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僕を取り巻く感情  作者: ちぃたろ
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五十五話 復旧作業が始まりました

 僕はラーニンの昼食をテーブルへ置くと、庭からマヨルの声がします。


 「ゼロワン、そろそろ街へ降りましょう」

 「分かりました」


僕達は支給された作業着に着替えると、坂を下って街へ降りました。

改めて見ると、街の様子は酷い有様です。

レンガの舗装された道はめくれ上がり、その隣接する家々が崩れています。

不安定になっている子供達も居て、大人にしがみついて泣いていたり、膝を抱えてうずくまっている人々が居たりと、状況は良くないと判断しました。


 「……」

 「ラデス?どうしましたか?」

 「早く集合場所行こうぜ」


ラデスの顔付きが急に曇り、珍しくとても静かです。


 「作業着を支給されている者はこっちへ!緊急作業者の名簿を読み上げる!居る者は返事をするように!この作業着を着ている者以外は二次被害回避の為に近付かないようにしてくれ!」


 集合場所の中央で身体の大きな男性は手を大きく振り、声を張り上げました。


 「私達もあちらへ行きましょう」

 「名簿で確認を取るようですが、僕達は名前を明かして大丈夫なのですか?」

 「はい、大丈夫です。今回の事で多くの志願者が増えました。本日、新たな緊急作業者名簿が宮殿より発行されているので、作業者として宮殿から許可を得ている者なのかを確認するだけです」

 「緊急作業者とは何ですか?」

 「火事が起きた後の片付けを行ったり、行方不明者など捜索したりする際に、お手伝いをお願いする者達です。緊急作業者は一般国民をはじめ、非番の宮殿従事者、お役目を離れた宮殿従事者、退役した兵士等が登録しています」

 「なるほど。分かりました」

 「俺はこのままでいいのか?帽子で隠すか?」

 

今の所、ラデスは誰にも侵入者ではないか?と騒がれてはいません。


 「あの時も帽子を被っていたので、よりそう見えてしまう可能性が高いと推測します」

 「確かにそうですね。私もそのままの方が良いと思います」

 「分かった!」


僕達は手を掲げている男性の元へと向かいました。


 「今から、班ごとに名前を読み上げる!呼ばれた班で集まってくれ」


次々に名前が呼ばれ、返事の有無を確認しています。

僕達の名前も呼ばれ、それぞれ返事をしました。


 「それでは班に分かれて!分からない事は班長に聞くように。班長も判断出来ない場合は俺に聞いてくれ!俺は宮殿従事者のガルディだ。よろしく頼む」


ガルディもマヨルとメノルと同じ宮殿従事者のようです。


 「ガルディは主に修繕や建築、設計に携わっています」

 「この街の景観はガルディによって造られました」

 「そうだったのですね。僕の構造を使用すれば火災の起きにくい建物を建築する事が可能だと推測します」

 「それは良い案ですね」

 「今回は早急な復旧が望まれていますので難しいですが、ラーニンによってその原料が判明したら、この街の建物も発展を遂げるのでしょう」


僕達が小さな声で話しをしている時も、ラデスは街の様子を見たまま黙っていました。

いつもと様子の違うラデスの顔を、メノルが心配そうに覗き込んで問いかけます。


 「ラデス、大丈夫ですか?」

 「私には停止しているように見えますが、ラーニンが居ないので……困りましたね」

 「大丈夫だ。作業を始めようぜ」

 「分かりました。まずは班長の指示を仰ぎましょう」


 ガルディと話しをしていた僕達の班の班長が戻ってきました。


 「すみません、皆さん。お待たせしました!お二人は初めましてっすね!俺はワークスっす!」

 「初めまして、ゼロワンです」

 「俺はラデスだ」


ワークスは元気が良く、明るい青年のようです。


 「ワークスは相変わらず元気が良いですね」

 「彼はガルディの一番弟子です」

 「そうなのですか」

 「まだまだ足元にも及ばないっすけど、頑張るっす!」


ワークスは照れた様子で頭を掻きました。


 「あ、さっきガルディ上長から国王の指示でマヨルとメノルの派遣報告を受けたっす!ゼロワンとラデスは力に自信があるって聞いてるんで、バシバシお願いするっすよ!」

 

ワークスは僕達の方を見て、親指を立てています。


 「頑張ります」

 「おぅ、俺も頑張るぜ」

 「じゃあ早速、瓦礫を持てるだけ持って収集場に運ぶっす」


盛り上がってしまったレンガ造りの道路や、半壊した家屋を別の班の人達が早速解体に取り掛かっていました。

どんどん道路は瓦礫の山になっていき、僕達は力を抑えながら運びます。

ラデスは今にも最大馬力を出力してしまいそうな様子ですが、人間の真似をして運んでいます。


 「ゼーロワーン!!!」

 「危ないから!アイヴァン!やめなさい!」

 「アイヴァン、こんにちは。怪我は大丈夫ですか?」


僕はアイヴァンの体に最少出力で触れました。


 「うん!!ゼロワンなら街を直しに来ていると思ったよ!」

 「正解です」

 「ゼロワン……良かった……」


レミーナは目を潤ませて、俯いています。

僕と目を合わせようとしません。


 「心配かけてごめんなさい」

 「ううん。アイヴァンを助けてくれてありがとう」

 「いえ、僕は二人が無事で……」


僕は何を伝えようとしたのでしょうか?

レミーナの頭に触れてしまいそうになりましたが、また思考と動作のシステムが一時的に停止しました。


 「ゼロワン?どうしたの?ゼロワンは知ってる?侵入者はどこにいるの?」

 「それは……それはお伝えする事が出来ません」

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