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2010年  1月 その2

変更履歴

2011/03/31 記述統一 一週間、二日間、三時間 → 1週間、2日間、3時間

2011/04/03 記述修正 わたしは、ずっと親友だよ、て言おうとしたけど、 → わたしは、ずっと親友だよって言おうとしたけど、

2011/04/06 記述修正 ~、て~ → ~って~

2011/04/07 記述修正 色んな食べ物が、拒絶反応起こしてしまって、 → 色んな食べ物で、拒絶反応を起こしてしまって、

2011/04/09 記述統一 1学期、2学期、3学期 → 一学期、二学期、三学期

2011/04/16 記述変更 (クラス)1組、二組、3組 → A組、B組、C組

2011/04/17 記述統一 (個数)一組、二組、三組 → 1組、2組、3組

2011/04/20 記述統一 (期間)一日、二月、三年 → 1日、2月、3年

2011/04/27 記述統一 一着、二着、三着 → 1着、2着、3着

2011/05/02 記述統一 一本、二本、三本 → 1本、2本、3本

2011/05/24 記述統一 一つ、二つ、三つ → 1つ、2つ、3つ

2011/07/19 記述統一 一人、二人、三人 → 1人、2人、3人

2011/09/04 誤植修正 位 → くらい

2011/09/18 誤植修正 話し → 話

2013/03/27 誤植修正 夢は見なくで → 夢は見なくて

2013/03/27 誤植修正 それが直らないとか → それが治らないとか

2013/03/27 誤植修正 わたしが生きていたのか → わたしが生きていたいのか

2013/03/27 誤植修正 心にも直らない傷が出来ちゃって → 心にも治らない傷が出来ちゃって

2013/03/27 誤植修正 直っていないんだけど → 治っていないんだけど

2013/03/27 誤植修正 今はなつめちゃんの様態のことで → 今はなつめちゃんの容態のことで

2013/03/27 誤植修正 抜けさせてもらんで → 抜けさせてもらうんで

2013/03/27 句読点調整

2013/03/27 改行調整

2013/03/27 区切り行追加

2013/03/27 記述統一 友だち → 友達

2013/03/27 記述統一 かなちゃん → かな

2013/03/27 記述修正 事件となつめちゃんの告白 → なつめちゃんの告白

2013/03/27 記述修正 休憩しながら帰って来ました → 休憩しながら帰るようにしています

2013/03/27 記述修正 今日の体育は、またマラソンの練習で → 今日の体育の授業で

2013/03/27 記述修正 わたしはその時に、ちょっと足を挫いてしまい → わたしは足を挫いてしまい

2013/03/27 記述修正 バスとかも使わずに → それでもバスも使わずに

2013/03/27 記述修正 学校と駅の、最短のルートでもなくて → その道は、学校と駅の最短のルートじゃなく

2013/03/27 記述修正 大通りの裏の道なので、全然人もいなくて → 大通りの裏の道で人も少ないし

2013/03/27 記述修正 なんか → わたしも後ろを確認すると、なんか

2013/03/27 記述修正 気がつきました → 気がついたんです

2013/03/27 記述修正 同じ方向に歩いてきていました → 同じ方向に歩いてきていました

2013/03/27 記述修正 その人たちを見た時 → 更に

2013/03/27 記述修正 せっかく、良くなっていた体調も → これじゃあ、せっかく良くなってきた体調も

2013/03/27 記述修正 また、悪くなってきているように見えました → また悪くなってしまいそうです……

2013/03/27 記述修正 まずは確認してみようと思って → まずは確認してみようと思い

2013/03/27 記述修正 ちょっと急ぐよ、と伝えて → 少し急ぐように伝えて

2013/03/27 記述追加 これで、離れてくれればいいんだけど……

2013/03/27 記述修正 後ろの人たちは、最初はちょっとは間が開いたけど → すると、後ろの人たちは、最初は遠ざかったけど

2013/03/27 記述修正 こちらを見ながら → こちらを見て

2013/03/27 記述追加 間違いない、やっぱりついてきてる……!

2013/03/27 記述修正 もう → こうなったらもう

2013/03/27 記述削除 間違いなく、わたしたちについて来ていると確信して、

2013/03/27 記述修正 なつめちゃんに、走って逃げるよ、と伝えて → なつめちゃんと示し合わせて

2013/03/27 記述修正 民家が並ぶ道で見通しが悪いから → ジグザグに曲がっていて見通しが悪いから

2013/03/27 記述修正 わき道がぜんぜん無いところで → 脇道が全然ないところで

2013/03/27 記述修正 隠れられる場所がなくて → 隠れられる場所が見つからず

2013/03/27 記述修正 なつめちゃんが胸を押さえて → なつめちゃんが胸を押さえて息を切らし始め

2013/03/27 記述削除 苦しそうな息になっていて、

2013/03/27 記述修正 そのうち私の足も痛み出して → 私の方も怪我していた足が痛くて

2013/03/27 記述修正 2人とも走れなくなってました → 2人とも走れなくなってしまいました

2013/03/27 記述修正 どこか隠れるところはないかと → それでも必死に、どこか隠れるところはないかと

2013/03/27 記述結合 細いわき道が、ちょっと先に見えました。 → ブロック塀に挟まれた細い道が、ちょっと先に見えたのと同時に

2013/03/27 記述修正 それと同時に、あの人たちの声が近づいてきたので → あの人たちの声が近づいてきたので

2013/03/27 記述修正 そこに入ったんです → 急いでそこに入ったんです

2013/03/27 記述修正 その細い道の先は → でもその細い道の先は

2013/03/27 記述修正 行き止まりになっていました → 行き止まり……

2013/03/27 記述修正 戻らなくちゃと思って振り向いたら → 戻ろうと思って振り向いたら

2013/03/27 記述修正 わたしたちを囲むように近づいてきました → わたし達を囲むように近づいてきたんです

2013/03/27 記述修正 なつめちゃんを、倒れないように支えながら → ふらつくなつめちゃんを支えながら

2013/03/27 記述修正 ちょっとでも離れようと、空き地の奥に後ずさる途中で → あの人たちから少しでも離れようとしたんですが、空き地の奥に後ずさる途中

2013/03/27 記述修正 なつめちゃんが、ぐったりとして倒れてしまい → とうとうなつめちゃんが、力尽きて倒れてしまい

2013/03/27 記述修正 ろくに動けもしない、わたしたちを見て → そしたら、ろくに動けもしないわたしたちを見て

2013/03/27 記述修正 一斉に笑い出しました → 一斉に笑い出したんです

2013/03/27 記述修正 もう逃げるのは諦めたのか? → もう逃げんのは諦めたのか?

2013/03/27 記述修正 死なない程度にな → 判ってんだろうな

2013/03/27 記述修正 もうダウンしてるじゃん → すでにダウンしてんじゃん

2013/03/27 記述修正 そんな早いわけねぇだろが! → んな早いわけねぇだろが!

2013/03/27 記述結合 大笑いしていました。 → 大笑いしていました、

2013/03/27 記述追加 どうしよう、どうしよう、あ、そうだ……!

2013/03/27 記述修正 わたしは、ほとんど意識もなくなってしまい → ほとんど意識もなくなってしまい

2013/03/27 記述修正 かなからもらっていた物を取り出そうと → わたしは、かなからもらっていた物を取り出そうと

2013/03/27 記述修正 バッグに手を入れたとたん → バッグに手を入れようとした途端に

2013/03/27 記述修正 バッグを別の人に渡して → バッグを別の人に渡すと

2013/03/27 記述修正 抵抗したら → 抵抗したけど全然かなわず

2013/03/27 記述修正 腕をとられて身動きを出来なくされました → すぐに腕をひねられて、身動きを出来なくされました。

2013/03/27 記述修正 どうにも出来ないのが悔しくて → どうにも出来ないのが悔しいし

2013/03/27 記述修正 これから何をされるかを思うと → これから何をされるかと思うと

2013/03/27 記述修正 涙が出てきました。 → 涙が溢れてきます……

2013/03/27 記述修正 だから何でもかんでも俺の趣味にするなよ! → だから何でもかんでも俺の趣味にすんじゃねぇよ!

2013/03/27 記述分割 すごく、怖くて、怖くて、 → すごく、怖くて、怖くて……

2013/03/27 記述分割 怖くて、たまらなくて、 → 怖くて、たまらなくて……

2013/03/27 記述修正 でも、どうしようもなくて。 → でも、どうしようもなくて……

2013/03/27 記述修正 目を開けているのも出来なくて → 目を開けているのも出来ずに

2013/03/27 記述修正 遅くなりました → 遅くなりましたぁ

2013/03/27 記述修正 ったくお前は使えねぇや―― → ったく、使えねぇヤ――

2013/03/27 記述修正 抜けさせてもらいます → 抜けさせてもらんで

2013/03/27 記述修正 ふざけんなよ、てめぇ! → ざけんなよ、テメェ!

2013/03/27 記述修正 二度もおんなじこと言わせんな、バカが → 二度もおんなじこと言わせんな

2013/03/27 記述移動 さっきの鈍い音と振動は、誰かが殴られて倒れた音だ。

2013/03/27 記述修正 何か揉め事になっているのは、判りました。 → 何か揉め事になってる……

2013/03/27 記述修正 わたしは → わたしはこの隙に

2013/03/27 記述修正 わたしたちを助けてくれようとしている! → きっと助けてくれようとしている、

2013/03/27 記述修正 そう感じました。 → そう感じました!

2013/03/27 記述修正 4人はみんな → だけど相手の4人はみんな

2013/03/27 記述修正 だんだんとその人は、後ろに追い詰められていました。 → その人は後ろに追い詰められていました……

2013/03/27 記述修正 その人の足元に → その時ちょうどその人の足元に

2013/03/27 記述修正 青い傘があるのを見つけて → 青い傘が転がっていて、それに味方の人が気づいた瞬間

2013/03/27 記述修正 味方の人に向かって、わたしはとっさに、青い傘を振って! → 咄嗟にわたしは指差しながら叫んだんです

2013/03/27 記述削除 と、叫びました。

2013/03/27 記述追加 でも声はほとんど出なかったけど、

2013/03/27 記述修正 その人は、わたしの言ったとおりに → 味方の人は、わたしの言おうとしたことが判ったのか

2013/03/27 記述修正 青い傘を拾い上げると → 素早くしゃがんで青い傘を拾い上げると

2013/03/27 記述修正 それだけで意味が分かったようで → 拾っただけでそれが何か分かったようで

2013/03/27 記述修正 説明書にあった通りに、まるで使い慣れているみたいに → まるで使い慣れているみたいに

2013/03/27 記述修正 1回で特殊警棒を伸ばしました → あっという間に特殊警棒を伸ばしました

2013/03/27 記述修正 それをみた4人は、楽勝だと思ったら形勢が不利になって → それを見た4人は、楽勝だと思ったら形勢が不利になってしまい

2013/03/27 記述修正 ちょっと後ずさりました → ちょっと後ずさり始めていました……

2013/03/27 記述修正 震えも止まらなくて → 震えも止まらないし

2013/03/27 記述修正 そしたらもうほんとにおしまいだと思って → そしたらもう本当に終わりだと思って

2013/03/27 記述修正 ひたすら祈っていました → ひたすら祈ることしか出来ませんでした

2013/03/27 記述結合 戦っていました。 → がんばって戦っていましたが、

2013/03/27 記述修正 切り付けられるのを、避け切れなくて → 切りつけられるのを避け切れずに

2013/03/27 記述修正 血で染まっていくのが見えました。 → 血で赤く染まって……

2013/03/27 記述削除 わたしはこの時、ただひたすら、がんばって負けないで!

2013/03/27 記述削除 と言う思いで、いっぱいでした。

2013/03/27 記述追加 これ以上相手が増えたら、わたしたちも味方の人も、もう……

2013/03/27 記述追加 そう思って、本当に絶望しかけた時、声か聞こえたんです。

2013/03/27 記述移動 それは、見覚えのある人、榊さんでした!

2013/03/27 記述修正 それは、あの榊さんでした!

2013/03/27 記述削除 ここで初めて、榊さんの声を聞きました。

2013/03/27 記述修正 榊さんの方を見ました → 榊さんの方を振り返っていました

2013/03/27 記述修正 わたしは → その後すぐに、わたしは

2013/03/27 記述修正 見た事のある部屋の → 見覚えのある部屋の

2013/03/27 記述修正 わたしのそばには → すぐ脇には

2013/03/27 記述修正 ずっと横にいてくれていたみたいでした → ずっと横にいてくれていたみたいです

2013/03/27 記述結合 こちらで分かる範囲で治療しておきました。 → こちらで分かる範囲で治療しておきましたが、

2013/03/27 記述結合 と言われました。 → と言われて、

2013/03/27 記述結合 包帯が巻かれていました。 → 包帯が巻かれていて、

2013/03/27 記述修正 同じように包帯が巻かれていました → 同じように治療済みなのに気づきました

2013/03/27 記述修正 治療の時に、着替えてもらったようで → それと、どうやらその時に着替えもされたみたいで

2013/03/27 記述修正 わたしの格好は制服ではなく → わたしの格好は制服ではなく、前にも着た

2013/03/27 記述修正 わたしはだんだんと、意識がはっきりしてきて → 意識がはっきりして来ると

2013/03/27 記述修正 なつめちゃんのことを思い出して → 先に倒れてしまったなつめちゃんのことを思い出して

2013/03/27 記述修正 汐月さんに、なつめちゃんのことを聞きました → 慌てて汐月さんに、なつめちゃんの様子を尋ねたら、

2013/03/27 記述修正 棗さんの心理状態は、追われている段階で意識が薄れていたので → お嬢様の心理状態は、追われている段階で既に意識が薄れていたので

2013/03/27 記述修正 襲われていたところの記憶が無いようで → 襲われた場面の記憶もなく

2013/03/27 記述修正 今はもう落ち着いています → 落ち着いています

2013/03/27 記述追加 とのことでした。

2013/03/27 記述修正 わたしはそれを聞いてから → わたしはそれを聞いて

2013/03/27 記述削除 汐月さんに、わたしは大丈夫です、

2013/03/27 記述修正 と伝えた後に、バッグのことを思い出して → とりあえず安心したら、取られたバッグのことを思い出して

2013/03/27 記述追加 「今回の事件は、棗お嬢様に対する襲撃で、

2013/03/27 記述追加  それに巻き込んでしまった事は、こちらの不手際です。

2013/03/27 記述追加  大変申し訳ありませんでした」

2013/03/27 記述追加 と、立ち上がって深々と頭を下げてから、

2013/03/27 記述追加 だそうなので、せっかくだしお言葉に甘えさせてもらおう……

2013/03/27 記述修正 汐月さんはここで → 汐月さんはカルテみたいなのを手にした途端

2013/03/27 記述追加 改まって話し始めました。

2013/03/27 記述修正 榊さんの方から聞いています → 榊の方から聞いています

2013/03/27 記述修正 ここにいて頂ければ、私が診れるので → ここに宿泊して頂ければ、私が直接診察可能なので

2013/03/27 記述修正 と言われて、たしかにまだ → と言われて

2013/03/27 記述修正 不安になりました。 → 少し不安を感じます……

2013/03/27 記述修正 家政婦さんの時には見た事がない → 家政婦さんの時には見たことがない

2013/03/27 記述修正 安心させる優しい表情で → とても優しい表情で

2013/03/27 記述追加 学校や家のこととか、気にはなるけど、

2013/03/27 記述追加 今は汐月さんの言葉に従おう……

2013/03/27 記述結合 ここで休んでいく事にしました。 → ここで休んでいくことに決めて、そのことを伝えた後、

2013/03/27 記述修正 最後にわたしは → 最後に

2013/03/27 記述修正 話が出来るようになったら → 「話が出来るようになったら

2013/03/27 記述修正 お知らせします → お知らせします」

2013/03/27 記述修正 時計を見ると → ひとりになって少し落ち着いたところで、時計を見ると

2013/03/27 記述修正 わたしの携帯で → 自分の携帯で

2013/03/27 記述修正 今日のバイトを休むことを伝えて → 今日のバイトを休むことを伝えてから

2013/03/27 記述修正 わたしとなつめちゃんは → ……わたしとなつめちゃんは

2013/03/27 記述修正 どうなっていただろう。 → どうなっていただろう……

2013/03/27 記述修正 涙が出てきて止まらなくなりました → 涙が出てきて止まりません

2013/03/27 記述修正 がんばったね、もう大丈夫だからね、 → 「頑張ったね、もう大丈夫だからね」

2013/03/27 記述修正 声をかけてくれました → 声をかけてくれたんです

2013/03/27 記述修正 わたしはそれを聞いて → それを聞いた途端に

2013/03/27 記述修正 抑えていた気持ちが、ここでこらえきれなくなって → ここまで抑えていた気持ちが、こらえきれなくなって

2013/03/27 記述修正 思いっきり泣いてしまいました → 思いっきり泣き出してしまいました

2013/03/27 記述修正 慰めてくれました。 → 慰めてくれました……

2013/03/27 記述削除 「良かった、落ち着いたようね。

2013/03/27 記述修正 目を覚ました時 → 「目を覚ました時は

2013/03/27 記述修正 だいぶ落ち着いてきたんじゃない? → 落ち着いてきたんじゃない?

2013/03/27 記述修正 楽になったような気がしました → 楽になったような気がします

2013/03/27 記述修正 余計な事は考えずに → 余計なことは考えないようにして

2013/03/27 記述修正 ベッドに入っても、すぐには眠れなくて → でも、ベッドに入っても

2013/03/27 記述修正 まだちょっと不安だったけど → 不安でなかなか寝付けませんでしたが

2013/03/27 記述修正 悪い夢も見ないで、ぐっすり眠れました → そんなこともなく、意外とぐっすり眠ることが出来ました

2013/03/27 記述修正 遅刻だ! → 遅刻した

2013/03/27 記述修正 今日は休むことにしたんだった、と思い出して → 今日は休むことにしたのを思い出して

2013/03/27 記述修正 ボーっとしてました。 → ボーっとしてました……

2013/03/27 記述修正 目が覚めたらコールして、と言われていたので → 目が覚めたら、コールするように言われていたのを思い出して

2013/03/27 記述結合 汐月さんに連絡しました。 → 汐月さんに連絡すると、

2013/03/27 記述修正 朝食の準備は → 「朝食の準備は

2013/03/27 記述修正 ダイニングルームで食べられる? → ダイニングルームで食べられる?」

2013/03/27 記述修正 大丈夫です → すぐに行くと答えてから

2013/03/27 記述修正 と答えて、朝食を食べに → 朝食を食べに

2013/03/27 記述結合 そこには汐月さんが、1人分の朝食の支度をしていました。 → そこでは汐月さんが、1人分の朝食の支度中で、

2013/03/27 記述修正 わたしに席に着くように促して → わたしに席に着くように促してから

2013/03/27 記述修正 自分も席について、食べながらでいいので、聞いて欲しい → 「食べながらで構わないので、聞いてもらいたい話があります」

2013/03/27 記述修正 と言って → と自分も席に着きながら言うと

2013/03/27 記述修正 夢は見なくて、ぐっすり眠れましたし、気分も悪くないです → 夢は見ずにぐっすり眠れたことと、気分も悪くないのを

2013/03/27 記述修正 と回答しました → 伝えました

2013/03/27 記述修正 よく眠っていたようだったから → とてもよく眠っていたから

2013/03/27 記述修正 そうしてもあまり意味が無いのと → そうしてもあまり意味がないのと

2013/03/27 記述修正 棗さんの意思も、事を荒立てたくない、との事です → 棗さんとしても、事を荒立てたくないと仰っています

2013/03/27 記述追加 あの人たちが狙っていたのは、なつめちゃんで、

2013/03/27 記述追加 その狙われた本人が、望んでいないのなら……

2013/03/27 記述修正 なつめちゃんが望まないのなら → なつめちゃんがそれを望まないのなら

2013/03/27 記述修正 同じでいいです、と答えました → 同じでいいと答えておきました

2013/03/27 記述修正 棗さんからの希望で → 棗さんからの強い要望で

2013/03/27 記述修正 警護をつけて欲しい、とのことだから → 警護をつける事を依頼されていて

2013/03/27 記述修正 後で榊さんから説明があるので → 後ほど榊から説明がありますから

2013/03/27 記述修正 その時に聞いて下さい → その時に確認して下さい

2013/03/27 記述修正 棗さんのことだけど → 棗さんの事だけど

2013/03/27 記述修正 棗さんは入院になる前に → それで、棗さんは入院になる前に

2013/03/27 記述修正 そのことを伝えて欲しいと → その事を伝えて欲しいと

2013/03/27 記述修正 棗さんは今回のことで → 棗さんは今回の一件で

2013/03/27 記述修正 話をしたいと言って譲らなかった → 話をしたいと言って譲らなかったの

2013/03/27 記述修正 貴方にこの事を伝えると言うことで → 貴方にこの件を伝えると言う事で

2013/03/27 記述修正 ついに話してくれる気になったんだ。 → ついに話してくれる気になったんだ……

2013/03/27 記述修正 一体どういうことなんだろう。 → 一体どういうことなんだろう……

2013/03/27 記述修正 そこは良く判らないけど → そこはよく判らないけど

2013/03/27 記述修正 それを → その意思を

2013/03/27 記述修正 余計になつめちゃんは、罪の意識を強く持ってしまう → なつめちゃんは余計に、罪悪感を強く持ってしまう

2013/03/27 記述修正 それが出来なくちゃいけないんだ。 → それが出来なくちゃいけないんだ……

2013/03/27 記述修正 この前、お見舞いに来た部屋と同じでした → お見舞いに来た部屋と同じでした

2013/03/27 記述修正 ベッドの脇にあった器械は動いていて → ベッドの脇の器械は動いていて

2013/03/27 記述修正 この器械が → それが

2013/03/27 記述修正 別の医療機器があって → 別の

2013/03/27 記述修正 その器械から伸びた → 器械から伸びた

2013/03/27 記述修正 当てられていて → 当てられていたし

2013/03/27 記述修正 とても苦しそうに見えました → とても苦しそうです

2013/03/27 記述修正 どうしても思い出せません。 → やっぱりどうしても思い出せない……

2013/03/27 記述修正 辛そうにゆっくりと体を起こして → 辛そうに体を起こして

2013/03/27 記述修正 ほしい → ください

2013/03/27 記述修正 何かあったらこれを押して下さい → 何かあったらこれを押すようにと

2013/03/27 記述修正 と、なつめちゃんの手元に転がっている → なつめちゃんの手元に転がっている

2013/03/27 記述修正 ナースコールのボタンみたいなのを指差して → ナースコールのボタンみたいなのを指差してから

2013/03/27 記述修正 ごめんなさい → ごめんなさい……

2013/03/27 記述削除 それはもういいよ、汐月さんに診てもらったから、

2013/03/27 記述削除 わたしはもう大丈夫だし、

2013/03/27 記述削除 なつめちゃんが、警護の人をわたしにつけてくれるように、

2013/03/27 記述削除 頼んでくれたんでしょ?

2013/03/27 記述削除 それだけしてもらえれば十分だから、もう気にしないで、ね?

2013/03/27 記述移動 もう、そんなことを気にしないで欲しい、

2013/03/27 記述移動 そんなことよりも、

2013/03/27 記述修正 そんなことよりも → それよりも

2013/03/27 記述移動 自分の体調を良くすることに、専念して欲しい、

2013/03/27 記述削除 わたしはそう思いながら、話しました。

2013/03/27 記述修正 なつめちゃんは → するとなつめちゃんは

2013/03/27 記述結合 うん、と頷いて顔を上げました。 → 1回小さく頷いてから顔を上げると、

2013/03/27 記述修正 そして、さっきの思いつめた顔とはまた違う → さっきの思いつめた顔とはまた違う

2013/03/27 記述修正 みなのことを考えたら → みなの事を思えば

2013/03/27 記述修正 いいに決まってるんだけど → 良いのは判っているんだけど

2013/03/27 記述修正 わたしは → その言葉にわたしは

2013/03/27 記述修正 着ていたパジャマのボタンを外していって → 着ていたパジャマのボタンを外し始め

2013/03/27 記述修正 上着を脱ぎました → 上着を脱いだんです

2013/03/27 記述結合 パジャマの下はブラだけでした。 → パジャマの下はブラだけで、

2013/03/27 記述結合 つけられていました。 → つけられていましたが、

2013/03/27 記述修正 でも、なつめちゃんが見せようとしたのは → なつめちゃんが見せようとしたのは

2013/03/27 記述修正 それではないのは → それではないのが

2013/03/27 記述修正 まるで白い画用紙を → まるで画用紙を

2013/03/27 記述修正 手術の傷痕がありました → 手術の傷痕があったんです

2013/03/27 記述修正 傷口にそって → 傷口に沿って

2013/03/27 記述修正 とても、ひどい傷痕になってて → すごくひどい傷痕で

2013/03/27 記述修正 とても見ていられないものばかりでした。 → とても見ていられないものばかりでした……

2013/03/27 記述修正 なつめちゃんはその身体を → なつめちゃんはそんな体を

2013/03/27 記述修正 拒絶する事になるのではないか → 拒絶することになるんじゃないか

2013/03/27 記述修正 と思って → そう思って

2013/03/27 記述修正 でも、なんて言っていいのか分からなくて → でも

2013/03/27 記述修正 なつめちゃんは → そしたらなつめちゃんは

2013/03/27 記述修正 話し始めました。 → 話し始めたんです……

2013/03/27 記述修正 体の中の色んなところに転移してしまって → 体の中の色んなところに転移していて

2013/03/27 記述結合 命が助からない病気だった。 → 命が助からない病気で、

2013/03/27 記述修正 だから、転移が見つかるたびに → 転移が見つかる度に

2013/03/27 記述修正 切除手術を繰り返していたの → 切除手術をするしかなかった

2013/03/27 記述結合 内臓とかも残ってないんだ。 → 内臓も残ってなくて、

2013/03/27 記述修正 医者には言われてる → 言われてる

2013/03/27 記述修正 この難病以外にも、生まれつき血が止まらなかったりとか → この病気以外にも、生まれつき出血が止まらなかったり

2013/03/27 記述修正 それが治らないとか → それがなかなか治り辛かったり

2013/03/27 記述修正 食べられないとか → 食べられなかったりして

2013/03/27 記述修正 ほとんどなくて → ほとんどないし

2013/03/27 記述修正 私は本当は、生きてないはずの子で → 本当は生きてないはずの子で

2013/03/27 記述修正 こんなに苦しい思いをしなくちゃいけないのは → こんなに苦しい思いをしているのは

2013/03/27 記述修正 もう、死んでなくちゃいけない人間なのに → もうとっくに、死んでいなければいけない人間なのに

2013/03/27 記述修正 わたしが生きていたいのか、死にたいのか → 私が生きていたいのか、それとも死にたいのか

2013/03/27 記述修正 わたしは治療され続けたの → 私は治療され続けたの

2013/03/27 記述修正 わたしには → 私には

2013/03/27 記述修正 小学校三年の二学期 → 覚えてる? 小学校三年の二学期

2013/03/27 記述修正 いっしょに遊びたかったからなの → 一緒に遊びたかったから

2013/03/27 記述修正 この体のことが知られたら → この体の事が知られたら

2013/03/27 記述修正 身体は絶対見せないようにしてた → 体は絶対見せないようにしてた

2013/03/27 記述修正 そのことを誰も気づいたり → その事を誰も気づいたり

2013/03/27 記述結合 ほとんど学校に行けなくなってた。 → ほとんど学校に行けなくなって、

2013/03/27 記述修正 もう入院しなくちゃ → もう入院しないと

2013/03/27 記述修正 私は転校したことにされて、学校を辞めてまた入院したの → 私は転校した事にされて、また入院したの

2013/03/27 記述修正 みなや、みんなをだましていたような気がして → みなを騙していたような気がして

2013/03/27 記述修正 悪いことをしたような気がして → 悪い事をしたような気がして

2013/03/27 記述修正 元気な振りしてた私じゃなくて → 元気な振りをしていた私じゃなくて

2013/03/27 記述修正 がんばって耐えてきた → 頑張って耐えてきた

2013/03/27 記述修正 この外国での治療生活で → でも、この外国での治療生活で

2013/03/27 記述分割 私は、心にも直らない傷が出来ちゃって → 私は心の病気にもなってしまったの

2013/03/27 記述修正 人から名前を呼ばれるのが怖くなったの → それはね、人から名前を呼ばれるのが怖くなったの

2013/03/27 記述修正 通訳の人はいたけど、医者や看護師たちは → 医者や看護師とは、通訳を通して話していたけど

2013/03/27 記述修正 私に対して、何か言われても → 何か言われても

2013/03/27 記述修正 名前のところしか、分からなくて → 本人の言葉は名前のところくらいしか、理解出来ないから

2013/03/27 記述修正 何か、ひどいことを言われてるんじゃないかとか → 本当は酷い事を言われてるんじゃないか

2013/03/27 記述削除 馬鹿にされているんじゃないかとか、

2013/03/27 記述修正 そういうのが、気になって仕方がなくって → それが気になって仕方がなくて

2013/03/27 記述削除 通訳の人も、信じられなくなって、

2013/03/27 記述修正 何を言っていいのか分からなくなって → 何て答えればいいのか分からなくなって

2013/03/27 記述結合 でも治療のために、毎日誰かと話さなくちゃいけない。 → でも治療の為に、毎日誰かと話さないといけないから、

2013/03/27 記述修正 そうしている内に → そうしている内に、とても不思議なんだけど

2013/03/27 記述修正 医者や看護師は、人に見えなくなってきたの → 医者や看護師が、段々人に見えなくなってきたの

2013/03/27 記述修正 医療機器の1つ、私を治療する道具の1つと → それらは私を治療する道具の1つとしか

2013/03/27 記述修正 思うようになった → 見えなくなってしまった

2013/03/27 記述削除  今でもこれは、治っていないんだけど、

2013/03/27 記述削除  そうすることで私は、自分の心を守って過ごしてきた。

2013/03/27 記述修正 だから大人には、話すことが出来るんだけど → そのおかげで、一応大人とは話す事が出来るけど

2013/03/27 記述修正 もっと若い人たちとは、まともに話せないままだった → 大人以外とは、今でもちゃんと話が出来ないの

2013/03/27 記述結合 ここでの生活を続けたの。 → ここでの生活を続けてきた、

2013/03/27 記述修正 治療をする為に → 治療して

2013/03/27 記述修正 家も、少しでも一緒にいたいから → 少しでも一緒にいたいから

2013/03/27 記述修正 みなの住んでる場所の → 家も、みなの住んでる場所の

2013/03/27 記述修正 というよりも → と言うよりも

2013/03/27 記述修正 学校がどんなところか分からなくって → 今の学校が、どんなところか分からなかったから

2013/03/27 記述修正 見たかったのもあるけど → 見たかったのもあるけど、それよりも入学してから

2013/03/27 記述修正 みなは昔とぜんぜん変わってなくて → みなは昔と全然変わってなくて

2013/03/27 記述削除  その場で死んじゃうかもしれないって思ったから。

2013/03/27 記述修正 すごく怖くなった → とても怖くなった

2013/03/27 記述修正 転入してからは、車での送迎が条件だったけど → 本当は車での送迎が条件だったけど

2013/03/27 記述修正 それを破って、電車通学したり → 無理を言って電車通学したり

2013/03/27 記述修正 みなはわたしのことを → みなは私の事を

2013/03/27 記述修正 名前を呼ばれたらどうしようって不安だった → 素通りされたらどうしようって不安だった

2013/03/27 記述削除  嫌なことを、思い出してしまうと、

2013/03/27 記述削除  私自身、どうなっちゃうか分からなかったから。

2013/03/27 記述分割 でもみなは、私に気づいてくれて、 → だけどみなは、ちゃんと私に気づいてくれた。

2013/03/27 記述削除   名前は呼ばずにいてくれた。

2013/03/27 記述修正 嬉しかったことはなかったよ → 嬉しかった事はなかったよ

2013/03/27 記述修正 なによりも、覚えていてくれたことが → 何よりも、私を覚えていてくれた事が

2013/03/27 記述修正 私のことを気味悪がったり → 気味悪がられたり

2013/03/27 記述修正 それは、薬で少しは抑えていたとはいえ → そういうのも、薬で少しは抑えていても

2013/03/27 記述修正 みなとの学校生活が出来ること → みなとの学校生活が送れる

2013/03/27 記述修正 耐えることが出来たんだ → 耐える事が出来たの

2013/03/27 記述修正 昼休みを過ごせたこと → 昼休みを過ごせた事

2013/03/27 記述修正 下校出来たこと → 下校出来た事

2013/03/27 記述修正 一緒に勉強出来たこと → 一緒に勉強出来た事

2013/03/27 記述修正 一緒にご飯食べたこと → 一緒にご飯食べた事

2013/03/27 記述修正 海に行ったこと → 海に行った事

2013/03/27 記述修正 そして → そして今

2013/03/27 記述修正 優しくしてくれたこと → 優しくしてくれた事

2013/03/27 記述修正 みなが私の身体を、ちゃんと見てくれたこと → みなが私の体を、ちゃんと見てくれた事

2013/03/27 記述修正 私が隠してきたことを、全部聞いてくれたこと → 私が隠してきた秘密を、全部聞いてくれた事

2013/03/27 記述修正 ありがとうね → ありがとう

2013/03/27 記述修正 わたしのそばに → 私のそばに

2013/03/27 記述修正 なんにも → 何にも

2013/03/27 記述修正 今までいっぱい、いろんなことを隠してたけど → 今までいっぱい、色んな事を隠してたけど

2013/03/27 記述修正 出来ることなら → 出来る事なら

2013/03/27 記述修正 私のこと、ゆるしてくれる? → こんな私の事、許してくれる?

2013/03/27 記述修正 わたしの →  これからも、私の

2013/03/27 記述修正 わたしの顔を見つめていました → わたしの顔をまっすぐに見つめていました

2013/03/27 記述修正 澄んだ湧き水のように → 澄みきった清流のように

2013/03/27 記述削除 その表情はまるで、無邪気な小さい子が、

2013/03/27 記述削除 何かをお願いしているような、

2013/03/27 記述修正 素直な印象を受けました → 素直な印象を受けたんです

2013/03/27 記述修正 これが本当の → それを見た時にはっきりと、これが本当の

2013/03/27 記述結合 わたしは感じました。 → 強く感じて、

2013/03/27 記述修正 わたしもいつの間にか → そしたらわたしもいつの間にか

2013/03/27 記述修正 気づかないうちに泣いていました。 → 気づかないうちに泣いていました……

2013/03/27 記述修正 ずっと親友だよって言おうとしたけど → もちろんだよって言おうとしたけど

2013/03/27 記述修正 うれしいよ、みな、ありがとう → 嬉しい、みな、ありがとう……

2013/03/27 記述修正 心拍数が表示された器械は → それと同時に、心拍数が表示された器械は

2013/03/27 記述修正 警告音みたいな音を出し始めました。 → 警告音みたいな音を出し始めて……

2013/03/27 記述修正 なつめちゃんに、声を掛けながら → 必死に声を掛けながら

2013/03/27 記述修正 5秒もしないうちに、知らないお医者さんの先生と → そしたら5秒もしないうちに、白衣を着たお医者さんと

2013/03/27 記述結合 汐月さんが飛び込んできました。 → 汐月さんが飛び込んできたので、

2013/03/27 記述修正 すごく不安になりました → 不安で押し潰されてしまいそうでした

2013/03/27 記述修正 看護師の1人が → そのうちに、看護師の人の1人が

2013/03/27 記述修正 汐月さんの前に来て → 汐月さんの前に来ると

2013/03/27 記述修正 これから搬送準備に入ります → 「これから搬送準備に入ります」

2013/03/27 記述修正 と告げていました → と言っていたのが判りました

2013/03/27 記述修正 わたしは、このままなつめちゃんが → もしかしたら、このままなつめちゃんが

2013/03/27 記述移動 やっぱり、泣いてしまったけど、

2013/03/27 記述修正 やっぱり、泣いてしまったけど → この後すぐに、堪えきれずに泣いてしまったけど

2013/03/27 記述修正 なつめちゃん、大丈夫ですよね? → なつめちゃんのことを

2013/03/27 記述修正 と尋ねました → 尋ねました

2013/03/27 記述修正 大丈夫だから、心配しないで → 「大丈夫だから、心配しないで」

2013/03/27 記述修正 言ってくれました。 → 言ってくれました……

2013/03/27 記述修正 救命士の人は → この後

2013/03/27 記述修正 すぐに来て → 救命士の人たちがすぐに来て

2013/03/27 記述修正 黙って見守っていました。 → 黙って見守ることしか出来ませんでした……

2013/03/27 記述結合 部屋を出て行きました。 → 部屋を出て行き、

2013/03/27 記述修正 静かに泣いていました。 → 静かに泣き続けていました……

2013/03/27 記述結合 ゲストルームで休んでいました。 → ゲストルームで休んでいて、

2013/03/27 記述修正 それから、わたしの警護の人が → それから

2013/03/27 記述修正 汐月さんに連れられてきて → 汐月さんから

2013/03/27 記述修正 紹介されました → 警護の人が紹介されました

2013/03/27 記述削除 わたしはその人に、よろしくお願いします、

2013/03/27 記述削除 と、挨拶しました。

2013/03/27 記述追加 その話の後はまた、部屋のベッドで休んでいました。

2013/03/27 記述修正 あの時の会話を思い出して、あの人の名前は多分 → あの時の会話を思い出して

2013/03/27 記述修正 『ケイゴ』っていうと思う → 『ケイゴ』と呼ばれていたことを

2013/03/27 記述修正 と伝えておきました → 伝えておきました

2013/03/27 記述修正 午前中に汐月さんの診察を受けて → 午前中に汐月さんの診察をしてもらい

2013/03/27 記述修正 いつでも私に連絡してくれて構わないから → いつでも連絡してくれて構わないと

2013/03/27 記述結合 と言ってもらって、わたしは、はい、 → と言ってもらいました。

2013/03/27 記述削除 と答えました。

2013/03/27 記述修正 いろんなことがおきてしまって → いろんなことが起きてしまって

2013/03/27 記述修正 とても疲れました。 → とても疲れました……

2013/03/27 記述修正 考えられません。 → 考えられない……

2013/03/27 記述修正 わたしは、なつめちゃんが回復して → なつめちゃんが回復して

2013/03/27 記述分割 元気でいなくちゃいけない、 → 元気でいなくちゃ……

2013/03/27 記述削除 と、思いました。

2013/03/27 記述修正 今は → とりあえず今は

2013/03/27 記述修正 休もうと思います。 → 休もうと思います……


1月27,28,29日 なつめちゃんの告白


先週に汐月さんが言っていた通り、

なつめちゃんは、今週の月曜から、

また学校に通えるようになりました。


でもまだ病み上がりで、無理は出来ないので、

下校の時も、途中の小さい公園とかで、

休憩しながら帰るようにしています。


今日の体育の授業で、わたしは足を挫いてしまい、

病み上がりのなつめちゃんよりも、遅くしか歩けなかったけど、

駅までの道は、他の人に会わないようにしたいのもあって、

それでもバスも使わずに、いつもの1本外した道を通って、

帰っていました。


その道は、学校と駅の最短のルートじゃなく、

大通りの裏の道で人も少ないし、車もあんまり来ないから、

なつめちゃんにとっては、都合がいい道だったんですが、

今日の帰りは、なつめちゃんが、

妙に後ろを気にしているのに、気がついたんです。


わたしも後ろを確認すると、なんかヤンキーっぽい人たちが4人、

ちょっと離れた後ろを、同じ方向に歩いてきていました。


更に、最初はたまたまかと思ったのですが、

私がそれとなく、後ろを確認する度に、

その人たちと目線が合うので、

まるで、後をつけられているみたいだなと思って、

ちょっと不安になりました。


なつめちゃんの方は、

後ろの人たちのせいで、すっかり怯えてしまい、

これじゃあ、せっかく良くなってきた体調も、

また悪くなってしまいそうです……


わたしはここで、かなからの手紙にあった警告を思い出して、

どうしようかと迷ったけど、まずは確認してみようと思い、

なつめちゃんに小声で、少し急ぐように伝えて、

歩く速度を上げてみました。


これで、離れてくれればいいんだけど……


すると後ろの人たちは、最初は遠ざかったけど、

すぐに向こうも速度を合わせてきて、追いついてきたんです。


そして、何かを話しながら、

こちらを見てニヤニヤと笑っていました。


間違いない、やっぱりついてきてる……!


こうなったらもう、迷っている場合ではなくて、

なつめちゃんと示し合わせて、

角を曲がったところで、走り出しました。


その先の道は、ジグザグに曲がっていて見通しが悪いから、

ここでがんばって走って、どこかに隠れれば、

逃げ切れると思ったんです。


でもこの道は、脇道が全然ないところで、

一生懸命走ったけど、隠れられる場所が見つからず、

そのうちに、なつめちゃんが胸を押さえて息を切らし始め、

私の方も怪我していた足が痛くて、

2人とも走れなくなってしまいました。


それでも必死に、どこか隠れるところはないかと辺りを見ると、

ブロック塀に挟まれた細い道が、ちょっと先に見えたのと同時に、

あの人たちの声が近づいてきたので、

もう倒れそうな、なつめちゃんの手を引っ張りながら、

急いでそこに入ったんです。


でも、その細い道の先は工場の裏の空き地で、

行き止まり……


わたしがそれに気づいて、戻ろうと思って振り向いたら、

もうすでにあの人たちが、この空き地に入ってくるところでした。


1人は携帯で話をしていて、他の3人は、

わたし達を囲むように近づいてきたんです。


わたしは、足が痛いのを我慢して、

ふらつくなつめちゃんを支えながら、

あの人たちから少しでも離れようとしたんですが、

空き地の奥に後ずさる途中、

とうとうなつめちゃんが、力尽きて倒れてしまい、

なつめちゃんを抱えたまま、

その場に座り込んでしまいました。


そしたら、ろくに動けもしないわたしたちを見て、

3人は顔を見合わせてから、一斉に笑い出したんです。


「もう逃げんのは諦めたのか?」

「なんだよ、こんなのが相手かよ」

「お嬢様って聞いてたから期待したのによぉ」

「ぜんぜんガキじゃんかよ、萎えるわぁ」

「お前、こういうの趣味だったよなぁ?」

「おい、あんまり強く殴るなよ、判ってんだろうな」

「言われなくても分かってる、じゃあ最初は俺だな」

「どっちにすんだよ、お前」

「そりゃ決まってるだろ、お嬢様の方だろ普通」

「なら俺はそっちの髪長いのでいいや」

「お前、趣味わりぃ」

「意外とこういうのが当たりだったりすんだよ」


後ろの電話していた1人も、3人のところに来ました。


「ケイゴ、後5分くらいで着くってよ」

「そうか、じゃあお前に5分だけやらせてやるよ」

「お前なら早えーから間に合うんじゃねぇの?」

「ざけんじゃねぇよ、俺はそんなに早くねぇよ!」

「ていうか、すでにダウンしてんじゃん、

 もうやっちゃったのかよ」

「んな早いわけねぇだろが!」

「お前、早すぎだろ、いくらなんでも」

「もうちょっとガマン出来ねぇの?」


3人が1人をからかって、大笑いしていました、

でも4人とも、わたしたちから目を離しません。


どうしよう、どうしよう、あ、そうだ……!


ほとんど意識もなくなってしまい、

ぐったりとしている、なつめちゃんを抱き寄せながら、

わたしは、かなからもらっていた物を取り出そうと、

バッグに手を入れようとした途端に、

「おっと、なにしてんのかなぁ?」

と、口調はふざけていたけど力ずくで、

持っていたバッグを掴まれてしまい、

抵抗したけど全然かなわず、すぐに腕をひねられて、

身動きを出来なくされました。


その人はわたしの腕を掴んだまま、バッグを別の人に渡すと、

その人がバッグをひっくり返して、

中身を全部、地面に出されてしまいました。


そこには、教科書なんかと一緒に入った、

あの4つの道具もあったけど、4人は気づかなくて、

すぐに興味をなくして、わたしの方を見ました。


「お前、何しようとしてたの?、今」

「正直に言わないと、余計に痛い目に遭うよ?」

「おい、それじゃ正直に言っても、

 痛い目に遭うような言い方じゃんか」

「だって、やるんだから、痛い目に遭うじゃん」

「あ、そういうこと?」

「お前、相変わらず頭わりぃな」

「うるせぇよ!」


ここまで、なんとかがんばって堪えてきたけど、

なんとかして、なつめちゃんを守りたかったけど、

ここから逃げ出す方法もなくて、

片手で掴まれただけで、抵抗出来なくなってる自分では、

なつめちゃんを守るどころか、

相手の腕1本すら、どうにも出来ないのが悔しいし、

これから何をされるかと思うと、

もう怖くて怖くてたまらなくなって、涙が溢れてきます……


それを見た4人は、面白そうにわたしの顔を見て、

大笑いしていました。


「おいおい、泣くのはまだ早いんだけどなぁ」

「これから違う意味で泣いてもらうからさぁ」

「お前、こういうの趣味だよなぁ?」

「だから何でもかんでも俺の趣味にすんじゃねぇよ!」


捻った足の痛みや、掴まれている腕の痛さもあったけど、

これから何をされるかが、とても怖くて、

声も出なくて、体も震えが止まらなくて、

ひたすら、涙だけが溢れてくるばかりで、

何も考えられなくなっていました。


すごく、怖くて、怖くて……


怖くて、たまらなくて……


でも、どうしようもなくて……


もう、目を開けているのも出来ずに、

目をつぶって、ボロボロ泣いていたら、

今までとは別の声が、聞こえてきました。


「遅くなりましたぁ、準備……」

「おう、遅かったじゃねぇか、だからナビ付けろってんだよ」

「とっとと車に乗せちまおう、声も出せねぇ今のうちによ」

「じゃ、お前そっち持て、俺らはこいつを運ぶ」

「おい、お前はそっちだって言ってるだろうが、

 ったく、使えねぇヤ――」


この後、わたしの腕をを掴んでいた手が、

急に離されるのと同時に、鈍い音がして、

すぐに何かが、近くで倒れる音と振動がしました。


「てめぇ! どういう気だ!」

「ケイゴ! 何の真似だよ!」

「あぁ、すんません、俺、抜けさせてもらうんで」

「はぁ!?」

「何言ってんの、お前!?」

「んでもって、この女はもらっていきます」

「意味分かんねぇんだけど」

「ざけんなよ、テメェ!」

「………」

「おい、何とか言えよ!」

「ったく、めんどくせぇなぁ、

 二度もおんなじこと言わせんな、

 だからぁ、俺はたった今、チーム抜けてぇ、

 この女2人をもらっていくって、言ってんだよぉ!」


最後の言葉が終わったところで、

更にもう1回同じような音が聞こえて、それが分かりました。


さっきの鈍い音と振動は、誰かが殴られて倒れた音だ。


仲間割れ!?


どういうことか判らないけど、何か揉め事になってる……


わたしはこの隙に、相変わらず動かない、

なつめちゃんに手をかけながら、

目を開けて前の様子を見ました。


目の前には、あの4人に向かい合って、

こちらに背を向けて、立っている人がいました。


榊さんよりは小さいけど、かなり大柄で、

ダボダボの派手な白いスウェット姿で、

さっきの4人よりも、大きな人でした。


多分、後から来た人だと思う、その人は、

きっと助けてくれようとしている、

わたしは直感で、そう感じました!


だけど相手の4人はみんな、手にナイフを持っていて、

その人は後ろに追い詰められていました……


その時ちょうどその人の足元に、

バッグをひっくり返された時に落ちた、

かなからもらった道具の、青い傘が転がっていて、

それに味方の人が気づいた瞬間、

咄嗟にわたしは、指差しながら叫んだんです!


でも声はほとんど出なかったけど、

味方の人は、わたしの言おうとしたことが判ったのか、

素早くしゃがんで青い傘を拾い上げると、

拾っただけでそれが何か分かったようで、

まるで使い慣れているみたいに、

あっという間に特殊警棒を伸ばしました。


それを見た4人は、楽勝だと思ったら形勢が不利になってしまい、

逆に、ちょっと後ずさり始めていました……


でも、わたしはまだ怖くて、

震えも止まらないし、涙も止まらないけど、

なつめちゃんを抱き寄せて、あの人が負けちゃったら、

そしたらもう本当に終わりだと思って、

あの人が負けませんようにと、

ひたすら祈ることしか出来ませんでした。


味方の人は、4人相手にけん制しながら、

がんばって戦っていましたが、

だけど、やっぱり特殊警棒があっても、

4対1では叶わなくて、

味方の人は、4人が持っているナイフで、

切りつけられるのを避け切れずに、あちこち切られて、

どんどん服が、血で赤く染まって……


4人は、味方の人がもうちょっとで倒せると確信して、

一気に近づいてきた時に、細い路地から、

また誰かが来るのが見えました。


これ以上相手が増えたら、わたしたちも味方の人も、もう……


そう思って、本当に絶望しかけた時、声か聞こえたんです。


「……おい、ガキ共、そこまでだ」


それは、あの榊さんでした!


低いドスの利いた声で、4人はその声に驚いて、

榊さんの方を振り返っていました。


榊さんが来てくれたのが分かった途端、もう大丈夫だと思えて、

張り詰めていた緊張が、一気に解けてしまい、

その後すぐに、わたしは気を失ってしまいました……


   ・   ・   ・   


わたしが目を覚ますと、

見覚えのある部屋の、ベッドの中にいました。


そこは、なつめちゃんのマンションのゲストルームでした。


すぐ脇には汐月さんが椅子に座っていて、

どうやら、ずっと横にいてくれていたみたいです。


わたしが目を覚ましたのに気づくと、

「三崎さん大丈夫ですか?

 吐き気とかはありますか?

 どこか痛むところはありますか?

 こちらで分かる範囲で治療しておきましたが、

 他に痛むところや気になるところがあれば仰って下さい」

と言われて、わたしはまだ、ボーっとする頭のまま、

上半身を起こして、あの時に掴まれた腕を見てみると、

しっかりと包帯が巻かれていて、マラソンの練習で挫いた足も、

同じように治療済みなのに気づきました。


それと、どうやらその時に着替えもされたみたいで、

わたしの格好は制服ではなく、前にも着た、

ゲスト用のパジャマ姿になっていました。


意識がはっきりして来ると、

先に倒れてしまったなつめちゃんのことを思い出して、

慌てて汐月さんに、なつめちゃんの様子を尋ねたら、

「棗お嬢様は、三崎さんよりも先に気がつかれて、

 ただ今専門医による診察中ですので、

 体調面に関してはご心配には及びません。

 お嬢様の心理状態は、

 追われている段階で既に意識が薄れていたので、

 襲われた場面の記憶もなく、落ち着いています」

とのことでした。


わたしはそれを聞いて、とりあえず安心したら、

取られたバッグのことを思い出して、それを尋ねると、

「今回の事件は、棗お嬢様に対する襲撃で、

 それに巻き込んでしまった事は、こちらの不手際です。

 大変申し訳ありませんでした」

と、立ち上がって深々と頭を下げてから、

「荷物の方は全て回収してあります。

 汚れた物はクリーニングの後にお返し致します。

 破損している物や修復出来ない物については、

 同じ物を用意させて頂きますので、

 手配した物が手元に届くまでの間は、

 申し訳ありませんがお待ち願えますでしょうか」

だそうなので、せっかくだしお言葉に甘えさせてもらおう……


わたしが頷くと、汐月さんはカルテみたいなのを手にした途端、

家政婦の顔からお医者さんの顔に変わって、

改まって話し始めました。


「三崎さん、医師として貴方を診察した結果を、

 お話しします。


 何があったのかについては、榊の方から聞いています。

 貴方は精神的に、かなりのショックを受けたはずです。

 今はまだ、あまり感じないかも知れませんが、

 時間が経ってから、症状が出る可能性があります。


 少なくとも今日と明日は、

 こちらで休まれていく事を、お勧めします。

 巻き込んでしまった、お詫びという訳ではありませんが、

 ここに宿泊して頂ければ、私が直接診察可能なので、

 そうしてもらえると、私としても安心出来ますから」

と言われて、1人で外を歩くことを想像すると、

あの時のことを思い出してしまい、少し不安を感じます……


汐月さんは、そんなわたしの心の変化を読みとって、

無意識のうちに、強く握り締めていた私の手に手を重ねて、

家政婦さんの時には見たことがない、

とても優しい表情で、わたしを見ていました。


学校や家のこととか、気にはなるけど、

今は汐月さんの言葉に従おう……


わたしは、汐月さんの言うとおりに、

ここで休んでいくことに決めて、そのことを伝えた後、

最後に、なつめちゃんにはいつ話が出来るかを尋ねると、

「話が出来るようになったら、お知らせします」

と約束してくれて、汐月さんは部屋を出て行きました。


   ・   ・   ・   


ひとりになって少し落ち着いたところで、

時計を見ると、もう6時を過ぎていました。


わたしは、ベッド脇のテーブルに置いてあった、

自分の携帯で、忍さんに連絡して、

今日のバイトを休むことを伝えてから、

母にも連絡しておきました。


連絡が終わってから、落ち着いてくると、

改めて、さっきの出来事を思い出しました。


……わたしとなつめちゃんは、襲われたんだ。


もしも、あの人が助けてくれなかったら、

もしも、榊さんが来てくれなかったら、

わたしたちは、どうなっていただろう……


それを思い出すと、あの時の、

とても不安だった気持ちが蘇ってきて、

今は安全な場所にいると、分かっているのに、

怖くなってしまって、涙が出てきて止まりません。


ちょうどこの時に、汐月さんが部屋に戻ってきました。


汐月さんは、泣いているわたしを見ると、

すぐにわたしのそばに来て、肩を抱き寄せられて、

「頑張ったね、もう大丈夫だからね」

と、声をかけてくれたんです。


それを聞いた途端に、ここまで抑えていた気持ちが、

こらえきれなくなって、

汐月さんにすがりついて、小さい子みたいに声を上げて、

思いっきり泣き出してしまいました。


汐月さんは、わたしが泣いている間、

ずっと抱きしめていてくれて、

優しい言葉をかけて、慰めてくれました……


しばらく泣いていたら、やっと落ち着いてきて、

抱きついていた手を放して、顔を上げると、

汐月さんに頭を撫でられて、

「目を覚ました時は、まだ気を張っていたから、

 心配していたんだけど、

 これで、落ち着いてきたんじゃない?」

と言われて、たしかに泣く前よりも、

なんだか、楽になったような気がします。


わたしが頷いて返事すると、

「でも、もうちょっと様子を見たいから、

 やっぱり予定通り、明日はここで休んで行きなさい。

 学校には私の方から連絡しておくから、心配しないで。

 それと、夕飯は食べられそう?」

と尋ねられて、その時初めて、

お腹が減っているのに気づきました。


   ・   ・   ・   


この後、わたしは用意してもらった夕飯を食べた後、

シャワーを浴びてから、余計なことは考えないようにして、

すぐに休みました。


でも、ベッドに入っても、夢に見るかも知れないと思って、

不安でなかなか寝付けませんでしたが、

そんなこともなく、意外とぐっすり眠ることが出来ました。


   ・   ・   ・   


朝目が覚めたら、もう9時で、一瞬遅刻したと焦ったけど、

すぐに、今日は休むことにしたのを思い出して、

しばらくベッドの中で、ボーっとしてました……


目が覚めたら、コールするように言われていたのを思い出して、

ベッドの頭の上にある電話から、汐月さんに連絡すると、

「朝食の準備は、すぐ出来るけど、

 ダイニングルームで食べられる?」

と聞かれたので、すぐに行くと答えてから、

朝食を食べに、ダイニングルームに行きました。


そこでは汐月さんが、1人分の朝食の支度中で、

わたしは挨拶した後に、なつめちゃんの具合を尋ねると、

汐月さんは、わたしに席に着くように促してから、

「食べながらで構わないので、聞いてもらいたい話があります」

と自分も席に着きながら言うと、話し始めました。


「三崎さん、まずは、貴女に関する事を、

 先に確認しておきます。

 昨夜は、良く眠れましたか?

 何か夢は見ましたか?

 目が覚めてから、気分はどうですか?」


汐月さんの質問にわたしは、夢は見ずにぐっすり眠れたことと、

気分も悪くないのを、伝えました。


その答えを聞いて、汐月さんは更に、

「そう、良かった。

 顔色もいいし、何度か寝室に様子を見に行った時も、

 とてもよく眠っていたから、あまり心配はしていなかったけど。

 もうかなり、落ち着いたと思うから、

 昨日の件について、少しだけ話してもいい?」

と聞かれて、わたしは頷きました。


「では、昨日の一件についてだけど、

 あれは、榊さんから警察に連絡して、

 状況の説明等も、一応済んでいます。


 ただ、警察は事件にならなければ、動かないので、

 恐らく、巡回を増やす程度の措置をするだけでしょう。


 三崎さんが望むのであれば、その腕の怪我で傷害罪として、

 通報する事も、出来る様にはしてありますが、

 我々としては、そうしてもあまり意味がないのと、

 棗さんも巻き込む事になるので、お勧めはしません。

 棗さんとしても、事を荒立てたくないと仰っています。

 三崎さんは、どうしますか?」


あの人たちが狙っていたのは、なつめちゃんで、

その狙われた本人が、望んでいないのなら……


わたしは、なつめちゃんがそれを望まないのなら、

同じでいいと答えておきました。


「ありがとう、棗さんの為にも、

 是非そうして欲しかったので、助かったわ。

 棗さんからの強い要望で、貴方にも、

 警護をつける事を依頼されていて、

 これに関しては、後ほど榊から説明がありますから、

 詳しい話は、その時に確認して下さい。


 次に棗さんの事だけど、

 実は、昨日の診察の結果が思わしくなくて、

 恐らく近日中には、検査入院になりそうでね、

 現在も、容態が急変する可能性がある状態です。


 それで、棗さんは入院になる前に、

 直接貴方に話したいことがあるから、

 三崎さんが目を覚ましたら、その事を伝えて欲しいと、

 伝言を言付かりました。


 私としては、貴方の精神状態を考えると、

 出来れば、あんな事のあった直後と言うのは、

 避けたいのだけど、棗さんは今回の一件で、

 貴方に対して罪悪感を感じていて、、

 どうしても今、話をしたいと言って譲らなかったの。


 そこで医師として、貴方の回復具合を見てから、

 問題なければ、貴方にこの件を伝えると言う事で、

 棗さんを納得させました。


 棗さんの言葉の意味、貴方なら理解出来るわよね?」


それを聞いたわたしは、手にしていたトーストを、

思わず落としました。


いつか、なつめちゃんから言ってくれないかと思っていた、

色々なこと、それらのうち、どこまでかは分からないけど、

なつめちゃんは、ついに話してくれる気になったんだ……


それは、とても嬉しいことのはずだけど、

今でなくちゃ言えないような、

まるで、入院したらもう話せないような言い方は、

一体どういうことなんだろう……


そこはよく判らないけど、わたしは、

なつめちゃんの告白を聞く覚悟を決めて、

その意思を、汐月さんに伝えました。


汐月さんは無言で頷いて、わたしが朝食を食べ終えて、

支度が出来たら、なつめちゃんのいる部屋に、

案内してもらうことになりました。


   ・   ・   ・   


朝食を終えて、ゲストルームに戻ってから、

ベッドに座って、なつめちゃんのことを考えていました。


なつめちゃんは、今回の件のことを、

自分のせいで起きたんだと、思ってるに違いない。


そこでわたしが、動揺したりすると、

なつめちゃんは余計に、罪悪感を強く持ってしまう。


これだけは、絶対に避けなくちゃいけない。


汐月さんがわたしに、このことを聞かせたのは、

わたしが、なつめちゃんの話を聞いてあげられるだけの、

ゆとりが持てると、判断したからのはず。


先生がそう判断したんだから、今のわたしには出来るはずだ、

というか、それが出来なくちゃいけないんだ……


わたしはそう、自分に言い聞かせてから、

汐月さんに連絡して、なつめちゃんのところへと、

案内してもらいました。


   ・   ・   ・   


なつめちゃんが、休んでいる部屋は、

お見舞いに来た部屋と同じでした。


でもこの前とは違って、ベッドの脇の器械は動いていて、

それがよくドラマなんかで見る、心拍数が表示される、

医療機器だったのが分かりました。


他にも、別の器械から伸びた、チューブに繋がったマスクが、

口のところに当てられていたし、

今は腕から外されていたけど、3つの点滴が吊るされていました。


なつめちゃんの様子は、大きく荒い呼吸をしていて、

とても苦しそうです。


前のお見舞いの時にも思ったけど、

こういうのを、どこかで見たような気がするんだけど、

やっぱりどうしても思い出せない……


わたしの姿に気づいた、なつめちゃんは、

辛そうに体を起こして、口に当てていたマスクを、

ゆっくりと自分で外しました。


「汐月さん、ありがとう。

 音声は切っておいて、ください。

 おねがい、します」


なつめちゃんは汐月さんに、よく判らないことをお願いすると、

汐月さんは頷いてから、何かあったらこれを押すようにと、

なつめちゃんの手元に転がっている、

ナースコールのボタンみたいなのを指差してから、

部屋を出て行きました。


   ・   ・   ・   


「みな、昨日は本当にごめんなさい。

 わたしのせいで、ひどい目に遭わせてしまって。

 どれだけ謝っても、許されないとは思う、

 私の自己満足でしかないかも知れないけど、

 でも、謝らせて欲しいの、ごめんなさい……」


なつめちゃんは、頭を下げようとしていたので、

わたしは、肩をそっとつかんで止めてから、

もう、そんなことを気にしないで欲しい、

それよりも、自分の体調を良くすることに専念して欲しい、

と、俯くなつめちゃんの顔を覗き込みながら、

一生懸命伝えました。


するとなつめちゃんは、一応納得してくれたみたいで、

1回小さく頷いてから顔を上げると、

さっきの思いつめた顔とはまた違う、

もっと、暗い表情に変わって、

なつめちゃんは、話を始めました。


「あのね、みな、

 今までみなに、話してなかったことがあって、

 私がちゃんと話せるうちに、それを聞いて欲しくって、

 汐月さんに、無理言ってお願いしたの。

 みなの事を思えば、今じゃない方が、

 良いのは判っているんだけど、

 私にはもう、今しかないと、思うから。

 ごめんなさい、でもどうしても聞いて欲しくって、

 だから、あの、私の話、聞いて、くれる?」


その言葉にわたしは、何も言わずに頷いてから、

なつめちゃんの脇に椅子を持ってきて、座りました。


なつめちゃんは、ちょっとだけ笑ってくれた後、

目を閉じて、しばらくしてから、

心を決めたように目を開くと、

震える指で、着ていたパジャマのボタンを外し始め、

ボタンを全部外すと、最後まで隠すようにしながら、

上着を脱いだんです。


なつめちゃんは、パジャマの下はブラだけで、

脇の器械から伸びる線が、なつめちゃんのお腹や胸に、

6箇所、つけられていましたが、

なつめちゃんが見せようとしたのは、

それではないのが、すぐに分かりました。


初めて見た、なつめちゃんの体には、

まるで画用紙を、絵の具で汚したように、

白くてきれいな肌のあちこちに、

首にも、胸にも、お腹にも、脇にも、背中にも、

体中に数え切れないほど、手術の傷痕があったんです。


その傷痕は、あざみたいに黒っぽくなっていたり、

紫色に変色していたり、

傷口に沿って、赤く腫れていたりしていて、

すごくひどい傷痕で、痛々しくて、

とても見ていられないものばかりでした……


でも、なつめちゃんはそんな体を、

わたしに見せようと、決心してくれたのだから、

目を背けるのは、なつめちゃんに対して失礼だし、

なつめちゃんの覚悟を、拒絶することになるんじゃないか、

そう思って、わたしはなつめちゃんから、

ずっと目をそらさずにいました。


でも、こんな時にかけてあげる言葉が、何も浮かばなくて、

わたしは何も言えずに、そのまま黙っていると、

なつめちゃんは、私の手を掴んできたので、

わたしはその手を、両手で包み込むように握りました。


そしたらなつめちゃんは、ちょっと微笑んでから、

話し始めたんです……


   ・   ・   ・   


「……私は小さい頃から、難病を患っていて、

 ずっと病院で手術と治療を、繰り返していたの。


 私の病気は、体の中の色んなところに転移していて、

 一度発症したら、そこを切除しないと、

 命が助からない病気で、転移が見つかる度に、

 切除手術をするしかなかった。


 私のお腹の中、もう普通の人の半分くらいしか、

 内臓も残ってなくて、もうこれ以上は取れないって、

 言われてる。


 この病気以外にも、生まれつき出血が止まらなかったり、

 一度傷が出来ると、それがなかなか治り辛かったり、

 色んな食べ物で、拒絶反応を起こしてしまって、

 食べられなかったりして、本当に色々とあったの。


 だから、生まれてからずっと入院していて、

 今まで家で過ごした時間なんて、ほとんどないし、

 手術も、数え切れないほどしたの。


 小さい頃は、ずっと思ってたんだ。

 本当は生きてないはずの子で、

 たまたま、父が医者だったから、

 まだ生きていられるだけで、

 こんなに苦しい思いをしているのは、

 もうとっくに、死んでいなければいけない人間なのに、

 まだ生きているからなんだろうなって。


 ずっとそう思って生きて、いいえ、

 生かされてきたの、病院や医者達に。

 私を死なせてしまったら、

 父からどんな目に遭うか、分からないから、

 それが恐ろしくて、ただそれだけで、私は生かされてきた。

 私が生きていたいのか、それとも死にたいのか、

 そんな意思とは関係なく、私は治療され続けたの。

 私には、死ぬ自由もない生活だった。


 でも、そんなになっても、たったひとつだけ、

 私には、死ぬ前にしたいことがあった。

 それはね、みな、みなといっしょに遊びたかった。

 それだけを私は願って、がんばって生きてきたんだよ。


 辛くて苦しい治療にも耐えて、

 4年くらいかかって、やっと普通の子と同じくらいに、

 動けるようになって、みなのところに行ったの。


 覚えてる? 小学校三年の二学期、

 私がみなのいる学校に、転校して来たのは、

 みなともう一度会って、一緒に遊びたかったから。


 あの半年間は、とても楽しかった。

 この体の事が知られたら、みなも、他の友達も、

 きっと気味悪がって、相手してもらえないって思ったから、

 体育も全部休んで、体は絶対見せないようにしてた。

 でも、その事を誰も気づいたり、聞かれたりもしなかったから、

 私は自分が望んでいた夢が叶って、とっても幸せだった。


 でも3ヶ月しか、私の体は持たなくて、

 冬になったら、具合が悪くなっていって、

 みなと会える時間は、どんどん減っていった。


 年が明ける頃には、ほとんど学校に行けなくなって、

 春になる頃には、もう入院しないと、

 危険な状態になってしまって、

 私は転校した事にされて、また入院したの。


 その後、私はもう一度、みなに会いたいと思った。

 今度は遊びたいんじゃなくて、私を知って欲しかった。

 みなを騙していたような気がして、

 それがすごく、悪い事をしたような気がして、

 元気な振りをしていた私じゃなくて、

 本当の私を見て、知って欲しいと思った。


 だから、もう一度、私は辛くて苦しい治療に耐えた。

 今度は、国内では出来ない治療をする為に、外国に行った。

 父と母からも離れて、私は1人で、

 言葉も判らない、医者や看護師に囲まれて、

 不安と寂しさで、いっぱいだったけど、頑張って耐えてきた。


 でも、この外国での治療生活で、

 私は心の病気にもなってしまった。


 それはね、人から名前を呼ばれるのが、怖くなったの。


 医者や看護師とは、通訳を通して話していたけど、

 本人の言葉は名前のところくらいしか、理解出来ないから、

 本当は酷い事を言われてるんじゃないか、

 それが気になって仕方がなくて、誰とも話せなくなった。


 人から話しかけられるのが、とにかく怖かった。

 話しかけられても、何て答えればいいのか分からなくなって、

 そのうち、うまく喋れなくなった。


 でも治療の為に、毎日誰かと話さないといけないから、

 私は必死に、怖いのを我慢して話をした。

 そうしている内に、とても不思議なんだけど、

 医者や看護師が、段々人に見えなくなってきたの。

 それらは私を治療する道具の1つとしか、

 見えなくなってしまった。


 そのおかげで、一応大人とは話す事が出来るけど、

 大人以外とは、今でもちゃんと話が出来ないの。

 でもそれにも耐えて、ここでの生活を続けてきた、

 治療して、もう一度学校に行けるようになる為に。

 もう一度、みなに会う為に。

 すごく、がんばったんだよ、私。


 今度は、前よりも長く掛かって、5年もかかっちゃった。

 その間に、みなと同じ学校に行けるように、勉強もした。

 それでやっと、みなと同じ高校に転入してきたの。

 少しでも一緒にいたいから、

 家も、みなの住んでる場所の近くにした。

 それが、今年の二学期の初め。


 でもその前に、私には高校が、と言うよりも、

 今の学校が、どんなところか分からなかったから、

 夏期講習に参加したんだ。

 みなも出席しているのは、調べてあったから。

 みながどのくらい、昔と比べて変っているか、

 見たかったのもあるけど、それよりも入学してから、

 みなが気づいてくれるかが、すごく不安だった。

 だから、学校に転入する前に、

 少しでも早く気づいてもらいたくて、

 夏期講習に参加したの。


 みなは昔と全然変わってなくて、ちょっと安心したよ。

 みな、私が見てたの1回だけ気づいたよね?

 あの後も、本当は出席したかったけど、

 体調が悪くなって、出られなかった。

 あの時は、すごく悔しかったよ。

 これでまた、忘れられたらどうしようって、

 とても怖くなった。


 だから、転入する時、みなと同じクラスには、

 わざとしてもらわなかった。

 もし、全然思い出してもらえなかったら、

 今の私にはとても、耐えられないから。

 だから、A組に転入したの。


 本当は車での送迎が条件だったけど、

 無理を言って電車通学したり、下校する時は、

 みなと時間が合うように、調整したりしてた。

 そしたら、みなは私の事を気にしてくれたから、

 忘れられてはいないかも知れないって、思った。

 それで、勇気を出して、みながA組の前を通る時に、

 廊下で待ってたの。


 あの時は、素通りされたらどうしようって不安だった。

 だけどみなは、ちゃんと私に気づいてくれた。

 あの時ほど、嬉しかった事はなかったよ。

 本当に、嬉しかった。

 何よりも、私を覚えていてくれた事が。


 そして、5年間ずっと夢見てきた、

 みなとの学校生活が、もう一度出来たんだ。


 自分のクラスでは、気味悪がられたり、

 からかわれたりしてた。

 そういうのも、薬で少しは抑えていても、

 私には耐え難い苦痛で、とても辛かった。

 けど、それよりも、みなとの学校生活が送れる、

 この嬉しさがあったから、耐える事が出来たの。


 みなと一緒に、昼休みを過ごせた事、

 みなと一緒に、下校出来た事、

 みながうちに来てくれて、一緒に勉強出来た事、

 みながうちに泊まってくれて、一緒にご飯食べた事、

 みなと一緒にドライブして、海に行った事、

 みなが私に、優しくしてくれた事、


 そして今、

 みなが私の体を、ちゃんと見てくれた事、

 私が隠してきた秘密を、全部聞いてくれた事、

 すごく、感謝してる。


 本当に、ありがとう、みな。

 私には、みなさえ、いてくれればいい。

 もう、他には、何もいらない。

 みなさえ、私のそばに、いてくれれば、

 ずっと、友達で、いてくれれば、

 もう、何にも、望まない。

 だからお願い、みな。

 こんな体の、私だけど、

 あとどれだけ、生きられるかも、分からないけど、

 今までいっぱい、色んな事を隠してたけど、

 出来る事なら、許して欲しい。

 そして、お願いだから、親友でいて欲しい、

 みな、こんな私の事、許してくれる?

 みな、これからも、私の、親友で、いてくれる?」


   ・   ・   ・   


なつめちゃんは、ずっと涙を流しながら話し続けて、

最後の質問の時、わたしの顔をまっすぐに見つめていました。


その時の、なつめちゃんの瞳は、

まるで、澄みきった清流のように、

とても透き通っていて、すごくきれいで、

とても純粋で、素直な印象を受けたんです。


それを見た時にはっきりと、これが本当の、

なつめちゃんの心だったんだと、強く感じて、

そしたらわたしもいつの間にか、

気づかないうちに泣いていました……


わたしは、もちろんだよって言おうとしたけど、

上手く声が出なくって、その代わりに、

なつめちゃんの、手をギュっと握って、

大きく頷きました。


それを見たなつめちゃんは、笑顔になって、

「嬉しい、みな、ありがとう……」

と、言い終わったところで、目を閉じると、

わたしの方に、倒れました。


それと同時に、心拍数が表示された器械は、

乱れた波形を表示しながら、

警告音みたいな音を出し始めて……


わたしは、意識を失って倒れたなつめちゃんを抱きとめて、

必死に声を掛けながら、

すぐにナースコールみたいなボタンを押しました。


そしたら5秒もしないうちに、白衣を着たお医者さんと、

看護師の人が2人と、汐月さんが飛び込んできたので、

わたしはすぐに、座っていた所からどいて、

邪魔にならないように、部屋の隅に移動して、

なつめちゃんの様子を、息をするのも忘れて、

ずっと見つめていました。


肩に何かが触れて、そちらを見ると、

汐月さんが、わたしの隣に来ていました。


お医者さんと、看護師の人たちは、

懸命になつめちゃんの容態を、確認していましたが、

途中で何度か、首を振る仕草をしているのを見て、

不安で押し潰されてしまいそうでした。


そのうちに、看護師の人の1人が携帯を取り出して、

どこかへ電話した後、汐月さんの前に来ると、

「これから搬送準備に入ります」

と言っていたのが判りました。


もしかしたら、このままなつめちゃんが、

死んじゃうかもしれないと思ったら、

全身の力が抜けてしまい、その場に座り込んでしまいました。


倒れないで済んだのは、

汐月さんが、支えてくれていたからです。


この後すぐに、堪えきれずに泣いてしまったけど、

汐月さんは、座り込んだわたしに声をかけてくれて、

そのおかげで、すごく動揺したりせずにいられました。


わたしは、汐月さんの顔を見ながら、

なつめちゃんのことを尋ねました。


答えは分かりきっていたけど、どうしても大丈夫って、

誰かに、言って欲しかったんです。


汐月さんは、わたしをしっかりと抱き寄せて、

「大丈夫だから、心配しないで」

と、言ってくれました……


   ・   ・   ・   


この後、まるで待機してたんじゃないかと思うくらい、

救命士の人たちがすぐに来て、

なつめちゃんは搬送されていきました。


わたしは、運ばれていくなつめちゃんを、

黙って見守ることしか出来ませんでした……


お医者さんは最後に、汐月さんに何かを言ってから、

部屋を出て行き、なつめちゃんがいなくなった部屋で、

わたしは、汐月さんにしがみついて、

静かに泣き続けていました……


   ・   ・   ・   


だいぶ落ち着いて来たところで、

この日はずっと、ゲストルームで休んでいて、

その間に、わたしの持ち物や制服がクリーニングされて、

戻ってきました。


ちょっとでも、傷や汚れが残っているようなものは全て、

新しい物が、もう1組用意されていて、

制服も、元のはパッと見きれいだったけど、

新品が、もう1着ありました。


これは、その傷や汚れから、あの時のことを、

思い出さないようにする為だそうです。


それから、榊さんはなつめちゃんについていったので、

その代わりに汐月さんから、警護の人が紹介されました。


その人は榊さんと違って、全然目立たない人で、

1週間ごとに、別の人と交代して、

わたしから距離を置いて、警護するんだそうです。


その話の後はまた、部屋のベッドで休んでいました。


   ・   ・   ・   


夜になって、夕食の時に、

あの時に、助けてくれた人のことを思い出して、

汐月さんに尋ねてみました。


汐月さんの話では、あの人は、

榊さんが割り込んで4人を撃退した後、

一度、このマンションまでは来たんだそうです。


ここで、応急処置を受けて、休んでいくように薦めたけど、

あの人は断って、自分の車でどこかへ消えたそうです。


名前を聞いても、最後まで答えなかったから、

誰だか判らないと言うので、わたしはあの時の会話を思い出して、

『ケイゴ』と呼ばれていたことを、伝えておきました。


   ・   ・   ・   


この日も、ここに泊めてもらって、

翌日も学校は休んで、午前中に汐月さんの診察をしてもらい、

帰っても大丈夫と診断されたので、落ち着いたところで、

午後に、家まで汐月さんと警護の人に、

車で送ってもらって、帰ってきました。


汐月さんからは、自宅の前で最後に、

なつめちゃんのことは、大丈夫だから、

状況はこちらから伝えるので、

心配しないで待っていて欲しいと言うことと、

少しでも、不安や怖いと感じたら、

いつでも連絡してくれて構わないと、言ってもらいました。


   ・   ・   ・   


こうしてわたしは、2日ぶりに、

自分のアパートに帰ってきました。


バイトにも、まだ行く気にはなれなくて、

忍さんに連絡して、休ませてもらって、

この日は、まだ夕方だったけど、

布団に入って休んでいました。


襲われたこと、なつめちゃんの告白、

なつめちゃんが倒れたこと、

もう、いろんなことが起きてしまって、

とても疲れました……


色々と、考えなきゃいけないことがあるけど、

今はなつめちゃんの容態のことで、頭がいっぱいで、

他のことは、考えられない……


でも、わたしがいくら心配しても、

なつめちゃんが、元気になる訳でもないから、

なつめちゃんが回復して、また会えるようになった時に、

いつでもすぐに行けるように、

わたしが元気でいなくちゃ……


とりあえず今は、何も考えないようにして、

ゆっくり、休もうと思います……





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