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はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは
水玉模様の傘が見えた。
あれはサツキの持ってた傘の柄?
前を歩く人に近づいていった。
「サツキ!」
「え?」
別人だった。
「す、すみません、間違えました」
再び走り出す。
何処にいるんだよ! また、サツキがいなくなるなんて考えたくなかった。
ちくしょう!
児童館の前に来た。
金属が擦れている音が聞こえてくる。
ブランコに座っている人がいた。サツキか?
「サツキ!」
サツキはこちらを見て笑顔を返してきた。
「龍ちゃん」
「探したぞ」
「なんで? 心配してくれたんだ」
「また、いなくなっちまったかと思って、俺」
「ありがとー、心配してくれて、でもだいじょーぶ」
サツキはブランコから降りた。水たまりの水がパシャリと跳ねた。
「龍ちゃんはまた、私が神隠しに遭ってたって記憶、戻っちゃったね」
「戻ったらだめなのか」
「だめじゃないよ」
「なあ、一体どういうことなんだよ、どうして記憶が変わってるんだ」
沈黙。
「かくれんぼしてくれたら、教えてあげる」
「かくれんぼ? この雨の中?」
「うん、かーくれんぼすーるもーのこーの指とーまれ」
雨が冷たくて早く家に帰りたかった。正直怖いとも思った、それでも知りたかった。
龍太郎は恐る恐る立てられた指を握った。
「じゃあ、龍ちゃんが鬼ね」
形の良い唇は笑っているように見えた。
「おい」
「なに?」
「また、いなくなるのは無しな」
サツキは微笑んでから背を向けて駆けだした。
数を百ほど数えた。
「もーいーかーい」