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また目をつむることにした。
休み時間。
「結局いつも通りじゃねえかよ」
「えへへへへ」
サツキは照れ笑いをする。
「ふ、しょうがないな、この大天才が宿題を教えてやろうか」
「自力でやるからいいや」
「いいのかよ!」
「宿題やるの楽しいし、龍ちゃんには頼りませーん」
「はいはい、そうですか、泣きついてきても知らねえぞ」
「泣きつきません」
放課後。
「終わんないよおおお」
サツキは半べそをかきながら宿題をやっていた。
「ほれ、見たことか」
「がんばれー、あ、そこ間違ってる」
と杏奈が間違いを指摘。
「ひいいいいい」
「そういえば、鈴ちゃんが今度、皆でお祭り行こって言ってたけど、二人もいくでしょ?」
と杏奈が言った。
「祭り?」
龍太郎が応える。
「ほら、神社の春祭り」
「ああ、あったなそういえば、しばらく行ってないな」
「そうだね」
「なんか、五人で集まるのも久しぶりな気がする」
と杏奈が言った。
「あー、確かになんかタイミング合わなかったからな」
「楽しみだねえ」
サツキは宿題を見つめながら言った。
「サツキが、明日宿題忘れなかったら、そろうかもな」
「明日は、ぜーたい忘れないよー」
と口を尖らせる。
「どの口が言ってんだよ」
「この口でーす」
サツキは大きく口を開けて見せる。
「女の子が口の中を見せるのはやめなさい」
と杏奈が教科書でサツキの頭を小突いた。
「杏奈お母さんに怒られちゃった」