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「俺が龍太郎が好きで、龍太郎と仲良しのお前に嫉妬しちまったから!」
「え?」
龍太郎は啓介から発せられた言葉を聞いて耳を疑った。
「いいよ」
サツキは優しく言った。
「いいの?」
啓介は立ち上がって龍太郎の前に来た。
「僕、お前に訊いことあるんだよ、サツキと僕、どっちが好きだって」
「うん、覚えてるよ」
啓ちゃんが顔を真っ赤にして訊いてきたことを思い出した。
「即答でさ、結構ショックだったんだぜ」
啓介は苦笑いをしながらそう言った。
「啓ちゃんのこと好きだぜ、俺」
「お前と僕の好きは違うんだよ」
「ごめん啓ちゃん、俺……」
「わかってる。せめて抱きしめてくれないか」
龍太郎は啓介を抱きしめた。
「ありがとう」
啓介はしばらく泣いていた。
啓介は髭を剃って、髪を整えて服も着替えていた。いつもの啓介になっていた。
「よっしゃあ! 話はわかった、次は鈴か?」
「んー、啓にいがそうしたいなら」
三人は鈴の家に向かうことにした。
鈴の家に行く途中の公園。なんだか騒がしかった。
「うわああああ」
「でたぞおおおお」
龍太郎は公園の方を見た。
「なんだ?」
子供達が騒いでいるようだった。
「妖怪砂食いばばあだ!」
「逃げろ!」
なんだか聞いたことがある名前だった。
「行ってみよう」
と啓介が言った。
公園に行くと、砂場に鈴の姿があった。
砂を食んでいた。
じゃり、じゃり、じゃり
三人が近づくとジロリと目を向けてきた。
「なんだ、お前らかなんか用か。そっちの人は……サツキ!?」