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「龍ちゃん迎えに来てさ、龍ちゃんの寝顔眺めてたら、眠くなっちゃって一緒に寝ることにしたの」
「一緒に寝るんじゃなああい!! せめて起こしてくれ!」
「もう、龍ちゃん相変わらず冷たいなあ、私が温めてあげるね」
ぴと
サツキが身を寄せてきた。人のぬくもり。生きている人に触れている感覚。サツキだった。五年前のサツキとなにも変わらない。
「こら! 若い娘がそんなにくっつくんじゃないよ!」
龍太郎はがばりと布団をめくりあげ、立ちあがった。
「もっと、寝てようよー」
とサツキは布団を引き寄せて猫のように丸くなっていた。ニャーにゃー。
「学校行くぞ、着替えるから出てけ」
「えー、前は気にしてなかったじゃん」
「今は気にすんだよ、お前は変わんねえな」
ホイと龍太郎はサツキを立たせる。
「しかたないなあ」
サツキは腰まである長い髪と制服を整えながら部屋の扉に手をかけた。
「下で待ってるよー」
「ったくよお」
龍太郎は寝間着を脱いだ。
「お前はいっつもいっつも」
「いいでしょー、別に、龍ちゃんも好きなくせにー」
龍太郎赤くなる。
「好きじゃねえから!」
「おっはよ」
杏奈が後ろから登校途中の二人に声をかけてきた。
「おはよー」
「杏奈ちゃん! おはよー」
「宿題ちゃんとやってきたー?」
と杏奈がサツキに訊いた。
「もちろんだよー、忘れるわけないね」
「ほんとかなあ」
二人は可笑しそうに笑っていた。
サツキが宿題? なんだか違和感があった、けどすぐにどうでも良くなった。
どうでも良くなるということは大して考えなくてもいいことなのだろう。
「龍ちゃんは?」
とサツキが龍太郎に話題を振った。
「聞くの? この大天才様に」
と龍太郎は腕組みをして得意そうにする。
「聞いちゃうよー」