2009年 12月 その2
変更履歴
2010/10/14 小題の日程追加 12月20日 汐月さんに電話
2010/10/14 小題の日程修正 12月22日 汐月さんからの資料 → 12月21日
2010/10/14 小題の日程修正 12月23日 終業式 → 12月22日
2011/03/25 誤記修正 P.S → P.S.
2011/03/31 記述統一 一週間、二日間、三時間 → 1週間、2日間、3時間
2011/04/06 記述修正 ~、て~ → ~って~
2011/04/07 記述修正 みなと二人で遊びにこれるなんて、 → みなと二人で遊びに来れるなんて、
2011/04/16 記述変更 (クラス)1組、二組、3組 → A組、B組、C組
2011/04/20 記述統一 (期間)一日、二月、三年 → 1日、2月、3年
2011/04/22 記述統一 第一、第二、第三 → 第1、第2、第3
2011/05/08 記述統一 一階、二階、三階 → 1階、2階、3階
2011/05/15 記述修正 聖アンナ医科大学 → 聖アンナ医科大学神経精神科学
2011/05/21 記述統一 一つ、二つ、三つ → 1つ、2つ、3つ
2011/07/17 記述統一 一人、二人、三人 → 1人、2人、3人
2011/09/02 誤植修正 位 → くらい
2011/09/03 誤植修正 位 → くらい
2013/03/07 誤植修正 それだと真っ暗なって危ないから → それだと真っ暗になってしまい危ないから
2013/03/07 誤植修正 なんかすごい旅行なぁ → なんかすごい旅行だなぁ
2013/03/07 誤植修正 お話出来ませんが → お話し出来ませんが
2013/03/07 誤植修正 表情変らないからわかんないけど → 表情変わらないからわかんないけど
2013/03/07 誤植修正 それに気付いくと → それに気付くと
2013/03/07 誤植修正 助手席から汐月さんは見ていてたようで → 助手席から汐月さんは見ていたようで
2013/03/07 誤植修正 違うんじゃないか思って → 違うんじゃないかと思って
2013/03/07 句読点調整
2013/03/07 改行調整
2013/03/07 区切り行追加
2013/03/07 記述統一 居る・居ない → いる・いない
2013/03/07 記述統一 ひと通り・一通り → ひととおり
2013/03/07 記述統一 といっても・とはいっても → と言っても・とは言っても
2013/03/07 記述結合 決心がつきました。 → 決心しました、
2013/03/07 記述修正 汐月さんからもらった名刺にある → その為に、汐月さんからもらった名刺にある
2013/03/07 記述修正 今日かけたのは → 連絡するのを今日にしたのは
2013/03/07 記述修正 電話してから → 電話してすぐに
2013/03/07 記述修正 電話に出ました → 繋がってしまいました
2013/03/07 記述修正 わたしは、繋がった途端にいきなり緊張してしまい → もうかけ直すつもりでいたわたしは、予想外の展開に緊張してしまい
2013/03/07 記述修正 多少声が上ずりながら → 多少声が上ずりつつ
2013/03/07 記述修正 威圧される口調とは違って → 威圧される口調とは違った
2013/03/07 記述修正 なつめちゃんに連絡したいと思われたようです → どうやらなつめちゃんに連絡したいと思われたようです
2013/03/07 記述修正 わたしはそれを否定して → なので、わたしはそれを否定して
2013/03/07 記述修正 汐月さんは → すると汐月さんは
2013/03/07 記述修正 自宅の電話番号を伝えて → わたしは自宅の電話番号を伝えて
2013/03/07 記述修正 わたしは、この連絡を待っている間に → 汐月さんからの連絡を待っている間
2013/03/07 記述修正 下校中に二度、様子がおかしくなったことや → 下校中に様子がおかしくなったことや
2013/03/07 記述修正 何かに怯えているようなそぶりや → 何かに怯えているような様子や
2013/03/07 記述修正 かなちゃんからの、メールの内容なんかを → かなちゃんのメールの内容などの
2013/03/07 記述修正 汐月さんから電話がかかってきて → 汐月さんから電話がかかってきたので
2013/03/07 記述修正 二度様子が変ったことについて → 駅前で様子が変わったことについて
2013/03/07 記述結合 出来るだけ忠実に、伝えました。 → 出来るだけ忠実に伝えると、
2013/03/07 記述修正 わたしは → わたしは無理を承知で
2013/03/07 記述修正 なつめちゃんの病気について、無理を承知で → なつめちゃんの病気について
2013/03/07 記述修正 お願いしてみました → お願いしてみたんです
2013/03/07 記述移動 思わぬ質問をされました。
2013/03/07 記述結合 思わぬ質問をしてきました。 → と、思わぬ質問をしてきたので、戸惑ってしまい、
2013/03/07 記述修正 私から三崎さんに質問したいのですが → 逆に私から三崎さんに質問したいのですが
2013/03/07 記述削除 わたしはその質問に驚いて、あの、と言ったまま、
2013/03/07 記述修正 返答を、どうしたものかを考えていました → すぐに答えられませんでした
2013/03/07 記述分割 そんな気がして、 → そんな気がしました。
2013/03/07 記述削除 わたしは、どう答えたら良いのか、悩みました。
2013/03/07 記述削除 この間黙ってわたしの返答を待っていました。
2013/03/07 記述追加 それに、これまでの汐月さんの行動を思い出してみても、
2013/03/07 記述追加 ただの家政婦さんだとは、ちょっと思えないし、
2013/03/07 記述追加 わたしが思った通りなら、汐月さんはもしかしたら……
2013/03/07 記述追加 だとしたら、まずそれを確認したい、そう思って、
2013/03/07 記述修正 そこでわたしは汐月さんに → わたしは汐月さんに
2013/03/07 記述修正 あなたはなつめちゃんの、心の病気の主治医ですか? → 本当は家政婦じゃなくて、精神科のお医者さんじゃないかって
2013/03/07 記述修正 と、質問しました → 尋ねてみたんです
2013/03/07 記述修正 今度は、わたしが黙って待っていると → なので、黙って待っていると
2013/03/07 記述修正 棗さんはクランケの1人です → より正確には彼女は私のクランケです
2013/03/07 記述結合 つまり心理学者です。 → ご指摘の通り精神科医です、
2013/03/07 記述追加 医科大学、医長、客員准教授……?
2013/03/07 記述修正 色んな資格を持ってるって聞いていたから → 色んな資格を持ってるって聞いていたけど
2013/03/07 記述修正 カウンセラーの人なんじゃないかと思って → お医者さんかもって思って
2013/03/07 記述修正 聞いてみたのですが、まさか大学の先生で → 訊いてみたのですが
2013/03/07 記述修正 精神神経科の先生だとは思ってなくて → まさかそんな偉い人とは思ってなくて
2013/03/07 記述削除 先生だったから、聞きやすい話し方だったんだなあ、
2013/03/07 記述削除 と、わたしは納得しました。
2013/03/07 記述修正 汐月さんは改めてわたしに → 改めて汐月さんから
2013/03/07 記述修正 他に知っていることを教えて欲しい、と言われて → 他に知っていることがあれば、全て話して欲しいと頼まれたので
2013/03/07 記述修正 全て話しました → 全部話しました
2013/03/07 記述修正 私が話し終えると、汐月さんは特に驚くこともなくて → 私が話し終えても、汐月さんは特に驚くこともなく
2013/03/07 記述追加 話をする前と全然変わらない様子だったらので、
2013/03/07 記述修正 もしかして、全部判っていたんじゃないかと思ってしまいました。 → もしかして汐月さんは、これまでのこと、全部判っていたんじゃないかって、疑ってしまうくらいでしたね……
2013/03/07 記述結合 この後、私のお願いした件の話になりました。 → 説明の後は、最初にお願いした件の話になったんですが、
2013/03/07 記述修正 ご説明する事は可能になります → 説明する事は可能になります
2013/03/07 記述修正 かと思ったら、説明は続いて → ……かと思ったら、話は続いて
2013/03/07 記述修正 資料を郵送してもらえることになりました。 → 資料を郵送してもらえることになりました!
2013/03/07 記述修正 と、お願いされました。 → と、資料をもらえただけではなく、汐月さんの方から、なつめちゃんのことを、お願いされてしまいした!
2013/03/07 記述削除 わたしはその言葉に、分かりました、頑張ります!
2013/03/07 記述削除 と答えて、電話を切りました。
2013/03/07 記述修正 思い切って、汐月さんに電話してみて良かったです。 → いやぁ、思い切って、電話してみてよかった……
2013/03/07 記述修正 汐月さんにお願いしていた → 昨日汐月さんにお願いした
2013/03/07 記述結合 なつめちゃんの応急処置の資料が、今日届きました。 → 資料がもう早速届いたんですけど、
2013/03/07 記述修正 それは手紙だと思っていたら、結構重い小包でした → てっきり封筒だと思っていたら、結構重い小包でした……
2013/03/07 記述修正 手紙に箇条書きで → 数枚の紙に箇条書きで
2013/03/07 記述修正 理解してもらえれば良いです → 理解して頂くだけで構いません
2013/03/07 記述削除 期待しています。
2013/03/07 記述修正 分厚いです → かなり分厚いです
2013/03/07 記述修正 ここで → ここでわたしは
2013/03/07 記述結合 電話での言葉を思い出しました。 → 電話での言葉を思い出しました、
2013/03/07 記述修正 よく勉強して理解して下さい、と → 『よく勉強して理解して下さい』って言葉を
2013/03/07 記述修正 わたしが理解出来るとでも → 高校生のわたしが理解出来るって
2013/03/07 記述修正 思ったんでしょうか…… → 思われたんでしょうか……
2013/03/07 記述削除 たくさんの付箋紙が貼ってあるのが分かりました。
2013/03/07 記述修正 付箋はたくさん付いていて → 付箋紙はたくさん貼ってあって
2013/03/07 記述修正 今年最後の登校日、終業式です → 今日は今年最後の登校日、つまり終業式です
2013/03/07 記述修正 バイトと例の勉強で → 連日昼間はバイト、夜は例の勉強で
2013/03/07 記述修正 あんまり寝てなくてフラフラですが → あんまり寝てなくてちょっとフラフラしてますが
2013/03/07 記述修正 まずはわたし的には恒例のイベントの → まず、個人的には恒例イベントの
2013/03/07 記述修正 なんと今回は → そしたらなんと
2013/03/07 記述修正 がんばってもらいたいです。 → がんばってもらいたいですね……
2013/03/07 記述追加 こうしてイベントも終わって、教室に戻った後は、
2013/03/07 記述追加 通知表の配布があったんですけど、
2013/03/07 記述修正 生まれて初めてもらいました。 → 生まれて初めてです!
2013/03/07 記述修正 何回も見返してしまいました → 何回も見返しちゃいました
2013/03/07 記述追加 いつもの待ち合わせ場所でなつめちゃんと合流してから、
2013/03/07 記述修正 終業式の後は → この後は
2013/03/07 記述修正 なつめちゃんへ → 会ってすぐ、なつめちゃんに
2013/03/07 記述修正 ちょっと複雑です。 → ちょっと複雑です……
2013/03/07 記述修正 すっかり苦手な人に戻ってました → すっかり苦手な人に戻ってましたね
2013/03/07 記述修正 今日の汐月さん → あれ? 今日の汐月さん
2013/03/07 記述分割 何が違うのか良く分からなくて、 → 何が違うんだろう、良く分からないなぁ……
2013/03/07 記述削除 途中で考えるのがめんどくさくなって、
2013/03/07 記述修正 まあいいかと思って、考えるのはやめました → うーん、ま、いっか
2013/03/07 記述修正 何かしたいことはない? → 何がしたいかを
2013/03/07 記述修正 と尋ねると → 尋ねると
2013/03/07 記述修正 とのことでした → とのこと
2013/03/07 記述修正 引っかかりました → 引っかかりましたね
2013/03/07 記述修正 平凡な庶民のわたしが似合う訳がないですから → 平凡な庶民のわたしが似合う訳がないですし、それにサイズだって……
2013/03/07 記述修正 きっとわたしは → それを見て、きっとわたしは
2013/03/07 記述修正 そういう対象にされているんだと、悟りました → そういう対象にされているんだって悟りました
2013/03/07 記述結合 いいよ、と言いました。 → 頷くと、
2013/03/07 記述修正 さっそく、なつめちゃんは汐月さんに → それを見たなつめちゃんは、さっそく汐月さんに
2013/03/07 記述修正 これから海に行く事を伝えて → これから海に行くことを伝えて
2013/03/07 記述修正 わたしを → わたしは
2013/03/07 記述修正 案内しました → 案内されたんです
2013/03/07 記述修正 衣裳部屋でした → まるで衣裳部屋でしたね
2013/03/07 記述修正 十畳以上はある部屋の壁全面に、衣装ダンスが並んでいて → 10畳以上はある部屋の壁全面に、ずらっと衣装ダンスが並んでいて
2013/03/07 記述修正 三重に取り囲むように → お店みたいに何列も
2013/03/07 記述修正 そのほとんどに、洋服がかけてありました → そのほとんどが、服でいっぱいです
2013/03/07 記述分割 まだあっちの方が普通だったかなと、 → これに比べたら、まだあっちの方が普通だったなぁ……
2013/03/07 記述修正 なつめちゃんは → そんなことを考えていると、なつめちゃんはさっそく
2013/03/07 記述修正 尋ねられました → 尋ねてきました
2013/03/07 記述追加 選んでもらった服は、
2013/03/07 記述修正 どれもかわいくて高そうな服でしたが → どれもかわいくて高そうでしたが
2013/03/07 記述修正 その色が気に入って、それを指差しました → その色が気に入ったので、わたしはそれを指差しました
2013/03/07 記述修正 問題は → ……問題なのは
2013/03/07 記述修正 似合うと思うよ → 「きっと似合うと思う」
2013/03/07 記述修正 着替えてみました。 → 着替えてみました……
2013/03/07 記述修正 中身が服に、置いてかれています…… → 完璧に中身が服に、置いてかれているって感じですね……
2013/03/07 記述修正 自分でいうのもなんですが → 自分で言うのもなんですが
2013/03/07 記述修正 出来損ないの合成写真みたいです → 合成写真みたいです
2013/03/07 記述追加 見れば見るほど、そう思ってしまうので、
2013/03/07 記述修正 気にするのはやめる事にします → 気にするのはやめることにします
2013/03/07 記述追加 服はこれで決まり、次は靴なんですけど、
2013/03/07 記述修正 今履いている靴は学校指定の → 履いて来たのは学校指定の
2013/03/07 記述修正 でもこの格好で外は、寒くない? → でもこの格好で外は寒いんじゃないかと思い
2013/03/07 記述修正 と聞くと → それを尋ねると
2013/03/07 記述修正 と思いました → と思ってしまいます
2013/03/07 記述分割 汐月さんが待っていて、車の準備も出来ました、と告げて、 → そこには汐月さんが待っていました。
2013/03/07 記述修正 汐月さんもご一緒みたいです → 汐月さんも一緒みたいです
2013/03/07 記述修正 冷静な第三者の意見が、すごく聞きたいです。 → 冷静な第三者の意見を、すごく聞いてみたい……
2013/03/07 記述修正 怖い運転手さんが → 青い車が止まっていて、その前に怖い運転手さんが
2013/03/07 記述修正 やっぱり大きくて怖いです → やっぱり大きくて怖いなぁ……
2013/03/07 記述修正 榊さんも → そんな榊さんもやはり
2013/03/07 記述修正 わたしも合わせて、頭を下げて挨拶してから → そう思いつつ、わたしも榊さんへと挨拶してから
2013/03/07 記述修正 ドライブって何処に行くの? → まだ聞いていなかった行き先を尋ねると
2013/03/07 記述削除 と、尋ねると
2013/03/07 記述分割 と、ちょっと遠慮がちに逆に訊かれて → とのことなので、海に決定です!
2013/03/07 記述削除 わたしは、ドライブでいい場所も特に知らないので、
2013/03/07 記述削除 いいよ、と答えて、決まりました。
2013/03/07 記述修正 走っていると、そろそろお昼近くになって → しばらく走っていると、そろそろお昼近くになったので
2013/03/07 記述修正 昼ごはんはどうするのかなぁ、と思い → 昼ごはんはどうするのかと思い
2013/03/07 記述修正 アレルギーで → アレルギーが色々あって
2013/03/07 記述修正 食べられなくて → ほとんど食べられないから
2013/03/07 記述修正 どうりでよく出来ていた訳だあ、と納得しました → どうりでよく出来ていた訳だと納得しました
2013/03/07 記述修正 それにしてもその宅配サービス、自宅じゃない海に → それにしてもその食事の宅配サービス、遠くの海にまで
2013/03/07 記述修正 そこに出張して、デリバリーが来る? → 出張して来る
2013/03/07 記述追加 そう言うのって、わたしの感覚だと、
2013/03/07 記述追加 そんなに広くない地域限定ってイメージなんですけど、
2013/03/07 記述分割 随分広範囲まで、カバーしているサービスなんだなぁ、 → そこのは随分広範囲まで、カバーしているんだなぁ……
2013/03/07 記述削除 と思いました。
2013/03/07 記述修正 車で1時間ほど走ると → さらに1時間ほど走ると
2013/03/07 記述修正 とても青くてきれいでした → とても青くてきれいでしたね
2013/03/07 記述修正 冬の空も青く澄んでいて、とても高く見えて → 冬の空も青く澄み切っていて、とても高く見えるし
2013/03/07 記述修正 汐月さんは昼食の支度が出来たらお呼びしますと → 汐月さんは、「昼食の支度が出来たらお呼びします」と
2013/03/07 記述修正 ふとなつめちゃんの薬のポーチが心配になって → なつめちゃんの薬のポーチが気になり
2013/03/07 記述削除 なつめちゃん、冷静に見えたけど、
2013/03/07 記述修正 今日は、意外と浮かれているみたいです。 → 今日のなつめちゃん、やっぱりかなり浮かれてます……
2013/03/07 記述修正 不安はないけど → そんなに不安はないけど
2013/03/07 記述修正 なんかあったら大変ですから、油断しちゃいけません → それでも、何かあったら大変だから、一応わたしも気をつけとかなくちゃなぁ
2013/03/07 記述修正 よかったと思いました → 本当によかったです
2013/03/07 記述修正 記述削除 海岸に来たのも、本当に久しぶりで、
2013/03/07 記述修正 記述削除 前にいつ来たのか、気になって思い出そうとしたけど、
2013/03/07 記述修正 記述削除 思い出せませんでした。
2013/03/07 記述修正 2人ですっごく冷たい海で → 2人してすっごく冷たい海で
2013/03/07 記述修正 わたしは → わたしとしては
2013/03/07 記述追加 もし今の自分の姿が見えてしまったら、きっと我に返ってしまいますから……
2013/03/07 記述修正 しばらくすると、榊さんが無言で近づいてきました → しばらくすると、別荘の方から、榊さんが歩いて来るのが見えました
2013/03/07 記述修正 それに気付いたなつめちゃんは、榊さんに → 榊さんに気付いたなつめちゃんは、何も言われる前に
2013/03/07 記述修正 分かった、すぐ行きます → そう、判った
2013/03/07 記述修正 と答えて → と答えると
2013/03/07 記述修正 別荘へと向かって → 別荘へと向かって戻り始めて
2013/03/07 記述修正 無言で付いて来ていました → 無言でついて来ていました
2013/03/07 記述修正 榊さんに対してだけ → 榊さんに対してだけは、声が大きいし
2013/03/07 記述修正 言葉遣いが、違うような気がするなぁ…… → それに言葉遣いも、違うような気がするけど、気のせいかなぁ……
2013/03/07 記述修正 別荘のテラスに、備え付けられてるテーブルの上に → 3人で別荘まで戻って来ると、テラスに備え付けられてるテーブルの上には
2013/03/07 記述修正 さっき届いたお弁当、色んなサンドイッチと → 色んなサンドイッチと
2013/03/07 記述追加 この後すぐに昼食となったのですが、
2013/03/07 記述修正 別で昼食をとるんだそうで → 別で昼食を食べるそうで
2013/03/07 記述修正 それは、わたしとなつめちゃんの分で → これは、わたしとなつめちゃんの分だけで
2013/03/07 記述修正 体の弱い、なつめちゃんの発想には無いようです → 体の弱いなつめちゃんには、ない発想のようです
2013/03/07 記述修正 なつめちゃんは、ちょっと疲れたから座らない? → 少し歩いた後、なつめちゃんが、「ちょっと疲れたから座らない?」
2013/03/07 記述修正 わたしの質問の返事ではありませんでした。 → わたしの質問の返事ではありませんでした……
2013/03/07 記述修正 今日のことは → 今日の事は
2013/03/07 記述修正 みな → みな……
2013/03/07 記述修正 そういって → そう言って
2013/03/07 記述修正 どう答えたら良いかと、迷いました → どう答えたら良いのか判りませんでした
2013/03/07 記述修正 こういう時は → こんな時は
2013/03/07 記述修正 たしか本に書いてあったので → 汐月さんにもらった本に書いてあったので
2013/03/07 記述削除 またいつでも一緒にこれるから、
2013/03/07 記述削除 今日だけなんて、言わないで、
2013/03/07 記述削除 これからも、もっと色んなところに行こう、
2013/03/07 記述修正 と、前向きに受け取れる感じに答えました → 出来るだけ前向きに受け取れる感じに答えておきました
2013/03/07 記述修正 わたしの言葉に、頷いて → そんなわたしの言葉を聞くと、強く頷いて
2013/03/07 記述修正 俯いて静かに泣いていました → 俯いたと思ったら、静かに泣いていました
2013/03/07 記述結合 海を見つめて、考えていました。 → 海を見つめながら、考えていました、
2013/03/07 記述修正 何を意味しているんだろう、と → どういう意味なんだろうって
2013/03/07 記述分割 何となく言う内容じゃない、 → 何となく言う内容じゃない。
2013/03/07 記述修正 そんな気がしました。 → そんな気がします……
2013/03/07 記述移動 わたしはここで、今まで知らなかった、
2013/03/07 記述修正 わたしはここで、今まで知らなかった → この時わたしは、今まで全然知らなかった
2013/03/07 記述移動 なつめちゃんの秘密を知りました。
2013/03/07 記述修正 なつめちゃんの秘密を知りました。 → なつめちゃんの秘密を知ってしまいました……
2013/03/07 記述修正 なつめちゃんが眠ってしまったらしくて → どうやらなつめちゃんは眠ってしまったらしくて
2013/03/07 記述修正 頭をあずけていました → 寄り掛かっていました
2013/03/07 記述修正 その時、わたしの方に寄りかかっていた体に合わせて → その時
2013/03/07 記述削除 膝がこっちに倒れてきていて、
2013/03/07 記述修正 体育座りで閉じて座っていた足が開いてきて → 両膝を抱くようにしていた腕が落ちたせいで、閉じて座っていた膝が開いてしまい
2013/03/07 記述修正 海からの風で → 海からの風を受けて
2013/03/07 記述修正 紫色になった大きな手術の傷痕が → 紫色に変色している大きな手術の傷痕が
2013/03/07 記述修正 最近出来たものではなくて → 最近出来たものではなく
2013/03/07 記述修正 古い傷のように見えましたが → 古い傷のように見えるのに
2013/03/07 記述修正 とても完治しているようには、見えなくて → でも完治しているようには、全く見えなくて
2013/03/07 記述修正 包帯とかも巻いてないのが → 包帯を巻いてないのが
2013/03/07 記述修正 とても考えられません → 不思議なくらいです
2013/03/07 記述修正 その大きな傷のほかにも → その大きな傷の他にも
2013/03/07 記述修正 小さな丸い紫色のあざみたいな痕も → 丸い紫色のあざみたいな痕も
2013/03/07 記述修正 これ以上は見ていられませんでした。 → これ以上は見ていられませんでした……
2013/03/07 記述修正 これをみて、今までのなつめちゃんの格好を思い返すと → 改めて今までのなつめちゃんの格好を思い返すと
2013/03/07 記述修正 シャツの第1ボタンも留めてました → シャツの第1ボタンまできっちり留めてました
2013/03/07 記述修正 残暑で暑かった日でも、さらに → 常に
2013/03/07 記述修正 寒がりだから、と答えていたけど → 寒がりだからって答えていたけど
2013/03/07 記述修正 体の傷を隠すため? → 体の傷を隠す為
2013/03/07 記述修正 慎重にスカートの裾を直して → 慎重にめくれたスカートの裾を直してから
2013/03/07 記述削除 なつめちゃんの手を、膝に置いてから、
2013/03/07 記述修正 その置いた手を軽くゆすって → 開いた膝を戻すように軽くゆすって
2013/03/07 記述修正 そろそろ戻ろう、とわたしは言って → けっこう時間も経っていたので、そろそろ戻ろうかと
2013/03/07 記述修正 もうちょっとここにいたい、と言いました → 「もう少しだけ、ここにいたい」って言ってきたんです
2013/03/07 記述修正 あの傷が見えたことには → この様子だと、どうやらあの傷が見えたことには
2013/03/07 記述修正 海に沈む夕日を見てから戻りたい → 「海に沈む夕日を見てから戻りたい」
2013/03/07 記述修正 と言ったので → とお願いされたけど
2013/03/07 記述削除 沈み始めたら、戻っていって、
2013/03/07 記述修正 別荘の前で沈むところまで見ようよ、と言って → 別荘の前で沈むところを見るってことにして
2013/03/07 記述修正 夕日と共にわたしたちは、別荘のところへと戻ってきました → わたしたちは、別荘の近くまで戻ってきました
2013/03/07 記述移動 なつめちゃんの足の傷のことは、
2013/03/07 記述修正 なつめちゃんの足の傷の事は → なつめちゃんの足の傷のことは
2013/03/07 記述移動 なつめちゃんが、自分から教えてくれるまでは、
2013/03/07 記述移動 本人に悟られちゃいけないと、強く思いました。
2013/03/07 記述修正 本人に悟られちゃいけないと、強く思いました → 本人に悟られちゃいけない
2013/03/07 記述移動 これがクラスの人から、何かされた痕だったら、
2013/03/07 記述移動 汐月さんに、伝えておかなくちゃいけないし、
2013/03/07 記述移動 そうではないとしたら、
2013/03/07 記述移動 この放っとかれている傷は、どういうことなのか、
2013/03/07 記述移動 汐月さんにこの理由だけは、教えてもらえないかと、
2013/03/07 記述移動 もう一度頼んでみよう、と決めました。
2013/03/07 記述修正 もう一度頼んでみよう、と決めました → もう一度頼んでみよう
2013/03/07 記述結合 繋ぎました。 → 繋いでみたら、
2013/03/07 記述修正 なつめちゃんは、それに気付くと → それに気付いたなつめちゃんから
2013/03/07 記述修正 ちょっとは伝わったかな → ちょっとは伝わったんじゃないかって
2013/03/07 記述修正 と思いました → 思います
2013/03/07 記述修正 これがクラスの人から → もしこれがクラスの人から
2013/03/07 記述修正 そうではないとしたら → そうではないとしても
2013/03/07 記述修正 汐月さんにこの理由だけは、教えてもらえないかと → この理由を
2013/03/07 記述修正 もう一度頼んでみよう。 → 汐月さんに訊いてみよう……
2013/03/07 記述修正 陽も完全に沈んで → 夕陽も完全に沈んで
2013/03/07 記述修正 マンションに戻る事になりました → マンションに戻ることになりました
2013/03/07 記述修正 とてもきれいだなぁと感じました → すごくきれいでしたね
2013/03/07 記述修正 なつめちゃんの方へ → 声を掛けようと
2013/03/07 記述修正 また眠っていて → なつめちゃんはまた眠っていて
2013/03/07 記述分割 わたしが顔を上げたときに、目が合って、 → わたしが顔を上げた時に目が合いました。
2013/03/07 記述修正 汐月さんは何も言わず、ちょっとだけ口元が笑っていたような → 汐月さんはその時、何も言わなかったけど、だけど、ちょっとだけ口元が笑っていたような
2013/03/07 記述修正 そんな気がしました。 → そんな風に見えました……
2013/03/07 記述修正 とても驚いていました → とても驚いていましたね
2013/03/07 記述修正 その内容は、秘密、と言われて → その内容は最後まで
2013/03/07 記述修正 とてもいい夢を見たみたいで → 良い夢を見たみたいで
2013/03/07 記述修正 嬉しそうにしていました → とても嬉しそうでした
2013/03/07 記述削除 海で汚れたでしょうから、と、
2013/03/07 記述修正 等身大の自分に戻ってこれた気分です → 等身大の自分に戻った気分です
2013/03/07 記述追加 着替え終わった後は、
2013/03/07 記述修正 シャワーを浴びている間に → シャワーを浴びている間
2013/03/07 記述修正 リビングで待つようにと → リビングで待つように
2013/03/07 記述修正 尋ねました → 尋ねたんです
2013/03/07 記述修正 他者からの暴力によって出来たものではありませんから → 他者からの暴力によって出来たものではないので
2013/03/07 記述削除 あの傷は体質的なもので出来ているので、
2013/03/07 記述修正 これ以上の説明は本人の了承がなければ、説明は出来ません → これ以上は本人の了承がなければ説明致しかねます
2013/03/07 記述修正 電話の時とは違って → と、電話の時とは違って
2013/03/07 記述修正 まくし立てるような説明を受けて → まくし立てるような説明を受けてしまい
2013/03/07 記述修正 頭がくらくらしましたが → 頭痛とめまいを感じましたが
2013/03/07 記述修正 お礼を言いました → お礼を言ってすぐ退散しました
2013/03/07 記述追加 あぁ、これ、たしか本に載ってたなぁ、
2013/03/07 記述追加 過度の緊張から来る精神的ストレスに因る身体症状、
2013/03/07 記述追加 だったっけ、はぁ……
2013/03/07 記述修正 そんなにつかれちゃった? → そんなに疲れちゃったの?
2013/03/07 記述修正 そんなことないと → そうじゃないって
2013/03/07 記述修正 ちょっと大変でした → ちょっと大変でしたね
2013/03/07 記述修正 この後 → この後ちょっとしたら
2013/03/07 記述修正 淡々と食べていました。 → 相変わらず淡々とした様子です……
2013/03/07 記述修正 まるで病院食みたいだと思いました → まるで病院食みたいでした
2013/03/07 記述修正 昔 → どうして分かるのかって言うと、昔に
2013/03/07 記述修正 父の食べていたご飯を食べた事があって → 父の食事を食べたことがあって
2013/03/07 記述修正 味がなくてまずいなぁ、と思った思い出があるんです → 味がなくて美味しくなかった思い出があるんです
2013/03/07 記述修正 わたしはなつめちゃんに、ご飯食べてて楽しくない? → わたしはさりげなく気分を尋ねると
2013/03/07 記述修正 と聞くと、なつめちゃんは → それに対してなつめちゃんは
2013/03/07 記述修正 何だか違うような気がして、しょうがないです → それって何だか違うような気がするんだけどなぁ……
2013/03/07 記述修正 もっと、ご飯って → 食事って言うのはもっと
2013/03/07 記述結合 栄養分を摂取する行為ではないんです。 → 栄養分を摂取する行為ではないんです、
2013/03/07 記述移動 わたしはそう信じています。
2013/03/07 記述結合 食事が終わった後、帰って来ました。 → 食事が終わった後、
2013/03/07 記述修正 まだ電車もある時間だからと、断って電車で帰ってきました → まだ電車もある時間だからと断って、電車で帰ってきました
2013/03/07 記述修正 すごく楽しかった、と言ってくれて → 「すごく楽しかった」と言っていたし
2013/03/07 記述修正 また一緒に遊びに行こうね → 「また一緒に遊びに行こうね」
2013/03/07 記述修正 と、言ってくれたのは → って言ってくれたのは
2013/03/07 記述修正 打ち消せたんじゃないかな、と思えて → 打ち消せたんじゃないかと思えて
2013/03/07 記述修正 もやもやしてたのが → モヤモヤしていたのが
2013/03/07 記述修正 なつめちゃんに会うのは → なつめちゃんと会うのは
2013/03/07 記述修正 汐月さんの本を読破して → 汐月さんからもらった本を読破して
2013/03/07 記述修正 幸せにしていられるように → 笑顔でいられるように
2013/03/07 記述修正 忍さんに → そしたら忍さんから
2013/03/07 記述修正 こんな日までバイト入れて、彼氏とかいないの? → 「こんな日までバイト入れて、彼氏とかいないの?」
2013/03/07 記述修正 とか、普通に訊かれて → と普通に訊かれて
2013/03/07 記述分割 と普通に訊かれて → と普通に訊かれたんです!
2013/03/07 記述修正 って、ちょっと思って → って、ちょっと思ったけど
2013/03/07 記述削除 どうせ忍さんとおんなじですよ!、
2013/03/07 記述修正 って、むきになって思いっきり笑顔で答えたら → 目上の人なんだからと我慢して、笑顔を作って答えたら
2013/03/07 記述修正 そのひきつった笑顔 → なにそのひきつった顔
2013/03/07 記述修正 思いっきり馬鹿笑いされました。 → 思いっきり馬鹿笑いされました!
2013/03/07 記述削除 なんか、からかわれたみたいで、すごく悔しいけど、
2013/03/07 記述追加 この時ばかりは自制するより前に、
2013/03/07 記述追加 思わず普通に言い返してしまいましたね。
2013/03/07 記述追加 そうしたら忍さん、まだ少し笑いながら、
2013/03/07 記述追加 「はいはい、ゴメンゴメン」
2013/03/07 記述追加 なんて、すっごく軽い口調で謝っていて、
2013/03/07 記述追加 おかげでわたしの怒りはしばらく冷めませんでした。
2013/03/07 記述修正 姉妹ケンカっぽいかなぁって思って → 姉妹のケンカっぽいかなぁって思って
2013/03/07 記述修正 ちょっと楽しかったです → ちょっと楽しかったかも……
2013/03/07 記述修正 家に入ってご飯食べた後 → 家に入ってご飯を食べた後
2013/03/07 記述修正 中から → 中には
2013/03/07 記述修正 10センチくらいの小さいスプレーが入ってました → 小さいスプレーが入ってました
2013/03/07 記述修正 それと手紙が一通入っていて → 小包の一番下には手紙が入っていて
2013/03/07 記述修正 あんまり楽しくない → あんまり嬉しくない
2013/03/07 記述修正 意味が分からない手紙で → 意味が分からない内容で
2013/03/07 記述修正 なんなんだろ、と思いつつ → 何なんだろうと思いつつ
2013/03/07 記述修正 確認してみる事にしました → 確認してみることにしました
2013/03/07 記述修正 持ってみるとなんか重いです → 持ってみると妙に重いです
2013/03/07 記述修正 何だかよく分からなかったですが → 何だかよく分からなかったんですが
2013/03/07 記述結合 使い方を見て、分かりました。 → 使い方を見たら理解出来ました、
2013/03/07 記述修正 これを携帯してって書いてあったから → これらを携帯するように書いてあったから
2013/03/07 記述修正 スタンガンとか、特殊警棒は → スタンガンや特殊警棒は、とてもしっかりした作りをしていて
2013/03/07 記述修正 逆に真面目な気がしていて → 逆に真面目な気がして
2013/03/07 記述修正 今日から三が日まで正月休みで → 今日から3日まで正月休みで
2013/03/07 記述修正 バイトもお休みです → バイトもお休みになります
2013/03/07 記述修正 ま → まぁ
2013/03/07 記述追加 朝から、大掃除やおせちの準備をして、
2013/03/07 記述修正 ひととおりの年越しの支度も終わって → ひととおりの年越しの支度も終わり
2013/03/07 記述修正 母の帰りを待って、後は → 後は母の帰りを待って
2013/03/07 記述修正 かなちゃんは → ちなみにかなちゃんは
2013/03/07 記述修正 家族で海外旅行だそうです → 家族で海外旅行とのこと
2013/03/07 記述結合 メールが来ました。 → メールが来て、
2013/03/07 記述修正 おせち料理のお歳暮を贈ります → 『おせち料理のお歳暮を贈ります』
2013/03/07 記述修正 おせち料理を送ったから → おせち料理を送ったと
2013/03/07 記述修正 是非食べて下さい、と言うことでした → 言うことでした
2013/03/07 記述修正 太っちゃいそうな気がします。 → 太っちゃいそうな気がします……
2013/03/07 記述追加 おせちの準備は、これがあったから、
2013/03/07 記述追加 盛り付ける程度で、ほとんどせずに済みましたね。
2013/03/07 記述結合 がんばって読んでいます。 → がんばって読んでいて、
2013/03/07 記述修正 ほんとにダメなら → 「ほんとにダメなら
2013/03/07 記述修正 そんな心配すんじゃないって → そんな心配しなくていいから」って
2013/03/07 記述修正 今は完全に止まってしまっています → 今は完全に止まっています
2013/03/07 記述修正 手が出そうもないので → 出来そうもないので
2013/03/07 記述修正 これは → これはもう
2013/03/16 記述統一 かなちゃん → かな
2013/04/09 記述修正 宅急便 → 宅配便
12月20日 汐月さんに電話
この前、忍さんに話を聞いてもらって、決心しました、
なつめちゃんの為に、わたしがしてあげられることを、
出来るだけやってみようと。
まずは、なつめちゃんの体調の不安を少しでも助けたいから、
汐月さんに、なつめちゃんのもしもの時の対処を、
確認しておくことにします。
その為に、汐月さんからもらった名刺にある、
連絡先に電話しました。
連絡するのを今日にしたのは、
平日はなつめちゃんのお世話だろうから、
日曜なら仕事中ではないかな、と思って今日にしたけど、
電話してすぐに、日曜日は仕事用の連絡先の電話は出ないかも、
と気がついて、失敗したかなと思ったら、繋がってしまいました。
もうかけ直すつもりでいたわたしは、
予想外の展開に緊張してしまい、思うように声が出なくて、
多少声が上ずりつつ名前を伝えたら、
いつもの早口で、威圧される口調とは違った、
とても穏やかで聞き取りやすい、ちょっと低めの声で、
「あぁ、三崎さん?
焦らなくても大丈夫です、判ります。
棗お嬢様なら、今日は実家に戻られているから、
何かあれば、お嬢様の携帯に連絡されれば繋がりますが、
どうかされましたか?」
と、どうやらなつめちゃんに連絡したいと思われたようです。
なので、わたしはそれを否定して、汐月さんに、
話したいことがあって、その時間が欲しいことと、
なつめちゃんに何かあった時の、対処を教えて欲しいと、
お願いしました。
すると汐月さんは、今はちょっと手が離せないから、
1時間後に、こちらから折り返し連絡するとのことで、
わたしは自宅の電話番号を伝えて、一旦電話を切りました。
汐月さんからの連絡を待っている間、
とりとめもない説明になってはいけないので、
下校中に様子がおかしくなったことや、
学校での、同じクラスの生徒の話や、
何かに怯えているような様子や、
かなのメールの内容などの、
要点を書き出して、まとめておきました。
そうしているうちに、汐月さんから電話がかかってきたので、
わたしは早速、さっきまとめておいた、
なつめちゃんのことで、気になった出来事のうち、
駅前で様子が変わったことについて、出来るだけ忠実に伝えると、
汐月さんは、やはり落ち着いた声で、
時々相槌をうちながら、わたしの話を聞いていました。
そして、それらの説明が終わった後に、わたしは無理を承知で、
なつめちゃんの病気について、出来るだけ教えて欲しいと、
お願いしてみたんです。
汐月さんは、しばらく黙っていて、
多分、どう説明して断ろうかを考えているんだと、
思いながら待っていると、汐月さんはわたしに、
「逆に私から三崎さんに質問したいのですが、
三崎さんが把握している、棗お嬢様に関するお話は、
それで全てでしょうか?」
と、思わぬ質問をしてきたので、戸惑ってしまい、
すぐに答えられませんでした。
怯えていたことや、A組の生徒の話や、かなの話は、
まだ、なつめちゃんを差し置いて話す決心が、
ついていなかったんです。
でも、この時の汐月さんの言い方は、
まるで、全てを知っている上で、
わたしを試しているような、そんな気がしました。
それに、これまでの汐月さんの行動を思い出してみても、
ただの家政婦さんだとは、ちょっと思えないし、
わたしが思った通りなら、汐月さんはもしかしたら……
だとしたら、まずそれを確認したい、そう思って、
わたしは汐月さんに、答える前に1つだけ、
質問させて欲しいとお願いしてから、
本当は家政婦じゃなくて、精神科のお医者さんじゃないかって、
尋ねてみたんです。
汐月さんはこの質問に、どう答えて良いかを考えていたのか、
すぐには、返事を返してくれませんでした。
なので、黙って待っていると、
軽く、ため息をつくのが聞こえた後に、
「いきなりそう聞いてくるとは、予想外だったわ、
思ったより大胆な行動に出るのね、三崎さんは。
判りました、お答えします。
私は棗お嬢様の家政婦であり、
持病の自宅療養を補佐する看護師でもありますが、
より正確には彼女は私のクランケです。
本職の私の肩書きは、
聖アンナ医科大学附属病院精神神経科医長、
または、聖アンナ医科大学神経精神科学の客員准教授です。
もし信じられなければ、ネットで検索してもらえば判ります。
そこに載ってる顔写真はちょっと若いけどね。
私の本職は、プシヒョロギー、英語ではサイコロジスト、
ご指摘の通り精神科医です、これでいいかしら」
医科大学、医長、客員准教授……?
汐月さんは、色んな資格を持ってるって聞いていたけど、
お医者さんかもって思って、訊いてみたのですが、
まさかそんな偉い人とは思ってなくて、
とてもびっくりしました。
この後、改めて汐月さんから、他に知っていることがあれば、
全て話して欲しいと頼まれたので、わたしは、
なつめちゃんのことで気になっていることを、
全部話しました。
私が話し終えても、汐月さんは特に驚くこともなく、
話をする前と全然変わらない様子だったので、
もしかして汐月さんは、これまでのことを、
全部判っていたんじゃないかって、
疑ってしまうくらいでしたね……
説明の後は、最初にお願いした件の話になったんですが、
「最初に、三崎さんが私に要求していた、
棗さんの病状の件ですが、
これは私の口から話す事は出来ません。
理由は、貴方が棗さんの親族や保護者ではないからです。
本人からの許可を取り、その証明を私に提示して頂ければ、
説明する事は可能になります」
と、やっぱり他人のわたしには、教えてもらえませんでした。
……かと思ったら、話は続いて、
「棗さんの具体的な病名や症状については、
お話し出来ませんが、一般的な精神疾患の初期症状に対する、
応急処置の方法については、教える事は可能です。
これは、精神医学の講義内容の1つですから、
是非、勉強して十分に理解して下さい。
資料はご自宅に郵送で宜しいですか?」
と言うことで、資料を郵送してもらえることになりました!
わたしがお礼を伝えた後、汐月さんは、
電話の最後に改まった口調になって、
「三崎さん、今の棗さんにとって、
貴方の存在は、非常に大きなものになっています。
貴方は、棗さんのご両親よりも、
私達医師よりも、重要な存在なのです。
私達から棗さんの件に関して、貴方に対して、
何かを強要する権限はないので、
貴方の好意に頼るしかないのですが、
棗さんの回復を願うのであれば、
三崎さんが出来る範囲で構わないので、
今は彼女の心の拠り所として、
彼女の力になってあげて下さい。
これは主治医としての、私からのお願いです。
どうか宜しくお願いします」
と、資料をもらえただけではなく、汐月さんの方から、
なつめちゃんのことを、お願いされてしまいした!
・ ・ ・
いやぁ、思い切って、電話してみてよかった……
これでひとつ、なつめちゃんに対する不安が、
解決出来そうです!
12月21日 汐月さんからの資料
昨日汐月さんにお願いした、資料がもう早速届いたんですけど、
てっきり封筒だと思っていたら、結構重い小包でした……
私のイメージでは、数枚の紙に箇条書きで、
こんな時はこうする、みたいなものだと思っていたから、
一体何が入っているんだろうと思い、
さっそく開けてみると、その小包の中身は、
精神医学の教科書が3冊と、メモが1枚入ってました。
『やさしい精神医学』
『現代臨床精神医学』
『精神医学辞典 縮刷版』
メモには、
「 三崎さんへ
先日、お約束した資料を送ります。
目を通して欲しい箇所を、分かる様にしておいたので、
そこだけ、理解して頂くだけで構いません。
まずは『やさしい精神医学』から読んで、
次に『現代臨床精神医学』を読んで下さい。
『精神医学辞典 縮刷版』は、辞書なので、
分からない用語を調べる際に使って下さい。
この資料は、差し上げますので、
その代わりしっかり活用して下さい。
汐月 」
と、きれいな線の細い字で、書いてありました。
これ、きっとお医者さんになる大学生の人とかが、
勉強する為の本にしか見えません。
結構ページ数もあって、かなり分厚いです。
ここでわたしは、汐月さんの、
電話での言葉を思い出しました、
『よく勉強して理解して下さい』って言葉を。
こんな難しい本を、高校生のわたしが理解出来るって、
思われたんでしょうか……
でも読まないと、なつめちゃんのもしもの時に困るから、
気合を入れて手にとって開くと、
本の上のところに、ちょっとだけ付箋紙の端が出ていて、
付箋紙のページを開くと、マーカーが引いてある場所があって、
読む必要のあるところが、分かるようになっていました。
……と言っても、付箋紙はたくさん貼ってあって、
マーキングされてる所も、意味の分からない言葉が多くて、
やっぱり大変そうです。
でも、ここまでしてもらったんだから、
何とかがんばって理解して、期待に応えないといけません!
今日から、勉強開始します!
12月22日 終業式
今日は今年最後の登校日、つまり終業式です。
でも昨日まで、連日昼間はバイト、夜は例の勉強で、
あんまり寝てなくてちょっとフラフラしてますが、
今日は、なつめちゃんへの恩返しだから、
気合を入れていきます!
その前にまず、個人的には恒例イベントの、
校長先生のタイムトライアルです。
前回はマイクの不具合で、惜しくも記録ならずでしたが、
今回はどうだろうかと、ドキドキしながら待っていました。
そしたらなんと、痛恨の表彰式イベントが割り込んで、
大幅にタイムロスしてしまい、結果は6分5秒でした。
校長先生には、来年こそは記録更新を狙って、
がんばってもらいたいですね……
こうしてイベントも終わって、教室に戻った後は、
通知表の配布があったんですけど、
今回は一学期と違って、通知表も待ち遠しかったです。
結果は、テストの結果のおかげで、
ほとんどの教科が上がってました!
こんなに良い成績の通知表は、生まれて初めてです!
すぐには信じられなくて、
思わず、何回も見返しちゃいました。
これも全部、なつめちゃんのおかげです、
どれだけ感謝しても、足りないくらいです!
・ ・ ・
この後は、前に約束していた通り、
いつもの待ち合わせ場所で、なつめちゃんと合流してから、
なつめちゃんの家に遊びに行きました。
会ってすぐ、なつめちゃんに成績のことを話すと、
まるで自分のことのように、嬉しそうにして、
「それは、みなががんばった結果だよ」
と、言ってくれました。
この日のなつめちゃんは、いつもより調子が良さそうで、
帰りの道中でも、それほど周りのことを、
気にしていない感じでした。
やっばり、明日から学校がお休みだからかなぁと思うと、
ちょっと複雑です……
・ ・ ・
家に着いた後のなつめちゃんは、
やっぱり、一番安心出来る場所だろうけど、
不安げな感じは、完全になくなって、
2人でいる時の、比較的元気な、
なつめちゃんになりました。
玄関で出迎えに出てきた汐月さんと、目が合いましたが、
電話の時の落ち着いた感じは、またなくなっていて、
すっかり苦手な人に戻ってましたね。
あれ? 今日の汐月さん、
何かが違っていたような気がしたけど、
何が違うんだろう、良く分からないなぁ……
うーん、ま、いっか。
今日1日は、勉強を教えてもらったお礼として、
なつめちゃんの望むように過ごそうと、
わたしは決めていました。
時計を見るとまだ11時で、時間はたっぷりとあります。
わたしはなつめちゃんに、何がしたいかを尋ねると、
なつめちゃんはしばらく考えてから、
「今日は天気もいいし、ドライブに行かない?
制服だと、汚れたりしたら大変だから、
私の服に着替えていくのはどう?」
とのこと。
ドライブに行くのは、全然いいんだけど、
明らかに、この制服よりも高そうな、
なつめちゃんの持っている服に、着替えるってのが、
とっても、引っかかりましたね。
平凡な庶民のわたしが似合う訳がないですし、
それにサイズだって……
でも、なつめちゃんはわたしを着替えさせたいらしく、
期待のこもった視線を、わたしに向けていました。
それを見て、きっとわたしは着せ替え人形とか、
小さい子に可愛い服着せてみたりする、
そういう対象にされているんだって悟りました。
ここでわたしは、自分の中で決めた宣言を思い出して、
覚悟を決めて頷くと、それを見たなつめちゃんは、
さっそく汐月さんに、これから海に行くことを伝えて、
準備をお願いした後、
わたしは今まで入ったことがない部屋へと、
案内されたんです。
その部屋は、ウォークインクローゼットと言うよりも、
まるで衣裳部屋でしたね。
10畳以上はある部屋の壁全面に、
ずらっと衣装ダンスが並んでいて、
部屋の中央には、大きな全身鏡があり、
その周囲には、パイプハンガーが、
お店みたいに何列も置かれていて、
そのほとんどが、服でいっぱいです。
見えるのだけでも、何着くらいあるのか、
さっぱり分かりません。
かなの時も、おんなじようなことがあったけど、
これに比べたら、まだあっちの方が普通だったなぁ……
そんなことを考えていると、なつめちゃんはさっそく、
いくつかのワンピースとカーディガンを取ってきて、
「この中で気に入ったの、ある?」
と、尋ねてきました。
選んでもらった服は、どれもかわいくて高そうでしたが、
その中でも目を引いたのは、淡い水色をした、
シフォンレースワンピースでした。
デザインは一番地味で、大人しめだったけど、
その色が気に入ったので、わたしはそれを指差しました。
合わせる白のカーディガンは、こっちもシフォンのレースで、
ちょっと下のワンピースが透けて見える感じで、
服だけを合わせてみると、とてもかわいいです。
……問題なのは、これをわたしが着ると言うことです。
なつめちゃんは、
「きっと似合うと思う」
と言ってくれましたが、それはまちがいなく、
慰めでありお世辞です。
でも仕方ないので、着替えてみました……
やっぱり、めちゃめちゃかわいいです、服は。
完璧に中身が服に、置いてかれているって感じですね……
鏡に映った自分を見ると、自分で言うのもなんですが、
なんか、合成写真みたいです。
見れば見るほど、そう思ってしまうので、
もう、気にするのはやめることにします。
服はこれで決まり、次は靴なんですけど、
履いて来たのは学校指定の、こげ茶のローファーで、
この格好には、合わないんじゃないかと思っていたら、
なんと、なつめちゃんとわたしは、
足のサイズがほとんど一緒で、
用意してもらったパンプスを、いくつか履いてると、
その中の1つが、サイズがぴったり合って、
それは問題なく履けました。
でもこの格好で外は寒いんじゃないかと思い、それを尋ねると、
なつめちゃんは、ファー付きのカシミヤっぽい、
ハーフコートを持ってきました。
コートを羽織った姿を見た時、正直わたしからするとこの格好、
どこのパーティーに行くんだろう、と思ってしまいます。
なつめちゃんの方も、いつも通りのワンピースに、
コート姿へと着替えてから、2人で玄関へ向かうと、
そこには汐月さんが待っていました。
どうやら、汐月さんも一緒みたいです。
汐月さん、表情変わらないからわかんないけど、
わたしの格好見て、どう思ったのかなぁ、
冷静な第三者の意見を、すごく聞いてみたい……
マンションのエントランスを出ると、
前に家に送ってもらった時と、同じように、
青い車が止まっていて、その前に怖い運転手さんが、
待っていました。
「そういえば、みなに紹介してなかったね。
こちらは、運転手の榊」
と、なつめちゃんの紹介で、榊さんは頭を下げました。
榊さん、やっぱり大きくて怖いなぁ……
なんとなく、ヒョウちゃんが持つオーラと、
榊さんの雰囲気は、似ている気がする。
そんな榊さんもやはり、わたしの格好を見ても、
完全な無表情でした。
あぁ、どう見えるのか、気になって仕方がない……
そう思いつつ、わたしも榊さんへと挨拶してから、
車に乗り込んで、出発しました。
車の席も前と同じで、わたしとなつめちゃんが後ろで、
汐月さんが助手席です。
わたしは、なつめちゃんに、
まだ聞いていなかった行き先を尋ねると、
「海を見に行きたいなって、思ったんだけど、どう?」
とのことなので、海に決定です!
・ ・ ・
しばらく走っていると、そろそろお昼近くになったので、
昼ごはんはどうするのかと思い、なつめちゃんに聞いたら、
「お昼は、お弁当を届けてもらうの、
目的地についてから、食べるから」
と言った後に、付け加えて、
「私、アレルギーが色々あって、
普通のお店の食べ物は、ほとんど食べられないから、
普段、私が食べる食事は、食事の宅配サービスで届いたものを、
汐月さんが、用意してくれてるの。
今日のお弁当も、そこに注文してるから、
悪いけど、到着するまで待ってね」
と、説明されました。
あの完璧なご飯は、お店のだったと分かり、
どうりでよく出来ていた訳だと納得しました。
それにしてもその食事の宅配サービス、
遠くの海にまで出張して来ると言うことでしょうか。
そう言うのって、わたしの感覚だと、
そんなに広くない地域限定ってイメージなんですけど、
そこのは随分広範囲まで、カバーしているんだなぁ……
・ ・ ・
さらに1時間ほど走ると、海沿いの道に出ました。
久しぶりに見た海は、とても青くてきれいでしたね。
冬の空も青く澄み切っていて、とても高く見えるし、
細くて長い真っ白なすじ雲と、飛行機雲が交差して、
空に大きなバツを描いていました。
あぁ、カメラ持ってくれば良かったなぁ……
そんなきれいな空と海を眺めながら、
30分くらい走って、目的地へとやってきました。
その周辺は、別荘が立ち並ぶ場所で、
その中でもかなり大きい家の脇に、車は止まりました。
家の前は、海岸が広がっていて、すぐ海です。
海へ行くって言うのは、海辺にある別荘に遊びに行く、
という意味だったのかと、ここで理解しました。
既にデリバリーらしい車も着いていて、汐月さんは、
「昼食の支度が出来たらお呼びします」
と言い残して、すぐにデリバリーの人のところへ向かい、
私となつめちゃんは、コートを羽織って、
海岸へと向かいました。
途中で、なつめちゃんの薬のポーチが気になり、
なつめちゃんに確認すると、
コートのポケットを探っていたけど、見つからなくて、
「あ、車のバッグの中だ」
と言って、取りに戻っていきました。
今日のなつめちゃん、やっぱりかなり浮かれてます……
近くに汐月さんがいるから、そんなに不安はないけど、
それでも、何かあったら大変ですから、
一応わたしも気をつけとかなくちゃなぁ。
今は夏ではないから、周囲を見渡しても、遠くの方に、
犬の散歩してる人とかしかいなくて、
まるで、プライベートビーチのようでした。
これだけ周囲に人がいなければ、
なつめちゃんも、大丈夫でしょう。
わたしたちは、2人してすっごく冷たい海で、
夏っぽく、はしゃいでいました。
なつめちゃんのそういう姿は、絵になるんですが、
わたしとしては、この近くに自分が映るような、
鏡とか窓とかなくて、本当によかったです。
もし今の自分の姿が見えてしまったら、
きっと我に返ってしまいますから……
・ ・ ・
しばらくすると、別荘の方から、
榊さんが歩いて来るのが見えました。
この人が黙々と近づいてくると、
ちょっと、狙われているような、
命の危険を感じます。
榊さんに気付いたなつめちゃんは、何も言われる前に、
「食事の準備が出来たの?
そう、判った」
と答えると、なつめちゃんはわたしの手を引いて、
別荘へと向かって戻り始めて、その後を榊さんが、
無言でついて来ていました。
なつめちゃん、榊さんに対してだけは、声が大きいし、
それに言葉遣いも、違うような気がするけど、
気のせいかなぁ……
・ ・ ・
3人で別荘まで戻って来ると、
テラスに備え付けられてるテーブルの上には、
色んなサンドイッチと、カットされたフルーツが並んでいました。
この後すぐに昼食となったのですが、
これは、わたしとなつめちゃんの分だけで、
汐月さんと榊さんは、別で昼食を食べるそうで、
なつめちゃんは、特に気にする様子もなく、
黙々と食べていましたが、わたしは何か、
申し訳ないような気がしました。
・ ・ ・
食事が終わって、なつめちゃんが昼食後の薬を飲んでから、
もう一度海岸へと向かい、今度は海辺を話しながら散歩しました。
かなの時のように、何かして遊ぶという考えは、
体の弱いなつめちゃんには、ない発想のようです。
少し歩いた後、なつめちゃんが、
「ちょっと疲れたから座らない?」
と言ってきたので、海の方を向いて座ったのですが、
なつめちゃんは、海ではなくてわたしの方を、
ずっと見つめていました。
わたしは、何か顔についているのかと思い、
なつめちゃんに、それを尋ねたのですが、
なつめちゃんからの応えは、
わたしの質問の返事ではありませんでした……
「こうやって、みなと2人で遊びに来れるなんて、
まるで、夢みたい。
今こうしているのも、まだ信じられないくらい。
みな、本当に、付き合ってくれてありがとう。
私、今日の事は、一生忘れない。
本当に、嬉しいよ、みな……」
なつめちゃんは、目に涙を浮かべながら、そう言って、
溢れそうな涙を、指で拭っていました。
わたしは、その言葉の真意が読みきれなくて、
どう答えたら良いのか判りませんでした。
こんな時は、変にこっちが驚いたり動揺したりせずに、
相手を安心させる言動をかけてあげる、と、
汐月さんにもらった本に書いてあったので、
わたしは、出来るだけ前向きに受け取れる感じに、
答えておきました。
そんなわたしの言葉を聞くと、強く頷いて、
「うん、本当に、ありがとう」
と言って、私の手を握ったまま、
俯いたと思ったら、静かに泣いていました。
わたしは、そんななつめちゃんに寄り添って、
海を見つめながら、考えていました、
なつめちゃんの、別れの言葉みたいなのは、
どういう意味なんだろうって。
あんな言葉は、間違ったり、何となく言う内容じゃない。
なつめちゃんには、何か思いつめてしまう理由が、
あるんだろうけど、それは持病のことなのか、
学校でのことなのか、それら以外のことなのか、
考えてみたけど、やっぱり分かりませんでした。
なつめちゃんの心に引っかかっている、
そうしたものを全部、打ち明けてもらえないと、
ここから進展出来ない、そんな気がします……
・ ・ ・
不意に右肩に何かが辺り、物思いから現実に引き戻されたら、
どうやらなつめちゃんは眠ってしまったらしくて、
わたしの肩に、寄り掛かっていました。
その時、両膝を抱くようにしていた腕が落ちたせいで、
閉じて座っていた膝が開いてしまい、
海からの風を受けて、スカートがめくれかけていたんです。
誰かから見える訳じゃないけど、直そうと思って、
スカートの裾を掴もうと左手を出した時、
強い風が吹いて、スカートは膝の上までめくれて、
わたしは初めてなつめちゃんの、膝から上の足を見ました。
この時わたしは、今まで全然知らなかった、
なつめちゃんの秘密を知ってしまいました……
見えたのは、右足の内腿だったのですが、
10センチくらいの長さの、足に沿って伸びている、
紫色に変色している大きな手術の傷痕が、
内腿の上の方にあったんです。
その傷痕は、とても痛々しいものでしたが、
最近出来たものではなく、
ずっと前の、古い傷のように見えるのに、
でも完治しているようには、全く見えなくて、
こんなにひどいのに、包帯を巻いてないのが、
不思議なくらいです。
よく見ると、その大きな傷の他にも、
丸い紫色のあざみたいな痕も、いくつもありました。
なつめちゃんは、こんな直っていないような、
傷のある足で、普通に歩いていたのかと思うと、
とても、これ以上は見ていられませんでした……
改めて今までのなつめちゃんの格好を思い返すと、
冬服の時は、必ずブレザーのボタンも留めてて、
黒のタイツを履いていたし、
シャツの第1ボタンまできっちり留めてました。
夏服でも、シャツとタイツは同じで、
常に学校指定のカーディガンや、セーターを羽織っていました。
その格好のことを聞いた時は、
寒がりだからって答えていたけど、本当の理由は、
体の傷を隠す為だったのかも知れない。
だとしたら、もっと他にも……
なつめちゃんは、まだ起きていなかったので、
起こさないように、慎重にめくれたスカートの裾を直してから、
開いた膝を戻すように軽くゆすって、起こしました。
けっこう時間も経っていたので、そろそろ戻ろうかと、
なつめちゃんの手をとって、立たせようとしたけど、
なつめちゃんは首を振って、
「もう少しだけ、ここにいたい」
って言ってきたんです。
この様子だと、どうやらあの傷が見えたことには、
気付かれてなさそうなので、とりあえずは安心して、
なつめちゃんの言うとおりに、また砂浜に座りました。
・ ・ ・
太陽はだんだん傾いていき、
空は真っ青から、茜色へと変っていきます。
なつめちゃんは、
「海に沈む夕日を見てから戻りたい」
とお願いされたけど、それだと真っ暗になってしまい危ないから、
別荘の前で沈むところを見るってことにして、
わたしたちは、別荘の近くまで戻ってきました。
夕陽を見つめるなつめちゃんは、
とても寂しそうで、その表情を見てしまうと、
最初に言った、あの言葉の真意が、
すごく気になって仕方がありません。
少しでもそんな表情を、晴らせないかと、
わたしはなつめちゃんの手をとって、繋いでみたら、
それに気付いたなつめちゃんから、寂しそうな表情は消えて、
わたしの方を見て笑ってくれたので、わたしの気持ちは、
ちょっとは伝わったんじゃないかって、思います。
なつめちゃんの足の傷のことは、
なつめちゃんが、自分から教えてくれるまでは、
本人に悟られちゃいけない。
もしこれがクラスの人から、何かされた痕だったら、
汐月さんに、伝えておかなくちゃいけないし、
そうではないとしても、
この放っとかれている傷は、どういうことなのか、
この理由を汐月さんに訊いてみよう……
・ ・ ・
夕陽も完全に沈んで、時間も4時半を過ぎたので、
そろそろ、マンションに戻ることになりました。
帰り道は、行きのルートと違っていて、
夜景がきれいな道を通ってきました。
自然の海や青空も、とてもきれいだったけど、
人工的な無数の光の夜景も、すごくきれいでしたね。
声を掛けようとわたしが目をむけると、
なつめちゃんはまた眠っていて、車がカーブした時に、
わたしの方に倒れてきたけど、起きる気配がなかったので、
頭を膝の上に乗せて、コートをかけて寝かせておきました。
その時の、なつめちゃんの表情は、
とても幸せそうに見えたから、起こせなかったんです。
その様子を、助手席から汐月さんは見ていたようで、
わたしが顔を上げた時に目が合いました。
汐月さんはその時、何も言わなかったけど、
だけど、ちょっとだけ口元が笑っていたような、
そんな風に見えました……
・ ・ ・
マンションには7時前に戻ってきました。
1階のエントランス前に乗り付けて、
なつめちゃんをそっと起こすと、
自分が眠っていたことに、とても驚いていましたね。
何か、夢を見ていたみたいだけど、
その内容は最後まで教えてくれませんでしたが、
良い夢を見たみたいで、なつめちゃんはとても嬉しそうでした。
戻った後は、夕食を準備してもらっている間に、
シャワーを浴びて、洋服を着替えることになり、
わたしは、自分の制服に戻りました。
やっぱり、これが落ち着きます。
まさに、等身大の自分に戻った気分です。
着替え終わった後は、なつめちゃんがシャワーを浴びている間、
リビングで待つように言われていたので、待っていました。
この間に足の傷のことを、汐月さんに聞いてみようと思い、
わたしは、キッチンにいた汐月さんに声を掛けて、
まず、本のお礼を手短に伝えてから、
なつめちゃんの足の傷について、尋ねたんです。
汐月さんは、配膳の作業の手を止めると、
無表情のままに、わたしを睨むように見つめながら、
「今はあまり時間がないので、手短に説明します。
棗さんの体の傷については、
毎日の視診と触診で把握しています。
貴方が見た傷は少なくとも、
他者からの暴力によって出来たものではないので、
その点については心配は不要です。
これ以上は本人の了承がなければ説明致しかねます。
これで納得して頂けますか?」
と、電話の時とは違って、苦手なパターンの口調で、
まくし立てるような説明を受けてしまい、
ちょっと、頭痛とめまいを感じましたが、
なんとか耐えて、お礼を言ってすぐ退散しました。
あぁ、これ、たしか本に載ってたなぁ、
過度の緊張から来る精神的ストレスに因る身体症状、
だったっけ、はぁ……
わたしはリビングに戻って、
一気に溜まった、緊張の疲れを感じて、
ぐったりしていたところに、
なつめちゃんが、別の服に着替えてきました。
なつめちゃんは、ぐたっとしていたわたしを見て、
「みな、そんなに疲れちゃったの?
もしかして、私がずっと、膝の上で眠っていたせい?」
と動揺させてしまい、そうじゃないって説明するのが、
ちょっと大変でしたね。
・ ・ ・
この後ちょっとしたら、夕食の準備が整い、
完璧な構成の夕食を、2人で食べました。
わたしにはとても美味しいのですが、
やっぱりなつめちゃんは、相変わらず淡々とした様子です……
もしかして、これ、同じメニューに見えるけど、
味付けとか、違うんじゃないかと思って、
ちょっとだけ、なつめちゃんのを食べさせてもらうと、
食感とかは同じなんだけど、味がかなり薄くて、
まるで病院食みたいでした。
どうして分かるのかって言うと、昔に父が入院していた頃、
父の食事を食べたことがあって、
味がなくて美味しくなかった思い出があるんです。
それを今、思い出しました。
なつめちゃんは、味見したわたしに、
特に感想を聞くこともなくて、
ちょっと微笑んでから、黙々と食べ続けていました。
わたしはさりげなく気分を尋ねると、
それに対してなつめちゃんは、
「今日は、みなが一緒だから、楽しいよ。
いつもより美味しい気もするし」
と、また笑顔で答えるんだけど、わたしには、
それって何だか違うような気がするんだけどなぁ……
食事って言うのはもっと、楽しいものだと思うんです。
ただの、栄養分を摂取する行為ではないんです、
わたしはそう信じています。
なつめちゃんにも、かなの時みたいに、ご飯を楽しいと、
思ってくれるように出来ないかなぁ……
新たな課題が増えてしまいました。
・ ・ ・
次の日のなつめちゃんの予定は、
朝から実家に帰るとのことだったので、
食事が終わった後、車で送るって言われたけど、
まだ電車もある時間だからと断って、電車で帰ってきました。
なつめちゃんは別れ際、ちょっと寂しそうにしてましたが、
「すごく楽しかった」
と言っていたし、なによりも、
「また一緒に遊びに行こうね」
って言ってくれたのは、あの海岸での言葉を、
打ち消せたんじゃないかと思えて、とても嬉しかったです。
それともう1つ、電車の中で思い出したのが、
汐月さんを見て思った違和感ですが、それはメガネでした!
前は、金縁のメガネだったけど、
今日は黒縁の四角い横長のメガネだったんです!
これで、モヤモヤしていたのが、すっきりしました。
・ ・ ・
次に、なつめちゃんと会うのは、
年が明けて、三学期に入ってからです。
それまでに、汐月さんからもらった本を読破して、
少しでも、なつめちゃんが良くなるように、
なつめちゃんが、笑顔でいられるように、
わたしなりに、がんばっていきます!
12月25日 かなからのクリスマスプレゼント
今日はクリスマスで、昨日はイブでしたが、
わたしには、なんの関係もなくて、
どっちも、終日バイトしてました。
そしたら忍さんから、
「こんな日までバイト入れて、彼氏とかいないの?」
と普通に訊かれたんです!
わたしに彼氏なんていないの知ってるくせに!
そういう忍さんだって、昨日も今日もお店出てたくせに!
って、ちょっと思ったけど、
目上の人なんだからと我慢して、笑顔を作って答えたら、
「なにそのひきつった顔、面白いよ!
あっははははははははははははははははははは!」
って、店に響き渡るくらい、思いっきり馬鹿笑いされました!
この時ばかりは自制するより前に、
思わず普通に言い返してしまいましたね。
そうしたら忍さん、まだ少し笑いながら、
「はいはい、ゴメンゴメン」
なんて、すっごく軽い口調で謝っていて、
おかげでわたしの怒りはしばらく冷めませんでした。
でもこういうのって、姉妹のケンカっぽいかなぁって思って、
ちょっと楽しかったかも……
・ ・ ・
バイトが終わって家に帰ると、
ちょうど宅配便の人が、うちの前に立っていました。
それはわたし宛の小包で、差出人はかなでした。
家に入ってご飯を食べた後、小包を開けてみると
中にはそれぞれ個別の白い箱に入った、
折畳み傘と、ライトと、
10センチくらいのぬいぐるみと、
小さいスプレーが入ってました。
小包の一番下には手紙が入っていて、その手紙には、
「 メリークリスマス、みなも!
きっとバイトに明け暮れている、寂しいみなもへ、
かなサンタから、あんまり嬉しくない、
プレゼントを送ります!
このプレゼントの出番がないことを、
かなサンタは心から願っています!
使い方は、説明書を読んでね。
P.S. この道具、ちゃんと持つんだよ!
かなサンタより 」
と、書いてありました。
いまいち、意味が分からない内容で、
何なんだろうと思いつつ、
わざわざ送ってもらったんだから、
中の物を1つずつ、確認してみることにしました。
まずは、折畳み傘です。
色は水色でいいなぁと思い、持ってみると妙に重いです。
変だなと思って、箱の中の説明書を見ると、
『折畳み傘風特殊警棒』と、書いてありました。
特殊警棒って、何だかよく分からなかったんですが、
使い方を見たら理解出来ました、
よく銀行とかATMで警備の人が、腰につけてる棒だって。
でもなんで、わたしに?
とりあえずそれは置いといて、残りのものも確認すると、
ライトは、小型のスタンガンで、
ぬいぐるみは、防犯ブザーで、
スプレーは、催涙スプレーでした。
これ全部、防犯グッズです……
かなサンタの手紙には、
これらを携帯するように書いてあったから、
わたしは、誰かに襲われる可能性があるって言うこと?
スタンガンや特殊警棒は、
とてもしっかりした作りをしていて、
そんなに安い物には見えません。
かなの性格だと、わたしを騙そうとしているのなら、
手紙の文章は、もっと真面目に書くと思うから、
茶化した文章なのは、逆に真面目な気がして、
冗談で送ってきたわけじゃ、なさそうです。
こんなのが必要になる相手に、
わたしは目を付けられるような、覚えはないけど、
かなの言葉を信じて、携帯しておくことにしました。
でも、こんなの、ちゃんと使えるかなぁ……
12月31日 大晦日
今年もいよいよ最終日、大晦日です。
航海堂も、今日から3日まで正月休みで、
バイトもお休みになります。
母の仕事は今日までなので、
お正月の準備は、わたし1人でやってました。
まぁ、中学時代もそうだったから、
特に大変とも、思いませんけどね。
朝から、大掃除やおせちの準備をして、
ひととおりの年越しの支度も終わり、
後は母の帰りを待って、年越しそばを食べるだけです。
ちなみにかなは、冬休みの10日間、
家族で海外旅行とのこと。
と言っても、家族全員がそろう日はなくて、
予定が合う日程だけ、それぞれが現地で合流して、
現地で別れるのだそうで、
なんかすごい旅行だなぁと思いました。
なつめちゃんからは、
冬休みに入ってからすぐメールが来て、
実家では、家族と過ごしているようで、
元気にしているみたいです。
さらにそのメールには、
『おせち料理のお歳暮を贈ります』
って書いてあって、
よく分からないから、電話して聞いてみたら、
なつめちゃんの家で、いつも注文している、
お取り寄せの、おせち料理を送ったと言うことでした。
で、届いたのが、三段重ねの重箱に入った、
イセエビとかアワビとか入ってる、豪華なおせちで、
ありがたいんだけど、かなの時の二の舞で、
お正月、太っちゃいそうな気がします……
おせちの準備は、これがあったから、
盛り付ける程度で、ほとんどせずに済みましたね。
汐月さんからもらった本も、がんばって読んでいて、
たまに、どうしても分からないところは、
忍さんに、時間がある時に教えてもらってます。
こんなに甘えちゃっていいのかなぁと思って、
忍さんに聞いたら、
「ほんとにダメなら、ダメって言うから、
そんな心配しなくていいから」
って、叱られました。
なので、お言葉に甘えさせてもらっています。
ヒョウちゃんの様子も、
バイトが休みの日に、河原へ行った時に見たら、
いつも通り悠然と歩いていて、元気みたいです。
いつになったら、触らせてくれるかなぁ……
描きかけの水彩画は、今は完全に止まっています。
なつめちゃんのための、勉強が終わるまでは、
出来そうもないので、
これはもう、来年の目標にしようと思います。
今年も色々あったけど、来年は、
もっといいことがいっぱいありますように、
とくになつめちゃんの色々な悩みが、早く解消出来ますように、
と初詣でお願いするつもりです。
それでは、良いお年を!




