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「カツ丼にでもするかな、サツキは?」
「カレーライス!」
「食べ過ぎじゃね?」
「毎日でもいいくらいだよー」
「じゃあ、私もカレーにするかな」
杏奈は職権のボタンを押した。
「啓ちゃんは?」
と龍太郎が啓介に訊いた。
「カレーライス!」
「もう、なに突っ込めばいいのかわかんねえや」
「鈴はラーメンだろ?」
と啓介は話題を鈴にふる。
「カレーライス!」
一同「ラーメンだろ!」
「ははははは。さすがの私も毎日はきついよー」
そんな感じで今日もいつも通りだった。
昼休みが終わる前――五時限目の始まる前。
教室のドアが開く。髪の長い女生徒が席についた。日下部 麗子。一週間ほど病欠で休んでいた。麗子は席についてからサツキに視線を向けていた。サツキは宿題を一生懸命解いていた。
五時限目が終わった。
窓の外を見ると雨が降っていた。
「龍太郎君ちょっといいかしら」
「ん? うん」
龍太郎と麗子は廊下に出た。
「あの、隣の席の子だれ?」
隣? 隣に座ってるのはサツキだ。
「え、サツキだけど、何? 誰って」
「見たことない子だったから」
「見たことないって、クラスメイトじゃん」
「転校生?」
「いや、昔からここらに辺に住んでる」
「私が休む前、あの子いなかったじゃない」
「え?」
外がぴかりと光って雷の音がした。
わりと近くに落ちたようだった。
教室のドアが突然開いた。
「ねえ、龍ちゃん! 宿題で聞きたいことあるんだけど」
サツキがこちらをのぞき込む。
「あ、ああ今いく、麗子、ご、ごめん」




