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待ってくれ! 

サツキがまた、いなくなってしまうんじゃないかと思った。

せっかく会えたのに、そんなのは嫌だ。

 ずっとまた会いたいと思っていたのに。

 全力で追いかけた。

夕暮れ時、二つの影が長く伸びていた。後ろにいた影が、前の影に追いつく。

龍太郎はサツキの腕を掴んだ。

「ごめんな、サツキ」

「龍ちゃんのばかああああ」

サツキは大泣きをしていた。

「ごめんって」

「にまあ」 

一瞬で泣き止んだ、昔からこうだった。すぐに幸せそうな顔になるんだ。

 ピンポーン

「はい」

インターフォンから気の強そうな声がした。

「杏奈ちゃんただいまー」 

「おかえり、ってサツキどうしたの?」

サツキはドアを開けた杏奈をぎゅっと抱きしめた。肩までのショートヘアー一般的な平均身長よりも少し背の高いくらいの身長、Tシャツと短パン姿。長谷川杏奈。

「ちょっと、なに?」

「えへへ」

 サツキは杏奈の胸で嬉しそうにしているばかりだ。

「龍までいるし、どうしたのこれ」

「いや」

杏奈もだった。サツキがいるのが当然みたいな反応をしている。いままでずっとサツキがいたみたいに。

「龍ちゃんひどいんだよ、サツキが帰って来ても嬉しくないんだってさ」

「そっか、そっか」

杏奈はサツキの頭をよしよしと撫でた。

「よくわかんないけど、部屋あがる? 散らかってるけど」

「いや、わりい、帰るよ」   

「あんたら、何しにきたんだよ」

「サツキに聞け」

「杏奈ちゃんに、ただいまって言いたかっただけだよ、ふふ」

「なにそれ? 明日、学校で会うんだから。いる? それ」

「いるよー」

 サツキが学校に来る? 行方不明になっていた人間がいきなり見つかった次の日に学校に通ってくるものなのか? 

 サツキと龍太郎は杏奈の家をあとにした。


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