未来への航路と、原点(オリジン)の探知
古文書研究室は、起動した**『クロノス・コア』の黄金色のバリアと、三人の揺るぎない絆によって、時間軸の堅固な要塞となっていた。律の錨としての役割が確立したことで、彼らはオービターの心理的な攻撃**を完全に退けることに成功した。
しかし、刹那の表情は晴れない。
「いつまでも**『守って、修復する』だけじゃ、戦いは終わらない。奴らは、何度でも『時間軸の傷』**を作り続ける」
「分かっているわ、刹那」ひまりは、PCの画面に映し出されたコアの波動グラフを見つめていた。「オービターを完全に無力化するには、彼らが**『時間軸の攻撃』を開始する『原点』**を叩くしかない」
オービターの目的は、刹那の存在を消すこと。そのために、彼らは未来から様々な時間軸へ攻撃を仕掛けていた。
「コアの力で、奴らの本拠地を突き止めることはできないのか?」
「試しているわ。このコアは**『時間軸の修復装置』**。だから、世界に存在する『時間の傷跡』から発せられる微細な波紋を、自動的にキャッチしている」
ひまりは、PCの画面を操作し、世界中に散らばる『時間の傷跡』を、光の点として立体的に表示した。それは、まるで夜空の星座のようだった。
「見て、律くん」
律が時間センサーの瞳で画面を見ると、無数の光の点が、ある一点へと収束しているのが見えた。
「これは……全ての時間の歪みが、**一つの『線』**に繋がっている?」律が驚愕に声を上げた。
「そうよ。この**『時間の攻撃線』を逆行すれば、彼らが攻撃を仕掛ける、未来の『発射台』、つまりオービターの本拠地**へ辿り着けるはずよ」
未来の座標の特定
ひまりは、コアの修復エネルギーを、探知モードへと切り替えた。
黄金色の光が、研究室全体を満たし、コアのエネルギーが**『時間の攻撃線』**を辿り始めた。
「解析開始! オービターの本拠地が、どの時間軸に、どの座標に存在するのかを特定する!」
PCの画面に、古代語と未来の数式が混ざった、複雑なコードが表示され始めた。
**『聴取者』や『封鎖者』たちが、未来から攻撃を仕掛けるために使用する『時間軸の座標コード』**だ。
「このコードの**『時』**を示す部分……読み取れたわ!」ひまりが叫んだ。
彼女は、紀元前のクレタ語で記された、『時の哲学書』と未来の座標コードを突き合わせた。
「未来は、私たちの『今』から、約八十年後。オービターは、**『人類史上、最も大きな時間の傷跡』**が残った時代に、自分たちの本拠地を隠している」
律は、八十年後の世界を想像し、息を呑んだ。
「八十年後……未来の東京か!?」
「場所の特定はまだ難しい。しかし、**『時間流の乱れ』**から、彼らの本拠地は、**未来の『超巨大な構造物』**の中にあると推測できる。おそらく、時間跳躍者を監視・管理するための施設よ」
修復者の最終決断
刹那は、螺旋の懐中時計をしっかりと握りしめた。彼の修復モードにあるコアは、攻撃のために設計されたものではない。しかし、このまま放置すれば、未来の破壊は止まらない。
「コアの力で、八十年後の未来に**『ジャンプ』**できるか?」
「可能よ。しかし、修復モードのコアで未来へ跳ぶことは、非常に危険。コアの目的は**『時間を安定させること』。不安定な『未来の戦場』**に跳べば、コアが暴走し、修復どころか、未来の時間軸そのものを破壊しかねない」
「俺が、コアの暴走をマイクロ・シフトで制御する」刹那は、揺るぎない眼差しで言った。「俺が**『修復者』として、未来のオービターの本拠地**へ乗り込み、奴らの『時間の攻撃線』を、根元から断ち切る」
律が、刹那の前に立ち塞がった。
「待てよ、刹那! 今度は、一人で行くなんて言わないだろうな?」
「律、お前は**『アンカー』だ。もし俺が、未来の戦場で時間軸の迷子**になったら、誰が俺を『今』に引き戻す?」
刹那は、律の肩に手を置いた。
「お前は、コアのバリアの中で、俺たちの『現在』を守ってくれ。お前とひまりが無事で、俺が帰る場所が**『今』にあること。それが、俺の未来での戦いの『最大の動力源』**だ」
律は、唇を噛み締めた。刹那の決意は固い。彼は、友を信じ、託された『アンカー』の役割を全うするしかない。
ひまりは、刹那に古代の導体を手渡した。
「これを左手首に装着して。コアの力が暴走しそうになったら、私がここから**『修復の螺旋』を送り、あなたの魂の安定**を支援する。八十年後の座標コードは、私の頭に入っているわ。必ず、**コアの力で『修復の螺旋』**を送り届ける」
刹那は、二人の友の覚悟を胸に、螺旋の懐中時計を深く見つめた。
「未来を変えるんじゃない。傷ついた未来を、**『修復』**するんだ」
修復者、時永 刹那の、時間軸の原点を巡る、最後の跳躍が、今、始まろうとしていた。




