 記述修正 なんだろう、と思いつつその人のそばに行くと → その人のそばに行くと

2013/04/11 記述修正 前と同じように接するようにって → 普通に接するように

2013/04/11 記述修正 忍さんから、言われているんだよ → 言われていることを

2013/04/11 記述修正 と、教えてくれました → 教えてくれました

2013/04/11 記述修正 わたしから挨拶しないと、と思っていたのに → わたしから挨拶しなきゃと思っていたのに

2013/04/11 記述修正 忍さんの顔を見たら、何て言ったらいいか → 忍さんの顔を見た途端、気が動転して、何て言ったらいいか

2013/04/11 記述修正 分からなくなってしまって → 分からなくなってしまい

2013/04/11 記述削除 あの、って言ったきり、

2013/04/11 記述修正 何も言えなくなってしまいました。 → 何も言えなくなってしまいました……

2013/04/11 記述追加 ああ、ちゃんと説明しないといけないのに、どうしよう……

2013/04/11 記述修正 どうしよう、とわたしが焦っていたら → わたしが焦っていたら

2013/04/11 記述修正 忍さんはわたしに一言だけ → 忍さんはわたしに一言だけ言ったんです

2013/04/11 記述修正 と、普通に言われました → って

2013/04/11 記述修正 なんでか判らないけど → 何故か判らないけど

2013/04/11 記述修正 急に涙がこみ上げて来てしまって → 急に涙がこみ上げて来て

2013/04/11 記述結合 ドアの前で泣いてしまいました。 → ドアの前で泣いてしまい、

2013/04/11 記述修正 いきなり叱られてしまいました。 → いきなり叱られてしまいました……

2013/04/11 記述修正 わたしは、すいません、と謝ってから → わたしは頭を下げて謝ってから

2013/04/11 記述修正 涙をこらえて、挨拶した後に → 涙をこらえながら

2013/04/11 記述修正 後で話をする時間を下さい → 後で時間を作って欲しいとだけお願いして

2013/04/11 記述修正 とお願いして、忍さんの仕事が終わった後に → 忍さんの仕事が終わった後に

2013/04/11 記述修正 時間をもらいました → 話をする時間をもらいました

2013/04/11 記述修正 更衣室に行って → その後すぐに更衣室に行って

2013/04/11 記述修正 わたしは、忍さんの言葉を改めて考えて → 言われた言葉を改めて考えてみると

2013/04/11 記述修正 忍さんは気づいて → 忍さんは見抜いて

2013/04/11 記述修正 忍さんにがっかりされたくないので → がっかりされたくないので

2013/04/11 記述修正 余計なことは考えず → もう余計なことは考えず

2013/04/11 記述修正 わたしと忍さんだけになりました → もうわたしと忍さんだけでしたね

2013/04/11 記述修正 忍さんの仕事が終わって → 忍さんの仕事が終わったらしく

2013/04/11 記述修正 で、話っていうのは? → じゃ、話を聞こうか

2013/04/11 記述結合 わたしの前に紙コップを1つ置きました。 → わたしの前に紙コップを1つ置いたので、

2013/04/11 記述修正 忍さんにお世話になったお礼と → お世話になったお礼と

2013/04/11 記述修正 心配させてしまったお詫びです、と伝えて渡しました → 心配させてしまったお詫びだと伝えて、それを忍さんへ渡しました

2013/04/11 記述修正 この展開は予想していなかったみたいで → この展開は予想していなかったらしく

2013/04/11 記述結合 相談しました。 → 相談したんですが、

2013/04/11 記述修正 よく判らなかったところがあって → 良く判らなかった点があるんだけど

2013/04/11 記述修正 なんでそれが → どうしてそれが

2013/04/11 記述修正 いつもわたしと手を繋いでいた。 → いつもわたしと手を繋いでいた……

2013/04/11 記述修正 よくあるし → よくある事だし

2013/04/11 記述修正 足が悪いとかじゃ無くって → 足が悪いとかじゃなくて

2013/04/11 記述修正 手を繋いでいたかったんだと思えるな → 手を繋いでいたかったんだと思える

2013/04/11 記述修正 先生は → その先生は

2013/04/11 記述修正 自分で克服して生きてる → 自分で克服して生きている

2013/04/11 記述修正 その繰り返しだと私は思ってる → その繰り返しだと私は理解してる

2013/04/11 記述修正 その逃げ口の1つが → その逃げ場所の1つが

2013/04/11 記述修正 そんなこと言ったら → そんな事を言っていたら

2013/04/11 記述修正 医学の知識は無いけど → 医学の知識はないけど

2013/04/11 記述修正 私は別だと思ってる → 私は別だと思う

2013/04/11 記述修正 いい事では無いんだよ → 望ましい事ではないんだよ

2013/04/11 記述修正 そういう事を見越して話している → そう言った事を見越して話している

2013/04/11 記述修正 こんなんで → こんな感想で

2013/04/11 記述修正 ちょっと想像してみな。 → ちょっと想像してみ?

2013/04/11 記述結合 時計を見ました。 → 時計を見たので、

2013/04/11 記述修正 帰りの電車がなくなってました → 帰りの電車がなくなってる……

2013/04/11 記述修正 家まで送ってもらうことになりました → 家まで送ってもらうことにしました

2013/04/11 記述修正 これ忍さんの車ですか、と聞くと → この車のことを尋ねると

2013/04/11 記述削除 「違うよ、私は車持ってない。

2013/04/11 記述修正 これは店長の車 → 「これは店長の車

2013/04/11 記述修正 今なら訊いてもいいかな、とちょっと思って → 今なら訊いてもいいかなと思い

2013/04/11 記述修正 わたしに色々してくれるんですか → わたしに色々してくれるのかを

2013/04/11 記述修正 と、思い切って訊きました → 思い切って訊いたんです

2013/04/11 記述修正 忍さんは → すると忍さんは

2013/04/11 記述修正 茶化してごまかそうとしてたけど → 最初は茶化してごまかそうとしてたけど

2013/04/11 記述削除 わたしは忍さんのことを、憧れているし、尊敬してるし、

2013/04/11 記述削除 大好きな人だから、本当の事が知りたいんです!

2013/04/11 記述結合 と、ずっと思っていたことを、真剣に伝えました。 → わたしの真剣な様子を見て、次第に態度が変わり、

2013/04/11 記述修正 忍さんは一度何かを言いかけたけど → そして忍さんは一度何かを言いかけたけど

2013/04/11 記述修正 ええと、今はちょっと答えづらいな → えぇと、今はちょっと答えにくいな

2013/04/11 記述修正 ちゃんと話すから → ちゃんと話すからさ

2013/04/11 記述修正 もう家に着くし → もう家に着くし、ね?

2013/04/11 記述修正 と頼まれてしまい → と言いながら前を指差したので

2013/04/11 記述修正 わたしは前を見ると → その方向を見ると

2013/04/11 記述追加 そう言われたら、これ以上は聞けないなぁ……

2013/04/11 記述修正 最後に、忍さんはわたしに → でも最後に忍さんは

2013/04/11 記述修正 今は、これ以上は言えない → 今は、これ以上言えない、ごめんね

2013/04/11 記述修正 ゆっくり待つ事にします → ゆっくり待つことにします

2013/04/11 記述修正 もう一度考えてみたいと思います。 → もう一度考えてみたいと思います……

2013/04/11 記述修正 汐月さんから、昨日の夜に → 昨日の夜に汐月さんから

2013/04/11 記述修正 明日から、面会が許可されるって言う連絡があって → 面会が許可されるって言う連絡があったので

2013/04/11 記述修正 わたしは即答で、明日に行きます、と伝えました → わたしは出来るだけ早く会いたくて、無理を言って急いで手続きをしてもらいました

2013/04/11 記述修正 その事を → そのことを

2013/04/11 記述修正 この日を待っていたんです。 → この日を待っていたんです……

2013/04/11 記述修正 榊さんと一緒に病室へ入ると → 榊さんと一緒に病室へ入ると、いつものガラス部屋ではなく

2013/04/11 記述修正 わたしの方を見るのですが → こっちを見たけど

2013/04/11 記述修正 最初は何の反応も無くて → 最初は何の反応もなくて

2013/04/11 記述修正 わたしと視線も合わなくて → わたしと視線も合わず

2013/04/11 記述修正 わたしの後ろの遠くを見ているようでした → わたしの後ろの遠くを見ているようです

2013/04/11 記述修正 わたしはすごく不安になりました。 → すごく不安になりました……

2013/04/11 記述結合 わたしの手を握り返してきました。 → 握っていた手を握り返してきたけど、

2013/04/11 記述修正 でもその力は弱弱しくって → でもその力は弱々しいし

2013/04/11 記述修正 わたしはとりあえず、なつめちゃんに → それでもとりあえず、わたしはなつめちゃんに

2013/04/11 記述修正 やっぱり何も言ってはくれませんでした → やっぱり何も言ってはくれません

2013/04/11 記述修正 声、出せないの? → 声のことを

2013/04/11 記述修正 と尋ねると → 尋ねると

2013/04/11 記述修正 小さく、うん、と頷きました → 小さく頷きました

2013/04/11 記述修正 出たばかりなので → 出たばかりだから

2013/04/11 記述修正 喋れなくなっているとは思わなくって → 喋れなくなっているとは思わなかった……

2013/04/11 記述削除 とても驚きました。

2013/04/11 記述修正 聞いたことを伝えて → 聞いたことと

2013/04/11 記述修正 退院したら、ちょっと遅いけど → 退院したら

2013/04/11 記述修正 わたしが、なつめちゃんの誕生日のお祝いをするから → 誕生日のお祝いをすることを

2013/04/11 記述結合 早く元気になって退院してね、と伝えました。 → 伝えると、

2013/04/11 記述修正 なつめちゃんは、それを聞いて → それを聞いたなつめちゃんは

2013/04/11 記述追加 やっぱり、なつめちゃんにはわたしが必要なんだ……

2013/04/11 記述修正 わたしは、なつめちゃんの涙を拭いてあげながら → なつめちゃんの涙を拭いてあげながら

2013/04/11 記述修正 わたしがなつめちゃんに色々してあげれば → わたしが色々してあげれば

2013/04/11 記述修正 30分です、と告げられていたから → 10分だけだと告げられていたから

2013/04/11 記述修正 話が出来ませんでした → 話が出来なかったです

2013/04/11 記述修正 とても寂しそうな顔をしていました。 → とても寂しそうな顔をしていました……

2013/04/11 記述修正 なつめちゃんのそばで → そばで

2013/04/11 記述修正 どう思っているんだろうと → どう思っているんだろうかと

2013/04/11 記述修正 今まで見ていた中で → これまでで

2013/04/11 記述修正 榊さんと談話室に行って聞くと → 談話室で質問してみたら

2013/04/11 記述修正 少し複雑な気持ちでした。 → 少し複雑な気持ちでした……

2013/04/11 記述修正 榊さんの言葉は → 榊さんの感想は

2013/04/11 記述修正 榊さんの言葉は → その言葉は


2月11日 なつめちゃんへの手料理


今日は、汐月さんから送られてきた食材を使って、

早速なつめちゃんの食事を作ってみました。


この食材で作る、メニューのレシピもあるので、

その通りに作るのは簡単そうなんですが、

それだと言われていた通り、いつものご飯と、

変わらなくなってしまいます。


この食材以外に加えることは、ダメだと言われているから、

他には、何かを減らしてみるしかないんですが、

素人のわたしが、ちょっと手を加えたくらいで、

プロの料理人が作った料理より美味しくなるはずもなくて、

どうやっても、薄味の上に、

もっと物足りない味になるばっかりです。


食材を小分けにして、何度かチャレンジしたけど、

結局、美味しく出来たのはありませんでした。


これじゃあ、汐月さんから言われた通りだ……


何か、ちがう形でなつめちゃんに食事に、

興味を持ってもらえるような、工夫が出来ないかなぁ。


もうちょっと、考えてみようと思います。




2月13日 誕生日プレゼント


今日は、なつめちゃんへのプレゼントを探しに、

出かけてきました。


晴れてはいたけど、風が強くてめちゃめちゃ寒い日で、

ダウンジャケット着てマフラー巻いて、ニット帽被って、

靴も暖かいショートブーツ履いて、完全武装です。


定期で行けるところで、一番お店が多くて大きい駅前は、

やっぱり大学がある、学生街の航海堂がある駅ですね。


その駅ビルには、バイトが午後からの時とか、

早く終わった時なんかに、お金もないので、

よくウィンドウショッピングをしてました。


その時に、ちょっと変わった品揃えの、

雑貨屋さんを見つけたんです。


それは『○×まるばつや』っていう名前のお店で、

駅ビルの4階の、奥の方にあるんですが、

このお店、扱ってる物に一貫性がなくって、

行く度に新しい商品を入荷しています。


そこなら、何かいい物が見つかるかもと思って、

いつでもあまりお客さんはいないけど、

より空いてそうな開店時間に合わせて行ってみました。


   ・   ・   ・   


エスカレーターを上って、お店が見えるところまで来ると、

すでに、今までに見たことない物が、

お店の前の通路に、はみ出して並んでいました。


すごく大きな、ベージュ色の丸い塊が山積みにされていて、

何かと思ったら、それは大きなクマのぬいぐるみでした。


一瞬、こんな大きいテディベアがあるんだ!

と思ったら、似ているけどけっこう違っていましたね。


これ、座ってて1mを超える大きさで、

山積みから転げ落ちていたのを、

ちょっと持ち上げてみると、わたしの目線くらいの背丈で、

けっこうずっしり重くて、両手でギュッと抱きしめると、

ぬいぐるみにしては硬めで、力いっぱい抱きしめられて、

ちょうどいい弾力です。


手触りも毛がふかふかだし、縫製も良く出来てるみたいで、

手や足も動くようになってるけど、しっかりついてて、

引っ張ったくらいでは、取れそうもないです。


わたしは、周りに人がいないのを確認して、

しばらくクマに、ハグしてました。


これ、いいなぁ、欲しいなぁ……


だけどなんだか、顔が、ちょっと怖いんです。


目つきが冷めてて、口がへの字で、

まるで、怒ってるというか、無愛想な感じな顔です。


この顔、誰かに似ているような気がするなぁ、

大きくて、無愛想で、怖い顔してて……


あ、これ、榊さんだ!


このクマ、すごく榊さんっぽい。


榊さんはこんなにお腹出てないけど、雰囲気はそっくりです。


この時に唐突にピンと来て、プレゼントはこれに決めました!


で、値札を見ると、3万円です!


……た、高い!


どうりで、良く出来てると思った……


ちょっとこれは、予算オーバーです。


残念だけど、諦めるしかないかと思って、

ガッカリしてたら、突然、

「それ、いいでしょ、今回限りの入荷だよ」

と、店の中から声をかけられて、びっくりして振り返ると、

それはお店の店長さんでした。


なんで判ったのかと言うと、胸のネームプレートに、

『店長』って書いてあったから……


店長さんは、このぬいぐるみみたいに、

大きな太ってる人で、ひげが昔の拳法家みたいに、

細くて長くて、そんなに明るい店内でもないのに、

かなり濃い目の、丸いサングラスをかけてます。


パッと見は、かなり怪しげな人です。


もちろん、今まで一度も話したこともありません。


店長さんは、わたしが持っていたぬいぐるみを見て、

顔をしかめると、

「ああ、またか、それ不良品だわ。

 ほんとに品質が悪いんだよねえ、これ。

 返品だな、それ」

と言われて、どこがだろうと疑問に思って尋ねると、

他の、山積みのぬいぐるみを指差して、

「それ、他のよりひと回り大きいし、足も長すぎだな。

 顔もちゃんと出来てない。

 そんなおっかない顔じゃないよ」

と、言われました。


たしかに、抱いてみたら手が回らないくらい大きくて、

思ったより大きいなと思ったら、他のよりもひと回り大きいし、

他のクマの顔を見たら、みんな優しい顔でした。


わたしは、断られるのを覚悟で、

これでいいので安くしてもらえないかって、

交渉してみたんです。


そしたら店長さんは電卓片手に、しばらく考えていたけど、

「今日、最初のお客さんだし、

 君、何回かお店に来てくれてるから、

 じゃあ特別に、5千円引きで、どう?」

と、値引きしてもらえました!


けど、まだ予算はオーバーしていて、

どうしようと悩んでいると、

「あんた、若いのに粘るねえ、

 一体、いくらならいいの?」

と逆に訊かれたので、わたしは正直に2万円と答えたんです。


それを聞いた店長さんは、腕を組みつつ溜息をつくと、

「そう言われても、2万5千円以上は無理だよ、

 無理ならあきらめな。

 それにこれ、かなりでっかくて、

 持っては帰れないから、送料もかかるよ」

と、言われてしまいました……


わたしは、ここまで負けてもらったのに、

買えないのが悔しくて、涙目になっていたら、

と言ったら、店長さんはニヤリと笑って、

「じゃあこれを、持って帰ってくれるんなら、

 宣伝代と言う事で、2万円にしてあげよう。

 ただその代わり……」、

と言うと、クマはほとんど裸のままで、

お腹に『○×屋』の名前が大きく入った包装紙を貼り付けて、

「これで家まで宣伝しながら持って帰るのが、値引きの条件だ」

と言われました。


   ・   ・   ・   


……わたしは、がんばって、クマを抱えて帰りました。


真っ直ぐ歩けないし、前はクマで見えないし、

すごくすごく人目を引いたし、

小さい子は近寄って触ってくるし、

ヤンキーっぽいカップルからも、声かけられたり、

10回以上人にぶつかってしまって、謝ったり、

電車では、お年寄りに席を譲られるしで、

とにかく色々と大変でした。


それでも約束なので、何か質問されるたびに、

これは『○×屋』で買ったって、答えておきました。


家に帰ってから、毛を整えてきれいにして、

別にもらっておいた、プレゼント用の包装紙で包んで、

プレゼントの準備が出来ました!


ちょっとかなりすごく大変だったけど、

何とか予算で買えて、良かったです。


この無愛想な榊さんクマ、わたし的にはいいと思うけど、

なつめちゃんは、気に入ってくれるかなぁ。


これを見たときの、なつめちゃんや榊さんの、

リアクションが楽しみです!




2月14日 バレンタインデー


今日から、航海堂のバイトを再開です。


今までのシフトの流れだと、土曜日から始めるのですが、

今日は忍さんが店にいると聞いて、今日からにしました。


その理由は、色々と心配させてしまった忍さんに、

お詫びと感謝を込めてチョコレートを渡そうと思って……


それと、なつめちゃんの話を聞いてもらって、

今度はアドバイスをもらいたいと思っています。


でもバイトに行く前に、ちょっと用事があって、

午前中は自宅にいました。


実は昨日、かなからメールが来て、

『土曜の午前中は家にいてね』

というメールが来ていたんで、

バイトに出る時間を午後からにして、

うちで待っていたんです。


そしたら10時くらいに、宅配便の人が小包を持って来ました。


その送り主は、やっぱりかなで、

菓子折りくらいの大きさの小包だけど、

ちょっと重かったです。


中身を確認してみると、それは、

ゴディバのチョコレートの詰め合わせで、

それと手紙が入っていました。


「 愛しいみなもへ

 溢れんばかりの愛を込めて、

 このチョコレートを送ります。

 あなたの事が好きです! 愛しています!

 どうかこのあたしの気持ち、受け止めて!

 P.S.

 お酒入ってるのもあるから、気をつけて食べてね!

           かわいい、かわいい、かなより 」


何かと思えば、かなからの、愛の告白かぁ……


……手紙の内容はともかく、

チョコの詰め合わせは、すごく大きくて、

豪華な箱は、上下二段になっていました。


上の段には、ひと口サイズの、

色んな種類の、かわいいチョコが並んでいて、

下の段の、引き出しになっているところには、

こちらもひと口サイズの、板チョコが入ってました。


きっとこれ、すごく高いんじゃないかと思うんだけど、

まさか本気で愛の告白じゃないよね?


とりあえず、告白についてはスルーしといて、

お礼のメールに、ホワイトデーにお返しするって書いて、

返信しときました。


バイトに行く前に、板チョコを1つだけ食べてみると、

なんだか高級な味がします。


やっぱり、高いものは美味しい……


もう2つほど食べてから、お店に向かいました。


   ・   ・   ・   


向かっている最中、久しぶりにお店に行くと思ったら、

なんだか緊張してしまい、

最初に面接に来た日のことを、思い出しました。


お店に着いて、お店に出ている人たちに会うたびに、

何度も頭を下げて謝ってしまうのですが、

みなさん、それほど気にしてなかったのか、

軽い感じで流されて、普通に挨拶を返されてばかりです……


その反応に、自分の存在ってその程度だったのかって、

ちょっと寂しく思っていたら、忍さんの次に長くいる、

社員の人に手招きされたので、その人のそばに行くと、

忍さんの指示で、わたしに対しては、

変に突っ込まないで、普通に接するように、

忍さんから言われていることを、教えてくれました。


わたしは、社員の人に教えてくれたお礼を言って、

忍さんがいる事務室の前まで行くと、一度深呼吸してから、

中に入りました。


わたしから挨拶しなきゃと思っていたのに、

忍さんの顔を見た途端、気が動転して、

何て言ったらいいか、分からなくなってしまい、

何も言えなくなってしまいました……


ああ、ちゃんと説明しないといけないのに、どうしよう……


わたしが焦っていたら、

忍さんはわたしに一言だけ言ったんです、

「おはよう、みなもちゃん」

って。


忍さんのその一言を聞いたら、何故か判らないけど、

急に涙がこみ上げて来て、ドアの前で泣いてしまい、

忍さんは、そんなわたしに厳しい表情をして、

「みなもちゃん、ここにバイトしに来たんでしょ?

 泣いてちゃ仕事にならないよ。

 復帰して職場に出てきたんだったら、しっかりしなさい」

と、いきなり叱られてしまいました……


わたしは頭を下げて謝ってから、涙をこらえながら、

後で時間を作って欲しいとだけお願いして、

忍さんの仕事が終わった後に、話をする時間をもらいました。


その後すぐに更衣室に行って、着替えている時、

言われた言葉を改めて考えてみると、

ここに来るのに、わたしが仕事しに来るという、

気持ちではないのを、忍さんは見抜いて、

それを指摘されたんだと気づきました。


来ていきなり、がっかりされたくないので、

わたしは気合を入れ直して、もう余計なことは考えず、

一生懸命バイトをがんばりました。


   ・   ・   ・   


集中していたせいか、バイトの時間はあっという間に終わって、

忍さんの仕事が終わるのを待っている間、

他の人が帰っていくのを、わたしは挨拶して見送っていました。


忍さんは、この日かなり遅くまでかかっていて、

時間は1時間以上経って、9時を過ぎると、

お店に残っているのは、もうわたしと忍さんだけでしたね。


9時半くらいに、忍さんの仕事が終わったらしく、

更衣室に来ました。


手にお茶を2つ持って、入ってきた忍さんは、

「遅くなっちゃってごめん、

 みなもちゃん、今日はごくろうさま。

 最初に厳しい事言って、悪かったね。

 でも、ちゃんと切り替えて、

 仕事出来てたみたいで良かった。

 じゃ、話を聞こうか」

と言って、わたしの前に紙コップを1つ置いたので、

わたしは、まずは用意してきたチョコレートを出して、

お世話になったお礼と、心配させてしまったお詫びだと伝えて、

それを忍さんへ渡しました。


忍さんは、この展開は予想していなかったらしく、

かなり驚いていたけど、喜んでもらえてよかったです。


そしてこの後に本題の、バイトを休んでいる間の出来事と、

なつめちゃんのことを、ざっと説明して、

なつめちゃんにしてあげることや、

汐月さんの言葉の意味について、相談したんですが、

忍さんは、わたしの話を身動き1つしないで、

わたしから視線も外さずに、じっと聞いていました。


わたしの話が終わって、最後に忍さんはどう思ったかを、

教えて欲しいとお願いすると、忍さんは、

わたしから視線を外してしばらく考えてから、

「そうか、色々と大変だったんだね、

 まず、今の話で疑問に思った事から。

 みなもちゃんの話を聞いてて、

 良く判らなかった点があるんだけど、

 その病院で会ったって言う、

 なつめちゃんって子じゃない男の子、

 どうしてそれが、友達の子じゃないと思ったの?」

と訊かれて、わたしは改めて、

車椅子の男の子のことを、思い出してみました。


坊主頭で、青いパジャマを着てて、声が出せなくて、

車椅子に乗ってて、いつもわたしと手を繋いでいた……


だから、男の子だと思ったと伝えると、

「それって、みなもちゃんの主観でしょ?

 頭に怪我とか、治療で髪が抜けるから、

 頭を丸めるってのは、よくある事だし、

 それにみなもちゃんだって、青い服着てるよね?

 つまり、女の子だからって、

 青いパジャマを着ないって事もないと思うけど。


 車椅子に乗ってたのも、足が悪いとかじゃなくて、

 口に呼吸器みたいのを、付けてたんだから、

 それを持ち歩けない小さい子供だったから、

 車椅子に乗ってただけだと思う。


 手を繋いでいたっていうのは、同じ女の子でも、

 親しい友達には、スキンシップとかで、

 気軽に触ったりしない?


 多分、その子はみなもちゃんに親しみを込めて、

 手を繋いでいたかったんだと思える。

 その子の小さい時の事を知っている人に、

 どういう格好してたか訊けば、すぐに分かると思うけど」

と言われて、そう言われてみると、

たしかにわたしの思い込みで、なつめちゃんじゃないと、

思っていただけなのが、分かりました。


忍さんは、更に続けて、

「私が、今の話を聞いた限りでは、

 みなもちゃんは、目先の事に囚われていて、

 その先生は、最終的な状態を考えているんだと思う。


 きつい言い方するとね、みなもちゃんがやっているのは、

 その子を甘やかしているだけ。

 その先生は、その子を立ち直らせたいんだよ。


 みなもちゃんはこれからずっと、

 その友達と一緒にいるつもり?

 その子からすれば、残りの人生を自分が心を許せる人と、

 一緒に過ごしたいと望んでいるのは、

 それまでの辛い人生を考えれば、

 その気持ちは、判らなくもないけど、

 普通に生きてる人だって、辛い事はない訳じゃないよね。

 でもみんな頑張って、自分で克服して生きている。

 生きていくってのは、嫌な事が起きる度に、

 解決して乗り越えていく、その繰り返しだと私は理解してる。


 その子は、嫌な事からただ逃げ出そうとしていて、

 その逃げ場所の1つが、みなもちゃんになっているんだよ。

 あと少ししか生きれないかも知れないって言うのも、

 私や大人から見ると、単なる現実逃避だね。


 そんな事を言っていたら、誰だって、

 突然、事故や病気や怪我で死ぬかも知れない。

 でもそれを悲観して、仕事や生活を投げ出したりしないし、

 他人に甘えたりしない。

 頑張って耐えながら生きているのは、誰でも一緒だから。


 きっとその子は、病弱だったからなんだろうけど、

 親も含めて、他人からは直接厳しい事とか、

 叱られたりとか、されてないんだろうな。

 前にみなもちゃんが、勉強していたような、

 医学の知識はないけど、体が弱い事と、

 心が弱い事は、私は別だと思う。

 体が弱いからと言って、甘やかしてしまえば、

 体の弱さにつられて心も弱くなってしまう。

 その子はそんな状態だと思える。


 今のままだと、その子はみなもちゃんに依存してしまって、

 みなもちゃんも、依存されているのが、

 正しい良い事だと勘違いしてしまう。

 そうなってしまったら、2人のどちらにとっても、

 望ましい事ではないんだよ。


 その先生はそう言った事を見越して話している、

 そんな気がする。

 これが、私の率直な感想」

と言い終えると、忍さんは真面目な顔から笑顔になって、

「こんな感想で参考になった?

 多分、今の私の話を聞いても、

 まだピンと来ないんじゃない?」

と質問されて、私は正直に頷いて返事しました。


「そうだよねえ、みなもちゃんはまだ若いから、

 その先生も、あえて理屈で説明しないで、

 みなもちゃん自身で、それに気づくのを、

 待つことにしてるんだと思う。

 若い子に理屈こねても、受け付けなくって、

 逆に反発しちゃうって判ってるんでしょ、

 なんせ、カウンセラーの先生だしね。

 次に、その友達の子と話が出来る時に、

 これからの先の事を、ちょっと想像してみ?

 そうすれば、ちょっとは判るかも」


言い終えると、忍さんは紙コップのお茶を飲み干して、

時計を見たので、わたしもつられて時計を見ると、

もう0時を回ってました。


いつの間にか、帰りの電車がなくなってる……


「ちょっと、話しすぎちゃったな、

 みなもちゃん、今日は家まで送ってくよ」

と、忍さんは車のキーをわたしに見せながら、

言ってくれたので、お言葉に甘えて、

家まで送ってもらうことにしました。


   ・   ・   ・   


お店を閉めて、外に出るとすごく寒くて、

急いで駐車場へと向かうと、

そこには、忍さんの雰囲気からすると、

ちょっと意外な、大きくて角ばってる、

モスグリーンのワゴンが、止まってました。


わたしが、この車のことを尋ねると、

「これは店長の車、たまに借りるんだ。

 でもこれ、ワゴンだけどFRなんだよ、

 だから、雪道とか大変でさあ、

 って言っても判んないか」

と言いながら、ドアを開けていました。


車で送ってもらってる間に、

前から気になっていた、店長の言葉を思い出して、

今なら訊いてもいいかなと思い、わたしは忍さんに、

色々と面倒みてもらっていると思っていることと、

忍さんがいない時に、店長から言われたことを伝えて、

どうしてそんなに、わたしに色々してくれるのかを、

思い切って訊いたんです。


すると忍さんは、

「それは、みなもちゃんが、とっても可愛いからだよ」

と、最初は茶化してごまかそうとしてたけど、

わたしの真剣な様子を見て、次第に態度が変わり、

この時の忍さんは、今までに見たことないくらい、

困っているように見えました。


そして忍さんは一度何かを言いかけたけど、

それを思いとどまって、ちょっと苦笑いな表情をすると、

「いきなりの告白だねえ、それはバレンタインだから?

 えぇと、今はちょっと答えにくいな。

 話が出来る時になったら、ちゃんと話すからさ、

 今日は勘弁してもらえない?

 ほら、もう家に着くし、ね?」

と言いながら前を指差したので、その方向を見ると、

もう、アパートの前に着いていました。


そう言われたら、これ以上は聞けないなぁ……


わたしは、送ってもらったお礼を伝えて、車を降りました。


でも最後に忍さんは、

「私が、みなもちゃんの事を、

 大事に思っているのは、認めるよ。

 だから何かあれば、私で良ければ力になるから。

 今はこれ以上言えない、ごめんね」

と言い残して、帰っていきました。


   ・   ・   ・   


この言葉はわたしにとって、とっても嬉しかったけど、

その理由は、まだ教えてもらえませんでした。


忍さんのことは、忍さんが話してくれるまで、

焦らずに、ゆっくり待つことにします。


今は、忍さんからもらったアドバイスを参考にして、

なつめちゃんのことを、もう一度考えてみたいと思います……




2月18日 儚げななつめちゃん


昨日の夜に汐月さんから、

面会が許可されるって言う連絡があったので、

わたしは出来るだけ早く会いたくて、

無理を言って、急いで手続きをしてもらいました。


そして、今日がその当日です。


最初に見に行ってからも、時間があれば、

なつめちゃんのところに、行っていました。


ずっと寝たきりで、動かないなつめちゃんを、

榊さんと一緒に見ていて、この時に忍さんの言葉にあった、

なつめちゃんの、幼い頃の格好について訊いてみたら、

榊さんがなつめちゃんと出会った、最初の頃は、

頭は坊主で、青い服を着ていたそうです。


これで、わたしが最初に会っていた時の、

なつめちゃんについての、謎は解けました。


そのことをなつめちゃんに伝えたくても、

それはまだ出来なくて、この日を待っていたんです……


   ・   ・   ・   


もうすっかり慣れてしまった、

学校のそばから、なつめちゃんの病室への道のりの後、

榊さんと一緒に病室へ入ると、いつものガラス部屋ではなく、

ずっと空だったベッドに、なつめちゃんがいました。


わたしと榊さんが入ってきても、なつめちゃんは眠っているのか、

こちらに気づく様子はありません。


わたしは、すぐにベッドの脇に近づいて、

そっと、なつめちゃんの手を取りました。


それに気づいて、なつめちゃんは目を開いてこっちを見たけど、

まるでわたしと判らないみたいに、最初は何の反応もなくて、

なつめちゃんの顔を見ている、わたしと視線も合わず、

何だか、わたしの後ろの遠くを見ているようです。


この時のなつめちゃんは、そんなことはありえないけど、

なんだか、このまま消えてしまいそうな感じがして、

すごく不安になりました……


だけどちょっとしたら、わたしのことが判ったみたいで、

力なく笑って、握っていた手を握り返してきたけど、

でもその力は弱々しいし、それに何も話してくれません。


それでもとりあえず、わたしはなつめちゃんに、

最初の出会いのことを伝えました。


これを伝えれば、少しは喜んでくれると思ったんです。


わたしの話を聞いたなつめちゃんは、

目に涙を浮かべて、喜んでいるようだったけど、

やっぱり何も言ってはくれません。


わたしは、心配になってなつめちゃんに、

声のことを尋ねると、なつめちゃんは小さく頷きました。


実は、ナースステーションで、

まだあの小部屋から、出たばかりだから、

意識がはっきりしていなかったり、

筋力が落ちていて、うまく動けなかったりすると、

忠告は受けていたんですが、

まさか、喋れなくなっているとは思わなかった……


わたしはなつめちゃんに、

誕生日が2月7日だったのを聞いたことと、

退院したら、誕生日のお祝いをすることを伝えると、

それを聞いたなつめちゃんは、溢れる涙を拭いもしないで、

さっきよりも力強く、頷いてくれました。


やっぱり、なつめちゃんにはわたしが必要なんだ……


なつめちゃんの涙を拭いてあげながら、

こうやって、わたしが色々してあげれば、

なつめちゃんは元気になってくれて、

汐月さんや忍さんの言っていたような、

悪いことにはならないんじゃないかって、強く思いました。


これだけ話したところで、もう看護師さんが、

面接時間の終わりを知らせにやって来ました。


事前に、ナースステーションで、

面会時間は、患者の体調が思わしくないので、

10分だけだと告げられていたから、

あんまり、ゆっくり出来ないとは思っていたけど、

本当にちょっとしか、話が出来なかったです。


病室を出る時も、わたしが離れるぎりぎりまで、

なつめちゃんは、わたしの手を離そうとはしなくて、

看護師さんに言われて離すと、

なつめちゃんは、とても寂しそうな顔をしていました……


   ・   ・   ・   


病室から出た後、今までずっとそばで様子を見てきた榊さんは、

今のなつめちゃんを、どう思っているんだろうかと、

気になって、談話室で質問してみたら、

これまでで一番気力がなくなっていると、

はっきり言われて、少し複雑な気持ちでした……


   ・   ・   ・   


帰りの車の中でも、榊さんの感想は、

わたしには、とても重く感じていました。


その言葉は、なつめちゃんの表面的なことを、

言っていたのではないと、判っていたからです。


やっぱり、わたしが色々していても、

なつめちゃんは、良くなっていないのかな。


逆に、わたしがいることで、

なつめちゃんは、悪くなっているのかな。


でも、退院を目指して、

なつめちゃんが、がんばってくれれば、

きっと、良い方向に進んでいくと信じたいです。


今は、そう願うことしか、わたしには出来ないから……





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