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「やるわけない」

 と龍太郎は自信たっぷりに言った。

「今日、見せないよ。宿題」

と杏奈が冷たい声をこぼした。

「え、それは困るよ杏奈様。神様、仏様」

龍太郎は杏奈に手を合わせするすりと手を擦った。

「えー、どうしよっかなあ」

 と杏奈は持っていたバックを腰の後ろにやる。

「イチゴ牛乳」

 と龍太郎が言う。

「それと、卵サンドー」

 と続けて杏奈。

「がめつッ」

「どうとでもいえーい」

「くッ!」

「サツキの見る?」

 とサツキが龍太郎に提案する。

「サツキのはいいや」

「えええ! せっかく見せてあげようと思ったのに、じゃあ一生みーせない」

「どうせ、お前やってねえだろ」

「やってますよーだ」

 サツキは前に進んで、龍太郎に向かってあっかんべーをした。

なんだかサツキのその顔を見るのが懐かしい気がした。なんで懐かしく思ったんだろう。いつも見ている顔のはずなのに。

 一限目を告げるチャイムが鳴った。

 チャイムよりも早く教室の中に入ってきた英語の先生が教壇の前に立つ。バーコードハゲ。

「はい、おはよー、じゃあ昨日だした宿題提出ー」 

「はい!」

サツキがビシ! と真っ直ぐ手を上げた。

どうしたというのだろうか。

「どうした、サツキー」

「宿題をお家に忘れてしまいました!」

「またかあ。放課後までにやっとけー」

「はい!」

 いつもこれだ、やっていると言っておいて、持ってきていないのだ。俺は杏奈のノートを写した宿題を提出して、机に突っ伏すことにした。

授業途中、ちらと見たサツキは楽しそうに授業を受けていた。

杏奈を見る。眼鏡をかけて、ガリガリとノートをとっていた。ガリ勉野郎め。そんなに勉強が楽しいのだろうか、俺にはよく分からなかった。


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